横浜の居酒屋でお刺身盛合せを注文したら、
その中の一品に、
小さく半分透きとおったピンク色したエビが入っていた。
新鮮で甘くとろりとし、
それでいて尾ひれの食感が気持ちよい。
店員に
「これは何と言うエビですか?」
と尋ねたら桜エビだと教えてくれた。
「大阪で、桜エビの刺身は食べた事がありません。
乾燥したお好み焼きに入っているものだけ。
凄く美味しいです。」
と言うと、店員は喜び自慢げに
「これは駿河湾近郊でしか獲れなく、
湘南の漁港で水揚げされたものを出してます。
春と秋の短い期間しか取れなく、
水揚げ量も制限されていて、
お刺身で食べれるのは少ないんですよ」
昨日、母と二人で横浜まで来た。
母と二人っきりの旅行は私が脳出血を発病して初めてである。
旅行といっても、川崎の病院に入院する叔父のお見舞いだ。
先月、急の知らせで川崎に独り住む叔父が入院したのを知った。
脳梗塞で部屋に倒れていたらしい。
アパートの管理人が様子がおかしいので、
不審に思い、部屋に入って分かったそうだ。
3日ほど、部屋で倒れたままの状態だったらしく、
すぐに救急車で運ばれ入院した。
食事も出来ず言葉もでない。
右半身は完全な麻痺。
左半身も少し動くだけ。
人の識別も出来ているかどうかも分からないと言う。
母もすでに後期高齢者。
弟の状態が気になるものの、
独りでお見舞いに行ける状態でもないし、
決心もつかない。
年末で多忙なのだが、妻と相談し
母を連れて来ることにした。
ベットに寝かされた叔父は眼だけが私たちを追っているようだった。
声をかけ、手足をさすり、母の名前を書いた紙を目に持っていく・・・
少し、眼に涙がにじみ出た。
母が会いに来たのが解ったようだ。
でも長くは続かなかった。
疲れたのだろう。すぐに眠ってしまった。
看護師さんから、紙オムツやシャンプー、タオルなど
必要なものを用意して下さいと頼まれ、
母が1階にある売店に買いに行った。
30分ほどだろうか、
母が帰ると薄っすらと眼を開けた。
医療器具を付けられ手袋をはめた左手を、
動かそうとしている。
10センチほど手が上がった。
顔が笑った!
「オレは生きているぞ!
お姉さんも元気か?」
そう言っているように聞こえた。
それも長く続かなかったかも知れない。
10分ほどの間は、
私たちの問いかけに、
手を動かすことで返事をしていた。
そのうち、考える事に疲れたのだろうか?
手を動かし、足を動かそうとするし、
眼も私たちを追いかけるのだが、
顔の表情は消え、
無意識に身体を動かしているだけのように思えて来た。
ただ、自分の存在を誰かに伝えたい。
それだけのように思えて来た。
母は辛いだろう。
でも確かに笑い、涙を流した。
母が会いに来てくれたことを喜んでくれた。
今日もお見舞いに行きます。
次に来る時は・・・
その中の一品に、
小さく半分透きとおったピンク色したエビが入っていた。
新鮮で甘くとろりとし、
それでいて尾ひれの食感が気持ちよい。
店員に
「これは何と言うエビですか?」
と尋ねたら桜エビだと教えてくれた。
「大阪で、桜エビの刺身は食べた事がありません。
乾燥したお好み焼きに入っているものだけ。
凄く美味しいです。」
と言うと、店員は喜び自慢げに
「これは駿河湾近郊でしか獲れなく、
湘南の漁港で水揚げされたものを出してます。
春と秋の短い期間しか取れなく、
水揚げ量も制限されていて、
お刺身で食べれるのは少ないんですよ」
昨日、母と二人で横浜まで来た。
母と二人っきりの旅行は私が脳出血を発病して初めてである。
旅行といっても、川崎の病院に入院する叔父のお見舞いだ。
先月、急の知らせで川崎に独り住む叔父が入院したのを知った。
脳梗塞で部屋に倒れていたらしい。
アパートの管理人が様子がおかしいので、
不審に思い、部屋に入って分かったそうだ。
3日ほど、部屋で倒れたままの状態だったらしく、
すぐに救急車で運ばれ入院した。
食事も出来ず言葉もでない。
右半身は完全な麻痺。
左半身も少し動くだけ。
人の識別も出来ているかどうかも分からないと言う。
母もすでに後期高齢者。
弟の状態が気になるものの、
独りでお見舞いに行ける状態でもないし、
決心もつかない。
年末で多忙なのだが、妻と相談し
母を連れて来ることにした。
ベットに寝かされた叔父は眼だけが私たちを追っているようだった。
声をかけ、手足をさすり、母の名前を書いた紙を目に持っていく・・・
少し、眼に涙がにじみ出た。
母が会いに来たのが解ったようだ。
でも長くは続かなかった。
疲れたのだろう。すぐに眠ってしまった。
看護師さんから、紙オムツやシャンプー、タオルなど
必要なものを用意して下さいと頼まれ、
母が1階にある売店に買いに行った。
30分ほどだろうか、
母が帰ると薄っすらと眼を開けた。
医療器具を付けられ手袋をはめた左手を、
動かそうとしている。
10センチほど手が上がった。
顔が笑った!
「オレは生きているぞ!
お姉さんも元気か?」
そう言っているように聞こえた。
それも長く続かなかったかも知れない。
10分ほどの間は、
私たちの問いかけに、
手を動かすことで返事をしていた。
そのうち、考える事に疲れたのだろうか?
手を動かし、足を動かそうとするし、
眼も私たちを追いかけるのだが、
顔の表情は消え、
無意識に身体を動かしているだけのように思えて来た。
ただ、自分の存在を誰かに伝えたい。
それだけのように思えて来た。
母は辛いだろう。
でも確かに笑い、涙を流した。
母が会いに来てくれたことを喜んでくれた。
今日もお見舞いに行きます。
次に来る時は・・・