徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

ゾコーバ®の使い方

2022年11月28日 06時17分46秒 | 小児科診療
日本感染症学会がゾコーバの使い方を含めたガイドライン「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版」を11/22に発表していました。
前項目の私のコメントを、より具体化したような内容なので、
引用させていただきます。

一言でいうと、

重症化リスク因子のない患者で、
症状(高熱・咳・咽頭痛)がきつい場合に、
発症後72時間以内に投与を考慮する、

ということになりそうです。

・COVID-19の5つの症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、倦怠感[疲労感])への効果が検討された臨床試験における成績等を踏まえ、高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある者に処方を検討する。

・重症化リスク因子のない軽症例では薬物治療は慎重に判断すべきということに留意して使用する。

・重症化リスク因子のある軽症例に対して、重症化抑制効果を裏付けるデータは得られていない。

・SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから遅くとも72時間以内に初回投与する。

・(相互作用の観点から)服用中のすべての薬剤を確認する(添付文書には併用できない薬剤として、降圧薬や脂質異常症治療薬、抗凝固薬など36種類の薬剤を記載)。

・妊婦又は妊娠する可能性のある女性には投与しない。

・注意を要する主な副作用は、HDL減少、TG増加、頭痛、下痢、悪心など。


今回は新たに設けられた「緊急承認」の制度(※)で承認を行ったため、シオノギ製薬は有効性や安全性についての追加のデータの提出などを行った上で、今後1年以内に通常の薬事承認の申請を行うことが義務づけられています。
そしてシオノギ製薬は、通常の薬事承認を目指すことを発表しています。

※ 緊急承認制度とは、今年(2022年)5月に新設され、安全性は従来通りですが、有効性は「推定」によって承認できる制度です。

今回の承認にはどうも“大人の事情”が見え隠れすると感じるのは、
私だけでしょうか・・・。


<参考>
■ ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会
■ 新型コロナ 国産の飲み薬「ゾコーバ」が承認 効果は
■ 「高価なかぜ薬」緊急承認の不可解〜経口COVID-19治療薬ゾコーバをめぐって
東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長 川口浩

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