随分前になるが、ジャズシリーズでポストカードを作ったことがある。セロニアス・モンク、ジョン・コルトレーン、ウエス・モンゴメリー、ロバート・ジョンソン、ブラインド・レモン・ジエフアーソン、その他架空のブルースマンである。たまに部屋の中で見かけたが、もう残っていないと思っていたら、引っ越しに際し、二十セット以上出てきた。 この頃は、オイルプリントの再現に懸命で、古典技法の事に夢中になっていた頃だった。なので、知り合いのミュージシャンが、光村印刷に勤めていると知り、アマチュアの芸術写真家としても知られた光村利藻、さらにコロタイプの光村だ。と一人興奮したものである。古典技法花盛りとなつた昨今は、コロタイプのワークショップまで開かれる状況となったが、当時はそんな時代ではない。期待したコロタイプ印刷機は光村にはすでに無く、社内に創業者の事を知る人もおらず、がっかりしたが、それでも光村印刷。ポストカードの制作をお願いした。原稿のプリントは、田村写真を立ち上げる直前の田村政実氏、マンションにカラープリンターを持ち込み、試行錯誤していた頃である。 せっかくなので、僅かではあるが、来年5月のふげん社の個展の時にでも販売したい。
タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』