徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

今、新型コロナワクチンを接種すべき?

2023年10月14日 07時15分31秒 | 小児科診療
オミクロン系の新たな株「XBB」に対するワクチンが登場し、
2023年9月20日から広く国民に接種勧奨されています。

さて、日本人の頭から「新型コロナは危険!」
という認識が薄れつつある今日この頃、
接種すべきでしょうか、
それとも見送るべきでしょうか?

個人的なことを書かせていただきますと、
私は接種機会があれば接種してきました。
現在までに5回接種が済んでいます。
今後も機会があれば接種し続けるつもりです。

なぜか?

私はハイリスク者だからです。
年齢は還暦なのでそこそこですが、
持病があり重症化が懸念されるケースに該当します。

みなさんはどうでしょう?
接種すべきかどうか、迷われている方がたくさんいらっしゃると思われます。

そこを解説する記事が目に留まりましたので、
ポイント抜粋&引用させていただきます。

<ポイント>
・9月20日から「令和5年度秋開始接種」が開始されることが決定し、初回接種を終えたほぼすべての年齢が接種対象となる。
・重症化リスクが高くない場合は、個々に接種を検討する形でよいが、オミクロン株対応でない従来株ワクチンのみの接種で終わっている人は、接種を検討すべし。
・65歳以上の高齢者、5歳以上の基礎疾患を有する人、その他重症化リスクが高いと医師が認める方については、予防接種法による「努力義務」や「接種勧奨」が適用される。
・2024年3月31日までは、新型コロナワクチンは無料で受けられる。
・今後の新型コロナワクチンの接種間隔は、おおむね1年ごとに接種していくことが世界保健機関(WHO)の案として挙がっている。
・冬前に年1回、インフルエンザと新型コロナの両方を接種するといった形になっていく可能性あり、両方を一つにした混合ワクチンが登場する可能性あり。

つまり、2023年9月20日からは、生後6ヶ月以降の全日本国民が接種対象となり、無償で受けられるということです。
わかりやすくいうと、
「インフルエンザと同じように考えましょう」
ですね。

ほぼ全員が対象? 新型コロナワクチン「令和5年秋開始接種」の概要
倉原優:呼吸器内科医
・・・さて、9月20日から「令和5年度秋開始接種」が開始されることが決定し、初回接種を終えたほぼすべての年齢が接種対象となります。

◆ リスクの高い人への努力義務・接種勧奨
これまで通り、65歳以上の高齢者、5歳以上の基礎疾患を有する人、その他重症化リスクが高いと医師が認める方については、予防接種法による「努力義務」や「接種勧奨」が適用されます。
「努力義務」とは、その対象となっている場合、接種を受けるよう努める必要があると定めたもので、「接種勧奨」とは、自治体が接種券を送付するなどの方法で接種を勧めることを定めたものです。
重症化リスクが高くない場合は、個々に接種を検討する形でよいかと思われます。ただ、下記に述べるように、オミクロン株対応でない従来株ワクチンのみの接種で終わっている人は、接種してもよいかもしれません。・・・

◆ 使用ワクチン
少しややこしいですが、図1に現在の案をまとめます。要点は、「令和5年秋開始接種」以降は基本的に新しいXBB.1.5対応1価ワクチンが用いられる想定であるということです。XBB系統は、現在流行しており全体の9割以上を占めているオミクロン株の名前です。



・・・「令和5年秋開始接種」において使用されるワクチンは、さらに改変したXBB.1.5対応1価ワクチンの予定です。モデルナ社とファイザー社あわせて2500万回の契約がすでに済んでいます。
XBB.1.5対応1価ワクチンは、非臨床試験(マウスを用いた試験)において、XBB.1.5に対して現行2価ワクチンよりも高い中和抗体価を誘導することが報告されています。
従来株のワクチンのみの接種で終了している人は、現在流行しているオミクロン株XBB系統に対する防御効果は低い状況なので、接種のアップデートを検討ください。

◆ 接種費用は?
努力義務・接種勧奨の有無にかかわらず、少なくとも令和6年3月31日までは、新型コロナワクチンは無料で受けられます。
・・・
しかし、令和6年4月1日以降は、特例臨時接種から定期接種に移行する可能性があり、インフルエンザワクチンなどと同じように一部自己負担が発生する可能性があります。

