スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

ピジンとクレオール

2014-08-31 09:41:50 | パプア・ニューギニア
 ピジン語はニューギニアだけではなく、世界中にある。パプア・ニューギニアの隣国のソロモン諸島にもある。相互に通じるかどうかはよくわからないが、いくらかはわかるのではないだろうか。混成言語をピジン語というわけで、コスタリカのカリブ海側で黒人が話している英語のような言葉もピジンだろう。ただ、コスタリカでは「ピジン」という言葉ではなく、「クレオール(または、クリオール)」(creole, 西 criollo) というようである。
 ピジンとクリオールの何が違うかというと、ピジンは便宜上、共通言語として使用しているだけで、母語(第一言語)にしている人はいないことである。一方、クレオールは実質は、ピジンと同じだが、それを母語として使用している人間がいるということである(ウィキペディアによる。ウィキペディアは信頼性に欠けるとのことで、学術論文に引用するのはだめらしいが、ちょっと調べるのには便利である)。
 ということで、ニューギニア・ピジン(tok pisin)はずいぶん前から使われているわけで、部族語ではなく、ピジンを母語にしている人間もいるかもしれない。そうなると、名前は「ピジン」でも、実際は「クレオール」ということになるだろう。
 英語もそもそもの初めはピジンのようなものだろう(厳密な定義によるとピジンとは言えないようだが)。古英語はゲルマン系の言語だったようだが、ノルマン人がやってきて、フランス語系統の言語を持ち込んだ。支配階級はフランス語、被支配階級はゲルマン系の言語を話していたのだが、だんだんミックスしていったのである。インド・ヨーロッパ系の言語は動詞の活用が大変だが、英語は3単元の s ぐらいしかない。ピジンは簡素化が特徴の一つであるが、英語にもその特徴があるのである。
 ところで、ox や cow は被支配階級(生産者)のゲルマン系の言語の語彙で、beef は支配階級(消費者)のフランス語系の語彙である。どちらもともに「牛」の意味だったが、それがいつしか、前者は生きているときの名前、後者は死んで食肉になってからの名前ということである。日本の仏教には戒名というのがあって、現代では、死後の名前というのが一般的な理解であるが、beef は ox や cow の戒名というわけではないのである。
ちなみに、スペイン語には beef に相当する語は当然、ない。ox が toro で、cow が vaca だが、食肉の時は、vaca を用いる。toro を食べるとは言わない。res (四足獣全般)を vaca の代わりに用いることも多い。 

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はじめてのピジン語―パプアニューギニアのことば

  



ピジン語(10) yumi

2014-08-30 07:37:24 | パプア・ニューギニア
  筆者がよく耳にしたピジン語の単語をいくつか紹介しよう。
 liklik:「リクリク」と発音されそうなものだが、「リキリキ」のように聞こえる。専門的な表現をすれば、[k]音が口蓋化されているというのだが、[i]の母音に影響されて[k]音のあとに[i]を発音する構えを作っているのである。はっきり[i]と発音されているわけではない。意味は「少し」。little がなまったものだろうか。
 「ちょっとだけ」というときは liklik tasol という。tasol は英語の only に相当するが、that's all がなまったものではないだろうか。
 giaman : 「うそ」、「いんちき」等の意。何語に由来するのだろうか。
 bakarap:「こわれた」、「だめになった」。英語の break, broken などと関係があるのだろうか。
 kaikai:「食べ物」。「レストラン」は haus kaikai。1985年当時、「カイ」さんという日本人がいた。食われたという話は聞かない。
 yumi go:Let's go の意。yumi は yu (you) + mi (me) で、「あなた」を含む「私たち」。「あなた」を含まないときは mipela という。
 実は、中国語にも同様な使い分けがある。yumi に相当するのが「咱們」で、mipela に相当するのが「我們」である。ただ、中国でも南へ行くと、前者が使われず、すべて「我們」になるらしい。
 Wanem nem bilong yu?:英語の逐語訳は What name belongs to you? だが、What's your name? ということである。
 Nem bilong mi Yumi:Name (which) belongs (to) me is Yumi.で、My name is Yumi.
  ピジン語の前置詞は bilong と long の2つしかない。bilong は 動詞 belong に由来するのだろうが、前置詞の of の役割を果たしている。long の方は along に由来すると思われるが、in, at, for など of 以外の前置詞すべての役割を担っている。
【お知らせ:コスタリカのラジオ局 Radio Uno の懐メロ番組のナレーション部分だけMP3ファイル(約1分半)に変換して、パソコンに取り込みました。興味のある方はコメントにメールアドレスとともにファイル希望とお書きください。追って、添付ファイルでお送りします。】
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ピジン語(9) tok pisin と wantok

