近年、子どもの花粉症が話題に上がるようになりました。
どんどん増えているのです。
私が診断した最少年齢は1歳ですね。
シーズンのピークになると、目を真っ赤にした幼児の受診が目立ちます。
先日公表されたデータでは、
8歳児の6割がすでにスギ花粉に対する抗体が陽性とのこと。
ホント、花粉症は国民病になってしまいました。
小児の花粉症を扱った記事が目に留まりましたので紹介します。
<ポイント>
・早い子であれば2~3歳で発症する。スギ花粉症の年齢別の発症率は、
✓ 5〜9歳:30.1%
✓ 10〜19歳:49.5%
・軽症のうちであれば比較的短い治療期間で根治する。
・鼻水、鼻づまり、くしゃみなど基本的な症状は、大人も子どもも変わりはない。
・子どもはアレルギー症状が目に出やすく、大人よりもかゆみを感じやすいのが特徴。
・大人の場合、鼻水がサラサラしていることが多いのですが、子どもは粘り気のある鼻水が出ることが多く、くしゃみよりも鼻づまりの方が起こりやすい。
小学校入学時には3割、
小学校卒業時には5割、
の子どもが花粉症ということになります。
▢ 子どもの花粉症を見逃してはいけない…「長年治療を受けないと重症化」根治が期待できる早期発見のポイント
早い子であれば2~3歳で発症する連載『子どもの一生を決める花粉症対策』#アレルギー#花粉症#書籍抜粋
医師:村川 哲也
子どもは何歳から花粉症になるのか。耳鼻咽喉科専門医の村川哲也さんは「早い子であれば2~3歳で発症する。軽症のうちであれば比較的短い治療期間で根治することが期待できる。そのためには見過ごさないことが大切だ」という――。
▶ 2〜3歳で花粉症になることもめずらしくない
子どもの花粉症は年々増えていて、スギ花粉症の年齢別の発症率は5〜9歳で30.1%、10〜19歳で49.5%とする調査結果があります(*1)。この調査結果を見ると、19歳以下の半分近くが花粉症にかかっていることになりますし、飛散量が増加傾向にある中で今後、子どもの花粉症患者はどんどん増えていくと考えられます。
*1 松原・他.(2020).鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較).日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
生後間もない乳児は外に出ることがあまりなく、浴びる花粉も少ないため、花粉症になることはほとんどありません。ところが、外に出かけられるようになると、花粉を浴びる機会が増えるため、花粉症を発症するリスクが高くなり、早い子であれば2〜3歳で発症します。
花粉を早いうちからたくさん吸っていると重症化しやすくなります。
たとえば、小学校に上がる前は花粉症ではなかったにもかかわらず、小学校高学年になると重症化して見つかることもあります。本州、四国、九州の場合、スギ花粉はどこでも飛んでいて、逃がれることはできません。知らず知らずのうちに花粉症になっており、気づかずに症状が進行していることがあるのです。
▶ 子どもの花粉症は見過ごされやすい
子どもの花粉症で注意が必要なのは、花粉症であることを見過ごされてしまう点です。スギやヒノキの花粉が飛散する時期は季節の変わり目で、風邪の流行時期と重なります。
そのため、くしゃみや鼻水が出ていたとしても、「風邪だろう」と親御さんが判断してしまうことがよくあるのです。
さらに、小さいうちは、症状を親御さんに具体的に訴えることもないので、花粉症であるのを見過ごされやすいのです。
花粉症は軽症のうちであれば、比較的短い治療期間で根治することが期待できます。
ところが長年治療も受けないまま花粉を浴び続けると重症化します。
症状が重くなると、花粉シーズンは常に鼻づまりや鼻水、くしゃみが出て、つらい思いをすることになります。常に鼻がつまっていると、頭がぼーっとして集中力も欠きますし、夜に鼻づまりやくしゃみが出ると、よく眠ることができず、日中に眠気に襲われ、授業をまともに受けられなくなります。
子どもの異変には親御さんが気づいてあげないといけません。特に、春や秋に熱がないのに鼻がつまっていたり、頻繁に目をこすっているなと思ったら、すぐにでも耳鼻咽喉科を受診しましょう。
▶ 子どもはアレルギー症状が「目」に出やすい
鼻水、鼻づまり、くしゃみなど基本的な症状は、大人も子どもも変わりはありません。ただ、大人と違って、子どもは具体的な症状を言葉で訴えることは少なく、目をこする、鼻をやたらにいじるなど、行動面で花粉症特有の不快感をあらわすことが多いです。
子どもはアレルギー症状が目に出やすく、大人よりもかゆみを感じやすいのが特徴です。そのため、かゆさをがまんできずに、目を強くこすってしまいます。目のまわりは皮膚が弱く、デリケートなため、強くこすると赤み、かゆみが余計に強くなり、炎症を起こしてしまいます。
また、目をこすると角膜を傷つけることになるので、視力などにも影響を及ぼします。
子どもがいつもと違う仕草をしていないか、見てあげてください。具体的に、わが子が次のような行動をしていたら、花粉症を疑いましょう。
【目】
●目をかく
●目が赤く充血している
●目をしょぼしょぼさせている
【鼻】
●鼻水がよく出る
●鼻がつまっている
●鼻をよくすする
●鼻でいびきをかく
【口】
●くしゃみを頻繁にする
●口をよく開けている
また、大人の場合、鼻水がサラサラしていることが多いのですが、子どもは粘り気のある鼻水が出ることが多く、くしゃみよりも鼻づまりの方が起こりやすいです。
そのため、口呼吸をするようになり、口を開けて息をしていることが多く見られます。
・・・
▶ 都会のほうが花粉症が重症化しやすい
スギやヒノキは山にたくさん生えているため、田舎の方が花粉症になりやすいとイメージしがちですが、答えはノーです。都会でも田舎でも、花粉症にかかります。
田舎はコンクリートが少なく、車の往来も都会に比べると少ないので、空気がきれいな場合が多いです。空気がきれいなところで花粉症になったとしても重症化することは比較的少ないですが、都会に住んでいる場合は重症化しやすいのです。なぜなら、都会の空気は排気ガスなどで非常に汚れているからです。
都会の方が重症化しやすくなる原因の一つに、空気中に含まれる「アジュバント物質」があります。アジュバント物質とは、免疫反応を促進する物質。排気ガスやPM2.5などがその代表です。アジュバント物質が付着した花粉は、アレルギーの症状を約2倍も悪化させるといわれています。
残念ながら、「(スギの木が少ない)都会に住んでいるから軽症」というわけにはいかないのが現実です。
<参考>