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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

明日に向かって撃て

2013-05-24 06:08:50 | 映画+クラシック
原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid


ブッチ&サンダンス。
今ではたくさんの相棒ものが映画やドラマで作られていますが、その元祖はこの映画と言えます。
1969年、アメリカで公開されたこの映画は西部劇が全盛だった時代の終わりごろに史実を基に作られました。

脚本、ウィリアム・ゴールドマン。あの「遠すぎた橋」もこの方の脚本です。
監督はジョージ・ロイ・ヒル。このあとスティングも監督されました。

主役のブッチ・キャシディは最初、スティーブ・マックィーンでサンダンスがポール・ニューマンでしたが、
スティーブ・マックィーンが降りたため、ポール・ニューマンがブッチをやることになりました。
サンダンスもジャック・レモンなどが候補にあがっていましたが、ロバート・レッドフォードが候補にあがったとき、
まだ無名だったことと、爽やかすぎる印象で20世紀FOXが難色を示しましたが、ゴールドマンとジョージ監督そして、
ポール・ニューマンが説得をしたそうです。
初共演のこのふたりですが、息の合ったコンビっぷりはこの後に作られたスティングでも発揮されています。


以下はネタバレの内容が含まれますのでご注意ください。


壁の穴強盗団のボス、ブッチ・キャシディにポール・ニューマン

ブッチの相棒で早打ちのサンダンス・キッドにロバート・レッドフォード

ブッチの恋人、エッタ・プレースにキャサリン・ロス。

ご存じ「卒業」のヒロインです。


ブッチ率いる壁の穴強盗団は列車強盗を繰り返し、とうとう最強のスーパー保安軍団に追われることになります。
カーチェイス、いえ、ホースチェイス?西部劇なので馬で追いかけっこですね。
相手の追跡に追いつめられ、崖から川に飛び降りる場面があるのですが、ブッチが「飛び降りるぞ」と言っても
なかなか飛び降りないサンダンス。「俺は泳げないんだ」と白状します。

「ここに居ても死ぬんだよ」笑いながらブッチがそう言うとふたりで飛び込みひとまず逃げ切りますが、
追手が最強の保安官と知り、ブッチとサンダンスはエッタを連れて南米に逃げる決心をします。

エッタ初登場の時に、ブッチと自転車に乗る場面であの有名な「雨にぬれても」原題、Rain Drops keep falling on my head
が流れるのですが、西部劇としては画期的な試みだと言われました。


この場面を観ると、エッタはブッチの事が好きなの?とも思うのですが、きっと二人の事が好きだったのかもしれません。
もしブッチとお付き合いしていたらサンダンスのことをこんな風に想うんだと思います。
対照的な二人に惹かれる気持ち、よくわかります。

さて、南米でも銀行強盗を繰り返しますが、ちょっとやばくなり真っ当に働こうとも考えます。
エッタが農場や牧場を経営したら?と提案しますが、ブッチが「あの仕事はきついし俺たちは若くないんだよ」
エッタは一緒に南米に行くとき「二人の死ぬ場面は見せないでね」と約束させますが、ブッチの言葉を聞いた時、
このふたりが足を洗うのは無理。そしてそのうちどこかで撃たれて死ぬんだわ」と思ったのかもしれません。
エッタはアメリカに帰ることを決心しました。


残された二人、今度は追いはぎをやり始めます。
途中、立ち寄った街で自分の馬とぶんどった馬を駐車しておいてね、と男の子に頼みお茶で一息。
だけど、ぶんどった馬についていた焼印から盗難されたことが判明し、警察に発砲され建物に避難しながら応戦。

弾が少ししかない。残りは馬に置いてある。
サンダンスに援護してもらいながら取りに行くブッチ。
頑張りますが、二人とも撃たれてしまい瀕死の重傷を負いながら建物に隠れます。

「下手な援護だな」
「お前の足が遅いんだよ」などといつものように文句を言いあいながら、
「次はオーストラリアに行こう。」
「女はいるか?」
「いるさ、よりどりみどりだよ」
既に周りは軍隊の1個小隊くらいの人数に囲まれてどうみても絶体絶命なのに、笑いながら明日の事を話したりします。