2014-08-29 09:01:22 | パプア・ニューギニア
 「ピジン語」という語はピジン語では tok pisin という。tok は英語の talk から来ているようだ。ジャレド・ダイアモンド著:昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来には「トク・ピシン語」と訳されているが、これはおかしい。tok が「語」なので、「語ピシン語」ということになってしまう(「太平洋ベルト地帯」を思い出した)。いい書物なのに、もったいない。
   
 tok を使った有名なことばに、wantok というのがある。これも使用頻度がきわめて高いので、いやでも覚える。
 英語の one + talk に由来するようで、「ひとつの言語」つまり「同じ言語」を話す部族が本来の意味のようだが、「仲間」という意味にも用いられる。
  ピジン語の知識がないと want + ok で切ってしまいそうである。「ほしい」+「OK]で、「ほしいものは何でも持ってけ」と誤解しそうである。 
 パプア・ニューギニアはたぶん今でも部族社会だと思うが、1985年ごろはまさに部族社会そのものであったといえよう。田舎から wantok を頼って首都のポートモレスビーにやってくると、たとえ、見ず知らずでも wantok であれば面倒を見ないといけないらしい。首都で一旗揚げた人物もかつては、wantok を頼って出てきたのだろう。
 というわけで、1985年ごろは物乞いは見かけなかった。wantok が面倒見てくれるので、物乞いする必要がないわけである。ただ、最近は物乞いの姿も見かけるという話である。少しずつ社会が変化しているのだろう。
   

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ピジン語(8)何歳ですか?

2014-08-27 09:11:48 | パプア・ニューギニア
 日本人は欧米人には年齢が分かりにくいようだが、日本人にとってもパプア・ニューギニア人の年齢はわかりにくい。特に、山岳地帯の部族はよくわからない。
 そこで、今回はスペイン語とは関係ないが、ピジン語で面白いのは年齢を尋ねる表現を取り上げよう。
 英語の“How old are you?”は直訳は「あなたはいかほど年を取っているか」だが、スペイン語では“¿Cuántos años tiene?”で、直訳は「(あなたは)何年を持っているか」である。ピジン語では“Yu gat hamas krismas ya?”という。英語に逐語訳すると、“You got how many Christmases?”となる。“hamas”は“how much”がなまったようだが、“how many”の意味でも使われる。
 面白いのは「クリスマス」である。「何回クリスマスを持った(過ごした)か」という表現は、日本の数え年を連想させる。昔は、日本では誕生日を祝う習慣はなく、元旦にみんな一斉に年を取ったものである。
 パプア・ニューギニア人の年寄りは自分の年齢さえ知らない人もいた。年齢が分からなければ、誕生日も分からなくて当然だろう。筆者が勤めていた国立高校の生徒たちはみんな自分の誕生日を知っていたと思うが。
 ともかく、“Yu gat hamas krismas ya?”は、なかなかよくできたピジン語の表現である。

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ピジン語(7)どこですか “~ i stap we?”

