届いたホウキで始めて掃いてみた。なるほど、忙しい時に寝ころがって本を読んでいる愚息に、邪魔だから外で遊んで来なさい、と言ったら返事もせず本から目を離さないまま、ゴロゴロ転がって移動したなら、頭に来てチリと一緒に掃き出したくなるだろう。 ホウキは釘に引っ掛けぶら下がっている物だが、どこにぶら下げるか決めかねている。間もなくブリキ製のチリトリも届くはずである。ブリキ製とは少々やり過ぎの感もあるが、三百円だし、荒物屋の店先を思い出し。 そうこうしていよいよ部屋が64年の東京オリンピック前夜の様相である。「ボク、口を開けたままでいるとホコリか入っちやうわよ。」と言った隣のおばちゃんは、「ボクが生きている間は、もう東京オリンピックは開かれないわよ。」といっていたが。今度のオリンピックでは、観客、選手、何人か死ぬだろう、と思っていたが競歩、マラソンは北海道と決まり良かった。当たり前である。しかし作品を地下に収蔵して水没させたり、教師がカレーで虐められたから給食のカレーを止めよう、とか、日本人が、どんどん馬鹿になって来ている。“スマホを捨て書を読もう”である。私はと言うと“随分書を捨て街にも出ない”であるけれども。
タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』