That's awesome

海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

ジョーカー

2020-08-13 20:59:20 | 映画+ドラマ

Joker

Directed by Todd Phillips
Produced by Todd Phillips Bradley Cooper Emma Tillinger Koskoff
Written by Todd Phillips Scott Silver
Based on Characters by DC Comics
2019

ホアキン・フェニックスを見るたびに
お兄ちゃんが生きてたらどんな役者になっていたのかな、と今でも思います。
きっとホアキン同様演技派イケオジな役者さんになっていますよね。

 

ネタバレがありますのでご注意ください。

 

 

 

あらすじはWikiから引用です。

時は1981年。
財政難によって荒んだゴッサムシティで暮らすアーサー・フレックは、
アルバイトの大道芸人(ピエロ)の仕事に勤しんでいた。


発作的に笑い出してしまう病気によって精神安定剤を手放せないうえ、
定期的にカウンセリングを受けねばならない自身の現状に苦しみつつ、年老いた母を養いながら2人で生活していた。

冒頭は笑いながらカウンセリングを受けている場面から始まっています。
ちょっと屈折してる性格かなとは思うけどお母さんを大事にしてるし
普通に良い息子な感じ。

アーサーの夢は、一流のコメディアンになって人々を笑わせること。
日々思いついたネタをノートへ書き記し、
尊敬する大物芸人のマレー・フランクリンが司会を務めるトークショーで脚光を浴びる自分の姿を夢想していた。

↑マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)

しかし仕事ではトラブル続きで、心からアーサーを受け入れてくれる者は外の世界にいなかった。
生活も酷く困窮しており、
ペニーはかつて自分を雇っていた街の名士トーマス・ウェインへ救済を求める手紙を何度も送っていた。

ある日のこと、アーサーは同僚のランドルから護身用にと拳銃を借り受けたが、
これを小児病棟の慰問中に落としてしまい仕事をクビになる。
絶望の気持ちで地下鉄に乗っていると、酔っ払った男3人が女性をナンパしている場面に出くわす。
そこで笑いの発作が起きてしまい、気に障った3人に絡まれて暴行されるも、反射的に全員を拳銃で射殺した。
罪悪や恐怖だけでなく、言い知れぬ高揚感がアーサーを満たしていった。

ある程度自分に自信が無いと前を向けないし何をやってもうまくいかないんだと思う。
孤独が彼を追い詰めていってしまった感じだけど
彼の性質は複雑な家庭環境にある気がしてなりませんね。


この地下鉄殺人は貧困層から富裕層への復讐と報道され、ゴッサム市民から支持を集め
貧困層と富裕層との軋轢が悪化、ピエロの仮面を被った市民による抗議デモが頻発した。

これまで誰からも認知されずにいたアーサーは気分を上げ、同じアパートに住むシングルマザーのソフィーと仲を深める。

意を決して出演したクラブでの初ステージは、笑いの発作に侵されながらもどうにか最後まで演じ切った。
そんな中、アーサーはペニーの手紙を盗み見、自身がペニーとトーマスの隠し子であるという内容を目にする。
真実を確かめるべくウェイン邸を尋ねると庭で遊んでいたトーマスの息子・ブルースと出会い敷地の柵越しに手品を披露する。

この作品、ずっと「ダークナイト」の前日譚だと思って観ていましたが
ブルース・ウェインの父、トーマス・ウェインが現役で登場してるし、
しかもブルース子どもだし、あれ?ジョーカーとバットマンの年齢差って??とちょっと混乱。
どうやら従来のバットマンシリーズとは世界が違うようです。

そこへ駆けつけた執事のアルフレッドに追い返されそうになり、
すかさず隠し子の件を焚きつけるもペニーの虚言と突っぱねられ、アルフレッドは彼女を「イカレ女」と呼ぶ。
逆上したアーサーは掴みかかるが、結局何も分からないまま帰宅。
するとアパート前はパトカーや救急車で騒然としていた。
実はすでに刑事たちはアーサーに目星をつけて調査に乗り出しており詰問にあったペニーは脳卒中で倒れてしまったのだ。

