スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

ラッキー・ボーイ

2013-10-31 13:41:59 | トリビア
 青年海外協力隊からの派遣先が、エル・サルバドルから中南米の3Cの一つであるコスタリカに変更になった。中南米の3Cというと、美女の産地として有名である。Colombia, Chile と Costa Ricaである。Cuba も C で始まるが、4Cにはならない。キューバに美人がいないわけはないと思うのだが。青年海外協力隊員が派遣される国は発展途上国であるが、コスタリカはチュニジアと並んで、協力隊員が派遣される国の中では発展している方の国であった。それも3Cのうちの一つ。他の2つのCの国へは当時は協力隊は派遣されていなかった。本当にラッキーであった。
 ところで、ラッキーと言えば、当時は全然気が付かなかったのであるが、高校時代、筆者は3年間、体育祭の優勝クラスにいたのである。当時は1クラス50人以上、1学年は10クラスであった。生徒は500人以上いた。3年間ずっと優勝クラスに入っていられる確率は10の3乗分の1、つまり1,000人に1人。500人のうち、1人いるかいないかである。3年間ずっと同じクラスだった同級生はいないので、筆者ただ一人である。筆者は運動音痴なので、優勝には何の貢献もしていないのだが、筆者の力で優勝を引き寄せたとはいえる(?)。
 さて、コスタリカを振り出しに、パプア・ニューギニア等を渡り歩いたのだが、ラッキーはずっと続いていた。
 コスタリカにいた時には、コスタリカからミス・インターナショナルが出た。筆者と懇意のある日本人男性が、どういうわけか、彼女の家族に気に入られ、縁談があったようだが、残念ながら彼には決まった人がいたので、沙汰やみになった。まったく、もてて、もてて困っていたようだ。
 パプア・ニューギニアにいた時には筆者が勤めていた国立高校(人口300万人の国に、高校は4つしかない。すべて国立)からミス・パプア・ニューギニアが出た。ただ、同僚のオーストラリア人の担任の教師によると、性格は悪いとのことだったが。そういえば、1年で中退してしまった(パプア・ニューギニアの高校は2年制)。
 シンガポールにいた時は、シンガポールがミス・ユニバースの会場になり、シンガポール代表も初めて入賞した。
 ペルーにいた時は、ペルー代表がミセス・ワールドに選ばれた。彼女は親しくつきあっていた弁護士の親戚だったようだ。
 メキシコにいた時には、メキシコからミス・ユニバースが出た。
 とまあ、筆者の行くところ、美人コンテストの賞に縁があったのである。
 また、パプア・ニューギニアとメキシコで皆既日食を見ることもできた。メキシコの皆既日食当日は、朝からどんより曇っていて、日食が見られるかどうか心配だったのだが、皆既日食の時間が近くなってくると、太陽の周りから雲がなくなり、皆既日食を拝むことができた。そして、皆既日食が終わるとまた、太陽が雲に覆われたのである。普段の行いがいいというだけでは説明できない、奇跡のようなことであった。
 というわけで、筆者は本当にラッキーボーイだったのである。
 しかし、ラッキーはここまでで、ペルーの地震防災プロジェクトの調整員をやっていたせいか、新潟県中越地震、及び中越沖地震で震度5弱と震度6強を経験してしまった。東北の大震災に比べれば大したことはないが。それでも、心身の不調が続いた。地震の前には筆者が二重生活をしていた、新潟県と福井県で水害が発生した。筆者の行くところ、災害が起きる。全く、私が「来てから」洪水があったのではなく、私が「来たから」洪水があったといえるだろう。この「来てから」と「来たから」の違いは、日本語教育の初級レベルで扱う項目ではある。
 人生、山あり、谷ありである。

