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明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

陰影  


葛飾北斎の凄いところの一つに動体視力がある。波もそうだが二羽の鳥の絡み合うようにして飛ぶ躍動感。それに比べ西洋人の動体視力はかなり劣ったのか走る馬の脚の動きなど前足後ろ脚が揃っている絵など、むしろどうやって見たらあのように見えるのか。それも論争になった、というから相当なものである。マイブリッジがカメラを並べて連続写真を撮っている。 その北斎も西洋の遠近法、陰影法を研究し、晩年取り入れていったが、北斎自身がいうように、もう少し時間があったら、というところであろう。 陰影と遠近感覚はセットになっており、陰影のある画面に日本的遠近法を取り入れようとして、グループ展の出品作を二度差し替えるという醜態を演じ討ち死にしたのは昨年であった。無理はある程度予想はしていたが、行灯の灯りによってゲンセンカンの女に陰影を与える誘惑に勝てなかった。結局青木画廊の個展には陰影のみのゲンセンカンの女、とした。では陰影がなければ、日本的遠近法は可能か、というと、見る側が写真と思って見るからよほど歪ませないと効果が出ないことも判っている。虎を見たことがなかった日本人の虎の味を出すため猫を使ったが、写真という西洋由来の物に、かつての日本の常識を。 話はそう簡単ではない。

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載9回『牡丹灯籠 木場のお露』

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石塚公昭幻想写真展-生き続ける作家たち- 2018年7月25日(水)~9月2日(日)

展評銀座青木画廊
『ピクトリアリズムⅢ』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtub

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