スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

Julius (Julio)

2014-06-30 10:00:04 | トリビア
  スペイン語圏には個人名を姓として用いるケースはあまりないと言ったが、どうもそうとは言えないようである。 いつもお世話になっている Diccionario de apellidos españoles には、Jorge (英 George)、Juan (英 John) 、José(英 Joseph)などの姓も記載されている。ただ、このような姓を持つ人物にはこれまでお目にかかったことはないが。
 これらの姓のほかには Julio (「フリオ」と発音する。あの Julio Iglesias の「フリオ」である)も記載されている。
 これは英語の Julius に相当する。Julius といえば、やはりローマの大物 Julius Caesar をあげざるを得ない。英語読みでは「ジュリアス・シーザー」、ラテン語読みでは「ユリウス・カエサル」である。スペイン語では Julio César(フリオ・セサール)になる。
 いずれにしても Julius(Julio)が個人名で Caesar (César) が姓だと思われているようだが、実は違う。個人名は Gaius である。フル・ネームは Gaius Julius Caesar で、Julius は何かというと、氏族名である。そして、Caesar が家族名ということになる。古代ローマの人名についてはウィキペディア「古代ローマ人の人名」を参照されたい。
 
 ちなみに Caesar はラテン的な響きとはちょっと違う。ローマでは“~us”というのが一般的な家族名である。Caesar はフェニキア語で「象」を意味する言葉だったらしい。一門の中に戦争で象のように強い戦士だった人物がいて、「象」というニックネームで敵に呼ばれていたようだ(かつて象は戦争に使われていた。今でいえば戦車のようなものか)。これがそのまま家族名として定着したもののようだ。

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スペイン語圏の人名(10)「誰それの息子」

2014-06-29 10:29:14 | トリビア
  スペイン語圏には、ニックネームに由来する姓も多いが、誰それの息子という意味の姓も多い。
 “Rodrigo”の息子が“Rodríguez”、“Fernando”の息子が“Fernández”である。“Martínez”は“Martín”の息子である。
 ちょっとわかりにくいが、“Pérez”は“Pedro”の息子である。本来は“Pédrez”になるはずであるが、“d”が脱落して、“Pérez”になったわけである。
 ところで、“Pedro”の英語形は“Peter”なので、“Pérez”は“Peterson”に相当することになる。
 このようにスペイン語では誰それの息子という意味の姓は多いが、男子名をそのまま姓として用いることはまずないと思う。しかし、英語では男子名をそのまま姓として使うことがある。
 “John”、“George”、“Henry”、“Alexander”などはそのまま姓としても使える。以前触れた“Olivia Newton=John”もその例である。イギリスの宰相に“Lloyd George”がいた。    “Alexander”を姓に持つ男性も個人的に知っているし、   “Henry”という姓の女性も知っている。敬称を付ければ“Miss (Ms.)Henry”というわけだ。
 “Lloyd George”に戻るが、“George Lloyd”という作曲家がイギリスにいたようだ。こうなると、姓か名かよくわからない。スペイン語圏ではこんなことはまずないと思うが。

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スペイン語圏の人名(9)黒人の「ウラジミール」さんとメキシコの「おしん」

2014-06-28 11:04:45 | スペイン語
 スペイン語の個人名“Juan”は英語では“John”に相当するように、昔からある個人名はヨーロッパ語にはそれぞれ対応する形がある。ところが、最近ではスペイン語形があるのに、わざわざ英語形やフランス語形の個人名をつけるケースもある。
 筆者の知り合いにも、コスタリカ人の“William”(スペイン語形は“Guillermo”)さんや“Jimmy”さん、“Harold”さんがいる。“Ivonne”さんや“Lissette”というフランス名前の女性も知っている。ペルー人にも“Shirley”(「シルリー」と発音していた)さんがいた。
 珍しいところでは、メキシコに“Oxin”(とつづったかと思う。「オシン」と発音する)という女性がいた。あのドラマ「おしん」はメキシコでも放映され、人気だったようだが、ついにメキシコの「おしん」さんまで現れたというわけだ。
 詳しくは以下のページを参照されたい。
http://janjan.voicejapan.org/column/0604/0604120277/1.php
 メジャーリーガーにはドミニカ共和国出身のくせに、    “Vladimir”(ウラジミール)さんがいた。キューバまたは、ラテンアメリカの反米諸国出身なら、頷けるのだが。思うに、これは反米というわけではなく、英語、フランス語名ではもはや新奇な感じがしなくなったので、ロシアにまで手を出したということだろう。コスタリカ、メキシコ、ペルーではロシア語っぽい個人名を持つ人物にはお目にかかったことがない。
 Vladimir Guerrero
 