◆ 今後の新型コロナワクチンの接種間隔は?
おおむね1年ごとに接種していくことが世界保健機関(WHO)の案として挙がっています。この優先度が高いのは、高齢者、重大な基礎疾患がある人、高度の肥満がある成人、免疫不全状態にある人、妊婦、医療従事者といったところです。
超高齢者や基礎疾患が多いなどのリスクがさらに高いと思われる集団では、6か月ごとの接種が望ましいとされています。
日本では、毎年2月頃に発表される北半球における次シーズンのインフルエンザワクチンの株を検討し、5~6月に型が決定されます。そして冬前に接種するといった感じです。新型コロナも今回のXBB.1.5対応1価ワクチンを皮切りに、冬前に年1回どちらも接種するといった形を、接種モデルとして提示できると分かりやすいですね(図2)。



メッセンジャーRNAワクチンは、新型コロナとインフルエンザの両方に適用可能な技術であるため、将来的には1本のワクチンで両方を予防できるなんて時代が来るかもしれませんね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人類は新型コロナとどう対峙するのが“正解”だったのか?

2023年10月08日 12時01分01秒 | 新型コロナ
新型コロナとのつきあい方は、当初から国により様々でした。
“ゼロ作戦”の中国や台湾、ニュージーランド、
あえて受け入れる“ノーガード戦法”のフィンランド…。

3年経過した今、振り返って、
どれが“正しい方法”だったのか検証することは大切です。
次のパンデミックに備えるために。

そんな内容を扱った記事が目に留まりましたので、
私の視点で読み込んでみます。

<ポイント>
・日本の事情:まんぼう(まん延防止等重点措置)は緊急事態宣言と比べると、人流の減りが弱い。行動制限をした方が、しなかった場合よりも感染者数を抑え込める。
・2020年時点では“ノーガード戦法”のスウェーデンは隣国(ノルウェー、フィンランド、デンマーク)比較して患者数が多く、死者数も圧倒的に多かった(ノルウェーの約10.6倍、フィンランドの約8倍、デンマークの約4倍)。しかし2022年になると隣国の感染者が急増し、スウェーデンを追い抜いた。
・2020~2023の3年間の100万人あたり感染者数で見ると、スウェーデンは他3国に追い抜かれたが、100万人あたり死者数では1位。
・スウェーデンはワクチンが無い時期にノーガード戦法を取ったため、多くの死者を出してしまった。振り返ってみるとやはり無謀だったのではないか。
・スウェーデンと隣国との比較からすると、行動制限に効果はあったと言ってよいが、これをまたやるのは無理ではないか…人間の我慢力には限界がある。 

新型コロナ流行では、全人類を巻き込んだ壮大な臨床実験が行われたとみることもできます。
医学的な結論は「ノーガード戦法は死者が多い」ということに尽きると思います。
ただ、新型コロナ禍では想定より早期にワクチンが開発されたため、このような結果になりましたが、もしワクチン開発に1年以上かかっていたら、また違う結論になったかもしれません。
社会学的には経済活動の要素も考慮すべきなので、上記は限定的な結論になります。
さらに心理学的には制限された生活がヒトの心に及ぼす影響の検証も必要です。


▢ コロナ禍の行動制限には結局、何の意味があったのか
…日本の実態、ノーガード戦法をとったスウェーデンのその後
2023/10/7:集英社オンライン)より一部抜粋;

・・・発生から3年を経過した新型コロナウィルス。緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置(まんぼう)はどのような効果をもたらしていたのか。3年分の蓄積されたデータから読み取ってみる。 『全検証 コロナ政策』 (角川新書) より、一部抜粋、再構成してお届けする。


◆ 緊急事態宣言とまんぼう、宣言のたびに人流は減った

コロナの感染経路は飛沫感染が主ですから、人流を抑制すれば、飛沫が飛ぶ機会も減り、その分感染も抑えられると考えられます。 そのような観点から、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置(まんぼう)が数次にわたって発令されました。 
都道府県によって回数や時期が異なりますので、全国をまとめて分析することができません。そこで、最も感染者数が多い東京都に絞って見ていきたいと思います。東京都における緊急事態宣言とまんぼうの発令状況は次のとおりです。緊急事態宣言が合計4回、まんぼうが合計3回です。
 第1回緊急事態宣言 2020年4月7日~2020年5月25日 
 第2回緊急事態宣言 2021年1月8日~2021年3月21日
 第1回まん延防止等重点措置 2021年4月12日~2021年4月24日
 第3回緊急事態宣言 2021年4月25日~2021年6月20日
 第2回まん延防止等重点措置 2021年6月21日~2021年7月11日
 第4回緊急事態宣言 2021年7月12日~2021年9月30日
 第3回まん延防止等重点措置 2022年1月21日~2022年3月21日   
これと、内閣官房のサイトにある人流データを重ねてみましょう。このデータは、主要地点の8時と15時の人出及び歓楽街の人出(21時と28時の差)を示したものです。 緊急事態宣言が出ると確かに人流が減っていることが分かります。事前にアナウンスされるからか、宣言期間の少し前から減少が始まります。第1回の緊急事態宣言の際に一番人流が減っており、その後、宣言のたびに人流が減りますが、第1回ほどではありません。

◆ では行動制限に効果があったのか検証しよう
まんぼうは緊急事態宣言と比べると、人流の減りが弱いです。 なお、第3回緊急事態宣言と第4回緊急事態宣言の間に、第2回まんぼうが挟まっていますが、ここだけむしろ人流が増えています。 ただ、第1回まんぼうの時は減っていますし、第3回まんぼうの際も減っています。緊急事態宣言と比べると相対的に見て増えてしまうということでしょう。 第3回まんぼう後、特に行動制限はされていませんが、主要地点の8時と15時の人出及び歓楽街の人出(21時と28時の差)のいずれも、2019年の水準には戻っていないことが分かります。 
では、緊急事態宣言とまんぼうによって人流が実際に減ることが判明したところで、今度は東京都の新規感染者数と重ねると何が見えるでしょうか。 
行動制限の効果を見極めるには、「行動制限をした状態」と「行動制限をしなかった状態」と比較する必要があります。さらに、行動制限の有無以外の条件を全て同じにする必要があります。これを現実世界で厳密に実現しようとすると不可能ですが、2022年はこれに近い状況がありました。 22年において行動制限があったのは第3回まんぼうのみであり、それ以降、行動制限はありません。そして、22年において流行したのはオミクロン株です。厳密にいうと、オミクロン株といっても変異を重ねているため全く同じとは言えないのですが、同じ種類の株ではあります。

◆ 行動制限をした方が、しなかった場合よりも感染者数を抑え込めるのではないか
そこで、22年以降だけ見てみると、第3回まんぼうが発令された時は6波の最中でしたが、そのピークは2月8日の2万39人です。その後、今まで最大となる第7波がきましたが、1日のピークは6波の約2倍となる4万406人(7月28日)となりました。 さらにその後第8波がきましたが、ピークは12月27日の2万2063人です。 このように、行動制限のあった第6波と比べると、第7波はその約2倍、第8波は2000人ほど上回りました。 特に、何の行動制限も無かった第7波の感染者数ピークが約2倍となったところを見ると、全く同じオミクロン株ではないということを考慮しても、行動制限をした方が、しなかった場合よりも感染者数を抑え込めるのではないかと思います。 ここで、日本よりももっと厳しい行動制限を実施したヨーロッパに目を向けてみましょう。ヨーロッパの場合、当初全く行動制限をしないノーガード戦法をとったスウェーデンがありますので、それと他国とを比較すれば、行動制限の有無でどれくらいの違いが出るのかが分かりやすいでしょう。まずは2020年のヨーロッパにおける100万人あたり感染者数を多い順に並べたグラフを見てみましょう。

