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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

スギ花粉症とヒノキ花粉症では症状が違う?

2025年05月05日 06時36分40秒 | 小児科診療
日本における春の花粉症は例年、
・3月はスギ花粉がメイン
・4月はヒノキ花粉がメイン
・そしてGW明けに終了
というパターンが定着しています。

さて、スギとヒノキで症状が異なるのか?
アレルギー専門医の中でもあまり議論にはなりません。
まあ、治療が変わりませんからね。

実際のところ、どうなのでしょう。
その問題を扱った記事が目に留まりましたので紹介します。

<ポイント>
・スギは1月半ばからスタートし、ピークは2月から4月、5月にはおおむね飛散しなくなる。
・ヒノキは2月からスタートし、ピークは3月から4月、そして、6月中旬くらいまで飛散する。
・ヒノキの方がスギに比べて花粉の粒がやや小さく、粘膜に入りやすい。
・ヒノキの方が、目や喉の粘膜の炎症(目や喉のかゆみや違和感、咳)が強く出る。
・ヒノキの方が少量の花粉でも症状が出やすい。
・スギ花粉とヒノキ花粉は非常に似ている構造のため、スギの花粉症がある人はヒノキの花粉症も同時にお持ちの方が多い(約7割)。

当院でも4月下旬から、
「一旦収まっていた花粉症症状がまたひどくなった」
と来院される方が増えています。
私は「イネ科花粉症の始まり」と説明していましたが、
ヒノキ花粉症も混在している可能性がありますね。

なお、イネ科花粉症の代表であるカモガヤは、
スギ・ヒノキ花粉よりも粒子が小さいので、
咳が出やすい傾向が指摘されています。
実際に「カモガヤ喘息」という医学用語もあります。


▢ くしゃみが止まらない理由は?じつは異なる「スギ花粉」と「ヒノキ花粉」の症状の違い
2025.05.04:@DIME)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 花粉の飛散量は前年の気温や日照時間などが影響しているというが、今年は非常に花粉の飛散量が多い春になった。
 「春の花粉症」とひとくくりに話してしまいがちだが、スギとヒノキでは違う点がいくつかあるという。いったいどのような違いがあるのだろうか。耳鼻咽喉科医の木村聡子先生に教えてもらおう。

▶ ヒノキの方が目や喉の炎症が強く出る傾向に
 5月になり、花粉症のピークは越えたようだが、まだまだヒノキの花粉は飛散している。
 「全国一律ではなく少しずれはあるものの、飛散する時期は、
スギは1月半ばからスタートし、ピークは2月から4月、5月にはおおむね飛散しなくなります
ヒノキは2月からスタートし、ピークは3月から4月です。そして、6月中旬くらいまで飛散します。」
 症状は非常に似通っており、目や鼻、喉や皮膚といった場所に症状が出るのは共通している。
「ただ、ヒノキの方がスギに比べて花粉の粒がやや小さく、粘膜に入りやすいとされています。そのため、ヒノキの方が、目や喉の粘膜の炎症が強く出る傾向にある。例えば、目や喉のかゆみや違和感、咳などです。更に、ヒノキの方が少量の花粉でも症状が出やすいという特徴がありますね」
 少しの違いはあるとはいえ、症状は非常に似ているため、どちらの花粉にアレルギー反応を起こしているのか、自己判断するのは非常に難しい。
 「ご自身ではスギの花粉症だと思っていても、実際はヒノキの花粉症だったというケースはもちろんあります。逆のケースももちろんあります。そして、花粉というといろいろありますが、スギとヒノキは非常に似ている構造です。そのため、スギの花粉症がある人は、ヒノキの花粉症も同時にお持ちの方が多いのです。スギの花粉症の方で、約7割の人がヒノキの花粉症も持っているとも言われています」
 自己判断をして、市販薬で対処をしているという人もいるだろう。しかし、アレルギー検査をして、自分が何の花粉に反応しているのかは調べてもらった方が良いこともある。
 「自分がどのアレルギーを持っているのかを知ることで、“いつから”“どんな薬を”“どれくらい”使えばいいのかという目安になります。例えば、スギ花粉が飛び始める時期は、ヒノキの花粉症だけをお持ちの方はそこまで対策はしなくていいわけです。また、飛散のピークに合わせて薬の量を調整することもできます。中には自分でアレルギー性鼻炎と思い込んでいてもそうでないケースもあります。」
 自分にとって必要な薬を適切な量で適切な時期に服用するには、どんなアレルギーを持っているかという情報は非常に大切だ。マスクや服装など日常の中で対策をするタイミングも変わってくる。自分がどういう物質にアレルギー反応を示すのか、一度調べてみるといいだろう。

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アメリカで「マスク禁止条例」?

2025年05月01日 15時38分45秒 | 小児科診療
コロナ禍以前、欧米ではマスクをする習慣はありませんでした。
マスクをしているのは顔を見られてはマズイ“犯罪者”というイメージなんだそうです。

これは、欧米ではその人の表情を「口」で捉え、
日本人のように「目」で捉えるのではない、という背景もあります。
・・・口が見えていないと安心できないんだそうです。

日本ではサングラスをしていると“怪しい人”と捉えますが、
欧米ではマスクをしていると“怪しい人”になるのですね。

日本の「目は口ほどにものを言う」という格言は、
欧米では通用しないのです。

まあ、文化の違いです。

さて、コロナ禍が去りつつある現在、欧米では、
“マスクは犯罪の隠れ蓑になる”という思想に戻ってきたようです。

私事ですが、思い起こせば40年前の学生時代、
大学校内でアジ演説をしていた学生運動の人たちは、
「サングラスにマスク」という出で立ちでしたね。
あ、ヘルメットもかぶっていたなあ。

さて、アメリカの各州で「マスク禁止条例」が検討されている、
という記事が目に留まりました。
またトランプ大統領の奇抜な発想・・・と思いきや、
民主党知事が推進しているとのこと。

頻発する学生のデモに歯止めをかけたい、
という考えのようです。

しかしコロナ禍で明らかになったように、マスクが必要な人も一定数存在します。
感覚過敏の神経発達症児、
持病があり免疫力が低下している人、等々。
それらの人たちの人権も守られてしかるべき。