ソフィーに励まされながら、病院のベッドで眠る母に付き添うアーサー。
病室のテレビでは偶然にもマレーのトークショーが放送されており、
何とそこに先のステージでネタを披露するアーサーの姿が映し出された。
驚きつつも幸福感を抱くアーサーだったが、マレーはそのネタを面白おかしく揶揄するばかり。
憧れの人物から、「つまらないコメディアン」として晒し者にされ、ひどく失望した。

元々、人を笑わすのが好きだったアーサーはバスの中で子どもを笑わそうとする場面もありました。
これだけが彼のアイデンティティだったのにそれを否定されてしまったんですよね。

後日、アーサーは直接真相を聞くべく、トーマスが演劇を鑑賞している劇場へ警備員に扮して侵入。
トーマスが一人になった時を見計らって問い詰めた。
しかし隠し子の件は再び一蹴され、それどころか、ペニーは昔から妄想癖があり、
彼女による騒ぎを大きくしないようトーマスが手引きして、
養子にさせた孤児がアーサーであることや、恋人だった男にアーサーが虐待されているのを静観していた罪で
逮捕された経歴も彼女にはあると告げられる。

どうしてそこまで母を悪く言うのかと、話を信じられないアーサーは期待にすがるように、
「父さん」と呼んでトーマスに詰め寄るが殴り倒され、息子のブルースに近付けば殺すと吐き捨てられた。

アーカム州立病院を訪れたアーサーは、事務員からペニーの過去のカルテを強奪し中を見る。
そこにはトーマスの話が事実である証拠が残されていた。
また、アーサーが発作を患った原因も、
「虐待されても笑っているから」とペニーが虐待を止めなかったためであることが発覚。
全てに絶望したアーサーは大声で笑い、泣き崩れた。

「僕の人生は悲劇ではなく喜劇だったのだ」と悟り、病床のペニーを窒息死させた。
重い足取りでアパートへ帰りソフィーに慰めてもらおうと彼女の部屋へ入るがまるで初対面であるかのように怯えられる。
これまで2人で過ごした日々や、ペニーが入院した際に励ましてくれたことを回想するが、
ソフィーの姿はどこにもなかった。全てアーサーの妄想だったのである。

アーサーもまた母と同じ妄想癖があったことがわかる瞬間でした。
正直、ぞっとしましたね。
そしてその妄想がアーサーを正常に保つための手段だとしたら、こんなに悲しいことはないです。
アーサーはトーマスに「なぜやさしくしてくれないんだ、なぜハグをしてくれないんだ。」と責めていました。
誰かが心からアーサーを愛していたら彼はジョーカーにならなかったのかもしれません。

 

失意の中、一人で家にいるアーサーに、マレーのトークショーのスタッフから電話がかかってきた。
彼の映像を流した回が反響を呼び、生出演を求められたのだった。

放送当日。アーサーは自宅にて髪を緑色に染め上げ、馴染み深いピエロのメイクを施して準備を進めていた。
そこへ母親の死を悼んだランドルが訪問する。
しかし彼は以前アーサーを出し抜いたことなど気にもしない様子で、
実は警察への証言の口裏合わせを求めて来訪したに過ぎなかった。
アーサーは隠し持っていたハサミでランドルを殺害した。

そしてピエロのメイクを完成させて街へ乗り出し、
意気揚々と階段の踊り場で舞い踊っていたところ、張り込んでいた刑事たちに追いかけられる。

地下鉄へ逃げ込むと、これからデモに向かうピエロですし詰め状態だった。
刑事たちは誰が誰かも分からない電車内で無実の市民を誤射してしまい、ピエロたちの暴行を受ける。

まんまと追跡を撒いたアーサーは番組スタジオへ到着。
ようやく対面したマレーに対し、このメイクは昨今の情勢とは全くの無関係であることを告げ、
「自分を本名ではなくジョーカーと紹介してほしい」と依頼し了承される。

生放送が始まった。
アーサーは何度も繰り返したシミュレーション通りに事を進めようとするも、言うべきジョークを忘れる。
マレーたちから冷やかされつつノートを取り出し、自分の書いた言葉を見て考えを変化させる。
地下鉄での殺人を犯したのは自分だと大胆に告白すると、
続いてゴッサムの格差社会を非難し始め、積もり積もった怒りをぶちまける。

