◎私の知らないわたしの素顔(Celle que vous croyez)
まあ僕はジュリエット・ビノシュのファンだからどうしても贔屓目になる。
で、この、あかん世界のあかん映画だが、おもしろい。見事。
でもそういいきれるのは前半までで、ようするに五十路になったビノシュがとちくるっておもわず25歳といつわってSNSを始めてしまったことで、自分から奈落に墜ちちゃうって話なんだけどね。後半が、あかん。若い男ギヨーム・グイにふられたことで、そのルームメイトのフランソワ・シヴィルをたぶらかそうとしたのは、まあいいだろう。ふたりがSNS上で本気になっちゃって逢いたいとかってなるほもまあいい。で、もちろん、逢える勇気もなく、幻の若い女(自分を捨てていった元夫の結婚相手の名前なんだけど)を行方不明にさせて、自分から接近してつきあうようになるのも、まあそんなところだろう。で、こういうだまくらかしのつきあいはどこかで破綻するもので、あんのじょう、そうなるわけだが、このあとがあかん。
ギヨーム・グイが心理療法士ニコール・ガルシアに嘘をついてフランソワ・シヴィルが自殺したことにして、その罪の意識からビノシュが小説風の告白を残して精神病になって9か月入院したのもまあゆるそう。けど、そのあと、またもや、結婚してふたりの子をなしたフランソワ・シヴィルに若い女といつわって連絡しようとするっていう展開はありか?