2014-08-26 07:30:22 | パプア・ニューギニア
  ピジン語には、もう一つ、スペイン語から類推ができるフレーズがある。
 それは、「~は(場所)にある(いる)」である。筆者も一度実地に用いたことがある。
 “Ples balus i stap we?”というピジン語は「空港はどこですか」という意味で、レンタカーで内陸部のゴロカ空港に向かっていたときに使ってみた。聞いた相手が悪かったのか(おばさんかおばあさんだった。日本人から見るとパプア・ニューギニア人の年齢は見当をつけにくい)、あまり通じなかったようだ。“~ i stap we”というのは“Where is ~?”に相当する決まり文句である。“stap”は英語の“stop”に由来すると思うが、“i stap”がスペイン語の“está”を連想させる。スペイン語では「~はどこにあります(います)か」は、“¿Dónde está~?”となる。
 ちなみに、パプア・ニューギニアは意外と知られていないが、コーヒー天国である。筆者もよく「ゴロカ・コーヒー」をプレゼントしたものだ。一度、コスタリカ人(コスタリカもコーヒーがうまい)にも送ってやったことがあるが、何で、コスタリカにもうまいコーヒーがあるのに、ニューギニアなんぞのコーヒーを送ってくるのかといぶかしがられたが、飲んでみて納得してくれた。コスタリカ人もうなるほど、うまいのである。

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ピジン語(6) 初めて聞いた “Mi no save” Wau へ行く

2014-08-24 19:58:19 | パプア・ニューギニア
  筆者が“Mi no save”というフレーズに最初に触れたのは次のような経緯からだった。ピジン語の知識もなしに、パプア・ニューギニアに赴任した当初のこと。日本から新しくやってくる青年海外協力隊員の出迎えにポートモレスビー国際空港に先輩隊員2名が行くことになった。筆者もひょんなことから同行することになった。出迎えを終えた帰りの車の中で、先輩隊員どうしが新米隊員を「ひとつからかってやろうじゃないか」と、協力隊事務所の現地使用人をお偉いさんに仕立てる話を始めた。こんな話は新米隊員に聞かれるとまずいので、日本語でするわけにはいかず、ピジン語で話すことになった。その話の中に「ミノサベ」が何度も出てきたという次第である。
 新米隊員はまんまと騙されたが、まじめな性格なので、かなり怒ったらしい。ちなみに、悪戯を企んだ先輩隊員の一人は某国際協力団体の事務局長にまで上り詰めた。一方、だまされた方の新米隊員も現在、某大学の教授だそうである。
 この局長の隊員時代の勤務地は、「ワウ」という小さな町で、ポートモレスビーからセスナ機で行くしかない。ここは珍しい蝶が見られるということで、筆者も一度訪れたことがある。このときは、だまされた方の隊員がだました隊員の後釜として(たぶん)勤務していた。
 ワウの空港は空港というより飛行場と言った方がいいところに到着した。
 パプア・ニューギニアは海岸部と幹線道路を除いては、道路網はまだまだ整備されていなかった。
 その「ワウ」の町はずれに、スペイン人が住んでいて、久しぶりにスペイン語を使う機会があった。
 筆者はその後、新潟県の某私立大学に奉職することになるが、なんと、この大学の生物学の先生もかつてテフテフの研究で Wau に行ったことが判明したのである。

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ピジン語(5)Yu save? Savvy?

2014-08-12 06:38:38 | パプア・ニューギニア
 ピジン語の“save”に似ている英単語に“savvy”というのがある。この言葉は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロー船長がよく使っていて、日本語字幕では「おわかり?」となっている。ちゃんとした英語では、“Do you understand?”だが、これをスペイン語の丁寧な疑問文に直すと”¿Sabe (usted)?”となる。主語の「あなた」(usted)はよく省略される。英語では“know”を“savvy”に置き換えて、“Do you savvy?”ということはなく、“Savvy?”だけでよい。ただ、“Savvy?”はあくまでも俗語なので、フォーマルな場では使えない。
 “Do you know?”はピジン語では“Yu save?”となる。“No”の場合の返事は、“Nogat, mi no save”である。
 ちなみに、“savvy”には「実際的知識」という名詞用法と「事情に精通している」という形容詞用法もある。
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ピジン語(4)「ミノサヴェ(わかりません(知りません)」