自分のような社会不適合者は、そうでない者から奴隷のように蔑まされる存在でしかなく、
善悪や笑いの基準も社会的に力のある人間が主観で決めており、トーマスも含め世の中は不愉快な連中ばかりだとまくし立てる。

その見解を否定し、殺人を犯したアーサーを非難するマレーだが、
アーサーは彼もまた不愉快な連中と同じ立場の人間であり、自分を番組に出演させたのは笑い者にするためだと改めて断罪。
呆れたマレーはスタッフに警察を呼ぶよう指示するが、怒りに震えるアーサーは拳銃を取り出しマレーを射殺した。

パニック状態になって逃げ出す観客らをよそに、テレビカメラの前でステップを踏むアーサー。
カメラに向かってマレーの決め台詞「That's life!(それが人生!)」を真似しようとした瞬間に放送は中断され、
駆け付けた警察に取り押さえられた。

アーサーの凶行は図らずして、貧困層が憎悪を爆発させる要因となってしまった。
一瞬にしてゴッサムシティはピエロに扮した市民の暴動によって混沌と化した。
富裕層の人々が悪辣な暴行を受け、街のあちこちで火の手があがった。
家族で舞台を鑑賞していたトーマスは、騒動を避けるべく路地へと逃げ込む。

しかしそれを見ていた暴徒の一人によって妻もろとも射殺され、息子のブルースだけが生き残った。
パトカーで護送されていたアーサーは暴徒が駆る車の衝突によって救出される。
パトカーのボンネットへ立ち上がり、自らの血でグラスゴースマイルのようなメイクをして、
彼を救世主として讃え歓喜の声をあげる暴徒を見下ろしながら、恍惚した表情で踊るのだった。

場面は変わり、どこかの病院で精神分析を受けるアーサーの姿が映される。
ジョークを思いついたと言う彼に対し、カウンセラーはそれを話すよう頼む。

しかしアーサーは、「君には理解できないさ」と断り、フランク・シナトラのThat's Lifeを口ずさむ。
そして血の付いた足跡を残し、病院の職員に追われながら脱走を図ろうとするところで、映画は幕が下りる。

あらすじはほぼ丸写しです。長くてすみません。

ラストはいきなり「精神分析を受けるアーサー」の場面なんです。
あの暴動からの経緯がまったく描かれていません。

冒頭でカウンセリングを受けるアーサーが発作で笑っていて、
ラストの分析を受けているアーサーも笑っていますが
監督曰くアーサーが初めて自分の意志で笑っているんだそう。

つまり今までのすべてがアーサーの夢或いは妄想だった可能性もあるんですよね。
精神分析中も手錠はしていましたがもしあの暴動の後に逮捕されたとしたら
もっと厳重警戒されてしかるべき凶悪犯罪者な扱いになると思うのですが・・・・

そして最後の血の足跡の意味はやはり精神分析医をお殺りになってしまわれたのかと。
どこまでが現実でどこまでが妄想かわかりませんが
すべて妄想だとしたら今ジョーカーはDCの、従来のジョーカーと同じ世界だとも言えますね。

アーサーはマレーに「善悪や笑いの基準も社会的に力のある人間が主観で決めている」と言っていました。
それはそうなんだろうけど結局は自分を受け入れない社会は悪だって言っているわけで。
どっか大人になりきれていないようにも感じられ、
それはまさに家庭環境が大きく左右しているのかなと。

IGNに面白い記事がありました。
『ジョーカー』は社会に害をもたらす“危険な映画”なのか?

