スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

コスタリカの妖怪 El Viejo del Monte(山男)

2021-01-31 10:05:00 | コスタリカ
 メキシコ時代の友人が書いた作品をご紹介します。さまざまな資料を基に再構築した武蔵です。是非ご一読ください。『巌流島の決闘』はあっと驚く結末です。
   
 今回のコスタリカの妖怪は“El Viejo del Monte”(エル・ビエホ・デル・モンテ)。「山の男」という意味である。“Dueño del Monte”(ドゥエニョ・デル・モンテ)とも呼ばれている。
 スペイン語版ウィキペディア”Dueño del Monte”によると、これは中米の妖怪と書かれている。
 ヒゲもじゃで、髪はぼうぼうの大男というのが一般的な姿のようだが、生前犯した罪のために、このような姿になっているが、死後、山の生き物たちの守り神になっているとか。
 パナマとの国境近くの小さな町、Bribri(ブリブリ)の先住民の神話にも言い伝えがあるらしい。また、ニカラグアに近いグアナカステ州の町、Bagaces(バガセス)にもカウボーイの姿をした「山男」の伝説がある。
 ブリブリにはかつて一度行ったことがあるが、先住民の伝統的な住居はパプア・ニューギニアの住居とよく似ていた。ブリブリの画像はたくさんあるので、そちらをご覧いただきたい。
 バガセスは観光地ではないので、訪れたことはなかったが、2015年に女房殿の友人がいて、訪れる機会を得た。何の変哲もない田舎町だが、昔話にはよく出てくるのである。こちらも画像が多数あるので、参照願いたい。 画像を見ると、結構きれいなところがあるが、別の目的地へ行く途中だったので、筆者は女房の友人宅近辺しか見ていない。
 最後に、「山男」の画像を紹介する。いい加減な画像もあるので、まともなのをいくつか紹介する。
 
 
 

 
 
 次は牛車(車を引く牛なしで勝手に動く)に乗る妖怪ジョローナ(泣き女)とセグア(雌馬の妖怪)ともう一人の妖怪(名前は何だろう。今後の課題とする)と徒歩の魔女サラテを木陰から窺う「山男」である。
 

  
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コスタリカの妖怪四天王の一角、トゥレビエハ(Tulevieja)

2021-01-30 11:02:54 | コスタリカ
 コスタリカの妖怪御三家ともいえる三大妖怪はすでに紹介したが、これにも1つ加えて妖怪四天王にしたい。その名はトゥレビエハ(Tulevieja)である。
Tule Vieja と2語に分けて書かれることもある。
 Vieja は基本語彙 viejo(ビエホ、英 old に相当)の女性形で、名詞としては「老婆」、「成人した女」の意味になる。
Tule は英語にも入っていて、「ホタルイ;螢藺;蛍藺」というイグサの仲間のようである。
 
 【tule】
 ただし、メキシコには tule という大木があるようだが、コスタリカではイグサの方である。 
 Tulevieja はいつも tule で作った帽子をかぶっているので、そう呼ばれるわけである。
 画像にはおどろおどろしいのもあるが、以下のものが本来の Tulevieja に近いのではなかろうか。
 
 
 
 スペイン語版ウィキペディア“Tulevieja”によると、鳥の姿をしているものもあるようである。
 
 
 筆者が読んだ Tulevieja の話では、鳥ではなく、普通の老婆(?)だったが。巨乳から母乳が滴り落ちているという描写もあるので、老婆というには若すぎるが。胸がはだけた襤褸をまとっているのが一般的な姿のようである。
 Tulevieja はパナマにも伝承があるようで、Tulivieja と呼ばれているらしい。パナマとの国境に近い、コスタリカの田舎町 Bribri には先住民のもあり、彼らの言語では Wikela とよばれているそうである。
 

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以下はメキシコ時代の友人が書いたものです。さまざまな資料を基に再構築した武蔵です。是非ご一読ください。あっと驚く結末です。

