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フェイスブックの仮想通貨「リブラ」

2019-07-27 10:16:43 | スペイン語
 フェイスブックが仮想通貨「リブラ」の発行を予定しているというニュースが最近伝えられた。
 利便性や問題点などについてはすでに論じられているので、ここでは触れない。
 ここではその名称について述べる。
 「リブラ」は Libra とつづられる。
 
 実は、スペイン語には libra という普通名詞がある。小学館『西和中辞典』には次のように記されている。

 1 リーブラ:古い重さの単位。国や地方により異なる。Castilla (カスティーリャ)では約500グラム。
 2 ポンド:イギリス、エジプトなどの通貨単位(記号 £、L)(=~ esterlina、スターリング・ポンド)
 3 ポンド:液体の重さの単位:約454グラム。~carnicera ポンド(肉や魚の計量に数県で用いられた重量単位)
 4 (オリーブやブドウの圧搾機の締め木につるす)重し
 5 [L-]《天》天秤座:《占星》天秤宮
 6 《ラ米》(キューバ)良質の葉タバコ
 ← 〔ラ〕libra「秤:重り:リーブラ(古代ローマの重量単位)」
 関連語 〔英〕libra「ポンド」 重量単位、通貨単位として英語などで借用 

 英語 pound の通貨単位がなぜ L、または£で表されるかはこれで納得がいく。
 というわけで、フェイスブックの仮想通貨「リブラ」は£で表すと大混乱を招くことは間違いないし、イギリス政府が黙っていはいないだろう。
 ラテンアメリカではイギリス・ポンドは普通流通していないので、「リブラ」というと、フェイスブックの仮想通貨の意味としてとらえられるだろうが、スペインではどうであろうか。イギリスからの観光客が多そうなので、イギリス・ポンドと取り違えることはないだろうか。
 
 さて、コスタリカでは一般的にはメートル法が普及しているのだが、重量単位の libra は見聞きしたことがある。
 曖昧な記憶ながら、肉屋(carnicería、カルニセリーア)で見かけたような気もする。日本人としてはキロ(kilo)で言ってもらいたいものだ(グラムで売ることはないと思う)。ただ、最近では libra 表示は見かけない。
 今後は、コスタリカをはじめ、ラテンアメリカで libra というと、仮想通貨のことになっていくのかもしれない。 

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