◆ ノーガード戦法のスウェーデンは正解だったのか
これを見ると、スウェーデンはデータのある49の国または地域のうち17位であり、やや上の方にはいますが、飛びぬけているわけでもありません。しかし、隣国であるノルウェー、フィンランド、デンマークと比較してみると、違った姿が見えてきます。違いが分かりやすい2020年1~8月のこの4か国における新規感染者数の推移を見てみましょう。 ・・・感染者数の推移が全く異なります。4か国いずれも同じくらいのタイミングで感染者増加が始まりましたが、スウェーデンを除く3か国は減少に転じた一方、スウェーデンは減らず、それどころかさらに高い感染の波を記録しました。隣国同士でこのような違いが生まれる原因は、行動制限の有無以外に無いでしょう。 
では、2020年1年間で見るとどうなったのか見てみましょう。・・・スウェーデンが他を大きく引き離して1位です。ただ、フィンランドとノルウェーに比べると、デンマークも多いです。スウェーデンとデンマークだけ文字通り「桁違い」になっています。 デンマークが多いのは、他と比較してPCR検査の回数が多いことも影響しているのではと思います。これは後ほど触れます。

◆ 20年の死者数はスウェーデンが圧倒的1位だったが…
死者数についてはどうでしょうか。 これもスウェーデンが圧倒的に1位です。感染者数よりも差が大きく、ノルウェーの約10.6倍、フィンランドの約8倍、デンマークの約4倍です。 では、この後はどうなったのでしょう。2020~22 年の各年の100万人あたり感染者数を並べて比較してみましょう。 このように、21年になると、この4か国の中ではデンマークが1位になりました。さらに、22年には、スウェーデンは最下位となり、デンマークが圧倒的1位になっています。
 20~22年の3年間の100万人あたり累積感染者数の推移を見てみましょう。このように、デンマークが急激に感染者数を伸ばし、他3国を大きく引き離しています。デンマークの伸びが凄すぎて霞かすんでしまうのですが、ノルウェーとフィンランドの伸びも凄まじく、結局スウェーデンを追い越しています。 線の推移を見れば分かるとおり、当初ノーガード戦法で臨んだスウェーデンが他3国を大きく引き離していましたが、2022年になって急激に他3国が伸び、累積でスウェーデンを追い越す、という結果となりました。 では、100万人あたりの死者数についてはどうでしょうか。これも、各年ごとに並べて見てみましょう(図35)。 2020年はスウェーデンが圧倒的1位、21年も1位です。21年でも2位のデンマークの2倍近くありますので、その差は非常に大きいです。ところが、22年になると、フィンランドが急激に増えて1位になりました。スウェーデンは下から2番目になりました。

◆ 3年間の累積でみるとどうなるのか
では、3年間累積で見てみるとどうなるでしょう。 累積で見ると、まだスウェーデンが1位であり、かつ、他3国との差も大きいです。 このように、100万人あたり感染者数で見ると、スウェーデンは他3国に追い抜かれましたが、100万人あたり死者数ではまだ1位です。ワクチンも無い時期にノーガード戦法を取ったため、多くの死者を出してしまったことが影響していると言えるでしょう。振り返ってみるとやはり無謀だったのではないかと思います。 このように、スウェーデンと隣国との比較からすると、行動制限に効果はあったと言ってよいでしょうが、これをまたやるのは無理ではないかと思います。本書では詳しく分析していますが、客観的に見て財政的・金融的に無理なのですが、何よりも気持ちの面で無理でしょう。 私がコロナ禍で学んだのは、「人間の我慢には限界がある」ということです。今後感染状況がどれだけ悪化しても、強い行動制限は国民から支持されないでしょう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沖縄、ウクライナ・・・パワハラは至る所に存在する。

2023年10月05日 09時49分14秒 | 日記
人間は権力を持つとそれを振りかざす傾向があります。
度が過ぎると「パワハラ」と呼ばれ、非難の対象となります。

昨日、国と沖縄による米軍の飛行場移設問題の続報がニュースで流れました。
紆余曲折はありますが、国の論理と住民の論理にギャップがあり、
そこを埋めることは難しい印象があります。

これを国が押し切れば「パワハラ」という見方も出てきそうです。

そこで連想されるのが、ウクライナ侵攻。
ロシアの国の論理が、ウクライナ住民の感覚と乖離し、
それをプーチンが強引に押し通そうとしているようにみえます。
まあ、パワハラですね。