武蔵誕生

巌流島の決闘

コスタリカの三大妖怪(2)カデホス

2021-01-26 17:27:19 | コスタリカ
 コスタリカの三大妖怪の1つ、ラ・セグア(馬の妖怪)は前回紹介した。残る二つのうちの一つ、ジョローナ(Llorona、泣き女)については「映画リメンバーミー考察」に詳しいので、そちらをご覧いただきたい。メキシコの民話ということだが、コスタリカにも同様の話があるので、メキシコから中米にかけての民話といえるのではないだろうか。
 残る1つは El Cadejos(エル・カデホス)である。これもどうやら中米に共通の妖怪のようである。ウィキペディアスペイン語版“Cadejo”によると、中米の他の地域では単数形の Cadejo が一般的なようで、Cadejos と一見複数形にするのはコスタリカの特徴だそうである。
 一見、恐そうだが、決して人に危害を加えることはないそうである。夜遊びの帰りによく遭遇するらしい。目が真赤に燃えるようで、昔、電気がなかったころは、さぞかし恐かっただろう。
 コスタリカのあるバージョンによると、放蕩息子が親の言うことを全然聞かないために、親の怒りに触れ、呪いの言葉をかけられ、犬の妖怪になったという。
 夜、寝られないとき、ふと外を見ると、カデホスがいることもある。追い払うことはできるが、捕まえようとすると、すっと逃げてしまうそうである。

 
 
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コスタリカの三大妖怪

2021-01-20 17:07:00 | コスタリカ
 コスタリカには妖怪や幽霊話が多数あるが、三大妖怪といってもいいのは、ジョローナ(La Llorona、泣き女)とラ・セグア(La Cegua、馬の妖怪)とカデホス(Cadejos、狼のような獣)である。
 
 この絵はコスタリカの新聞“La Nación"(英 The Nation)に掲載された小学校6年生の児童の絵である。三大妖怪が一堂に会しているが、桃太郎、金太郎、浦島太郎が一堂に会しているのと同じようなものである。ほのぼのとしたタッチの絵であるが、実際は、ほのぼのからは程遠い。
 まず、ラ・セグアから始めよう。
 Cegua とつづられるのが一般的なようだが、Segua というつづりもある(発音は同じ)。Tsegua と書かれることもあるが、これだと「ツェグア」と発音される。
 馬の妖怪だが、美女の顔が馬に変わって、男を驚かせる。
 スペイン語では馬といっても、性別や年齢のよって呼び方が違う。
 オスは caballo(カバージョ)、メスは yegua(ジェグア)、子馬は potro (ポトロ)である。
 妖怪 La Cegua は元が美女なので、牝馬(yegua)に変わるわけである。
 yegua という言葉はラテン語 equus の女性形が変化したもので、男性形は yeguo になってもよさそうなものである。
 caballo はもともとは、馬は馬でも「駄馬」の意味だったらしい。caballo に乗る人が caballero(カバジェロ)で、「騎士」という意味にもなり、現代では「紳士」という意味にもなって、日常的に使われている。本来は「駄馬乗り」だから、あまりありがたい言葉ではないはずなのだが。
 caballero の英語形は cavalier であるが、その派生語 cavalry は西部劇でお馴染みの「騎兵隊」である。caballero のフランス語形は chevalier で名優モーリス・シュバリエの姓になっている。スペイン語形 caballero も姓として用いられている。
 子馬 potro を姓の一部として使っているテニス選手もいる。フアン・マルティン・デル・ポトロ(Del Potro)選手である。
 さて、ラ・セグアは美女の姿をして夜一人で歩いている。それを見かけた男が馬に乗せてやるのだが、ふと女の顔を見ると馬の顔になっているというわけである。
   
 上の絵は物語に忠実に描かれていると言えよう。
 
 セクシーなラ・セグアの絵や写真もある。これぐらいなら、お付き合いしても構わないか。
 ラ・セグアについてはウィキペディア“Cegua”に詳しく書かれているが、コスタリカだけではなく、メキシコから中米にかけての伝説のようである。もちろん、いろんなバリエーションがある。
 You Tube ではアニメも見られるので、ご紹介しよう。スペイン語だが、ストーリーは理解できるだろう。
 “La leyenda de la Cegua (Costa Rica)
 

  
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コスタリカの魔女サラテ

2021-01-13 19:25:08 | コスタリカ
 コスタリカの魔女と言うと、「サラテ」(Zárate)が一番有名らしい。前回、紹介したが、調べてみると、画像も次々と出てくる。
 人種的には先住民説が一般的なようだ。
 
 こんな画像もあったが、これは若き日のサラテであろう。
 物語に出てくるときは老婆の姿が多いのだろう。
  
 上の写真が物語に出てくるサラテのイメージに近いと思う。右側の写真はサラテのフードを後ろから見たところである。
 筆者が読んだサラテの話では、身なりは質素ということだったが、このように質素を通り越していたかもしれない。
 白人説もある。小柄で太っていて、目つきは意地悪そうという話だった。
 