批評家の間で「意図せずにジョーカーを英雄的な人物、憧れの対象のように描いている」と
問題視されているとありました。
それに対し監督は
「この映画は世界中で起こっている愛情の欠如や子供時代のトラウマ、思いやりの欠如がテーマだ。」
と言い、
ホアキンは
「ほとんどの人は、何が正しくて何がいけないかを判断することができると思う。
それができない人間は、どんなものであれ自分の好きなように解釈するものだ。
だから視聴者に何が正しくて何が悪いのかという倫理観を教えるのは、映画製作者の責任ではないと思う。」

私もそう思います。

映画や本が悪影響を及ぼすとクレームを入れるケースが多々ありますが
倫理観は子ども時代から身についていくものだし、
善悪の判断がきちんとできるように教えるのが親や保護者や教育者など
まわりの大人ですしその責任があります。
一応この映画はR15ですしその年齢ならば判断はつくでしょうしね。

それはさておきこの映画で一番言いたかったのはホアキンさんの熱演、いえ怪演というべきでしょう。
そりゃ、オスカーだって贈られちゃいますよ。
アーサーが内に秘める怒りや狂気までも見ごとに演じていました。
その怪演の共演者がロバート・デ・ニーロなのも感慨深いです。

アメコミのヴィラン誕生編となっていますが
DCのヴィランのみならず現代の社会においてなぜ犯罪者が誕生するのか、
その一因が垣間見えるような作品でした。


4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
怖い映画 (あきこ)
2020-08-14 19:57:55
映画館で観ましたよ〜。
けっこうな話題作でしたよね。何回でも繰り返し観る人がいたとか・・・。

でも私は1回だけでいっぱいいっぱいでした。
もう、アーサーのなにもかもが痛々しくてずっとつらかったです。ぱんぱんに膨らんだ風船みたいに、いつ破裂するかわからないものをじっと客観的に見ている気分・・・助けることもできないし。

最終的にジョーカーになるんだと分かっているから、勿論話がいい方向にはいかないのは分かっているんだけど、優しいアーサーのやることなすことが悪い方に向かうストーリー展開が辛かったです。

笑いの発作はともかく、異常に煙草を吸いまくるところとか、日記の内容が狂っている感じ、あばらが見えるほど不健康で、そんなにがりがりで不安定なのによろよろと急な階段の上で踊るとか。

ずっと不安で怖い思いをしながらの鑑賞でした。すごいものを観てしまったなあとは思いましたが、あんまり繰り返し観たくはない映画です・・・うう、思い返しても心にダメージが・・・。
返信する
Re.怖い映画 (dico)
2020-08-14 22:44:37
あきこさん
それだけ感情移入させるほどホアキンさんの演技が素晴らしかったということですよね。
本当に私も痛々しく思いました。頼れる身内もいないみたいだし発作のせいで友人もできなかったのでしょうね。
日記はどんなことが書かれているかわかりませんでしたが見るからに怖かったです。心の闇や狂気が見えてくるようで。

大きなスクリーンだと恐怖も倍増だったのでは。
そうですね、アーサーに救いが来ないのはわかっていましたが救いを求めずにはいられませんでした。
トーマス・ウェインももう少し優しくしてやってくれー!

私はもう一度ダークナイトを見たくなりました。
もしかしたら少し違う見方ができるかも。
返信する
こんにちは (だいず。)
2020-08-19 15:22:04
一昨日のことですが、なんかいいことないかなーってアマゾンに行ったら
和名「エジソンズ・ゲーム」が予約受付されてたので、予約をして↓のおすすめっていうかこれを見た人はこういうのも調べました。
を見たらこのジョーカーがあったんですよ。
dicoさんとかならそうかなぁ…なんて思ってたら映画のこと書かれてたので、うれしくて読み始めたのですけど
これでもかと心傷だらけのお話に、私には無理だわと思いました。
色々ありますよね。それでも生きて行かなくちゃですもん。
私、ピエロのお顔も怖くて映画は観れないと覆ってたのでお勉強させていただきました。
東京とかありえない気温で、お気をつけてお過ごしくださいませね。
返信する
Re.こんにちは (dico)
2020-08-19 21:41:41
だいずさん
エジソン、予約が始まったのですか!早いですね~
おすすめにジョーカーだなんて何つながりなんでしょう。
そうなんです、かなりつらいストーリーなのでおススメはできません。
生きていると本当にいろいろな事がありますね。
それでもこうしてささやかながらも楽しいことがあるから頑張れるのかな。
今年は恐ろしいほど暑くて暑くて帰宅するとぐったりです。
ありがとうございます。お互いこの夏を無事に乗り切ってエジソン観ましょうね。
返信する

コメントを投稿