スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

リンゴ(2)

2015-03-26 12:20:13 | スペイン語

  スペイン語はフランス語やイタリア語と近く、形が全く同じか、よく似ている場合も多いので、意味が推測できることがある。ところが、「リンゴ」の場合はイタリア語ともフランス語とも違うのである。スペイン語では「リンゴ」は普通“manzana”というが、フランス語では“pomme”(ポム)、イタリア語では “pomo”という。これらに対応するスペイン語として“poma”という語があるにはあるが、日常用語としては少なくともコスタリカでは使われていない。某クイズ番組でも問題になっていたが、「ポマード」の語源は「リンゴ油」だとか。
 フランス語では“pomme”には「頭」という意味もあるが、“ma pomme”(my apple)となると「私自身」の意味にもなる。そういえば、かつてモーリス・シュバリエが「マ・ポム」という歌を歌っていた。“Ma pomme, c'est moi”と言っていたから、 「わたしだよ」ということだったのだ。
 イタリア語ではこのような用法はないようだ。もちろん、スペイン語にもない。“mi manzana”にも“mi poma”にもこんな意味はない(と思う)。
 フランス語ではトマトにも「頭」という意味がある。「トマト」は英語では“tomato”だが、フランス語でもスペイン語でも“tomate”である。発音はやや違うが。スペイン語の発音では「トマテ」である。ところが、イタリア語では「トマト」は、以前にも触れたように“pomodoro”(“pomo di oro”、「金の林檎」)である。

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リンゴ

2015-03-25 14:06:36 | スペイン語

 ジャガイモとサツマイモの次は「リンゴ」についてである。スペイン語では「リンゴ」のことは、かつて“poma”といったようだが、現在では普通“manzana”という。これは面積を表す単位にもなっている。

 初めのうちは当然、「リンゴ」の意味しか知らないから、面積の話で“manzana”が出てきたときは、まったく意味不明だった。

 コスタリカの農園(finca)を売買するときに、この単位が使われているようである。農園は日本円に換算するとずいぶん安い。筆者にも買えそうな額である。
 それで、1リンゴ(manzana)はどれぐらいの面積かというと国によって違うとか。アルゼンチンでは2.5エーカー、中米では1.75エーカーと辞書には載っているが、今度は「エーカー」がわからない。早速、ネットで検索してみると、1エーカーは約0.4ヘクタールだそうな。ヘクタールと言われても、うちは農家ではないから、まだわからない。1ヘクタール=100アール=10,000平方メートルだから、100m四方が1ヘクタールということか。
 ということで、1manzana = 1.75エーカー = 0.4×1.75 = 0.7ヘクタール = 7,000平方メートル になった。7,000の平方根は  83.6ぐらいになる。つまり、1 manzanaは80m四方よりやや広いぐらいか。これでやっと感覚的に広さがつかめた。
 ところで、なんで1リンゴが80m四方強なのか。よくわからない。スペイン本国では“manzana”という面積の単位はないようである。昔、あったのかもしれないが。アルゼンチンはともかく、中米はリンゴがとれないのに、なんで面積の単位になっているのだろうか。辞書を調べてみると、“manzana”には 「都市の一区画」という意味があった。そこから、発展していったのだろう。そういえば、ニューヨークのことを“Big Apple”という。スペイン語同様、“apple”には「町の一区画」という意味があるかと思ったが、そうではなく、「リンゴ」はニューヨークのシンボルとのことで、そこから“Big Apple”というようになったとのことだった。ニューヨークの市街地は何マンサーナだろうか。

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パパはどこへ行ったの?(4)

2015-03-24 12:31:17 | スペイン語

 スペイン語本来の“camote”とは別に、メキシコの原住民ナワトル族の言葉で「サツマイモ」を意味する言葉がスペイン語に“camote”として取り入れられ、これが現在でもメキシコや中米で使われている。
 ポルトガルとスペインは筆者には未踏の地なので、書物による知識しかない。地域にってはこのほかの呼び方もあるとは思うが、「ジャガイモ」と「サツマイモ」を表す語を大雑把に整理すると次のようになる。