 上のイラストでは意地悪そうには見えない。太ってはいるが、太目のセクシー美人になっている。これぐらいなら筆者は誘惑されてもついていく。
 孔雀(pavo real、「王の七面鳥」が原義)は元ハンサムなスペイン人で、サラテが惚れたが、相手にされず、怒ったサラテに孔雀にされたということである。話はまだまだ続くが、詳細は機会があれば。
 さて、サラテの住居は山の大岩の隙間の洞穴である。
 
 ここからサンホセ市街地が一望できる。
 
 チャンスがあれば行って見たいものである。

 【魔女サラテが住む山の頂上】
 ちなみに、Abäk (発音は abak と同じ。ä の文字はスペイン語では使われない。a の上の点々は単なる飾りである)というグループが“La Bruja Zárate”という曲を作っている。おどろおどろしい曲である。

  
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コスタリカの魔女

2021-01-12 11:55:57 | コスタリカ
 コスタリカの昔話には魔女(bruja、ブルハ)も登場する。いろんな魔女がいるのだろうが、一番有名なのは“Ña Zárate”(ニャ・サラテ)のようである。
ña はラテンアメリカで呼びかけに使われる語で、「おかみさん、奥さん」という訳語が与えられている(小学館『西和中辞典』)。男性形は ño で、こちらには「だんな(様)」という訳語が当てられている。辞書にはこれ以上の詳しい説明はないが、ña は doña(既婚女性・未亡人の洗礼名の前につけられる敬称。男性形は don)の縮約形だと思われる。
 コスタリカの昔話には、これと関連して、ñor(ニョール)という姓の前につける男性用の敬称がでてくるが、この語は辞書には掲載されていない。文脈からすると、señor(セニョール)の縮約形としか思われない。
 ちなみに、筆者はこれらの敬称には全くなじみがない。
 さて、“Ña Zárate”(ニャ・サラテ)に戻ろう。サラテおばさんについての話しはいろんなバージョンがあるようだが、人種的には先住民としているものが大半らしい。
 住処は首都サン・ホセの郊外エスカス(Escazú)だったり、 Aserrí(アセリ)だったりするようだ。街中に住んでいるわけではなく、山中の大岩の洞穴に住んでいるようである。詳細はスペイン語版ウィキペディア“Bruja Zárate”に詳しい。La bruja Zárate, Doña Zárate, Ña Zárate, la Vieja Zárate, Mamá Zarate などと呼ばれている。
 以下に画像を一部紹介する。
    

 


 
 【住処の大岩】
 画像は多数あるので、“Bruja Zárate”の画像を参照されたい。

  
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コスタリカの昔話「チンゴ・ネグロ」(Chingo Negro)

2021-01-10 10:36:36 | コスタリカ
 松の内はとっくに過ぎたが、
¡Feliz Año Nuevo!
 今年は丑年だが、スペイン語には「牛」を表す語はいくつもある。
 雄牛 toro、雌牛 vaca は基本語彙だが、buey というのもある。これは「去勢された雄牛」で、自動車が普及する前は運搬用のモーターとして使われていた。荷車は carreta と呼ばれていて、今では大きなものから小さなものまで、きれいに彩色されてお土産として売られている。
 牛は英語では生きている間は ox, cow だが、食卓に上ると beef になる。スペイン語では、「牛肉」は carne de vaca と習った。なぜ「雌牛」の肉なのか、よくわからない。雄牛も殺されていると思うのだが。当然、carne de toro もあるはずである。しかし、コスタリカでは carne de res「四足動物の肉」と言っていた。アルゼンチンのラプラタ川流域では carne de res は「人体」の意味になるらしい(小学館「西和中辞典」より)。
 さて、コスタリカの昔話を読んでいたら、“Chingo Negro”という巨大な雄牛の化け物の話があった。
 chingo というのは「尻尾がない、短い」という意味である。これだけでは牛かどうかわからない。読み進んでいくと、雄牛だということがわかる。
 話の詳細は省くが、Chingo Negro は「悪魔の黒牛」ということである。ネットで調べていたら、画像もあったので紹介する。
 
 【“Mitos y Leyendas”より】
 
 【“The Costa Rica News”より】
    

  
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