ヤクザマネー ＮＨＫ「ヤクザマネー」取材班 講談社

平成１９年１１月１１日に放送されたＮＨＫスペシャル
『ヤクザマネー～社会を蝕む闇の資金～』を書籍に
まとめたものです。
ヤクザマネー　ＮＨＫ取材班　講談社



ＮＨＫスペシャルの方は見てませんが、
前に紹介した『山口組概論』を読んで
表社会の中に食い込んでいる
反社会的勢力の資金の存在に
強く興味を持ちました。
そこで選んだのがこの本です。

さすがに実名が出ているのは
故宅見勝元組長や、故石井進稲川会元組長など
その筋の世界で有名な「経済やくざ」ばかりで
丹念に取材した個々の具体的事例に関する登場人物は
みんな仮名です。

しかし、想像されたとはいえ
「ヤクザマネー」が表の社会に知らず知らず
食い込んでいる実態は驚きです。

資金獲得の経緯が合法であれば
ヤクザの金であれカタギの金であれ
どこに違いがあるのかという論法は
ともすれば納得しそうになりますが、
その金で暴力団が何をしているのかが
もっと明らかになれば、その論法がいかに
マヤカシであるかがわかるでしょう。

しかしながら、本書はもっぱら
やくざの資金獲得の実態の側面にのみ
スポットライトを当て、それが一体どのように
使われているのかについてはやや記述が薄いです。

だからどこが悪いのかという点が問題にされず、
「ヤクザマネー」を使うことに
後ろめたさは感じないのかというような
感情論の展開になったり、
「ヤクザマネー」を使うことが明らかになれば、
社会的信用が失墜するなどと表面的な議論が先行し
「何が悪いのか」「どこが悪いのか」かが
あまり深く考えられないようになっているように思います。

「合法的な経済活動」の一言で
片付けられない闇の部分が
「ヤクザマネー」には潜んでいる
様に思います。

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