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青年海外協力隊へ(2)-派遣先変更

2013-10-30 16:10:29 | トリビア
 訓練期間中、各語学講座の余興で劇をしたり、歌を歌ったりするが、筆者は楽器はだめなので、常にボーカルを担当させられた。それまで、歌には特に自信はなかったのだが、やってみると結構歌える。教師として、教室で大きい声、それも腹式呼吸の声を出せるようになっていたので、それがよかったのだろう。それでも、カラオケが普及するまでは、人前ではあまり歌うことはなかった。それが、パプア・ニューギニアへ行ってから花が開いたのである。
 そうこうするうちに4か月が過ぎ、訓練が終了した。訓練終了後、隊員候補生(まだ隊員ではない)全員でJICA名誉総裁であらせられる皇太子殿下(今上陛下)にご挨拶に伺う。場所は東宮御所である。元来、皇太子殿下のお住まいは皇居の東である。だから、東宮という名なのだが、東宮御所は赤坂にあり、皇居の西にあたる。当時はそんな簡単なことにも気づかず、今になって気付くという馬鹿さ加減である。京都に都があったころは御所の東にちゃんと東宮があったのだろうが。それとも、京都御所からだと、東京赤坂は東にあるからいいということだろうか。
 「東宮」が「皇太子」の別称であることは、このころ分かったのだが、最近、「親王」の別称にもいろいろあり、その中に「蓮池」というのがあることを発見した。これは「和漢三才図会(ずえ)」に載っている。あの拉致被害者の「蓮池」さんは、ご先祖様が親王殿下だったのかもしれない。

 話を訓練期間中に戻すが、エル・サルバドルでインシンカ社社長誘拐殺害事件が発生し、内戦に突入した。そこで、派遣延期、派遣先変更の措置が取られたのである。中南米の3Cのうちの一つ、コスタリカに派遣先が変更になり、出発日も8月15日になった。4か月の自宅待機ということで、その間の国内手当もいただき、さらに実家に帰って、予備校の英語講師のアルバイトもやっていたので、ずいぶん潤っていた。

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青年海外協力隊へ(1)

2013-10-29 18:00:39 | トリビア
  その後、大学を卒業してからは、しばらくスペイン語からも遠ざかっていたのだが、高校の英語教諭をやっているときに、青年海外協力隊の日本語教師隊員に応募したら、運よく合格した。子供のころは「兼高かおる世界の旅」を毎週見ていて、海外への憧れがはぐくまれていった。小学校のころの作文に「将来は大使になりたい」と無邪気なことも書いていた。海外での仕事とはいっても、特に、専門技術がないので、日本語教師でもと思って、高校教師を続けている間、日本語教授法を通信教育で受講していた。応募の時点では、まだ終了まで数か月を残しており、ダメもとで受験したのだが、現職の英語の高校教諭で、外国語教授法は一応やったことにはなっていたので、それもよかったのだろう。その頃の問題はあまり難しくなかった。今、受けたら危ない。英語の試験は中学レベルだったから、満点で当たり前である。ASEAN加盟5か国(当時)の名前を英語で書けという問題をよく覚えている。フィリピンが一番難しかったのだろう。ちゃんと勉強していないと書けない。高校英語教師なら、できて当たり前。
 無事、合格して、派遣先がエル・サルバドル(El Salvador、「救い主」の意)に決まった。スペイン語圏である。8年前にスペイン語を勉強した甲斐があったというものだ。大学時代は、大学紛争の余波もあり、他の勉強はあまりしなかったが、語学だけはちゃんとやった。
 基本文法は知っていたので、訓練期間中は、それを身につけ、会話練習をするだけでよかったような気がする。スペイン語を一から始めた候補生もいる中で、筆者はずいぶん楽をさせてもらった。
 スペイン語の先生は最初の2か月はパラグアイ出身の若くて、美しい女性で、NHKのテレビ・スペイン語講座の講師もしていた。次の2か月はメキシコ女性で、こちらは知的なタイプで、二人とも日本人の奥さんであった。

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命に関わる発音 [ɾ] と [l]