この議論、どのような方向に向かうのか注視する必要があります。


▢ マスク着用は犯罪に──米国で進む着用禁止の動き
Omer Awan | Contributor 
2.25.5.1:Forbes Japan)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 近年、特に新型コロナウイルスのパンデミックを通じて、感染拡大の予防などマスクの重要性が広く認識されるようになった。しかし米国では今、多くの自治体でマスク着用を犯罪行為とする法律の制定が検討されている。その背景には、大学をはじめとする公共の場での「暴動」──学生デモなどの頻発がある。
 ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)が推し進めているのは、マスクを着用して他者の安全を脅かす行為を刑事罰の対象とする法案だ。健康上や業務上、また天候などの理由がある場合は例外とされる。テキサス州の上院議員もマスク着用を禁止し、嫌がらせや脅迫、威嚇などにマスクを使用した者を罰する法案を提出。ノースカロライナ州やニューヨーク州ナッソー郡など他の多くの自治体も、同様の理由ですでにマスク着用を禁止している。
 もちろん公共の安全を守ることは重要だが、法律でマスク着用を禁止することは公衆衛生上のリスクとなる可能性がある。マスクは万能ではないものの、さまざな科学的データにより、呼吸器感染症の感染および蔓延を抑制する効果が証明されている。マスク着用の目的は、会話や咳、くしゃみなどで吐き出される感染性粒子をブロックすることだ。それゆえパンデミック中はマスクの着用が推奨、あるいは義務付けられた。
 マスクには大気汚染による有害な化学物質や粒子状物質(灰、すすなど)の吸入を防ぐ役割もある。そのため、とりわけ山火事など煤煙被害が深刻な場合の着用が推奨される。山火事で放出される粒子状物質や刺激物質は肺の中にとどまり、喘息や閉塞性肺疾患などの慢性疾患を引き起こす可能性があるが、マスクをつけることで有害な微粒子の多くをブロックできる。
 重ねて言うが、感染症の拡大を防ぐ手段としてのマスクの有効性は多くの研究結果によって裏付けられている。研究室での実験と、医療現場での検証の両面において、ウイルスを含む感染性粒子の伝播を抑制する効果が示されているのだ。CDC(米国疾病対策センター)の見解は以下の通り。
• 感染者がマスクを着用することで、ウイルスの飛散を低減できる
• 非感染者はマスクを着用することで、空気中の感染性粒子を吸い込むリスクを低減できる
 マスク着用を禁止する法律は「健康上の理由がある人」を例外の1つとしているが、実際に「例外」を見極めるのは難しい。法律上、警察が市民に宗教や健康状態について尋ねることができるのは、該当する犯罪に関連するときだけだ。見た目での判断が難しいマスク禁止法は、免疫力の低下など健康上の理由で着用している人を不利益な状況に追い込む。外出時に知らない人から着用の理由を聞かれたり、マスクを外すよう命じられたりするのは不快な体験だ。そもそも着用の理由を聞くことは、HIPAA法(個人情報保護に関する法律)で規定されたプライバシーの侵害にあたる。「免疫力が低下した人」とは化学療法を受けているがん患者、ステロイドを服用中の人、臓器移植を受けた人、慢性疾患を抱えている人などであり、私たちが想像する以上に多く存在することを忘れてはならない。
 マスク着用が法律で広く禁止されると、こうした人々が逮捕の不安から外出を控えるようになるなど、社会的に孤立する可能性がある。レストランなどでは、マスク着用者の入店拒否を行うところも出てくるかもしれない。マスク着用の禁止は、社会で最も弱い立場にある人々への不当な偏見と差別を生み出す危険性をはらんでいる
 マスク着用禁止を求める政治家には、デモに参加した学生の特定などではなく、真に犯罪を撲滅したいという思いがあるのかもしれない。しかし法律というものは人々のさまざまな事情を広く鑑み、国民全体の幸福を前提に制定されなければならない。マスク着用を法律で禁止することは、何より致死率の高い感染症の広がりを抑制するというマスクの重要な役割を無視している。科学や公衆衛生まで政争の具となっている現在、米国はすべての国民の幸福のために戦うリーダーを必要としている。
 「Mask Together America(マスク・トゥギャザー・アメリカ)」の創設者であり、自由なマスク着用の権利をうったえるジュリー・ラムは言う。「私は今、服用している治療薬の副作用で免疫力が低下しています。そして今、他の病気に感染すれば入院する事態も避けられないと主治医に忠告されています。私はマスクを着用して抗議活動を行っていますが、それはマスク着用の自由を訴えるためだけではありません。政府による公衆衛生予算の大幅削減に反対し、みんなで声を上げようと呼びかけているのです」





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2025年、春の花粉症は終盤も、地域により例外あり

2025年04月21日 05時32分40秒 | 小児科診療
先週末は学会出張で名古屋へ行ってきました。
その帰り(昨日)、目が痛くなり涙が止まらなくなりました。

はて、スギ花粉飛散は終了、
ヒノキ花粉もピークアウトしたはずなのに・・・
と思っていたら、以下の記事が目に留まりました。

東海地方はまだまだ飛んでいるのですね。

▢ 九州~東北は花粉シーズン終盤も東海で非常に多い飛散 ゴールデンウィーク頃まで注意
吉田友海:日本気象協会(2025年04月20日:tenki.jp


 スギやヒノキ花粉シーズンは、九州から東北では終盤を迎えています。21日(月)以降は東京や大阪、福岡は「少ない」でしょう。一方、仙台は「やや多い」、名古屋は「非常に多い」、高知は「多い」日がある見込みです。花粉症の方はまだ対策をすると安心です。


 スギ、ヒノキ花粉シーズンは、九州から東北で終盤を迎えています。
21日(月)以降は東京や大阪、福岡は「少ない」見込みで、花粉の飛散は終息に向かっています。
 一方、仙台は「やや多い」日が続き、名古屋は21日(月)と22日(火)は「非常に多い」、24日(木)から26日(土)は「多い」でしょう。高知は21日(月)と22日(火)は「多い」見込みです。花粉症の方はまだ対策をした方が良いでしょう。

▶ 5月上旬頃までは注意
 5月上旬ごろまでは各地で花粉がわずかに飛ぶ日がある見込みです。特に、風が強い日などは飛散量が多くなることもあります。花粉に敏感な方は、気象情報や花粉情報を確認して、もうしばらく対策を行うと安心です。


自分としては、鼻症状がほとんどないがちょっと不思議。
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そろそろ終わる花粉症シーズン。

2025年04月15日 05時33分45秒 | 小児科診療
「3月はスギが中心、4月にヒノキに入れ替わり、GW頃終わる」
と説明してきた春の花粉症(スギ/ヒノキ)も、そろそろ終盤。

今年の花粉症飛散量は、例年の1.4倍とやはり多かったようです。
「去年はガマンできたけど、今年はつらくて受診しました」
という患者さんが3月には目立ちました。

でも爆発的に増えたかというと、
目を赤く腫らして受診する幼児は目立たず、
ピークはなだらかだった印象もあります。

データを解析すると、
日本の中でも地域により飛散開始・飛散のピーク・飛散量は大きく異なることがわかります。
東京都は昨シーズンより少ないとのこと。
単純じゃないんですね。


▢ 3月までの花粉の飛散量は前年比1.4倍、西・東日本は4月中旬までの見込み
2025.04.13:@DIME)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 ウェザーニューズは、2025年3月31日までのスギ・ヒノキ花粉の飛散状況と最新見解をまとめた「第五回花粉飛散予想」を発表した。強い寒波によって飛散の始まりが遅れ、症状は西ほど「つらい」人が多い傾向にあるなど、同社リリースをベースに、その概要をお伝えする。

<第五回花粉飛散予想>
■ 現在の飛散状況:西からヒノキ花粉の飛散が増加、東北ではスギ花粉が本格飛散
 現在、九州から東北でスギ・ヒノキの花粉が飛散している。九州から関東ではヒノキ花粉が本格的に飛散しており、北陸の一部や長野ではスギ花粉の飛散が減少して、ヒノキ花粉の飛散が増えてきている。
 東北ではスギ花粉が本格的に飛散している状況で、北海道のシラカバ花粉はまだ飛散が始まっていない

■ 今後の飛散予想:西・東日本では4月中旬までヒノキ花粉が本格飛散



 今後は、まず九州から関東では4月中旬までヒノキ花粉の本格飛散が続く予想だ。東北南部ではスギ花粉が減少し、まもなくヒノキ花粉の飛散量が上回る見込み。
 スギ花粉に比べると総飛散量は少なくなるが、4月下旬にかけてヒノキ花粉が本格的に飛散する見通しだ。東北北部ではスギ花粉の本格飛散が4月下旬まで続く予想となっている。
 これからシラカバ花粉の飛散シーズンを迎える北海道では、4月下旬以降に各地でシラカバ花粉が飛び始める本格飛散は道南や道央で4月下旬から5月上旬、道北から道東では5月上旬から中旬で、ちょうどゴールデンウィークと重なる見通し。5月下旬には飛散量が少なくなる見込みだ。

<今シーズンの飛散状況について>
■ 飛散時期:強い寒波で遅い飛散開始、3月に入って一気に飛散ピーク
 2025年は1月下旬から3月にかけて気温の変動が大きく、スギ花粉の飛散開始もその影響を受けた。1月下旬は暖気が流れ込み、西・東日本で気温が平年より高くなり、この暖かさの影響で福岡県や三重県、静岡県で平年(※1)より10日以上早くスギ花粉の飛散が開始した。
※1 花粉飛散の平年:2015〜2024年の過去10年平均
 2月に入ると断続的に強い寒波に見舞われ、日本海側を中心に大雪となる日があった。2月上旬は寒気の影響で西日本を中心に気温が平年を下回った日が多かったため花粉はあまり飛散せず2月中旬に一時的に寒さが緩んだタイミングで九州や四国、関東を中心に飛散開始となった。



 暖気が流れ込み全国的に季節先取りの暖かさとなった2月下旬から3月上旬には近畿から東海、北陸、東北の広いエリアでスギ花粉の飛散が始まり、既に飛散が開始していたエリアでは本格飛散シーズンに突入。飛散開始は東日本で平均3日程度、西日本では平均5日程度、平年より遅くなった
 その後3月中旬にかけて断続的に暖気が流れ込み、2月下旬以降に飛散開始となった近畿や東海、北陸、東北でも3月中旬までに本格飛散シーズンに入り、飛散のピークを迎えた。
 今年は気温の変動が大きかった影響で、飛散開始から本格飛散開始までの期間(日数)の地域差が大きくなった。飛散開始が早かった福岡県や三重県、静岡県では20〜30日程度だった一方で、広島県や福井県、宮城県などでは飛散開始の翌日に本格飛散開始となっている。
 なお、平年は飛散開始から本格飛散開始までは1週間程度かかるが、今年は全国平均(北海道除く)で9日程度だった。
 飛散時期による花粉症の発症時期への影響を調べるため、スマホアプリ「ウェザーニュース」で調査(※2)を実施したところ、「例年通り」と答えた人が最も多く53%、次いで「早かった」が32%、「遅かった」が15%。2024年と比べると、「早かった」は9ポイント減少し、「例年通り」は5ポイント、「遅かった」は4ポイント増加した。
※2 スマホアプリ「ウェザーニュース」にて「今年の花粉症、症状が出た時期はどう?」と質問し(選択肢:“早かった”“例年通り”“遅かった”“花粉症ではない”)、“花粉症ではない”の回答を除いて集計(調査日:2025年4月5日、回答数:9962)。
 今年は気温の変動が大きく、急に暖かくなる日があれば、急に冷え込む日もあるなど、気温が安定しない日が続いた。この気温の不安定さが、スギやヒノキの花粉の飛散開始時期やピークに影響を与え、結果として花粉症の症状が出始める時期にも個人差が生じたと考えられる。

