ハーマン・メルヴィルの名作「白鯨」(Moby Dick)を読み始めた。エイハブ船長率いるピークオッド号の冷静沈着な一等航海士の名前がスターバック(Starbuck)である。あのスターバックス(Starbucks)の名前の由来になっていることは結構有名な話である。
一等航海士スターバックの画像を検索してみたが、ヒットしない。岩波文庫版「白鯨」(上)(八木敏雄訳)301ページには Rockwell Kent による挿絵がある。挿絵の著作権登録は1930年で、その後、1958年に更新されている。この挿絵はピッツバーグ州立美術館の許可を得て使わせてもらっていると、訳書の目次の前ページに英文で書かれている。
著作権について調べてみたが、死後70年間は保護されるとのこと。小説の方はメルヴィルの死去は1891年なので、勝手に引用しても問題はない。ただし、挿絵の Rockwell Kent の死去は1971年なので、まだ保護下にある。勝手に画像をアップすると、お縄を頂戴しなければならない。そういうわけで、ネットに画像が出てこないのである。
挿絵を見ると、スターバックは陰気くさい痩せた男で、コーヒー・チェーンのスターバックスにはふさわしくないと思う。ここでは掲載できないので、興味のある方は、図書館にでも行って調べてみていただきたい。
さて、岩波文庫版「白鯨」の第26章でスターバックについて次のように書かれている。
クエイカー教徒の家系である。背が高く、真摯な男で、寒冷の海岸に生まれたにもかかわらず、熱帯にもよろしく適応しているようで、二度焼きのビスケットのように引きしまった体をしている。
ここで問題にしたいのは「二度焼きのビスケット」である。そもそもビスケット(biscuit)は二度焼かれるものなのである。一度しか焼かないビスケットがあったら持って来い、である。新英和中辞典(研究社)biscuit の項には【フランス語「二度料理された」の意から】とちゃんと書かれている。それをわざわざ「二度焼きのビスケット」と訳した翻訳者の意図は何であろうか。原文の直訳なのだろうか。メルヴィルはビスケットの語源に疎かったのだろうか。「二度焼き」を強調したいがために、メルヴィルはそう書いたのだろうか。サマセット・モームの「月と六ペンス」の Blanche 同様、悩みが尽きない。
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一等航海士スターバックの画像を検索してみたが、ヒットしない。岩波文庫版「白鯨」(上)(八木敏雄訳)301ページには Rockwell Kent による挿絵がある。挿絵の著作権登録は1930年で、その後、1958年に更新されている。この挿絵はピッツバーグ州立美術館の許可を得て使わせてもらっていると、訳書の目次の前ページに英文で書かれている。
著作権について調べてみたが、死後70年間は保護されるとのこと。小説の方はメルヴィルの死去は1891年なので、勝手に引用しても問題はない。ただし、挿絵の Rockwell Kent の死去は1971年なので、まだ保護下にある。勝手に画像をアップすると、お縄を頂戴しなければならない。そういうわけで、ネットに画像が出てこないのである。
挿絵を見ると、スターバックは陰気くさい痩せた男で、コーヒー・チェーンのスターバックスにはふさわしくないと思う。ここでは掲載できないので、興味のある方は、図書館にでも行って調べてみていただきたい。
さて、岩波文庫版「白鯨」の第26章でスターバックについて次のように書かれている。
クエイカー教徒の家系である。背が高く、真摯な男で、寒冷の海岸に生まれたにもかかわらず、熱帯にもよろしく適応しているようで、二度焼きのビスケットのように引きしまった体をしている。
ここで問題にしたいのは「二度焼きのビスケット」である。そもそもビスケット(biscuit)は二度焼かれるものなのである。一度しか焼かないビスケットがあったら持って来い、である。新英和中辞典(研究社)biscuit の項には【フランス語「二度料理された」の意から】とちゃんと書かれている。それをわざわざ「二度焼きのビスケット」と訳した翻訳者の意図は何であろうか。原文の直訳なのだろうか。メルヴィルはビスケットの語源に疎かったのだろうか。「二度焼き」を強調したいがために、メルヴィルはそう書いたのだろうか。サマセット・モームの「月と六ペンス」の Blanche 同様、悩みが尽きない。
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