そして「さ、いつものように切り抜けようぜ」と二人は建物から飛び出し、そこで映画は終わります。



もう本当にこのラストシーンにやられたんですよ、私。
だってこれ、究極の相棒、究極の友情、究極の信頼関係でしょ。

もしかしたらこのふたりなら本当に切り抜けてどこかで相変わらずに生きてるんじゃないかとさえ思っちゃいます。
追いつめられて、収集つかなくなった相棒もののラストはみんなこれにしたらどうでしょうか(笑)


もっともっとこのふたりの共演映画、観たかったですね。
今となってはそれも叶わぬ夢ですが。


最後に、
雨にぬれても」の動画を見つけましたので置きます。

Rain Drops keep falling on my head

ローマの休日

2013-04-18 18:00:30 | 映画+クラシック
Roman Holiday


古い映画が続いておりますが、やっぱりこれは外せません!
我が家の冷蔵庫には今もアン王女のポストカードが貼られています。大好きなんです
初めて観たときは、世の中にはこんな天使みたいな人がいるんだーとマジに思いましたよ(笑)
ウィリアム・ワイラー監督のこの作品はオードリーの出世作としても有名です。もちろん当時は白黒です。今ではデジタル処理したカラーの画像も出回っていますがここはあえて白黒の画像を貼ります。バンバン貼ります(笑)


ヨーロッパの伝統ある亡国の王女、アンはヨーロッパの各国を訪問していて、最後の滞在国であるローマでも歓迎パーティに出席していますが、若い彼女は同じような催しに退屈していました。

パーティの夜、窓から聞こえる楽しそうな音楽と人々の声に興味津々で覗いていたけど、女官に「もう寝る時間です」と怒られます。
しかし、退屈で窮屈な自分の毎日にとうとうヒステリックに泣き出し、侍医さん安定剤(眠剤?)を注射されますが、みんなが寝静まった頃アン王女は宮殿を抜け出し、冒険の始まりー。

だけど、ほどなく薬が効いてきて道端のベンチで眠ってしまったところをアメリカの新聞記者、ジョー・ブラッドレーが通りがかり、仕方なく自宅に泊めてあげます。

ジョー・ブラッドレーはグレゴリー・ペックが演じています。ステキな人ですよねー。沢山の名画に出ています。


次の日の朝、テレビではアン王女の急病を伝えるニュースが。行方不明とは言えないので急きょ急病の発表したんですね。
そこで、ジョーはそこに寝ているのがアン王女だと気づきスクープをものにしようと友人のカメラマンを誘い正体に気付かないふりをして、ローマを案内しながら隠しカメラでいろいろ写真を撮ります。


朝、アン王女が目覚めたときにジョーの大きいパジャマを着てたのがすごくすごく可愛くて!画像を探せなかったのが残念です。王女は、いったんジョーにお別れを言いひとりで街を探索します。
髪の毛を切ったり、サンダルを買ったり。お金はジョーが貸してくれました。この時のジョーにとっては単なる投資だったと思います。
ジョーは王女のあとをつけ、スペイン広場で偶然を装って再会します。


スペイン広場でジェラード食べるの、憧れました~

ローマの街をヴェスパで走る、憧れました~

おちゃめな王女は自分で運転して警察に捕まったりします。ジョーが機転をきかせて王女だとバレずに解放されましたが。


そしてそして、真実の口の名シーン



これはグレゴリーペックがアドリブで、手を突っ込んだ後大げさに痛がりびっくりしたオードリーが懸命にグレゴリーの手を引っ張って
やっと抜けたと思ったら、手を隠していて顔面蒼白のオードリーの前で「うっそー」と手を出し、抱き付いたという超かわいい有名なエピソードがありますね。

夜になり、窓から聞こえてきた水上パーティ(?)に参加して思いきり楽しんだあと、アン王女は帰る決心をします。
その頃には、さすがの新聞記者もアン王女の魅力にやられていて(笑)、後ろ髪をひかれつつ悲しいお別れをします。


宮殿に戻った彼女は、もちろんみんなから怒られますが恋を知り別れの辛さも知った彼女は1日で少し大人になったようです。
無責任だと責める女官たちに「私は責任があるからこそ戻ってきました」とそう話す彼女の凛とした顔が印象的です。

ローマ最後の日、謁見の間で記者会見が開かれます。そこで初めてアン王女はジョーが新聞記者であることを知ります。
が、「今までで印象に残った国は・」との質問にいつもは「どれも素晴らしい国で」と言いますが、途中で「ローマです。」と答え「友情を信じています」と言い、ジョーもそれに答えるかのように「あなたの信頼は裏切られることはないでしょう」と写真を渡します。ジョーは写真を公表しないと決めていたのです。


アン王女が退場し、関係者もみんな去った後ジョーがひとり出口に向かってこつこつと歩いていきます。

あまりに長いこのラストシーンに、「アン王女が出てくる?くる?くる?出てきてー!」と期待したのは私だけではないハズ!
結論を言うと出てこないでそのまま終わるんですが、製作側の意図にまんまとのせられた感があります(笑)

アン王女を成長させたたった一日の恋。今では考えられないほどプラトニックで本当にせつないです。
彼女が大人になって結婚して子供ができてもきっと忘れることはないんでしょうね。時々思い出しては泣いたかもしれないけど、
きっとあのときの決断に後悔はしないと思います。そんな芯の強さを感じる女性でした。






スティング

2013-04-11 23:04:35 | 映画+クラシック
「The Sting」

古い映画です。公開は1973年ですからもう40年くらい前ですね。
詐欺師の映画と言うと今では「オーシャンズ11」が有名ですが、これは詐欺師を題材にした映画の元祖みたいなものです。

主演はポール・ニューマン

そしてロバート・レッドフォード。

監督はジョージ・ロイ・ヒルですがこの3人は「明日に向かって撃て」と同じ顔ぶれですね。
観たことない人でも、きっと音楽を聞けば「あー!」となる思います。
古い映画なんですが今観てもかなり面白いです。テンポも良いし主役二人もかっこいいし何より最後のどんでん返しにやられます(笑)

以下は、ネタバレの内容を含みます。
どんでん返しが面白いところなので、映画を観る前に決して結末を知ってはいけません。

この映画を観たことがなくしかもうっかりここを通りかかって何となくここまで読んでいる方は今すぐDVDをレンタルしてください(笑)


昔の映画って必ず主題歌から始まりますよねー。なのでこの映画もおなじみの主題歌から始まりまり、「The Players」プレイヤーたちというタイトルが出ます。小説のように途中でいくつかタイトルが出てきて、流れがわかりやすいようになっているんですね。

始まりは1936年のシカゴ。ロバート・レッドフォード扮するジョニー・フッカーが詐欺の師匠であるルーサーと通りすがりの男をまんまと騙し思わぬ大金を手に入れますがフッカーはルーレットで大敗し一晩で大金をなくしてしまいます。
一方、ルーサーは今回の稼ぎで足を洗うことにしますが、その時フッカーに古い友人を紹介し彼の所に行けと命じます。

フッカー、ルーレットで3000ドル賭けてたけど、この時代の3000ドルってどのくらいの価値があるんでしょうね。
単純に今のレートで30万円だけど、10倍くらいはありそう。

警察官のスナイダーは、フッカーが大金を手に入れたこと、またそのお金がドイル・ロネガンという大ギャングのボスが経営するカジノの売上金だったことを知りこれが知られたら殺されるぞとフッカーを脅します。この時代は警官も賄賂次第なんですね。だけどフッカーはギャンブルで全てなくしてしまったので代わりに偽札を渡してその場をしのぎますがルーサーは殺されてしまいます。
そして、復習のために、ルーサーの紹介された友人を訪ねますがその男がポール・ニューマン扮するヘンリー・ゴンドーフでした。

The Set-Up(段取り)
大物詐欺師のはずが今では娼婦のビリーが経営している屋内遊園地の中で暮らしているゴンドーフ、フッカーの話にもはじめはやる気をみせなかったものの、「大がかりな仕掛けだぞ。金と人が必要だ」と言って動き出します。


現在の映画なら、仲間と連絡をとるのはネットや携帯電話などを使うと思いますが、この時代にそんなものはないのでゴンドーフが一人ひとり、近くまで行き合図をして招集をかけます。合図というのが指で鼻を触るんですけど、いい感じです。ゴンドーフが触ると相手も触って「了解」の合図。


The Hook(引っ掛け)
仲間がそれぞれ情報を集めたり詐欺の方法を考えたり得意分野で活躍するのもオーシャンズ11と同じですね。楽しそうw
仕掛けが決まると、早速ゴンドーフとフッカーがロネガンに近づきます。
ロネガンはロバート・ショウが演じています。

まず、ゴンドーフがロネガンとポーカーで勝負をしてこてんぱんにやっつけ、ゴンドーフを憎むように持っていき、あとでフッカーが、ゴンドーフの使用人「ケリー」に扮してまずは信用を得ます。


一方、ロネガンはフッカーの殺害を部下に命じていますが、フッカー=ケリーだとは気付きません。「ケリー」とフッカーが何度も会ってその後ロネガンの部下に命を狙われたりするんですが、絶妙なすれ違いで(笑)
なかなか殺せない部下に業を煮やしたロネガンは殺し屋を雇い、そこから怪しい影がつきまつようになります。

The Tale(作り話)
同時にフッカーはスナイダーにも追われることになります。大がかりな仕掛けである以上、何か問題があったら必ず俺に言えよとゴンドーフはフッカーに言いますが、殺し屋に狙われることもスナイダーに追われていることもなかなか言わないのですがスナイダーの件はとりあえず報告します。「何とかしないと」とゴンドーフは考えます。

The Wire(電信屋)
引っ掛ける内容は、今でいう場外馬券場を経営するゴンドーフ、そして馬券場に流れる実況中継が実際の競馬とタイムラグがあるため「それを利用して前もって買った馬の情報が手に入る、倍率の高いレースの勝ち馬に賭ければ大金が手に入るしゴンドーフにも復習できる」とロネガンを誘い出し掛け金をだまし取ろうという計画でした。
今ではテレビで実況してるしネットもあるのでタイムラグを利用することはできないですよね。30年という時代だけに成り立つ仕掛けです。

場外馬券場といっても、この頃はちゃんとバーがあってウェイターもして、サロンのようなところなんですが、それを再現するために仲間たちが部屋を借り、セットを作り、また、人を集めるために詐欺師の派遣会社のようなところに行ったり、テキパキと段取りするところも見どころです。


The Shut out(しめ出し)
ある日スナイダーの前にFBIのポーク捜査官が現れ、ゴンドーフを追っているので協力を求めまられ、フッカーを逮捕します。ポークからゴンドーフの作戦決行日を教えろ、さもないとお前と一緒にルーサーの奥さんも懲役に科すぞと脅され承諾します。
決行日の前日、ゴンドーフを裏切ることになったフッカーは、行きつけのお店の女性と一夜を共にしますが窓越しにフッカーの様子をじっと伺う影がいました。

The Sting(とどめの一撃)

ここからは本当にネタバレです!まだ観てないならまずはいますぐTSUTAYAにGOです!

決行日、フッカーが目覚めると女性はいませんでした。支度をそて外に出るとフッカーのずっと狙っていた男が拳銃を手に現れました。すると後ろから消えた女性も現れますがその男に撃たれてしまいます。何と、ロネガンがやとった殺し屋はその女性でその男はゴンドーフに頼まれフッカーを守っていたのでした。
かっこよすぎるでしょー、ゴンドーフ!もちろんフッカーも超感動でうるうるしたに違いありません。

さて、ロネガンが登場しまんまと大金を賭けさせしかし、その馬は負けしかもロネガンのミスにみせかけるという仕掛けも成功。
すると、ポーク捜査官とスナイダーが登場。フッカーの裏切りを明らかにすると何とゴンドーフはフッカーを撃ちます。フッカーが倒れると同時にポークがゴンドーフを射殺。二人とも死んでしまいます。
さらに、ポークはスナイダーにロネガンを外に連れ出すように言い、二人は逃げるようにその場を離れます。
二人が消えたのを見届けると、二人はむくっと起きだして「お疲れ様ー!」と、大成功!これでもかというくらい完璧な仕掛けでした。


ロネガンに復讐し、大金も手に入れ、さらにロネガンからもスナイダーからも追われる心配のなくなったフッカー。ゴンドーフ、凄すぎます!ゴンドーフ様様です!もちろん、フッカーは一生ついていくと心に決めたことでしょう(笑)

CGを使うわけでもなく、映画はもちろん詐欺の仕掛けもすべて手作り、製作者たちのアイデアだけで作ったものだけに心から拍手を贈りたいと思える映画でした。