■ 飛散量:西日本を中心に前年比で大幅増、東京都など関東南部は2月の低温の影響で前年比減
 ウェザーニューズ独自の花粉観測機「ポールンロボ」による観測では、2025年2月1日から3月31日までの全国の花粉飛散量は前年同時期の138%となった。特に前年の飛散量が少なかった西日本では全域で前年を大きく上回り、福岡県では500%を超えている。
 一方、東北では前年を下回った地域が多くなった。前年の飛散量の反動が今年の飛散量に反映された結果と考えられる。



 関東南部では飛散量が前年を下回り、東京都の飛散量は前年の64%だった。2月の寒波の影響で飛散開始および本格飛散のタイミングが遅れた影響によるものと考えられる
 花粉症の症状のつらさはどうだったのか、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた症状報告を集計した(※3)。
※3  スマホアプリ「ウェザーニュース」の「花粉飛散情報」において、2025年2月1日~3月31日に花粉症のユーザーから寄せられた症状報告(のべ90,739通)のうち、“とてもつらい”“つらい”の回答を合計して割合で表示



 集計の結果、エリアごとで異なる傾向が見られた。症状がつらいと感じた人の割合を2024年と比較すると、東北北部は減少した一方で、北陸・長野や中国・四国、九州では約10ポイント増加しており 、花粉症の人にとって過酷な春となったようだ。
 期間全体の花粉飛散量は、特に西日本を中心に2024年より多く、症状がつらいと感じる人が多かったと考えられる。関東南部は前年比で飛散量が少なくなったが、症状がつらいと感じた人は前年と同程度だった。
 今年は強い寒波の影響で飛散開始が遅れ、対策を開始する時期も難しいシーズンだったと考えられる。

<関連情報>
・https://weathernews.jp/pollen/

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幼児発症の花粉症が増えている

2025年04月06日 06時41分43秒 | 小児科診療
近年、子どもの花粉症が話題に上がるようになりました。
どんどん増えているのです。
私が診断した最少年齢は1歳ですね。
シーズンのピークになると、目を真っ赤にした幼児の受診が目立ちます。

先日公表されたデータでは、
8歳児の6割がすでにスギ花粉に対する抗体が陽性とのこと。
ホント、花粉症は国民病になってしまいました。

小児の花粉症を扱った記事が目に留まりましたので紹介します。

<ポイント>
・早い子であれば2~3歳で発症する。スギ花粉症の年齢別の発症率は、
 ✓ 5〜9歳:30.1%
 ✓ 10〜19歳:49.5%
・軽症のうちであれば比較的短い治療期間で根治する。
・鼻水、鼻づまり、くしゃみなど基本的な症状は、大人も子どもも変わりはない。
・子どもはアレルギー症状が目に出やすく、大人よりもかゆみを感じやすいのが特徴。
・大人の場合、鼻水がサラサラしていることが多いのですが、子どもは粘り気のある鼻水が出ることが多く、くしゃみよりも鼻づまりの方が起こりやすい。

小学校入学時には3割、
小学校卒業時には5割、
の子どもが花粉症ということになります。


▢ 子どもの花粉症を見逃してはいけない…「長年治療を受けないと重症化」根治が期待できる早期発見のポイント
早い子であれば2~3歳で発症する連載『子どもの一生を決める花粉症対策』#アレルギー#花粉症#書籍抜粋
医師:村川 哲也
2025.04.05:PRESIDENT Family Online)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 子どもは何歳から花粉症になるのか。耳鼻咽喉科専門医の村川哲也さんは「早い子であれば2~3歳で発症する。軽症のうちであれば比較的短い治療期間で根治することが期待できる。そのためには見過ごさないことが大切だ」という――。

▶ 2〜3歳で花粉症になることもめずらしくない
 子どもの花粉症は年々増えていて、スギ花粉症の年齢別の発症率は5〜9歳で30.1%、10〜19歳で49.5%とする調査結果があります(*1)。この調査結果を見ると、19歳以下の半分近くが花粉症にかかっていることになりますし、飛散量が増加傾向にある中で今後、子どもの花粉症患者はどんどん増えていくと考えられます。
*1 松原・他.(2020).鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較).日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
 生後間もない乳児は外に出ることがあまりなく、浴びる花粉も少ないため、花粉症になることはほとんどありません。ところが、外に出かけられるようになると、花粉を浴びる機会が増えるため、花粉症を発症するリスクが高くなり、早い子であれば2〜3歳で発症します。
 花粉を早いうちからたくさん吸っていると重症化しやすくなります。
 たとえば、小学校に上がる前は花粉症ではなかったにもかかわらず、小学校高学年になると重症化して見つかることもあります。本州、四国、九州の場合、スギ花粉はどこでも飛んでいて、逃がれることはできません。知らず知らずのうちに花粉症になっており、気づかずに症状が進行していることがあるのです。

▶ 子どもの花粉症は見過ごされやすい
 子どもの花粉症で注意が必要なのは、花粉症であることを見過ごされてしまう点です。スギやヒノキの花粉が飛散する時期は季節の変わり目で、風邪の流行時期と重なります。
 そのため、くしゃみや鼻水が出ていたとしても、「風邪だろう」と親御さんが判断してしまうことがよくあるのです。
 さらに、小さいうちは、症状を親御さんに具体的に訴えることもないので、花粉症であるのを見過ごされやすいのです。
 花粉症は軽症のうちであれば、比較的短い治療期間で根治することが期待できます。
 ところが長年治療も受けないまま花粉を浴び続けると重症化します。
 症状が重くなると、花粉シーズンは常に鼻づまりや鼻水、くしゃみが出て、つらい思いをすることになります。常に鼻がつまっていると、頭がぼーっとして集中力も欠きますし、夜に鼻づまりやくしゃみが出ると、よく眠ることができず、日中に眠気に襲われ、授業をまともに受けられなくなります。
 子どもの異変には親御さんが気づいてあげないといけません。特に、春や秋に熱がないのに鼻がつまっていたり、頻繁に目をこすっているなと思ったら、すぐにでも耳鼻咽喉科を受診しましょう。