2014-08-11 06:34:47 | パプア・ニューギニア
 英語の“know”と“no”は同じ発音で、それが続くと分かりにくい。そこで“know”の代わりに選ばれたのがポルトガル語である。ポルトガル語の「知る」はスペイン語と全く同じ形である。原形は“saber”だが、使用頻度が高いのは直説法現在の3人称単数の活用形である。こちらもスペイン語と同様、“sabe”である。ただし、ピジン語では“save”(サヴェ)とつづられている。フランス語でスペイン語(またはポルトガル語)の“sabe”に対応するのは、原形“savoir”の直説法現在の2人称複数の活用形の“savez”(サヴェ)だが、フランス人(フランス語)の影響があるのだろうか。
 とにかく、“I don’t know”は“Mi no save”で、これはピジン語の素養が全くなかったころでも、すぐ意味が推測できた。ちゃんとしたスペイン語では“Yo no sé”(ジョ・ノ・セ)だが、“Mi no save”はブロークン・スパニッシュといったところだろうか。ブロークン・スパニッシュとしては“Mí no sabe”とつづるべきだろうが。コスタリカ人やメキシコ人に紹介したら、大いに受けた。
 「ターザン」もブロークン・イングリッシュを話すが、「ターザン」(スペイン語では“Tarzán”、発音は「タルサン」)の“I don't know”はスペイン語の字幕や吹き替えでは絶対に“Mí no sabe”にすべきである。

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ピジン語(3) I don't know

2014-08-10 06:55:28 | パプア・ニューギニア
  今回は、“I don’t know”に相当するピジン語である。
 「私」はピジン語では“mi”で、英語の“me”に由来するようだ。目的格が主格として使われている。ハワイの怪しげな英語でも、やはり“me”が主格として用いられているようだ。日本でも、映画などで日系2世が「ミーはね」と話す場面がよくあったと思う。
スペイン語では、主格は“yo”(「ヨ」または「ジョ」、スペイン語では「ヤ」行と「ジャ」行の区別がない。日本の殿様の「余」を連想させる)だが、目的格は英語と同形の“me”(ただし、発音は「メ」)。このほかに前置詞格があり、“mí”という形である。アクセント記号のない“mi”は所有格である。
 ところで、英語の否定文では、be 動詞(かつては本動詞の have も。ピーターとゴードンの「愛なき世界」には、“I know not when”という言い方が出てくる)以外、動詞のあとに“not”を置くのではなく、一般動詞の否定文では動詞の前に“don’t”(“doesn’t”、“didn’t”)を置き、動詞は原形に戻すのだが、これがスペイン語話者には結構、面倒らしい。
 スペイン語では、どんな時でも、動詞の前に“no”を置くだけでよいのである。
 ピジン語でも、この点はスペイン語同様である。これは、中国語でも同様である。
 そうすると、中国語の「私は知らない」に相当する「我不知道(wo bu zhidao)」をピジン語に置き換えると最初が“mi no”となりそうなことが分かる。“know”は“no”と発音が同じなので、別の言葉に置き換えた方がよさそうである。そこでどうしたかは、次回。


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ピジン語(2)pikinini (こども)

2014-08-09 07:40:44 | パプア・ニューギニア
  ピジン語の語彙は英語由来のものが多いのだが、中にはポルトガル語由来のものもある。それを少々紹介しよう。
 まずは、「子ども」を表す“pikinini”。スペイン語の“pequeño”(ペケーニョ、「小さい」)と“niño”(ニーニョ、「子ども」)を合体させたような語感なので、すぐ覚えた。語源はポルトガル語の“pequeno”(ペケーノ、スペイン語の“pequeño”に対応)で、「小さい」の意味のほかに「子ども」という意味もある。これに縮小辞の“-ino”をつけると、“pequenino”(ペケニーノ)という語ができる。「小さい子ども」という意味である。これがなまって、“pikinini”となったらしい。
 スペイン語の縮小辞は“-ito”という形がよく使われるが、“-ino”という形もあるのである。イタリア語ではこの形をよく見かける。代表例は“signorina” (シニョリーナ)だろう。スペイン語では“señorita” である。


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ピジン語(1)

2014-08-08 10:53:22 | パプア・ニューギニア
 ニューギニア島の北半分では共通語としてピジン語が話されている。「ピジン」というのは“business”がなまった言葉らしい。中国人が商売(ビジネス)のために使った英語のような言葉である。語彙は英語由来のものが多いが、文法は中国語に近い。
 たとえば、「これは何ですか」は英語では“What is this?”だが、ピジン語では、“Em i wanem samting?”で、“This is what?”の語順になっている。中国語では「这是什么」(zhe shi shenme)で、やはり“This is what?”の語順である。
 動詞の活用はなく、過去は文末に“pinis”という語を置く。このことばは会話の中で聞かないことはないといってもいい。“pinis”と発音も綴りもよく似た英単語があり、ピジン語を知らない、やんごとなきご婦人方は、このことばを聞くと、顔をしかめたり、ほほを赤らめたりするとか。
 それはともかく、これも中国語の文法をそのまま取り入れているようだ。中国語では単純な過去は文末や動詞の後ろに「完了」の「了」を付け加える。これを英語の“finish”に置き換え、さらにそれがなまって“pinis”になったのだろう。


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モツ語(2)、パプアニューギニア人の名前

2014-08-07 06:51:16 | パプア・ニューギニア
  モツ語は開音節言語だが、このほかにも開音節言語はありそうである。
 そういうわけで、パプアの沿岸部だけではなく、パプア・ニューギニア人には日本人っぽい名前の人もいる。
 Kila, Ao, Nango, Nambaさんなどである。この組み合わせで、Kila Ao さんという人もいたが、極めつけは Kila Kila さんである。これぞ、究極の「キラキラ」ネームである。名刺をもらったのだが、紛失してしまった。残念なことである。
 さて、パプア・ニューギニア人には、そもそも姓があるのかどうかも不明で、父親の名前を姓の代わりにしているのではないかと想像しているが(どなたかご存知の方がいらっしゃれば、ご教示ください)。
 1984年ごろのことであるが、Abe Toru という日本人がいた。この名前はパプア・ニューギニア人の響きを持つようで、よくパプア・ニューギニア人だと思われたとか。
 ところで、筆者が覚えたモツ語は“Oi namo?”だけである。そもそも使う機会がないので、学習のモチベーションが低い。
 “oi”は「あなた」の意味であるが、日本語のぶっきらぼうな呼びかけ、「おい」を連想させる。“namo”は「いい、元気」という意味で、“Oi namo?”は、結局、中国語の「你好」と同じである。
 “oi”はハワイ語では“oe”となる。あの“Aloha Oe”の“oe”で、本来の意味は「あなたが愛されますように(歓迎されますように)」ということだそうだ。 


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パプア・ニューギニアの言語、モツ語

2014-08-06 07:07:32 | パプア・ニューギニア
  パプア・ニューギニアはニューギニア島の東半分である。西半分は旧オランダ植民地で、西イリアンと呼ばれていた。現在はインドネシア領で、イリアンジャヤと呼ばれている。
 東半分がパプア・ニューギニアで、その南半分がパプアで、北半分がニューギニアである。南半分はイギリスが植民地にした後、オーストラリアが統治を引き継いだ。それに対して、北半分はドイツが植民地にしたものの、第一次世界大戦に敗れ、その後、オーストラリアの国際連盟委任統治領になったのである。
 そもそも、パプアという名称はポルトガル人が名づけたらしい。マレー語で「縮れ毛」という意味だそうだ。パプア側は主要部族の言語“Motu”「モツ語」がよく通じるようだ。このモツ語はオーストロネシア語族のマレー・ポリネシア語派に属す。ハワイの言葉と同様、必ず、母音で終わる。二重子音もない。促音(小さい「ッ」)も拗音(小さい「ャ」、「ュ」、「ョ」)も撥音(「ン」)もない。日本語の和語と同じである。


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パプア・ニューギニアへ

2014-08-05 09:39:58 | パプア・ニューギニア
  1981年末にコスタリカでの生活を終え、スパニッシュ・オデッセイも一段落した。その後、ペルーとメキシコでも暮らすことになるのだが、スパニッシュではないところにも縁があった。パプア・ニューギニア(Papúa Nueva Guinea) とシンガポール(Singapur、マレー語とポルトガル語は Singapura) である。
 結局、筆者が海外生活した国は環太平洋諸国ばかり(シンガポールは厳密にいうと環太平洋ではないかもしれないが)で、筆者はさしずめTPPマンといったところだろう。
 まずは、パプア・ニューギニアへ脱線するが、やはりスパニッシュとはいくらかでも関連付けたい。
   コスタリカへは青年海外協力隊員として派遣された。生活に困ることはないが、かといって、リッチな暮らしができるわけでもない。現地の標準的な給与水準並みの現地手当が支給されていたのである。だからこそ、現地の人並みの生活ができ、いろいろなことを知ることができた。
 しかしながら、パプア・ニューギニア以降はJICA専門家(メキシコへは文部省派遣)で、かなりの好待遇であった。待遇はよくなったものの、協力隊員ならではの生活体験は残念ながら、できなかった。
 さて、パプア・ニューギニアは派遣前語学研修は英語である。部族語が500とも700あるとも言われている。また、怪しげな英語のようなピジン語も話されているが、共通語は英語である。国歌も英語で歌われている。しかし、英語が分からない年寄りは当然歌えないだろうし、そもそも国家意識があるとも思えない。あるのは国家意識ではなく、部族意識だろう。
 それに引き換え、コスタリカはさすがに近代国家である。ただ、パナマとの国境に近い、山間のでは、昔ながらの先住民が暮らしていて、年寄りはスペイン語ができなかった。コスタリカは人種的にも白人系が多数派で、言語もスペイン語(若干の例外はカリブ海側の黒人が話すジャマイカ英語)で統一されていて、国民としてのまとまりはあると思う。


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裸の中国人女性(Chin Cal Chon)

2014-08-04 10:10:15 | トリビア
 今回は、言葉遊びの第二弾である。
 「裸の中国人女性」は中国語で何というか。
――答えは“Chin Cal Chon”(チン・カル・チョン)である。
 もちろん、こんなことを中国人に言っても通じない。中国語っぽい響きがあることが大事なのである。“Chin”は中国人の姓「陳」を連想させる。名前を表す“Cal Chon”の“Cal”の方だが、現代の中国語(普通話、スペイン語では“mandarín”)では“l”で終わる語はない。南方系の中国語は子音で終わることがあるが、“l”で終わるのはあったかどうか。“Chon”は十分中国語っぽい。中国語は、「チャ」行音が多いというのが、コスタリカ人にとっての印象である。それはともかく、“Chin Cal Chon”は全体として見れば、中国人っぽい名前の響きがある。
 で、なんで、これが「裸の中国人女性」かというと、まずは、“ch”[ʧ]を [s]の音に置き換えてみる( [s]音を[ʧ]音に置き換えると子供っぽくなる。例:「そうでちゅね」。小さい「ャ」「ュ」「ョ」をつけた音を拗音という。「拗」の字の中に「幼」がある)。そうすると、“Sin Calzón(シン・カルソン)という語句が浮かび上がる。“Sin”は英語の“without”、“Calzón”は「ズボン」の意味もあるようだが、コスタリカでは「パンティー(ショーツ)」の意味で使われている。ということで、“Sin Calzón”は「ノーパン」ということだ。それで、「裸の中国人女性」ということになったのである。
 これを教えてくれたのは、コスタリカ大学の同僚の教師か、それとも語学研修中に教わったスペイン語教師だっただろうか。


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