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複合姓

2014-06-27 12:53:23 | トリビア
  ピカソには子供もいただろうが、本来なら子供たちの姓はピカソの父方の姓である“Ruiz”とピカソの奥さん(たち+愛人たち。何人もいたようだが)の父方の姓の2つになり、  “Picasso”という姓は子供の代には消える運命にあるはずである。彼らの戸籍上の姓はどうなっているか知らないが、  “Picasso”という姓を継ぎたい気持ちは十分あるのではないだろうか。通称として名乗っているかもしれない。
 ところで、ヨーロッパの国では、女性が持つ由緒正しい姓が結婚による改姓で消えるのを防ぐために、複合姓を作ることがある。
 有名な例としては、“Olivia Newton=John”がある。メジャーリーガーには“Rowland=Smith”という選手がいた。イギリスの首相を務めたウィンストン・チャーチルも複合姓を持つ人物で、本当の姓は“Spencer=Churchill”である。
 スペイン語圏の人物の姓は言ってみれば、一代限りの複合姓といったところだろうか。
 ちなみに、ポルトガルでは母方の姓を先に持ってきて、それから父方の姓を最後に置くようである。

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姓を個人名として使う

2014-06-26 10:08:47 | トリビア
 英語圏では、有名人の姓を個人名として拝借することもよくあるようで、有名な例としては、“George Washington”の姓である“Washington”を男子の個人名として使った、アメリカの有名な作曲家に“Washington Irving”がいる。筆者の知り合いには、ボクシングの元ヘビー級チャンピオンの“Mike Tyson”の姓である“Tyson”を個人名として使っている男性がいる。
 こうなると、姓名しりとりのような遊びができる。
Ray Charles(今は亡き大物黒人歌手)
Charles Lloyd(ジャズ・フルート奏者)
Lloyd George(イギリスの宰相)
George Harrison(元ビートルズのメンバー)
Harrison Ford(米俳優)
 スペイン語圏では、このようなことは聞いたことはないが、スペイン語圏以外の姓を個人名にしている例も最近、メジャーリーグで見かける。
 Robinson Cano :

 ドミニカ共和国出身。Robinson は本来「Robin の息子」という意味の姓だが、Robinson Crusoe では、個人名になっている。
Yuniesky Betancourt
   
 この選手はキューバ出身である。Betancourt という姓はスペイン語っぽくない。どうもフランス語のようである。コスタリカにもこの姓はあるが、発音は「ベタンコート」ではなく、「ベタンクール」だそうだ。
 Yuniesky のほうが個人名として使われているわけだが、いかにもロシア語っぽい。ただ、「~スキー」はむしろ、ポーランドのユダヤ人に多い姓だとか。
 ところで、本来、ユダヤ人には姓がなかったらしい。ヨーロッパに住んでいるときも、姓を持つのを禁じられていたようが、あるとき、ドイツの領主が、ユダヤ人にも姓を与えた(ただではないので、「売る」と言った方がいい)。ただ、姓を見ただけで、ユダヤ系とわかるように工夫したのである。それは、植物や鉱物名に限ったことである。リリエンタール(百合の谷)、アインシュタイン(1個の石)などがその一例である。
 【参考文献】

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 それはともかく、このベタンコート選手は、キューバ出身なので、そのファーストネームから、かつてのソ連とキューバの親密な関係がうかがわれる。
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スペイン語圏の人名(7)有名人の場合