 注:タイノ語については、以下をご覧いただきたい。

     http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%8E%E6%97%8F

    以下はナワトル語について

     http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E8%AA%9E

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パパはどこへ行ったの?(3)

2015-03-23 09:50:03 | スペイン語

 (承前)ともかく、「サツマイモ」を表わす“batata (patata)”という名前は「ジャガイモ」に乗っ取られたわけで、新たに「サツマイモ」を表す語が必要になる。英語で“sweet potato” というように、スペイン語でも“patata (papa) dulce”という言い方もある。しかしながら、中南米では“camote”というのが一般的である。この“camote”という言葉はポルトガル語にもあるが、「サツマイモ」の意味はない。なんと、真っ先に出てくる意味は「恋愛」(スペイン語でいうと“amor”)である。スペイン語の辞書を調べてみると、真っ先に出てくるのは当然「サツマイモ」であるが、スペインでは使わないらしい。次に出てくるのがポルトガル語同様、 「恋愛、恋人」である。国によって違うが、「みみずばれ」、「馬鹿、間抜け」、「迷惑」、「困難」、「うそ」、「ごろつき、やくざ」などの意味も載っている。
 どうも、スペインにおける“camote”の本来の意味は「恋愛」のようだが、コスタリカではこの意味に使うことはない。コスタリカでは「馬鹿、間抜け」に近い意味で使われる。用法は  “estar camote”(“camote”の状態である)という使い方で、 「狂っている、クレージー」の意味である。

 そういえば、“camote”の語末には軽蔑のニュアンスも持つ増大辞“-ote”が現れている。新大陸原産の野菜には“-ote”で終わるものが目立つが、これもその一例だろう。
 ちなみに、1980年ごろのこと、「○モテ・●カオ」という名の日本人がいた。自己紹介の時、「“Cacao Camote”(カカオ・サツマイモ)と覚えてください」と言っていたが、筆者がお世話になっていた下宿の、口の悪いばあさんが大笑いしていたのが今でも忘れられない。「クレージーなカカオ」の意味に取ったのだろうか。

 

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パパはどこへ行ったの?(2)

2015-03-20 08:05:06 | スペイン語

  スペイン人には、ローマ法王をも意味する“papa”は、食べ物の名前としては畏れ多くて使えないという心理が働いたという説がある。中南米ではローマ法王に遠慮することなく、今に至るまで“papa”ということばが「ジャガイモ」の意味で使われ続けている。
 スペインでは“papa”を「ジャガイモ」の意味で使用するのをやめたから、ほかの言葉をさがさなければならない。そこで目をつけられたのが、“batata”である。スペイン人にとっては「ジャガイモ」も「サツマイモ」も新大陸伝来の珍しい食べ物である。今までにないものだから、名前を勝手につけても構わないとでも思ったのだろうか。“batata”を「ジャガイモ」に仕立て上げたというわけである。ポルトガル語では、“batata”がそのままの形で「ジャガイモ」の意味の単語して使われている。スペイン語では[b]音が[p]音に変化したのだが、“papa” 「ジャガイモ」に対して申し訳ないからか、はたまた、ローマ法王(Papa)に敬意を表してか、[b]音を[p]音に変えたという説もある。
 もし、“batata (patata)”が本来の「サツマイモ」を表す言葉であり続け、「ジャガイモ」がローマ法王に遠慮して、“papa”と呼ばれなくなっていたら、「ジャガイモ」は“batata no dulce” 「甘くないサツマイモ」とでも呼ばれるようになっていただろうか。

 

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パパはどこへ行ったの?(1)

2015-03-19 08:40:21 | スペイン語

  ジャガイモはペルーあたりが原産地で、ヨーロッパの飢饉を救ったありがたい食べ物である。英語ではおなじみの“potato”であるが、スペインでは“patata”という。ラテンアメリカでは“papa”の方が一般的のようで、コスタリカでも“papa”である。この“papa”という語はペルーの先住民ケチュア族のことばだそうだ。ただし、現在のケチュア語では“acsu”というようだ。ローマ法王も発音が同じ、“papa”である。英語でも、「ローマ法王」は“Pope”と大文字で表記するのが一般的のようだが、スペイン語でも“Papa”と大文字で表記するのが通例である。
 一方、サツマイモも原産地はペルーの熱帯地方、アマゾン川の源流の“selva”(「森、ジャングル」の意)あたりらしい。こちらはアマゾンの原住民のタイノ族とやらの言葉で「サツマイモ」を意味する“batata”が語源だそうだ。この“batata”の語頭の[b]音が[p]に変化して、“patata”になったらしい。それなら “patata”は「サツマイモ」でなければならないのだが、どうして「ジャガイモ」に変化したのだろうか。

