明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



最近、人形の頭部を作っていて、思い出したようにやるのが、粘土ベラを使わず指で作ることである。しかも作り始めのザックリしてる状態ではなく、仕上げの一歩手前のあたりで。これは以前、宅急便かなにかが来て、作業を中断した時のこと。私はこういうとき、無意識にヘラを持ったまま玄関まで行ってしまうことがあり、どこかに置いて、ついでに他の事をして、作業に戻ろうとしたらヘラがない。無意識なので、なんでここにないかが解らない。作りたい気分の持って行き場が無く、カッカしてくる。そこでつい指で作ってみたら、先ほどまで越えられなかった山を、やすやすと越えてしまった。それ以来たまにやるのだが、調子が良い。
調子が良いところでK本に顔を出す。飲み始めてしばらくして店を出た客が、以前から噂に聞いていた“スカート”を履いたオジさんであった。何しろ上半身は普通の男物の服を着て、スカートを履いている中年男なのである。下にズボンを穿くでもなく、靴も普通の男物である。今日は白いスカートだったが、夏にはワンピースを着ていることもあったというから、かなりの“上級者”である。以前誰かが、何でそんな格好をしているのか尋ねたそうで、それが気に障ったか、以来顔を見せなかったらしい。アレを見たら、普通尋ねる気にはならないと思うのだが。  そういえば以前、友人の個展のオープニングに顔を出した時のこと、隣りで作品を観ている男が突然「○○○コ」と差しさわりのある単語を口にした。それも小さいとはいえない声で。ギョッとしたら、連発していた。おそらく自分ではコントロールできないのだろう。 後で聞くと、これがあるため人前には出せないが、仕事は相当できるので、社内に特別に一部屋をあてがわれている人物だそうである。あのオジさんも、スカートさえなければ、とどこかで惜しまれているかもしれない。

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