お茶の水

2006年02月05日 | 草子
17年前
この街の中学に入った。
音楽という宇宙に惹きこまれ
恋をして
書と出会い
そして挫折をした。

この街を忘れかけていた頃
私はこの街に再び戻り
いつしかこの街の学校に就職した。

あの人に
離れるのが嫌と言われ
わざと遠回りして帰った日
湯島聖堂の桜のように
儚く散ってしまいそうな
そんなあの人の手を
離れて行かないように
しっかりと握って歩いた坂

そしていつか
ほろ酔いであるいた明神さんの帰り道

風の日に
ニコライ堂の献灯台の
今にも消えそうな灯を
一所懸命にその白い手で護ろうとした
そんなやさしいあの人は
もう私の隣にはいない



この街は
私の人生を全て知っている
コメント (3)
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