明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

着地  


雑記の間が空くと、幼馴染のTあたりは、私が頭部の完成直前に新たな写真資料を入手したので、触っているうち収拾がつかなくなり、と思ったに違いないが、残念ながらご明察の通り、ということになる。だから電話なんかしてくるんじゃない。  しかし、だいたい予想はしていたし、せっかくここまで作っていたのに、と思っているようではいけない。脱線したら、脱線して良かった、と思うまで私は止めないのである。というわけで無事着地に成功し、こうして雑記を書いている。
『大乱歩展』本日終了である。知人には2回観に行った人もいるくらい質、量ともに充実した展覧会であった。今日観てきた友人によると、寝転がっている人形の乱歩と、ポスターの乱歩が同じ大きさだと思う人はいなかったという。江戸東京たてもの園での展示の時だったか、この撮影に使っているのは、ここに展示してある人形です、とパネルに表示しているのに、それを読みながら「これとは別のだよ」と話し合っているカップルがいて、呆れるよりも逆に感心したことがある。人は経験したことと、目の前のことを比較しつつ、そろそろと生きているわけだが、こう見えるものは、こういう物である、という経験をしてきて、頭が固くなった大人は騙されやすい。私は別に騙すつもりはなく、粘土の質感丸出しで作っているのだが、思い込んだ大人に、いくらいっても駄目なようである。

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