2014-06-25 09:26:05 | スペイン語
  今回は、スペイン語圏の有名な人物の名前についてのおさらいである。
 まずは、ペルーのノーベル賞作家、Vargas Llosa (バルガス・リョサ)。Vargas は父方の父姓で、Llosa は母方の父姓である。Llosa とだけ呼んではいけないはずだが、Vargas がありふれた姓であるのに対して、Llosa はそう多くないと思う。だから、Llosa とだけ呼んでも、まあいいのかもしれない。
 先日物故した García Márquez (ガルシア・マルケス)も省略するなら、Márquez の方だが、García さんはありふれているので、これだけだと、どこの García さんかわからない。
 マンボの王様は Pérez Prado (ペレス・プラード)だが、これも前のお二人と同様、「父の父姓+母の父姓」である。
 中南米からスペインへ行くと García Lorca がいる。日本では「ロルカ」と母方の父姓のみで呼ばれることもあるが、本来は両方とも使うか、García だけで Lorca の方を省略すべきであろう。ただ、前述の García Márquez との混同を避けるためには Lorca だけでもいいのかもしれない。García さんは腐るほどいるが、Lorca さんはそれほどでもないと思う。
 Pablo Picasso はすでに述べたが、これはファースト・ネームと母方の父姓の組み合わせである。
 それでは、Jorge Luis Borges (ホルヘ・ルイス・ボルヘス)はどうか。フル・ネームは Jorge Francisco Isidoro Luis Borges Acevedo だそうで、これは、「ファースト・ネーム+洗礼名のうちの一つ+父方の父姓」の組み合わせであり、他の洗礼名と母方の父姓である Acevedo は省略しているのである。
 ところで、アメリカの入国カードに名前を書く欄があるが、そこには“First, Middle, Last”と分けられている。これがグローバル・スタンダードと思う向きもあるかもしれないが、決してグローバルとは言えない。
 コスタリカのお役所の書類の名前を記入する欄は“Nombres(個人名), Apellido Paterno(父方の姓), Apellido Materno(母方の姓)”となっていた。他のスペイン語圏諸国でも同様であろう。 

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スペインのカタロニア地方の姓

2014-06-24 08:43:59 | スペイン語
  スペイン語と一口に言ってもスペインは結構広く、いわゆる標準的なスペイン語はマドリッドを中心とする Castilla (カスティーリャ)地方の言葉がもとになっている。それゆえ本来は castellano (カスティーリャ語)と呼ばれていたもので、現在でもペルーでは español とは言わないで、castellano と言っている。コスタリカやメキシコでは español だったが。
 castellano のほかには、系統が不明なバスク語が有名である。ポルトガルが南にあるガリシア地方ではポルトガル語に近いガリシア語(gallego)が話されている。アラゴン地方ではアラゴン語(aragonés)が話されていたが、今では、ほとんど話されていないようだ。
 これらのほかに、バルセロナを中心とするカタロニア(Cataluña)地方ではカタロニア語(catalán)が話されている。フランコ独裁政権のころは公共の場では使用が禁止されていたようだが、現在はだいぶ復権したらしい。
 ちなみに、カタロニア語を唯一の公用語とする国がある。スペインとフランスの間にあるアンドラというミニ国家である。塩野七生氏の著作『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』の主人公、チェーザレ・ボルジアも母語はカタロニア語のバレンシア方言だったとか。 
 【参考文献】
    
 カタルーニャを知る事典 (平凡社新書)
    
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 さて、カタロニア地方出身の人物もかなり多い。有名どころでは、天才サルバドール・ダリ(Salvador Dalí。「ダリ」のアクセントは「リ」の方)がいる。ルンバの王様として知られる Xavier Cugat(サビア・クガート)もカタロニア出身である(Xavier は標準的なスペイン語では Javier とつづられ、「ハビエル」と発音される)。
 メジャーリーガには Pujols(プホールス)や Puig という選手もいるが、これらの姓もカタロニアのものである。
 これらのカタロニアの姓は、子音で終わるものが多いが、一般的なスペイン人の姓は母音で終わるものが多い。子音で終わるスペイン語の姓は「だれそれの息子」を意味する“~ez”を持つ、Martínez, Rodríguez, Pérez, López ぐらいしか思いつかない。

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スペイン語圏の人名(6)

2014-06-23 12:40:23 | スペイン語
  ピカソに戻るが、“Pablo”がファースト・ネームで“Diego”から“Ruiz”までがミドル・ネームで、“Picasso”がファミリー・ネームだと思われがちだが、そうではないのである。
 ピカソ本人は、当初、両親の姓を慣例どおり、父方の姓を先に、母方の姓をあとに、“Ruiz y Picasso”と名乗っていたようだが、“Ruiz”はありふれた姓なので、母方の父姓“Picasso”のみを用いるようになったそうだ。“Picasso”という姓はスペインではかなり珍しい姓だそうだ。そもそも、スペイン語では、“cc”、“ll”、“rr”を除くと、子音字を二つ重ねることがない。“Picasso”はイタリアに由来する姓だそうで、スペインでは“Picaso”とつづる姓もある。
 ピカソの場合は、母方の姓が珍しくて、インパクトがあったようなので、もっぱらそちらを用いたが、個人的な事情で母方の姓を好む例もある。例えば、両親が離婚して、子供が母親と暮らす場合である。戸籍上は父方の姓と母方の姓の両方を持つが、どうにも父方の姓にはなじみがないのだろう。どちらか一つの姓を名乗るとき、母方の姓を名乗っている人物を個人的に知っている。

