明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



架空のブルースマンが初個展であった。もともと何かを参考に作るのは苦手であり、勝手に作るのが楽しい。写真を始め、その人物の背景まで描けるようになり、作家シリーズ を始める。実在した人物をモチーフにするとなると、上手い嘘を付くにはホントを混ぜるのがコツだが、そのブレンドの妙というものが生まれる。江戸川乱歩いうところの〝現世(うつし世)は夢 夜の夢こそまこと“のうつし世と夜の夢のブレンドの面白さ。これは実在した人物を扱ってこそである。またそれには陰影をなくすことにより、さらに拍車がかかる。 一昨年の40周年展では、寒山と拾得はもとより、仙人や昔過ぎて実体の判らない人物など、架空の人物を多く作り、40周年だから、という訳ではないが、デビューの頃の架空の人物を作る自由を思い出した。 蘭渓道隆が完成間近であるが、随分時間がかかった。それはせいぜい江戸、明治生まれの作家を作るのとは趣がまったく違った。数百年前となれば歴史的に事実だろうと、もはや夜の夢に等しい。今度はその時どちらを向いて坐禅していたか、また袈裟は着けていたか、などこだわり、私ならではの虚実のブレンドを試みることとなる。それに引き換え、自由に創作出来る達磨大師は2日で頭部が出来てしまった。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )