クラシックは気が向いたときに好きな曲を聞くくらいで、大して知識があるわけでもないのですが
なぜか毎年この時期にはN響の第9コンサートに行くのが恒例になっています。
最近ではバイオリンのソロ曲を聞くとシャーロックの演奏で聞きたいわ、とかアホな事ばかり考えていますけど。
そして今年も行ってまいりました。今回はサントリーホール。
カラヤンさんが設計したコンサートに特化したホールで、舞台を客席が取り囲んでいます。
N響はNHKホールで聞くことが多いのですが、やはりサントリーホールの方がダントツに音響が良いです。
さて
ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調作品125(Beethoven Symphony No. 9 in d minor, Op. 125 "Choral")
ベートーヴェンといえば苦悩の人というイメージですが、Wikiとか見ると本当に苦労人なんですよね。
ひどい難聴も患っていたので、音楽家としては大変なハンデだろうなーと。
そういえばフジコヘミングさんも片耳は聞こえなくてもう片方も重度の難聴なんですよね。
交響曲の7番と8番を作曲したあと、愛する女性にふられ更に甥っ子はグレちゃったりしたので
作曲から遠ざかっていたようですが、2年後くらいからシラーの詩の興味を持ちボチボチと構想を練り始めたとされています。
完成したのは1824年となっています。
この曲は4つの楽章があり最終楽章は合唱つきとなっております。
全部で70分前後で演奏されますが、間髪入れずに演奏されるのでかなり長く感じます。
ちょっと人生を感じてしまうような、4楽章でひとつのストーリーになっているように思います。
そこで私の勝手なイメージと解釈でそれぞれ説明してみました。
第1楽章:
初っ端から激しく、そして熱いです。情熱がみなぎっております。
若さがあふれていて、俺はやるぞー!な感じです。
これを聞くと、始まったなーと思います。
最後まで熱いです。
第2楽章:
軽快な時とちょっとショボンとしている時があり、人生いろいろな感じです。
ティンパニーとオーボエが大活躍します。少しフーガ的なところが好きです。
第3楽章:
一気にトーンダウンし、穏やかで安らいだメロディになります。
人生に疲れてしまった。人生とは、愛とは何なのか。少し休んでよく考えよう。
と、思ったのかもしれません。
うっかり油断するとここで眠くなりますが、
時々ホルンがファンファーレのように大きい音を鳴らすので都度起こされます。
第4楽章:
突然雷にうたれたように閃きます。
それは「歓喜」
人生いろいろあって、疲れて静かに思案していたら神の啓示が降りてきたんでしょうか。
世界は素晴らしい、愛とは素晴らしい。神は偉大だ!そんな感じ?
いよいよクライマックス、合唱の登場です。
シラーさんの詩を歌うところはいつもトリハダもので、
特にラストの総決算的な力強い演奏で毎回感動で泣きそうになります。
15年も聞き続けてこんな解説しかできんのか。
すみません、本当に真に受けないでくださいね。
とりあえず動画を置いておきます。やはりベルリンフィルが一番であろう。
Beethoven Symphony No. 9 in D minor, Op. 125 "Choral" (Berliner Philharmoniker, Claudio Abbado)
長いので全部で一時間ありますが、第4楽章だけでも聞いてみてください。
42:50あたりからです。54:20あたりからクライマックス突入ですのでそこだけでもぜひ。
特にバイオリンの迫力ある演奏から一転して静かになり、ためてーためてーためてから、サビの大合唱が素晴らしいです。
年末年始に流れる第9コンサートのCMにもここが使われていると思います。
本当はベルリンフィルが直々にUPしている動画を置きたいのですが、
ベルリンフィルは有料なので、YoutubeにUPされているフリーのものはお試し版しかないんです。
でも音が全然違うんですよ。
この動画はまさにクライマックス部分のお試しです。
Beethoven: Symphony No. 9 / Karajan · Berliner Philharmoniker
こちらはカラヤンさんが指揮をしています。
カラヤンさん、ステキなんですよ。特に指揮をする時の手が美しい・・・(何を見とるんじゃ)
余談ですが、OSはWindowsよりiOS、アップルのほうが断然音が良いらしいですね。
下手なオーディオ機器をそろえるよりiPhoneをスピーカーに繋げて聞いた方が良いそうです。
指揮者は同じ曲でも曲の解釈によって変わると言われていますよね。
私はあまり違いはわかりませんが、好き嫌いだけは多少感じるようになりました。
今回の指揮者は曲を理解するためにベートーヴェンやその曲の由来まで勉強すると仰っていました。
そして舞台役者のように曲の全てを記憶して臨むそうです。
話が逸れましたが、良い音で聞くとそれぞれの楽器が奏でるメロディがわかるんですよ。
なので、気に入っている楽器の音を追うのも面白いです。
オーディオマニアが機材に拘るのも何となくわかるこの頃。
交響曲の好きなところは、そんな異なる楽器の異なるメロディがひとつに溶け合って完成するところなんです。
ベルリンフィルは世界一の楽団を自負していますが、聞き比べると確かに完成度が段違いのように思います。
さらにカラヤンさんの指揮はまとまりも桁違いのような気もします。
NHK交響楽団など日本の楽団は世界と比べると報酬が安いらしいですね。
そうなると専業で音楽ができるのは限られた人だけになってしまうのかもしれません。
でもカラヤンさんの弟子である世界のオザワ、小澤征爾さんを始め世界で活躍する日本人のソリストがたくさんいらっしゃるし、
ベルリンフィルのコンサートマスター(オーケストラの演奏を取りまとめる人)には日本人もいるし、
日本のクラシックの歴史はまだまだこれからだと思うので、今後に期待したいです。
第9は合唱と独唱があります。