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スペイン語圏の姓

2014-06-22 09:25:33 | トリビア
  父姓については、説明が必要だろう。例を挙げよう。
 例えば、“Jorge Rodríguez (y) Martínez”という男がいたとしよう。そして、彼が“María García (y) López”という女と結婚する。スペイン語圏には改姓の習慣はない。原則として、男も女も一生同じ名前を使い続ける。
 そして、この二人から子供が生まれる。仮に男の子で、“Juan”という名前だとする。そうすると、フル・ネームは“Juan Rodríguez (y) García”となり、父母の姓とは異なる。母方の姓である“Martínez”と“López”は子供の世代には消えるのである。
 姓について言えば、両親の姓を並列しない場合は、普通、父の父姓のみを用いる。または、母方の姓はアルファベットの頭文字で表すこともある。先ほどの“Juan”の例だと、“Juan Rodríguez G.”となる。

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ピカソの姓

2014-06-21 09:40:39 | トリビア
  ピカソのフル・ネームはやたらと長いが、普通は Pablo Picasso と簡単に呼ばれている。フル・ネームの場合、Picasso が一番最後に来るので、これがピカソの姓と思われているようだ。間違いではないが、スペイン語圏の場合、姓が2つあるのが通例である。父の父姓の次に母の父姓をくっつける。スペインの場合、“「父の父姓」y「母の父姓」”のように、英語の and にあたる y で結ぶのが普通のようだが、ラテン・アメリカでは y を用いないで、そのまま並べるのが一般的のようだ。コスタリカでも、ペルーでもメキシコでも y を用いていなかった。ピカソの場合、父の父姓が Ruiz(「ルイーズ」ではない。カタカナ表記では「ルイース」) で、母の父姓が Picasso である。
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男の「マリア様」(2)

2014-06-20 09:27:26 | トリビア
  前回、ピカソの長い名前の中に“María”があることに触れたが、実は、これはスペイン語圏以外にもあるのである。
 『アメリカ人名事典―ファーストネームの由来と歴史ー』(G.R.スチュアート著、木村康男訳、北西堂書店、1995年)の p.12 には次のような記述がある。

 それから、あの不思議な人物、Edward Maria Wingfield の名が名簿にある。彼はミドルネームの最初の保持者の一人であった(これについては名前研究の先達 Camden 氏が特に言及している)ばかりか、そのミドルネームが聖母マリアの名と同じであった。もっともイギリスを除くとヨーロッパ大陸では男性の中間名に Maria が使用された例はよくある。思うに彼の両親はカトリックの影響を強く受け、極端に走ったのだろう。

 引用文中の「名簿」とは1607年に入植するためにヴァージニアのジェームズタウンに着いた船の乗船名簿である。ただし、この時の名簿は男子のみだったようだ。イギリスでは Maria のミドルネームを持つ男性は例外的だったようだが、 Edward Maria Wingfield 氏は数少ない例外だったようだ。
 “María”の英語形は“Mary”だが、男子のミドルネームとしては本来の“Maria”の形をそのまま用いたわけである。決して“Mary”と英語形にしてはいけない(と思う)。

