スパニッシュ・オデッセイ

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Cristo 姓

2018-07-26 17:12:49 | 名前
 英語 Christ はフランス語形及びドイツ語形でもあるが、スペイン語形は Cristo である。イタリア語形もポルトガル語形も同様である。果たして Cristo は姓として使われているのだろうか。
 調べてみると、ちゃんとあるのである。スペインでのランキングは第8189位。父の父姓も母の父姓も Cristo、つまり Cristo Cristo という人は8人いるらしい(“Historia Apellidos”)。畏れ多いお名前である。
 世界的な分布を調べてみると、絶対数ではブラジル、人口比ではアンゴラが一番多い。上位はスペイン語圏・ポルトガル語圏などの国が多い。イタリアは第10位に入っている。何と日本にも4人いた(“Forebears”参照)。おそらくカトリックの国の大使館員(または企業の駐在員)とその家族であろう。
 紋章もあるが、キリストとは関係なさそうなデザインである。
 
 【“Plusesmas.com”より】
 英語圏には Jesus という男子名も Christ という姓もないようだが、スペイン語圏には Jesús(ヘスス)という男子名があることは以前から知っていた。Cristo という姓も存在することが今回の調べでわかった。ということは、Jesús Cristo という男性がいてもおかしくはないのである。Jesús Cristo Salvador というお名前の方もいるかもしれない。
 ところで、あの「イエス・キリスト」様は Jesús Cristo ではなく、Jesucristo (「ヘスクリスト」。一語で書く)なので、間違われることはない。筆者も当初は間違って、あの「イエス・キリスト」様のことを Jesús Cristo と言っていたものである。
  Jesucristo が姓として使われていることはあるまいと思ったが、念のために確認してみた。案の定、“Historia Apellidos”でも“Forebears”でもヒットしなかった。
 小学館『西和中辞典』の Jesucristo の項を見ていたら、次のような記述があったので、ついでに紹介する。

 「イエス・キリスト、神の子、救い主」はギリシア語でIesous Christos Theou Hyios Soter(筆者注:母音字につけられた記号は省略)で、頭文字を組み合わせると Ichthys「魚」となり、キリストの象徴として魚が用いられた。

 なるほど。そういえば、一番弟子と言える聖ペトロ(西 San Pedro)は漁師(pescador イタリア語形は pescatore)だった。魚(pes、食卓の魚は pescado)をイエスの象徴としたのは上記の理由の他に、初代ローマ教皇、聖ペトロに対する配慮があったのかもしれない。

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