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調理用バナナ(2)

2015-03-18 08:11:46 | スペイン語

  コスタリカでは生食用バナナを“banano”と言い、調理用バナナを“plátano”(英語では“plantain”)という。この“plátano”に形の上で対応する英語は“platanus”(プラタナス)である。どちらも葉っぱが大きいからということらしい。スペイン語にも「プラタナス」という意味があるようだが、コスタリカでは「調理用バナナ」の意味でしか使われていなかった。そもそも「プラタナス」など、コスタリカにあったかどうか疑わしい。
 さて、“banano”(バナナ)が♂自身を表すことは世界共通のようだが、“plátano”も同様の意味を持つかというと、そうでもない。簡単に言ってしまうと、「オカマ」(スペイン語では“playo”、“maricón”)である。
 ちなみに、“maricón”はアメリカにも伝わり、“maricon”というスラングになっているようである。

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調理用バナナ

2015-03-17 09:16:56 | コスタリカ

 トマトやジャガイモなど中南米原産の野菜や果物は多いがバナナは違う。バナナは世界的な規模で栽培されているが、中南米でも代表的な農産物の一つである。
 わが国でバナナというと、かつては高級な果物だったが、今では安価な果物になってしまった。ありがたいことではあるが。日本では、バナナは調理しないで、そのまま食するものだが、中南米では、生食用のものと調理用のものがある。日本でも調理用のバナナが入手できるようになったが、ばかばかしいほど高い。
 調理用というだけあって、生で食べて、食べられないことはないが、全然うまくない。調理用バナナ(“plátano”という)はコスタリカでは、おでん風に煮て食べることが多い。味は甘くなく、芋のような風味である。
 デザートとして食べる焼きバナナはうまい。焼くと甘みが増すのは、ほかの野菜と同じである。焼きバナナの上に粉チーズを振りかけて、“frijoles”(「フリホーレス」、甘くないぜんざいのようなもの)を付け合せて食べるのが一般的だ。日本では調理用バナナが高いので、あまり熟していない、普通のバナナで代用して作ることができる。一度お試しあれ。

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ラテンアメリカ原産の野菜名とスペイン語の増大辞との関係

2015-03-16 08:42:43 | スペイン語

 スペイン語の増大辞には“-ón"(女性形は ona)や“-ote”(女性形は -ota)があるが、ラテンアメリカ原産の野菜名の語尾が“-ote”になっているものには次のような作物がある。“elote”(トウモロコシ)、“chayote”(ハヤトウリ)、“ayote”(カボチャ)、“zapote”(サボジラ、チューインガムの木)など。農作物ではないが、 “coyote”は北米大陸に生息する動物である。これらの言葉はすべてナワトル語に由来している。

スペイン語  ナワトル語
elote ← elotl
chayote ← chayohtli
ayote ← ayotli
zapote ← tzapotl
coyote ← coyotl
 という具合だが、語尾がすべて、スペイン語の増大辞と同形の“-ote”に置き換えられている。“ayote”についていうと、“ayo”という「養育係、家庭教師」を意味する語に増大辞をつけたのと同じ形になっているが、“ayo”という語はコスタリカではほとんど使われていないようだ。
 増大辞はしばしば「軽蔑」のニュアンスも持つのであるが、スペイン人はラテンアメリカの農作物など、見慣れないものを軽蔑の念で見たのであろうか。

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スペイン語の増大辞と「ハポニョール」

2015-03-15 12:21:56 | スペイン語

 スペイン語の縮小辞の話からずいぶん脱線してしまったが、縮小辞があれば、増大辞もある。こちらは“-ón”や “-ote”で表される。女性形はそれぞれ、“-ona”と “-ota”である。