二つの勢力が拮抗すると、その争いの究極の形は“戦争”です。

戦争では、倫理的な正義は存在しにくい異常事態です。
人を殺すことが正義、
人を殺さなければ自分が殺される・・・

チャップリンは「独裁者」という映画の中で、
ナチスのヒトラーを揶揄し、
「一人殺せば殺人犯だが、
 10万人殺せば英雄だ」
という台詞を残しました。

戦争は、勝ち残った方が“正義”を主張します。
負けて消えた民族は、
たとえ倫理的に正しかったとしても、何も言えません。


辺野古承認に沖縄知事「困難」 政府、5日にも代執行向け提訴
 沖縄県の玉城デニー知事は4日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更に関する政府の承認指示に対し「期限までの承認は困難」と回答したと記者団に明らかにした。政府が定めた承認期限は4日で、承認を事実上拒んだ形だ。政府は知事に代わり承認する「代執行」に向けて、5日にも福岡高裁那覇支部に提訴。勝訴すれば工事に着手できるため、移設反対の姿勢を貫いた知事の判断が工事阻止につながるかは見通せない。
 政府は、9月4日の最高裁判決で承認義務を負った知事が応じないため、代執行の最初の手続きとして同19日に承認を勧告。「期限までの承認は困難」と知事が回答したことを受け、同28日、より強い「指示」に踏み切っていた。
 関係者によると、最高裁判決を受け、複数の県幹部が知事に「司法の最終判断には従うべきだ」と進言した。ただ知事を支える地方議員や市民団体から「承認すべきではない」との意見が続出。知事は工事の承認はできないと決断した。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「5類相当」時代の新型コロナ感染対策

2023年10月01日 16時25分27秒 | 小児科診療
新型コロナの感染症法の位置づけが、
2023年5月8日に「2類相当」 → 「5類相当」に格下げされ、
日本全体の感染対策が緩和されました。

それと共に、息を潜めていた病原体達が、
「やっと出番が来た!」
とばかりに猛威を振るっています。

冬の風邪である「RSウイルス」「インフルエンザ」のみならず、
夏の風邪である「プール熱」「ヘルパンギーナ」「手足口病」、
そして新型コロナも潜在的に流行し「第9波」に突入しました。

まあ、これらの現象は予想されたことです。
ただ、規模が大きいため、かぜ薬が品薄になり処方できない事態が発生しています。
ここまでは読めませんでしたね。

回避するには、5月8日以前の感染対策に戻ればよいことは明白です。
しかし一度自由の味を知ってしまった我々は、
なかなか元に戻ることができません。

感染症流行の現状を受け入れながら、
経済活動を元に戻していくのが日本政府の方針です。

さて、ここで立ち止まって、
新型コロナ感染対策を再確認しておきたいと思います。

どこまで感染対策をすればよいのか?
正解はありませんが、
各々の置かれた立場で遵守すべきレベルを考える材料となれば幸いです。

ちなみに小児科開業医である私は、
新型コロナもそれ以外の感染症も押し寄せて集まる場所が職場なので、
現在も感染対策を弛めていません。

こちらの本を参考にしました。

★ 診療所における感染対策の考え方〜新型コロナ5類移行後の対応
 中山久仁子(マイファミリークリニック院長)

 新型コロナウイルスの感染経路
1.飛まつ感染
2.接触感染
3.エアロゾル感染

…従来の病原体と比較して「エアロゾル感染」が加わったことが最大の特徴です。
「エアロゾル感染」とは「飛まつ感染」と「空気感染」の中間の概念です。
飛沫はふつう、すぐに床・地面に落ちて感染力がなくなります(2m離れていれば安全)が、
空気感染は水分がなくなった飛沫の核が長時間漂い、感染源になります。
エアロゾル感染とはエアロゾル(飛沫より小さいが飛沫核より大きい)が、
閉鎖空間ではしばらくの間(数時間)浮遊しているため、
それを吸い込んで感染してしまうのですね。

