リマを朝早く出て、北へ向かう。途中、チャンカイ(Chancay)というところを通過するが、ここの砂漠からは土器も多く発掘され、リマ市内の天野博物館にも展示されている。設立者の天野芳太郎氏は毎週末、ここに出かけていたらしい。
天界航路―天野芳太郎とその時代 (1984年)
チャンカイの手前でパンアメリカン・ハイウェイより右に入ると、ワラル(Huaral)という村がある。ここにはJICAの農業プロジェクトがあって、日本から派遣された専門家が数名勤務していた(この中には筆者が青年海外協力隊候補生だったころ、東京の広尾の訓練所で国内協力員を務めていた、青年海外協力隊OBがいた。当時は農業プロジェクトの調整員であった)。すでに、全国的に治安は悪化していたが、まだ事件は起きていなかった。事件が起きたのは筆者が帰国して約1年後だったろうか。左翼テロ組織に襲撃され、JICA専門家が数名、殺されたのである。テロ組織のメンバーは未成年者だったらしい。テロ組織のメンバーになれば、食ってはいける。わけのわからないままにメンバーになった子供たちだろう。幹部はこのような子供を洗脳しているわけである。その後、この子供たちも、リマの日本国大使公邸襲撃事件にもかかわり、射殺された者もいることだろう。
筆者は殺害された人たちとは面識はないが、その前任者たちとは面識がある。命拾いした人たちである。プロジェクト・リーダーや前述の調整員とは懇意にしていた。プロジェクト・リーダーとはその後、思いがけないところで再会し、今でも交際が続いている。
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