明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



本日も母の見舞い。シルバーカーと携帯電話を持ってこいといわれていた。それにしても母がこれほどチョコレート好きだとは思わなかった。必ず買って行く。カラオケなどやるデイサービスやショートステイを母は楽しみにしていたが、この病院までが楽しいという。思えばサラリーマンと結婚したつもりが脱サラ、父が亡くなった後もさらに10年働いた。友人でも外出もままならない、なんて話はザラにある。そう思うと有り難いことである。 病院の都合で一時的に大部屋から個室に移された。大きな窓から夕日を眺められる部屋でなかなか良い。そこで谷崎潤一郎の『瘋癲老人日記』用にこの部屋を撮影しておこう、と思いついた。大谷崎が入院するにしては質素な病室ではあるが。私もただでは起きない、と自分で呆れてみた。谷崎に夕日を眺めさせ、老境の黄昏時を表現してみたい。病室を撮っておいて、寝ている谷崎を作って、後から本当の夕日、もしくは夕日風照明を当てて合成する.私にはおなじみの作業であり、谷崎の眼鏡に夕日が反射しているところなど想像した。やはり今回も夕日による“陰影”がポイントであろう。私の大リーグボール3号は使えないことになる。本当は谷崎にはチューブだらけになって欲しい所だが、残念ながら?この部屋には点滴などない。口を開けて寝ている他所の婆さんを撮影しておいて、という訳にはいかないし、夕日が当たっていなければ使えない。帰りに錦糸町の丸井の中のユザワヤへ行き、円朝の羽織の紐用の紐を買う。泉鏡花からむしり取って使っていた。

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