 縮小辞に比べると、増大辞はあまり耳にしなかった。「かわいい」という意味がなく、逆に「ウドの大木」のように、軽蔑を表すこともあるからだろう。また、単にサイズが大きいというのではなく、意味が変わってしまう場合もある。
 例えば、cabro(雄ヤギ) → cabrón は「女房寝取られ男」の意味になるので要注意。次の例も有名である。
 huevo(卵) →  huevón (ばか)
 huevoは「卵」のほかに、「男が二つ持っているあのモノ」をも意味する。これがあまりにも大きすぎると、いかにもバカみたいである。日本のタヌキの置物を連想させる。
 スペイン語の発音は日本語に似ているので、コスタリカから日本に留学したことのあるコスタリカ大学のスタッフは   “japoñol”(japonés + español)なるものを作り出していた。
 tamago → tamagón とやるわけだが、“¡huevón!”と面と向かって悪口を言えないとき、こっそり“¡Que tamagón!”と言っていた。
 日本製の“japoñol”の代表は、やっぱり「カラムーチョ」だろう。「とても辛い」ポテトチップスの名前であるが、本来のスペイン語なら、“muy picante”である。ポテトチップスは脂肪分が多いので、あまり食べないのだが、このネーミングにひかれて、つい買ってしまったことがある。  

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日本語の気音化と[s]音のないハワイ語

2015-03-13 10:43:28 | トリビア

 スペイン語とギリシャ語の気音化について述べたが、ここで、目を日本語に転じてみよう。京ことばの敬語に「はる」というのがある。「行かはる」とか「しはる」という言い方である。この「はる」はもともとは「なさる」で、それが「なはる」に変化し、さらに「な」が取れて、「はる」になったわけであるが、「さ」が 「は」に変わっているのが分かる。ローマ字で書けば nasaru ⇒ naharu で、ここでも気音化が起きている。
 なぜ、気音化が起きるかというと、省エネということになるのではないか。[s]を発音するより[h]の方がエネルギーが少なくてすむらしい。[h]も発音しなくなったら、完全な省エネの完成である。いったいそれぞれ、何カロリーの差があるのか、非常に興味があるところである。
 また、歯が抜けると、[s]の発音が難しくなる。[s]は無声歯茎摩擦音だが、歯があればこその歯茎である。歯がなくなってしまうと、どうも摩擦がうまくいかなくなるのではないか。まだ、経験がないので実感としてはよくわからないのだが。
 そういえば、ハワイ語には「サ行」と「タ行」がないのだが、 「タ行」はともかく、「サ行」がないのは、ハワイ人に歯が抜けてしまう人が多かったからなのだろうか。
 いろいろと考えてしまう今日この頃である。

 

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フランス語における[s]音消失

2015-03-12 11:23:22 | トリビア

 気音化はスペイン語やギリシャ語にも見られたが、フランス語にも気音化があったものと思われる。フランス語学を専門にしているわけではないので、はっきりしたことは言えないが、気音化があったのではないか、というにとどめる。

 思いつくままに、例を挙げてみる。

             仏             西

星     étoile     estrella

学校    école          escuela

異邦人  étranger     extranjero     

書く    écrire          escribir

 このほかにもまだまだあるが、きりがないので、この辺でやめる。上の例では[s]音は[k]または[t]音の前で消失している。

 ただ、[s]音が消失してもおかしくないのに、残っている例もある。esprit (エスプリ)がその一つである。もっと多くの例を挙げないと、はっきりしたことは言えないが、[p]音の前では気音化がおこらなかったのだろうか。

 フランス語圏のどこかで[s]音が気音化または消失して、「エプリ」のように発音されている例があるのだろうか。ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ、ご教示願いたい。