 医療機関における新型コロナウイルスの感染経路と対策
1.飛まつ感染 → サージカルマスク
2.接触感染  → 手指消毒、手洗い、手袋、ガウン
3.エアロゾル感染  → N95マスク、換気、空間・時間分離

…実は私自身、2022年8月に新型コロナに感染してしまいました。
その頃、乳幼児の新型コロナ患者が多く来院し、
マスクができず、また泣き叫ぶため、飛沫とエアロゾルが飛びまくる状態を想像してください。
当時私はサージカルマスク+フェイスシールドを着用していました。
しかし上記のごとく、
サージカルマスクは飛沫対策にはなっても、
エアロゾル対策としては不十分なのです。
その頃感染したのは当院スタッフの中で私だけでした。
診察介助する看護師スタッフは、
みなN95マスクを着用していたのでした。
…それ以降、診療中はサージカルマスクではなくN95マスクを着用しています。私が得た教訓は、
「エアロゾル感染対策にはサージカルマスクでは不十分、N95マスクが必要」
ということでした。

 一般生活の感染対策
1.飛まつ感染 → サージカルマスク
2.接触感染  → 手指消毒、手洗い
3.エアロゾル対策 → サージカルマスク、換気

…マスクの効果を示したイラストを提示します(忽那先生のサイトから)


※ 不織布マスク=サージカルマスクです。



マスク着用がふつうだった5月8日までは、
ウイルス飛沫量を70%減らせていたのですが、
現在は100%に戻ってしまっていますから、
流行再燃は仕方ありませんね。

新型コロナ感染者が他人にうつす可能性のある期間
①発症2日前から発症後7〜10日間は感染性のあるウイルスを排出。
②特に発症後5日間は他人に感染させるリスクが高い。
③発症後10日間は感染が広がらないように、マスク着用・手指衛生を心がける。

感染した場合の外出自粛
・発症後5日間が経過し、かつ解熱及び症状軽快から24時間経過するまで、
外出を控えることが推奨される。

…現在隔離期間は「症状が出た翌日から数えて5日間」まで短くなりました。
でも上記の通り、その後も感染力は残っていますので、
フリーになったと考えると流行拡大が止まりません。

濃厚接触者の取り扱い
・保健所から新型コロナの「濃厚接触者」として特定されることはない。
・「濃厚接触者」として法律に基づく外出自粛は求められない。
・対応はその施設で個別に判断する。

…医療機関、とくに高齢者施設では感染すると重症化しやすい人が集まっているので、厳しくせざるを得ません。
一方、一般生活者は行動を制限されることがなくなりました。
しかし感染している可能性はあり、無症状期からウイルスを排出して周囲に拡げる可能性も持ち合わせることになり、この点が流行拡大の大きな原因になっています。

 家族が新型コロナに罹った場合は?
・患者の発症日を0日として、とくに5日間は体調に注意して過ごす。
・7日までは発症する可能性を考慮し、手指衛生・不織布マスク着用・換気など、周囲に配慮する。
・その間は高齢者など、重症化リスクのあるヒトとの接触を避ける。
・感染した家族とは部屋を分けて過ごす(空間隔離)。
・体調不良を感じたら集団生活・仕事を休む。

…濃厚接触者扱いがなくなったので、家族が新型コロナを発症しても、行動制限はありません。
しかし感染している可能性はありますので、周囲に拡げないよう、ハイリスク者にうつさないよう、社会常識としての配慮が必要です。

新型コロナの株による特徴の変化
・潜伏期:武漢株6.57日 → オミクロン株3.42日
・重症化までの日数:武漢株7日 → オミクロン株2-3日

 オミクロン株の感染力:基本再生産数(R0)
・季節性インフルエンザ:1.3
・新型コロナオミクロン株:5.5-24

…季節性インフルエンザよりも感染力が圧倒的に強い!

手指衛生の5つのタイミング(医療機関)
①患者に触れる前
②清潔/無菌操作の前
③体液に暴露するリスクの後
④患者に触れた後
⑤患者の周りのものに触れた後

…当院では高濃度アルコールで手指消毒をしています。
患者さんを守るため、そして自分を守るためです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする