今回のテーマは、オフィスや下宿などにかかってきた電話が、電話を受けた本人が話したい相手の場合、どう答えるかである。日本語なら、「はい、私です」となる。中国語でも同様に「我就是(wo jiu shi)」と「わたし」を使う。初心者はつい、日本語的感覚で“yo”(ジョ、「わたし」)と答えてしまう。これでも十分通じるが、現地の人はこんな答え方はしない。
男なら、“Habla él”(アブラ・エル)、または“El habla”と答える。直訳は「彼が話しています」である。女なら“Habla ella”(アブラ・エジャ)または“Ella habla”である。“Con él habla”、“Con ella habla”(あなたは彼または彼女と話しています)という言い方もできる。
どちらにしても、ここには「わたし」と言う言葉は出てこない。その代わりに él「彼」、ella「彼女」を使うのである。自分を「彼」「彼女」と呼ぶ発想は日本語にはない。さすがに、これにはかなりのカルチャーショックを覚えた。さっそく自分でも使い始めたが、そのうち違和感もなく、使うようになっていった。
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