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スペイン語圏の人名(5)男だけど「マリア様」

2014-06-19 10:20:29 | スペイン語
Pablo Diego José Francisco de Paula Juan Nepomuceno   María de los Remedios Crispin Cripriano de la Santísima   Trinidad Ruiz y Picasso
 ピカソの名前である。何度も出てくると覚えてしまいそうだが、やっぱり覚えられない。個人名が9つあることは前回述べた。“Pablo”も“Diego”も当然、男子名であるが、“María de los Remedios”(救いのマリア)は、あのマリア様のことなのであるから、どう見ても女子名である。“María”の男性形は   “Mario”である。ピカソは男性なのだから、“Mario de los   Remedios”にしなければならないのではないかという疑問が生じるが、このままでいいのである。
いわゆるファースト・ネームが Pablo で、残りの個人名はミドルネーム扱いで、ミドルネームには自分の誕生日にちなんだ聖人の名前がよくつけられる。この場合、聖人は男でも女でもいいとのことである。マリア様を「聖人」と言っていいかどうかよくわからないが、あまり深く考えないことにしよう。
 そういうわけで、男子名の中に“María”が入っていても一向に問題はない。ただし、“María”だけでは女性になるし、“María”が他の男子名に先行してもいけない。つまり、“María”で始まってしまえば、後に男子名が続いても、それは女性なのである。
 例えば、“María José”とやれば、女性、“José María”なら男性というわけである。 
   ピカソでも 男のくせに マリア様 

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スペイン語圏の人名(4)ピカソの場合

2014-06-18 09:00:36 | スペイン語
 ピカソのフルネームは次のとおりであった。
 Pablo Diego José Francisco de Paula Juan Nepomuceno  María de los Remedios Crispin Cripriano de la Santísima   Trinidad Ruiz y Picasso
 “Pablo”から“Cripriano de la Santísima Trinidad”までが個人名である。父の父姓が“Ruiz”で、母の父姓が“Picasso”である。
 個人名が2つぐらいあるのは当たり前だが、ここまでたくさんあるのはやはり珍しい。個人名を一つずつ書き出してみよう。
Pablo
Diego
José
Francisco de Paula(パウラのフランシスコ)
Juan
Nepomuceno
María de los Remedios(救いのマリア)
Crispin
Cripriano de la Santísima Trinidad (聖三位一体のクリプリアノ)
 と、9つある。最後の“de la Santísima Trinidad”は      “Cripriano”だけにかかるかどうか、ちょっと疑問があるが、これについては後日述べる。

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スペイン語圏の人名(3)

2014-06-17 09:14:23 | スペイン語
  スペイン語圏の個人名は性別がはっきりしている。また、個人名も2つ以上持っている人が多い。女性はたいていが  「マリア様」である。そこで、区別するために“María”でない方の名前で呼ぶことが多い。個人名と、父の父姓と、母の父姓を並べると、最低でも3つの名前が並ぶ。筆者の知る範囲では、個人名が2つの人が多いので、フルネームは4つになる人が多い。
 長い名前といえば、あのピカソが有名である。一説によると、次のとおりである(ウィキペディアによる)。一説であるから、実のところはよくわからない。パスポートがあれば、見たいものである。
 Pablo Diego José Francisco de Paula Juan Nepomuceno  María de los Remedios Crispin Cripriano de la Santísima Trinidad Ruiz y Picasso

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スペイン語圏の人名(2)

2014-06-16 10:02:24 | スペイン語
 英語の男子名としてありふれているのは“John”、“Paul”、“George”、“Richard”などだが、それぞれに、フランス語形、イタリア語形、ドイツ語形などがある。スペイン語形はそれぞれ“Juan”、“Pablo”、“Jorge”、“Ricardo”である。
 これらの男子名から女子名が作られることもある。“Juan”は“Juana”、“Jorge”は“Georgina”になる。残りの二つの女性形は理論的には“Pabla”、“Ricardo”の女性形は“Ricarda”だが、コスタリカでは聞いたことがない。“Ricarda”という名のドイツ人女性にはその後お目にかかった。
 “Pablo”に対応するポルトガル語は“Paulo”であるが、“Paulo”という名のコスタリカ人男性にもお目にかかったことがある。“Paulo”の女性形である“Paula”さんなら、英語圏に存在する。ポルトガル語圏にもいるだろうが、スペイン語圏では少ないかもしれない。
 英語の代表的な女子名は“Mary”や“Emily”だが、スペイン語ではそれぞれ“María”、“Emilia”となる。これらの女子名から男子名を作ることもできる。それぞれ“Mario”、“Emilio”である。
 以下に代表的な個人名の男性形と女性形を掲げよう。
 左が、男性形、右が女性形である。
José Josefa
英語形は“Joseph”で[f]音がある。スペイン語でも女子名になると[f]音が復活する。
Juan Juana
Jorge Georgina
Roberto Roberta
Mario María
Emilio Emilia
Víctor Victoria

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