2013-10-16 14:01:25 | スペイン語
  コーヒー豆を挽くのも、粉を挽くのもどちらもスペイン語では moler という動詞で表される。水力や風力を利用して粉を挽くところが molino で水車小屋や風車だったりする。英語では millで(風車の場合は特に windmill というが)、語源は同じらしい。英語の mil lはMill, Mills, Millerなどの姓にもなっているが、スペイン語では molino の女性形の Molina がありふれた姓の一つになっていることは前回述べた。
 臼歯を表す molar(スペイン語では muela という形が普通)も「臼」の字があるように食べ物を「砕く」歯である。
 話が唐突に変わるが、スペイン語の発音は日本人にはあまり難しくない。ただし、意外と難しいのが l の音である。スペイン語にも英語同様 r と l の区別がある。英語の r は巻舌音で、舌先が上の歯茎に接近するものの、接触はしない。ところが、スペイン語の r は日本語同様、接触して一度弾くのである。つまり、スペイン語の r は日本語と全く同じ「ラ行」音([ɾ])でよいことになる。
 一方、l で表される音は英語同様、舌先が上の歯茎にべったりとくっつく [l] の音である。これは日本人にも当然発音できる。ただ、ぼんやりしていると、べったりとくっつける時間が短くなり、つい舌先で弾いてしまう。そうなると[ɾ]の音になってしまうのである。
 英語の r で表される音は日本語と違いすぎるので、日本人はこの音の発音をかなり意識する。スペイン語の r は日本語と同じなので、全然意識しない。l の方は英語でもあまり発音を意識することはないだろうが、スペイン語でもあまり意識していないのではないだろうか。ここが盲点になり、スペイン語の r と l の発音の区別ができにくくなっているのではないだろうか。
 ポルトガル語もスペイン語同様 r と l の発音の区別があるが、スペイン語と逆になっている場合がある。
 例えば、スペイン語の plaza (広場、プラザ)はポルトガル語では praça になっている。 
 さて、スペイン語を習うとき、まずは挨拶を覚えるが、便利なあいさつに“hola”(英語の hello に相当)がある。スペイン語では h は読まないので、カタカナで書くと「オラ」である。日本人はこれを “hora”(時間、英語の hour に相当)と発音してしまいやすい。「ハロー」のつもりで「時間」と、挨拶しているわけである。しかし、これなどかわいいものである。
 歯痛で歯医者に行った時、自分から「奥歯が痛い」というときは、少々発音が悪くても、許してもらえるだろうが、医者の方から「どこか痛むか」と聞かれたときに、「奥歯(muela)」とだけ返答するような場合、[l] の発音が悪ければ、歯医者に殺されるかもしれない。[ɾ] で発音してしまうと、“muera”となる。これは動詞 morir(死ぬ)の丁寧な命令形である。「死ね」でなくても「死んでください」では、こちらの方が殺されかねない。殺されないまでも、歯医者さんのキーンという音のする機械で歯を思いっきり、グリグリされ、死ぬ思いをするかもしれない。 

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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(28)-「だれか」と「だれも」

2013-10-10 15:44:31 | スペイン語
 somebody と nobody に対応するスペイン語も誤用が起きやすい。英語の場合は、どちらも body で終わり、それぞれ前に some (anyの場合も)と no をつければよい。
一方、スペイン語では somebody に相当するのは alguien で、nobody に相当するのは nadie である。英語のように共通の語尾があるわけではない。それでも、共通の語尾を持たせて、何とか対応する形を作りたいという欲求を持つ人もいるようで、女房殿によれば、nadie を naiden とやる人もいるとのことである。手元の西和辞典を当たってみたが、naiden なんて載ってないでん。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(27)-火遊び

2013-10-06 12:21:38 | スペイン語
  久しぶりに、ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用について述べる。今回は日本人も苦手とする[f]と[h]の区別である。日本人が「ハ行」の子音と認識する音はスペイン本国では日本語の「ハ行」の子音よりもっと強く聞こえる(発音記号も[h]ではない)が、中南米では日本語の「ハ行」と大体同じと考えていい。
 さて、今回紹介する言葉はどちらも日常会話によく出てくる。ひとつは fuegoで、もうひとつは juegoである。どちらもカナ表記すると「フエゴ」となる。当然、前者は[f]音で、後者は[h]音である。
 fuegoは英語ではfire(火)である。fuegoと語源的に関連のある英単語にはfuel(燃料)、focus(焦点)などがある。「燃」も「焦」もどちらも「火」に関係する漢字である。英語で「撃て!」というとき、Fireというが、スペイン語でもFuegoでよい。
もう一方のjuegoは「遊び」という意味だが、「食器のセット」という意味もある。動詞jugarの直説法現在1人称単数の活用形にもなる。動詞としては英語のplayに相当するといっていいだろう。ただ、語源的にjugarに対応する英語はjokeである。スペイン語のjuegoは「遊び一般」をさすのに対し、英語では「口での遊び」、つまり「ジョーク」である。 
 fuegoとjuegoの発音の違いが認識できなくても、文脈でだいたいどちらか判断できるのだが、「火遊び」となると難しい。
今回の例は単なる「火遊び」ではなく、夜空を彩る壮大な「火遊び」、つまり、「花火」である。一般的にはfuegos artificiales(人工の火)という、味もそっけもない言葉であるが、ネイティブ・スピーカーにも「花火」から「遊び」を連想して、juegos artificialesと発音する人もいるようである。


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