▶ 子どもはアレルギー症状が「目」に出やすい
 鼻水、鼻づまり、くしゃみなど基本的な症状は、大人も子どもも変わりはありません。ただ、大人と違って、子どもは具体的な症状を言葉で訴えることは少なく、目をこする、鼻をやたらにいじるなど、行動面で花粉症特有の不快感をあらわすことが多いです。
 子どもはアレルギー症状が目に出やすく、大人よりもかゆみを感じやすいのが特徴です。そのため、かゆさをがまんできずに、目を強くこすってしまいます。目のまわりは皮膚が弱く、デリケートなため、強くこすると赤み、かゆみが余計に強くなり、炎症を起こしてしまいます。
 また、目をこすると角膜を傷つけることになるので、視力などにも影響を及ぼします。
 子どもがいつもと違う仕草をしていないか、見てあげてください。具体的に、わが子が次のような行動をしていたら、花粉症を疑いましょう。

【目】
●目をかく
●目が赤く充血している
●目をしょぼしょぼさせている
【鼻】
●鼻水がよく出る
●鼻がつまっている
●鼻をよくすする
●鼻でいびきをかく
【口】
●くしゃみを頻繁にする
●口をよく開けている

 また、大人の場合、鼻水がサラサラしていることが多いのですが、子どもは粘り気のある鼻水が出ることが多く、くしゃみよりも鼻づまりの方が起こりやすいです。
 そのため、口呼吸をするようになり、口を開けて息をしていることが多く見られます。
・・・
▶ 都会のほうが花粉症が重症化しやすい
 スギやヒノキは山にたくさん生えているため、田舎の方が花粉症になりやすいとイメージしがちですが、答えはノーです。都会でも田舎でも、花粉症にかかります。
 田舎はコンクリートが少なく、車の往来も都会に比べると少ないので、空気がきれいな場合が多いです。空気がきれいなところで花粉症になったとしても重症化することは比較的少ないですが、都会に住んでいる場合は重症化しやすいのです。なぜなら、都会の空気は排気ガスなどで非常に汚れているからです。
 都会の方が重症化しやすくなる原因の一つに、空気中に含まれる「アジュバント物質」があります。アジュバント物質とは、免疫反応を促進する物質。排気ガスやPM2.5などがその代表です。アジュバント物質が付着した花粉は、アレルギーの症状を約2倍も悪化させるといわれています。
 残念ながら、「(スギの木が少ない)都会に住んでいるから軽症」というわけにはいかないのが現実です。

<参考>
・村川哲也『子どもの一生を決める花粉症対策』(小学館クリエイティブ)
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スギ花粉飛散(悲惨)「極めて多い」が続く

2025年03月20日 07時01分59秒 | 小児科診療
3月下旬を迎え、スギ花粉飛散がピークを迎えています。
これから約1週間は「極めて多い」が続く模様、
一方でヒノキ花粉も飛び始めているようです。



ヒノキ花粉症のピークは4月ですが、
スギ花粉症の約8割がヒノキにも反応しますので、
油断できません。

春の花粉症(スギ・ヒノキ)が終わるのはGW頃です。
もし、GWを過ぎても花粉症症状が続くときは、
イネ科花粉症の可能性があります。

<参考>

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日本国民の半分以上がスギ花粉症〜あなたの県は第何位?

2025年03月14日 06時36分40秒 | 小児科診療
年々増加し続けるスギ花粉症。
とうとう日本国民の半分以上が発症したようです。

以前アレルギー学会で耳にした試算では、「最高8割がスギ花粉症になる」と記憶しています。
それが現実になってしまうのでしょうか。


▢ 花粉症調査 2人に1人以上が花粉症、20代までの発症が最多
2025/03/12:ウェザーニュース)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 春の花粉シーズン真っ最中、つらい日々を過ごしている方も多い時期です。ウェザーニュースは花粉症の発症率や対策の実態を調査し、その結果を発表しました。

▶ 発症率が最も高いのは山梨県
 「あなたは花粉症ですか?」と質問したところ、11,779人からの回答がありました。「花粉症です」と回答したのは58%で、2人に1人以上が花粉症ということがわかりました。まさに「国民病」と言っても過言ではありません。
 都道府県別にみると、最も花粉症の方の割合が高かったのは山梨県で72%、2位は三重県で69%、3位は静岡県で68%と続きます。東京都は7位、大阪府は18位、愛知県は7位でした。



 全国平均の58%を超える県は本州の太平洋側に集中しており、特に関東甲信と東海で60%を超える県が多くなりました。



▶ 発症率の上位は飛散量も多い傾向
 ウェザーニュースが全国に設置している独自の花粉観測機「ポールンロボ」による観測に基づいて解析された、2017〜2024年の花粉飛散の平均値を見てみると、東北北部の一部や福島県、関東甲信、東海などで特に飛散量が多いことがわかります。



 東北北部では花粉症の発症率が30〜40%台で都道府県ランキングも40位以下のため、発症率と飛散量が完全に一致しているとはいえませんが、上位にランクインしている山梨県や静岡県、関東などでは飛散量も多い傾向にあります。

▶ 20代までの発症が最多、50代以降の発症も1割で油断禁物
 「花粉症になったのは何歳ごろ?」と質問したところ、10,349人からの回答がありました。「花粉症ではない」を除くと、「~20代」の回答が48%と最も多く、花粉症の方の約半数が10歳未満や10代、20代で発症したことがわかりました。
 また、『年をとると花粉症が軽くなる』と言われることもありますが、「50代以降」の発症も12%おり、まだ症状が出ていない方も油断できないことが伺えます。
・・・

<参考>
花粉症解説(当院公式ブログ)
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スギ花粉2025、大量飛散中

2025年03月08日 06時27分48秒 | 小児科診療
3月に入り、スギ花粉飛散が本格化し、今週はピークを迎え、
受診される患者さんも増えてきています。
近年、乳幼児の発症者も多く、
赤くなった目をこすりながら来院されます。

現在の花粉飛散予報マップ(ウェザーニュース)

