ピジン語はニューギニアだけではなく、世界中にある。パプア・ニューギニアの隣国のソロモン諸島にもある。相互に通じるかどうかはよくわからないが、いくらかはわかるのではないだろうか。混成言語をピジン語というわけで、コスタリカのカリブ海側で黒人が話している英語のような言葉もピジンだろう。ただ、コスタリカでは「ピジン」という言葉ではなく、「クレオール(または、クリオール)」(creole, 西 criollo) というようである。
ピジンとクリオールの何が違うかというと、ピジンは便宜上、共通言語として使用しているだけで、母語(第一言語)にしている人はいないことである。一方、クレオールは実質は、ピジンと同じだが、それを母語として使用している人間がいるということである(ウィキペディアによる。ウィキペディアは信頼性に欠けるとのことで、学術論文に引用するのはだめらしいが、ちょっと調べるのには便利である)。
ということで、ニューギニア・ピジン(tok pisin)はずいぶん前から使われているわけで、部族語ではなく、ピジンを母語にしている人間もいるかもしれない。そうなると、名前は「ピジン」でも、実際は「クレオール」ということになるだろう。
英語もそもそもの初めはピジンのようなものだろう(厳密な定義によるとピジンとは言えないようだが)。古英語はゲルマン系の言語だったようだが、ノルマン人がやってきて、フランス語系統の言語を持ち込んだ。支配階級はフランス語、被支配階級はゲルマン系の言語を話していたのだが、だんだんミックスしていったのである。インド・ヨーロッパ系の言語は動詞の活用が大変だが、英語は3単元の s ぐらいしかない。ピジンは簡素化が特徴の一つであるが、英語にもその特徴があるのである。
ところで、ox や cow は被支配階級(生産者)のゲルマン系の言語の語彙で、beef は支配階級(消費者)のフランス語系の語彙である。どちらもともに「牛」の意味だったが、それがいつしか、前者は生きているときの名前、後者は死んで食肉になってからの名前ということである。日本の仏教には戒名というのがあって、現代では、死後の名前というのが一般的な理解であるが、beef は ox や cow の戒名というわけではないのである。
ちなみに、スペイン語には beef に相当する語は当然、ない。ox が toro で、cow が vaca だが、食肉の時は、vaca を用いる。toro を食べるとは言わない。res (四足獣全般)を vaca の代わりに用いることも多い。
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はじめてのピジン語―パプアニューギニアのことば
ピジンとクリオールの何が違うかというと、ピジンは便宜上、共通言語として使用しているだけで、母語(第一言語)にしている人はいないことである。一方、クレオールは実質は、ピジンと同じだが、それを母語として使用している人間がいるということである(ウィキペディアによる。ウィキペディアは信頼性に欠けるとのことで、学術論文に引用するのはだめらしいが、ちょっと調べるのには便利である)。
ということで、ニューギニア・ピジン(tok pisin)はずいぶん前から使われているわけで、部族語ではなく、ピジンを母語にしている人間もいるかもしれない。そうなると、名前は「ピジン」でも、実際は「クレオール」ということになるだろう。
英語もそもそもの初めはピジンのようなものだろう(厳密な定義によるとピジンとは言えないようだが)。古英語はゲルマン系の言語だったようだが、ノルマン人がやってきて、フランス語系統の言語を持ち込んだ。支配階級はフランス語、被支配階級はゲルマン系の言語を話していたのだが、だんだんミックスしていったのである。インド・ヨーロッパ系の言語は動詞の活用が大変だが、英語は3単元の s ぐらいしかない。ピジンは簡素化が特徴の一つであるが、英語にもその特徴があるのである。
ところで、ox や cow は被支配階級(生産者)のゲルマン系の言語の語彙で、beef は支配階級(消費者)のフランス語系の語彙である。どちらもともに「牛」の意味だったが、それがいつしか、前者は生きているときの名前、後者は死んで食肉になってからの名前ということである。日本の仏教には戒名というのがあって、現代では、死後の名前というのが一般的な理解であるが、beef は ox や cow の戒名というわけではないのである。
ちなみに、スペイン語には beef に相当する語は当然、ない。ox が toro で、cow が vaca だが、食肉の時は、vaca を用いる。toro を食べるとは言わない。res (四足獣全般)を vaca の代わりに用いることも多い。
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