年齢のこともあるだろうが、わさわさとやかましい所はもう嫌である。そもそも人混みが好きな東京育ちはいないだろう。店が愛着を抱く間もなくはくるくると目まぐるしく変わり、落ち着きがない。通勤するわけではないから、駅から遠くても構わないので、以前からおかず横丁で有名な砂町銀座辺りをイメージしていたのだが、駅から遠い分、かつての東京の匂いがする。大通りも、これで上を都電やトロリーバスの電線が網目状に張り巡らされていれば、さらに懐かしいのだが。夜中は大通りもひっそりしていて、乱歩の青銅の魔人が闊歩してそうである。明日には2つ持ってきた本箱の一つにようやく本を詰め込み、段ボールを多少減らす事ができるだろう。タウン誌深川の原稿を仕方なくスマホで書いて送信。引っ越しについて。
タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』