この悲惨ピークは3月下旬まで続くとのことです(関東地方)。

▢ スギ花粉ピーク続く 「極めて多い」所も 大量飛散に注意
日本気象協会 本社:小野 聡子
2025年03月07日:tenki.jp)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 今日7日は、九州から東北にかけてスギ花粉が飛びやすいでしょう。特に鹿児島では「極めて多い」見込みです。スギ花粉のピークを迎えている所が多くなっています。明日8日以降も花粉の飛散に注意が必要です。マスクやメガネなどで対策をしてお出かけください。・・・

▶ 今日7日 鹿児島で「極めて多い」
 九州から関東を中心にスギ花粉の飛散がピークを迎えている所が多くなっています。今日7日は、晴れて空気が乾燥したり、風が強まったりするため、花粉が飛びやすくなりそうです。スギ花粉の大量飛散に注意が必要です。花粉の飛散量は、鹿児島で「極めて多い」見込みです。福岡、高知、名古屋、東京は「非常に多い」でしょう。大阪と新潟、仙台は「やや多い」、金沢は「少ない」見込みです。

▶ この先もスギ花粉の大量飛散に注意
 明日8日以降も九州から関東を中心に、東北でも花粉の飛散に注意が必要です。福岡は明日8日と明後日9日は「極めて多い」でしょう。ただ、10日と11日は花粉の飛散は「少ない」見込みです。12日になると再び大量に飛散しそうです。
 広島や大阪も週末から週明け10日にかけて「非常に多い」見込みです。11日には花粉の飛散は抑えられますが、12日と13日は再び「非常に多い」飛散となりそうです。
 名古屋は11日は「少ない」ですが、その他の日は「多い」見込みです。東京も連日花粉が飛びやすく、特に10日と13日は「極めて多い」飛散となるでしょう。仙台も10日以降は「多い」見込みです。



 スギ花粉のピークは、九州や中国地方は3月上旬まで、四国、近畿、東海は3月中旬前半まで、北陸は3月中旬まで、関東と東北は3月下旬までとなりそうです。スギ花粉のピーク後は、九州から関東はヒノキ花粉が飛散し始めるでしょう。ヒノキ花粉は4月上旬にかけてピークを迎えそうです。

▶ 帰宅時・屋内での花粉対策
 帰宅時・屋内での花粉対策">外出から帰ってきたら、うがいをしましょう。また、洗顔をして花粉を落とすとよいでしょう。髪の毛にも花粉が付着するのでしっかりとシャンプーをするのも効果的です。


 花粉飛散シーズンに窓を全開にして換気すると大量の花粉が室内に流入します。花粉のピーク時に1時間の換気をしたところ、3LDKのマンション一戸で、およそ1000万個もの花粉が屋内に流入したとの実験結果もあります。窓を開ける幅を10センチ程度にして、レースのカーテンをすることで、部屋の中に入ってくる花粉の数を、全開にした時と比べておよそ4分の1に減らすことができるという実験結果もあります。窓を開ける幅は少しでも構いませんので、なるべく換気しながら花粉を防ぎましょう。
 なお、床やカーテンなどに花粉が多数付着している可能性がありますので、こまめに掃除をし、カーテンは定期的に洗濯をするとよいでしょう。

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ワクチン反対派(?)のトランプ政権は「麻疹発生・死者」をどう釈明するのか?

2025年03月06日 08時28分47秒 | 小児科診療
アメリカはワクチン先進国で、日本より先んじて「麻疹撲滅」を達成した歴史があります。
しかし誕生したばかりのトランプ政権2.0はワクチン懐疑派、
中でも厚生長官に指名されたケネディ氏は科学的に否定されているにもかかわらず、「MMRワクチンで自閉症になる」説を公言してはばからない非常識な人物です。
記事によると、
ケネディ氏が設立したワクチン反対派の団体「Children’s Health Defense(子どもの健康を守る)」は、はしかを含む一般的な予防接種を巡って州裁判所と連邦裁判所に提訴している
のだそうです。さらに、
新型コロナウイルスワクチンは「これまでに作られた中で最も致命的なワクチン」
と発言する“非科学的”な、ひとことでいえば“とんでもない人物”です。

そんな中、アメリカで麻疹の流行が報告され、死者まで出ました。
ワクチン未接種者が多いと報道されています。

この事態を、トランプ政権はどう説明し、どう動くのか、
私は注視していきたいと思います。


▢ 米テキサス州はしかで死者、ワクチン懐疑派ケネディ長官に試練
Julie Steenhuysen, Chad Terhune
2025年3月1日:REUTER)より一部抜粋(下線は私が引きました);

