明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


昼過ぎにようやく背景に使うカットが決まる。ライトやライトスタンドなど持っていったが、結局何も使わず、部屋の状況そのまま撮影した、ごく最初のカットである。私の場合、そういうことが多い。準備をすればするほど冴えず、頭を使ってあれこれやっていると、さらに駄目になっていく。頭が状況を把握する前の方が良く、把握したと思ったときには、だいたいつまらなくなっている。そこから終日かけて、諸々の修正。ここに主役とはいえ、まったくの作り物が入ってくる。今のうちに地ならしをしておかなければならない。  その主役だが、まだ頭しかできていない。明日から身体を作らなければならないが、ここからは頭部と違い、乾燥させ、仕上げに入る手前まで、無酸素状態で一気に行く。最も快感物質が脳内に溢れ出る場面であり、物心付いたときから、私はこの快楽のためだけに生きている、といってよい。気がついたら出来ているという感じで、飴細工のオジサンか、というくらいの速さである。ここをグズグズしていると、時間をかけて制作した頭部を生かすことができないのである。

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