独唱は男性のバリトンとテノール、女性がソプラノとメゾソプラノの4名で歌います。
合唱のハーモニーといい、何というか、人間が道具を使わずに奏でることのできる楽器だなーとこれも感動です。
(表現力がなくてすみません)
N響の合唱は国立(くにたち)音楽院の学生たちがうたっています。
NHKホールでのN響の第9演奏は今年も大晦日にNHKで放送されます。
そういえば今年は今回ともうひとつ5月にフジコヘミングのピアノコンサートに行く機会がありました。
演奏時にスコアを置いてなかったのもびっくりで全て身体で覚えてしまっているんでしょうね。
もちろん、もう高齢なので全盛期に比べれば衰えてしまっているとは思いますが、
大げさなポーズもなくただ淡々と弾いている姿もステキでした。
そんな潔い男前な方ですが、可愛らしい絵を描くんですよね。にゃんこが大好きみたいです。
何だかクラシックファンが見たら殴られそうな内容ですが、
ここまで駄文におつきあいいただきありがとうございます。
また、おかげさまで今年1年は私にとって掛け替えのない素晴らしい1年となりました。
来年はシャーロックの再始動もありますし、またみなさまと共有できれば嬉しいです。
最後に合唱の部分、シラーさんと詩を全文載せます。Wikiまる写しです。
最初に原文、ドイツ語ですが、その後に日本語があります。
An die Freude(「歓喜に寄せて」)
O Freunde, nicht diese Töne!
Sondern laßt uns angenehmere
anstimmen und freudenvollere.
(ベートーヴェン作詞)
Freude, schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium
Wir betreten feuertrunken.
Himmlische, dein Heiligtum!
Deine Zauber binden wieder,
(1803年改稿)
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
(1785年初稿:
Was der Mode Schwert geteilt;
Bettler werden Fürstenbrüder,)
Wo dein sanfter Flügel weilt.
Wem der große Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein,
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!
Ja, wer auch nur eine Seele
Sein nennt auf dem Erdenrund!
Und wer's nie gekonnt, der stehle
Weinend sich aus diesem Bund!
Freude trinken alle Wesen
An den Brüsten der Natur;
Alle Guten, alle Bösen
Folgen ihrer Rosenspur.
Küsse gab sie uns und Reben,
Einen Freund, geprüft im Tod;
Wollust ward dem Wurm gegeben,
und der Cherub steht vor Gott.
Froh, wie seine Sonnen fliegen
Durch des Himmels prächt'gen Plan,
Laufet, Brüder, eure Bahn,
Freudig, wie ein Held zum Siegen.
Seid umschlungen, Millionen!
Diesen Kuss der ganzen Welt!
Brüder, über'm Sternenzelt
Muß ein lieber Vater wohnen.
Ihr stürzt nieder, Millionen?
Ahnest du den Schöpfer, Welt?
Such' ihn über'm Sternenzelt!
Über Sternen muß er wohnen.
「歓喜に寄せて」
おお友よ、このような音ではない!
我々はもっと心地よい
もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか
(ベートーヴェン作詞)
歓喜よ、神々の麗しき霊感よ
天上の楽園の乙女よ
我々は火のように酔いしれて
崇高な汝(歓喜)の聖所に入る
汝が魔力は再び結び合わせる
(1803年改稿)
時流が強く切り離したものを
すべての人々は兄弟となる
(1785年初稿:
時流の刀が切り離したものを
貧しき者らは王侯の兄弟となる)
汝の柔らかな翼が留まる所で
ひとりの友の友となるという
大きな成功を勝ち取った者
心優しき妻を得た者は
彼の歓声に声を合わせよ
そうだ、地上にただ一人だけでも
心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ
そしてそれがどうしてもできなかった者は
この輪から泣く泣く立ち去るがよい
すべての被造物は
創造主の乳房から歓喜を飲み、
すべての善人とすべての悪人は
創造主の薔薇の踏み跡をたどる。
口づけと葡萄酒と死の試練を受けた友を
創造主は我々に与えた
快楽は虫けらのような弱い人間にも与えられ
智天使ケルビムは神の御前に立つ
天の星々がきらびやかな天空を
飛びゆくように、楽しげに
兄弟たちよ、自らの道を進め
英雄のように喜ばしく勝利を目指せ
抱擁を受けよ、諸人(もろびと)よ!
この口づけを全世界に!
兄弟よ、この星空の上に
ひとりの父なる神が住んでおられるに違いない
諸人よ、ひざまずいたか
世界よ、創造主を予感するか
星空の彼方に神を求めよ
星々の上に、神は必ず住みたもう
それでは皆様、良いお年をお迎えくださいませ。