  米テキサス州で麻疹(はしか)の感染が拡大し、ワクチン未接種の子ども1人が死亡、20人近くが重篤な合併症で入院している。ワクチンに長年懐疑的な見解を示してきたロバート・ケネディ・ジュニア米厚生長官にとって、初の大きな試練となる。
 米国ではしかによる死亡者が出たのは2015年以来初めて。ケネディ氏はこのニュースに対して、こうした感染症の流行は日常茶飯事だと発言。さらに死者数は2人だと誤って述べ、患者が入院しているのは「主に隔離」が目的だと説明した。
 公衆衛生の専門家らは、米国における過去10年間で最大規模のはしかの流行を抑制するため、トランプ政権は全国でワクチン接種を奨励すべきだと訴えている。
 テキサス州および隣接するニューメキシコ州では計130件以上の症例が報告されている。州当局者らは、はしかは感染力が非常に強いため、症例は今後も増える可能性が高いという。
 ケネディ氏は26日、「今年、この国でははしかの流行が4件発生している。昨年は16件だった。だから珍しいことではない」と語り、「はしかの流行は毎年発生している」と続けた。
 しかしテキサス州の病院関係者らは、入院した子どもらは全員ワクチン未接種で、集中治療が必要な患者もいるなど、深刻な呼吸器疾患を抱えていると説明。隔離のみを目的とした入院ではないとしている。
 病院関係者らは一般市民に対し、予防接種を確実に受けておくよう促しているが、2000年に米国で根絶が宣言されたはしかが再び出現したことに当惑している。はしかウイルスは特に幼い子どもに深刻な症状を引き起こす可能性があり、予防接種が広く普及したことが根絶宣言につながった。
 厚生省の報道官はケネディ氏の発言を訂正し、死亡者は1人であることを確認した。はしかの予防接種を呼びかけるか否かについては回答しなかった。
 テキサス州ラボックのコベナント小児病院の小児科医で最高経営責任者(CEO)のエイミー・トンプソン医師は26日、学齢期の子どもが死亡したことに関して記者会見を開き「このウイルスは深刻な結果をもたらし、死に至る可能性もある」と警告した。
 同病院の最高医療責任者であるララ・ジョンソン医師は「はしかの流行を食い止める最善の方法は予防接種だ」と指摘。「はしかワクチンを2回接種することで、97%の終生免疫(その病気に対する免疫が一生続くこと)が得られる」と付け加えた。
 ジョンソン氏は2002年に医学部を卒業した際、海外で働かない限りはしかの流行を目にすることはないだろうと考えていた。「当時、私たちは米国からはしかが根絶されたと確信していた。その状況が変わったのは明らかだ」と語る。
 複数の専門家は、ケネディ氏が長年にわたって予防接種の安全性と有効性に疑問を投げかけ続けてきたこともあって、ワクチン懐疑論が広がったことが、ワクチン未接種者やワクチン接種不足者を生み出したと指摘している。
 ケネディ氏が設立したワクチン反対派の団体「Children’s Health Defense(子どもの健康を守る)」は、はしかを含む一般的な予防接種を巡って州裁判所と連邦裁判所に提訴している
 先月開かれた厚生長官指名承認のための上院公聴会で、ケネディ氏はワクチンに反対しているわけではないと宣言。「私はワクチンが医療において重要な役割を果たしていると信じている。私の子どもたちは全員予防接種を受けている」と語り、物議を醸した。

<予防接種を>
 米疾病対策センター(CDC)の元局長であるアリ・カーン氏は「はしかによる今回の死亡例は、ワクチン反対派のメッセージが広がると命にかかわる結果を招くことを思い知らせた。米国民の中で、予防可能な小児疾患の症例はゼロでなければならず、ましてや死者など出てはならない」と述べ、国、州、市の政治家が市民に予防接種を呼びかけるべきだと訴えた。
 ジョンズ・ホプキンス大学・保健安全センターの上級研究員であるアメッシュ・アダージャ氏は、はしかの流行が毎年発生するようになったからといって、積極的な対応が不要だということにはならないと主張。「死亡例が出た以上、はしかワクチンの価値を強調する良い機会だ」と語った。


▢ 厚生長官に指名されたケネディ氏はどんな考えを持った人物なのか?
2024-11-21:マイナビDOCTOR)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 米国のトランプ次期大統領が厚生(保健福祉省:HHS)長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏はワクチン懐疑論者として知られています。米ABC Newsがケネディ氏の考え方やそれに対する専門家の反応について報じました。
 ケネディ氏は自身のことを「反ワクチンだったことは一度もない」と述べているそうですが、「ワクチンに対するより詳しい調査が必要である」との主張を続けてきたことは周知の事実です。過去には、麻疹・おたふくかぜ・風疹(MMR)ワクチンが自閉症を引き起こす可能性があるとする根拠のない論文に基づく主張を展開。新型コロナウイルスワクチンについても「これまでに作られた中で最も致命的なワクチン」と発言したそうです。
 さらに、国立アレルギー感染症研究所長を務めたアンソニー・ファウチ氏やビル&メリンダ・ゲイツ財団がワクチンで利益を得ようとしているなどの誤情報を拡散したこともあるといいます。
 専門家は、ケネディ氏のこうした姿勢に子どもを持つ親が影響を受けて、ワクチン接種をためらう可能性を懸念しています。


▢ 米テキサス州ではしか流行 感染者90人に 大半がワクチン未接種
2025年2月22日:AFPBBNews)より一部抜粋(下線は私が引きました);

【2月22日 AFP】米テキサス州は21日、先月北西部で広がった麻疹(はしか)の感染者が90人に増加したとするデータを公表した。このうち大多数がワクチンを接種していなかった。感染者はさらに増加するとみられている。
 感染が確認されたうち、77人は子どもで10人が成人。残り3人は詳細が明らかにされていない。このうち16人が入院している。・・・
 感染者のうちワクチン接種者はわずか5人で、大多数は未接種か、接種状況が不明となっている。
 米国では、全国で子どものワクチン接種率が低下している。こうした傾向が加速した背景には、新型コロナウイルスの感染拡大時期にmRNAワクチンの接種促進をめぐる懸念と偽情報が広がり、保健機関に対する一般市民の信頼が低下したことが挙げられる。
 今回、感染の「震源地」となったテキサス州中西部ゲインズ郡では、57人の感染が確認された。
テキサス州法では、宗教上の理由などからワクチン接種の免除を申請する権利が認められており、ゲインズ郡には、キリスト教の一派で、昔からワクチン接種に否定的な立場を取るメノナイトの信者が多い。
 米国では折しも、予防接種政策に関して大きな権限を持つ厚生長官にロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が就任したばかり。
 ケネディ氏はワクチン懐疑論者で、麻疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹の新3種混合(MMR)ワクチン接種によって自閉症の発症リスクが増加するとの誤った主張を声高に唱えている。この主張は科学的研究によって広く否定されている

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ノロウイルスが猛威を振るっています

2025年03月02日 06時45分12秒 | 小児科診療
2025年年明けからインフルエンザ、コロナウイルスに混ざって嘔吐下痢も流行しています。
今の嘔吐下痢(=ウイルス性胃腸炎)の主役はノロウイルスのようです。
食中毒による集団発生も報告されていますね。

嘔吐物や下痢便の中に多量のウイルスが含まれ、
それを十分に感染対策を取って処理しないと容易に感染します。

小児のウイルス性胃腸炎には「隔離期間」が設定されていません。
これは「感染の危険がない」のではなく、
「ヒトに感染させる期間が長いため設定できない」という裏事情からです。

乳幼児がウイルス性胃腸炎に罹ると、
回復までにロタでは1〜2週間、ノロでは数日かかります。
「下痢が止まったから治った」と思いがちですが、
ウイルスは腸の中にしばらく居すわり、
数週間は感染力を維持し続けるのです。

ですからもし「感染力がなくなるまで隔離」というルールを作ると、
「嘔吐下痢の園児・生徒は3週間休んでください」
となってしまいます。
元気になった子どもたちが家庭で数週間過ごすのはちょっと困りますよね。

というわけで、
「元気になったら感染対策をしながら集団生活に戻しましょう」
というところに落ちついているのです。

ノロウイルスに関する記事を紹介します。

▢ ノロウイルス猛威 低温・乾燥で1か月生存も…“トイレでスマホ”も要注意
2025年2月26日:TBSテレビ「ひるおび」)より一部抜粋(下線は私が引きました);

全国でノロウイルスの患者が急増しています。
スーパーで販売された生食用のカキにより37人が食中毒を起こしたほか、高齢者施設や学生寮など、さまざまな報告がなされています。
感染力が強く、身近なものにも潜むノロウイルス。特徴と感染防止対策を日本医科大学の北村義浩教授に聞きます。

▶ ノロウイルスによる食中毒 2月がピーク
年間の食中毒患者数のうちノロウイルスが原因のものは40.6%と、非常に多くを占めています。
さらに食中毒1件あたりの患者数は、他のウイルスなどの場合8.4人ほどですが、ノロウイルスの場合37.7人と大規模な食中毒が起こりやすいという特徴があります。

▶ 感染から発症まで:24時間~48時間
主な症状:吐き気、下痢、腹痛、軽度の発熱
持病のある人や乳幼児・高齢者などは脱水症状を起こしたり、症状が重くなるケースもあります。

Medical DOGより)

ノロウイルスを病因物質とする食中毒患者数(2023年)のデータを見ると、11月頃から増え始めて2月にピークを迎え3月頃まで続いており、今の時期はまさにかかりやすいと言えます。

▶ 「わずかな数が入れば発症」強い感染力
ノロウイルスの厄介な特徴として、
 ◆ 低温と乾燥に強い
 ◆ 感染力・生存力が強い
 ◆ アルコール消毒が効きにくい

ことが挙げられます。
気温10℃以下では約1か月、気温4℃では約1~2か月生存可能です。
日本医科大学の北村教授;
ノロウイルスは低温・乾燥した環境では感染力を強める。夏場よりも、冬場の方が危ない。
他のウイルスだと100匹、1000匹が体の中に同時に入らないと病気にはならないんですけど、ノロウイルスは5匹とか4匹とか本当にわずかな数が体内に入れば発症してしまう非常に厄介なウイルスですね。

▶ 主な感染経路はー
≪食事≫
・汚染されたカキなどの二枚貝を加熱調理せずに食べる
・ウイルスに感染した人が調理したものを食べる
≪手・指≫
・感染者のおう吐物などに触れてしまって指にウイルスが付着
・感染者が触れたトイレのドアノブやタオルに触れる
≪飛沫・空気感染≫
感染者の便やおう吐物が乾燥し、それが付着したホコリが空気中に漂い、吸い込むことで感染

日本医科大学 北村義浩教授:
特に吐いたものを適切に処理しないと、床やテーブルの上に見えなくても結構残っていて、乾燥してふわっと舞い上がったときにちょうどそこにいた人が吸い込んだりすると、4匹5匹入るだけで感染が成立するので危ないですね。
コメンテーター 水谷隼:
もう防ぎようがないじゃないですか。予防接種とか、免疫力を高める方法とか、何かないのかなって。
日本医科大学 北村義浩教授:
免疫を高めるワクチンは今開発中で、コロナのときに有名になった「モデルナ」という会社がノロウイルス対策のワクチンを去年の秋から3年ぐらいかけて世界中で治験をしようとしています。ですから、効果があれば3年後には我々の手元に届くと思うんですね。しかし今はない。
日本人だと大体生ガキを食べるということがリスクのある行為です。
加熱用として売っているものはやはりリスクがありますので、書かれているように十分加熱をして食べるということです。

▶ 冷蔵庫やPCのマウスで長期間生存
ノロウイルスは生存力が強く、長期間生存します。
 ▼電話の受話器・PCのマウス⇒約1週間
 ▼気温20℃ほどの乾燥した室内⇒約2週間
 ▼冷蔵庫内の食品(ノロウイルスを持ったカキなどが入っていた場合)⇒約2週間から1か月

▶ トイレでスマホを使用し、その後食事中にスマホを触っていませんか?
自分の前に感染者がトイレを使用していた場合、感染リスクが高まるおそれがあります。
スマホの表面にウイルスが付着する可能性がありますので、トイレでのスマホ利用は控え、スマホ自体もこまめにふき取ることが大事です。
恵俊彰:
アルコール消毒は効きにくいんですよね?
北村義浩教授:
アルコールで消毒するのではなく、拭って捨てるということですね。
「トイレに入ったら手を洗う」「食事前に手を洗う」「調理前に手を洗う」、この3ポイントはぜひやっていただきたい。

▶ ノロウイルスに感染したら
ノロウイルスには、現在基本的に有効な薬やワクチンはありません。
脱水症状を起こす可能性があるので、十分な水分と栄養の補給が大切です。
ご自身でなかなか水分を摂れず脱水になってしまっている場合は、医療機関での点滴が必要になります。
恵俊彰:
病院に行っても、何か検査をするわけではないんですか?
北村義浩教授:
抗原検査のキットはありますけど、肛門に綿棒を入れて検査する方法なので、一般的には外来でもやりません。多くの人たちに調理食品を提供する人たちはやる方が多いです。
基本的にはもう水を飲んでいれば3日で治ります。
問題は自分で水を飲めないような乳幼児やお年寄りです。早めに病院に行った方がいいと思います。
おう吐や下痢の場合は水やお茶だけでは駄目で、塩分や糖分はどうしても必要なので、可能ならスポーツドリンクをガブガブ飲んでもらうと良いと思います。 
(ひるおび 2025年2月25日放送より)

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