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気音化

2015-03-11 09:01:47 | スペイン語

  [s]音が気音化するのは何もスペイン語に限ったことではない。
 ギリシャ語から英語にも入っている語は数多い。例えば、6角形を表すギリシャ語由来の英語は、いまや日本でも有名になった「ヘキサゴン」(hexagon)である。これはもともと6人でやるクイズ番組だったのだが、いつの間にやら、おバカタレントのクイズ番組になってしまった。hexagon はhex(a) と gon に分解でき、gon は「~角形」を表し、hex(a) は「6」を表している。ちなみに、アメリカ国防総省は通称「ペンタゴン」(pentagon)と言われているが、これは建物が「5角形」だからである。penta はギリシャ語で「5」を表しているわけだ。
 ギリシャ語もラテン語もインド・ヨーロッパ語族に属している。ラテン語の末裔であるスペイン語では「5」は cinco でギリシャ語とは似ても似つかない。「2」、「3」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」は結構似ているが、[s]の気音化に関係するのは「6」と「7」である。
 スペイン語の「6」は、基数が seis(six)、序数が sexto(sixth)である。sexto に関連した英語に sextet(6重奏団)がある。メンバーが6人なのに quintet(5重奏団)を名乗っていたグループもあったようだが、sex が入っているので、ちょっと恥ずかしかったかららしい。それはともかく、「6」では sex と hex の部分が対応している。
 「7」は、基数の方はsiete (seven) であるが、序数は  séptimo (seventh) である。ギリシャ語では「7」は hepta である。sept と hept が対応する部分である。これらの例から、ギリシャ語の方に気音化が起こっていることがわかる。

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comerse las eses (2)

2015-03-10 15:08:35 | スペイン語
 
【『西和中辞典』小学館、桑名一博編集代表、2004、p.2005)より拝借】
 これは音節末の[s]音が気音化または消失する地域の地図である。
 まず、コスタリカのスペイン語について述べる。図をご覧になれば、コスタリカの周りは黒く塗られているが、コスタリカだけはまっ白であることがわかる。。中米ではコスタリカだけが周囲の国のスペイン語とは違っている。キューバ近辺が白くなっているのはジャマイカ(英語国)とハイチ(フランス語国)であるためで、スペイン語の音節末[s]音気音化または消失とは関係がない。
 “Cómo está usted?”(お元気ですか)はコスタリカでは、カタカナで表記すると「コモ・エスタ・ウステッ」のように発音されるが、パナマやニカラグアなどでは[st]のように子音が連続した場合、[s]の音が脱落する。つまり、「コモ・エッタ・ウッテッ」のように発音されるのであるが、コスタリカ人はそれをからかって、“s”を発音しないことを“se comen las eses”(“s”を食べる)と表現する。
 「文字」という意味のスペイン語“letra”は女性名詞である。アルファベットの“s”の名称は“ese”で、文字“s”は“la ese”となる。その複数形が“las eses”というわけである。
 一方、“hez”という単語もある。あまりはっきりとは書きたくないので、「食物が体からアウトプットされたもの」ということでご勘弁いただきたい。通常、この言葉は“heces”という複数形で用いられる。発音はラテンアメリカでは上述の“eses”と同じになる。
 そこで、コスタリカ人は周辺の国の人たちは、音節末の“s”を発音しないことにかけて、「ニカラグア人、パナマ人、エルサルバドル人などは“heces”を食べる」と言って、笑っているわけである。
コスタリカでは、「s で書くか、c で書くか、迷った時は c で書け」と教えている先生もいるようなことを以前書いたが、s より c の方がイメージがいい理由の一つは heces と関係があるのではないかと思った次第である。
ともかく、筆者はおかげさまで heces (eses) を食べずにすんだのである。
 コスタリカ ペルー メキシコ クソ喰わず

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Comerse las eses (heces)

2015-03-09 08:55:14 | スペイン語

  筆者が居住したラテンアメリカの国はコスタリカ、ペルー、メキシコの3か国である。スペイン語が広まると、地域ごとに違いが出てくるのも当然だろう。文法は基本的には変わらないが、語彙と発音が変わってくる。以下、発音の違いを取り上げよう。下の地図では、音節末の[s]音が気音化または消失する地域が黒く示されている。“¿Cómo está usted?”「コモ・エスタ・ウステ」(英 How are you?) が「コモ・エッタ・ウッテ」のように発音される地域である。筆者が滞在した国はいずれも、白で示される地域で、ちゃんと「コモ・エスタ・ウステ」と発音されている。


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