数寄屋橋の風景

2015年10月08日 | 東京のお散歩
私は、まだ歩くこともできない頃から、銀座に連れてこられていた。
亡き母が、若い頃にソニービルに勤めていた事が一番大きな理由だと思われるが
母の馴染みの店も多かったので、子供連れでも何かと楽だったのだろう。

我が家からは、都営三田線(当時は6号線と言った)で日比谷で降りるか
丸ノ内線で銀座で降りるか、山手線で有楽町で降りるか…
と、色々な選択肢があったけれども、なぜか丸ノ内線が多かった。
これは、やはりお茶の水の学校に通っていた母の、若かりし頃のテリトリーだったからだろう。

丸ノ内線の銀座駅は、開業当時「西銀座」と称した事からもわかるように
銀座の西側、つまり数寄屋橋あたりの地下になる。

ソニービル、不二家、プリマハム、日劇、ニュートーキョー、東芝ビル(銀座TSビル:阪急デパート)…

どれも幼い頃から見慣れた数寄屋橋界隈の風景。
日劇はマリオンになり、ニュートーキョーも東芝も建て直しが行われている。

街が生きているという実感と、思い出の風景が、記憶の中だけのものになってゆく虚無感が
数寄屋橋のスクランブル交差点のように、心の中で交錯する。


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