徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナワクチンが女性の生理に及ぼす影響は0.06%

2021年09月25日 08時45分02秒 | 小児科診療
「新型コロナワクチンで不妊になる」
という情報はデマであることが認知されるようになりましたが、
女性の生理が重くなると云う情報もあります。

実は当院スタッフの中に、
「新型コロナワクチン接種後、生理が重かったんです」
「1回目も2回目の時もそうだったので、きっとワクチンの影響だと思います」
「知り合いでも同じ様な症状の人がいました」
と訴えた女性がいます。

その時にネットで検索しても「影響は証明されていない」という内容しか見当たりませんでしたが、
その後もアンテナを張って検索を続けると、最近以下の記事が目に留まりました。
記事の中に、
「新型コロナワクチンを接種した英国の女性4700万人中3万人に生理の変化があった」
とあります。
3/4700=0.0006→ 0.06%(1万人に6人)
ということになりますね。

これが多いのか少ないのか・・・
他のワクチンと比較してどうなのか・・・
今後も検討を重ねて、正しい情報を発信していただきたいと思います。

ワクチンが生理に及ぼす影響、偽情報防ぐための調査を 専門家が指摘
2021/9/20:FORBES JAPAN)より抜粋;
 新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた女性の間で生理周期の乱れや不正出血を報告する多くの例があることについて、英国の専門家が、誤った情報が相次いで伝えられる問題に対応するためには、ワクチンと生理や妊娠に関する積極的な調査が必要だと主張している。
 インペリアル・カレッジ・ロンドンで講師を務めるビクトリア・メイル博士(生殖免疫学)は、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表した論文で、ワクチンが不妊につながることを示す「証拠はない」と指摘。・・・ 英国では新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたおよそ4700万人の女性のうち3万人以上が、経血量の増加を含め、接種後に生理に変化があったことを報告している。 これについて博士は、そうした変化は一時的なものであり、「ワクチン接種が生殖能力に悪影響を与えるという証拠は示されていない」と強調。英国の医薬品規制当局による分析の結果も、悪影響を及ぼすような「関連性があるとの見方を支持するものではない」と述べている。 ただ、いずれにしても「影響」はあることから、「誤った主張」が若い女性たちのワクチン忌避につながる問題に対応するためには、調査が欠かせないとの見方だ。
 一方、ブリストル大学の上級講師、ジェマ・シャープ博士(分子疫学)は、「生物学的な観点から言って、ワクチンが免疫系に与える影響によって、一時的に生理周期に影響が及ぶ可能性はある」と話す。ただ、それは新型コロナウイルスのワクチンに限らず、「すべてのワクチン」に当てはまることだという。 生理周期は、ウイルス感染にも病気にも影響を受けることが知られている。シャープ博士は、新型コロナウイルスへの感染も、パンデミックが続くことに関連して受けているプレッシャーの多く(体重の変化やストレスなど)と同じように、生理に影響を与えていると説明する。 一時的な周期の変化は、ストレスや免疫系の混乱などに対する体の正常な反応の一部であり、そうした変化が、健康や生殖能力に対する長期的な影響を示唆している可能性があると疑う根拠はないという。 
 メイル博士によると、生理周期に起きた変化は、「ワクチンに含まれる特定の成分」ではなく、ワクチンの「接種」に対する免疫応答の結果である可能性が高い。これは、(子宮頸がんなどを予防するための)HPVワクチンをはじめ、その他のワクチンでも起きることだという。 
 米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスのワクチンは、安全性も有効性も確認されており、妊娠中で未接種の人が重症化するリスクは高いことから、妊娠中の人、妊娠を希望している人の人いずれについても、また、授乳中の人に対しても、ワクチンの接種を奨励している。

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小児医療費が激減した2020年春

2021年09月19日 19時55分21秒 | 小児科診療
ウンウン、と頷ける数字が公表されました。

10歳未満の医療費が大幅減 2020年度、受診控え顕著


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年度に10歳未満の子どもの医療費が他の年齢層に比べて大きく減っていたことが、厚生労働省のまとめで分かった。医療機関での感染を警戒し、保護者が受診を控えさせたとみられる。 
 20年度の1人当たり外来医療費(医科)は、全年齢では対前年度比4.0%減だったが、0歳以上5歳未満は23.8%減と、年齢層別(5歳刻み)で最大の減り幅だった。5歳以上10歳未満も19.0%減。 
 入院でも全年齢の減り幅3.3%に対し、0歳以上5歳未満は14.7%、5歳以上10歳未満は18.3%で、他の年齢層より際だって大きかった。

入院より外来の方が減少率が高く、0-5歳を見ると、
2020年4月:マイナス45%
2020年5月:マイナス52%
とすごい落ち込みです。

記事では「医療機関での感染を警戒し、保護者が受診を控えさせた」と分析していますが、
現実は違います。

受診控えの影響はおそらく半分くらいで、
残りの半分は風邪患者が消えたため。

「全国一斉休校」措置が取られたために、集団生活が途切れ、
新型コロナだけではなくふつうの風邪も流行らなくなったのです。

「小児科外来の減少率が高い=小児科開業医の収入が激減」
という構図が成り立ちます。

自営業をしている方ならおわかりでしょうが、
「収入が半減=経営困難」を意味します。

政府が施行した「学校一斉休校」の影響ですが、
当時、小児科開業医に対する補償は全くありませんでした。

小児科医も「子どもが病気にならないため収入が減った」
とは主張しにくいため、泣き寝入り。

世間で言う「医療崩壊」は、
ベッドが満床で診療に当たる医療スタッフが疲弊している、
という意味でしたが、
一方で、小児科開業医では「患者がいない」という真逆の医療崩壊が発生していました。

それから大分遅れて、
感染対策に対する補助金とか、コロナ感染対策の加算などの措置が施行され、
なんとか首が繋がりました。

全国的に見ると、小児科開業医の数が相当数減りました。
おそらく「そろそろ引退時かな」と考えていた高齢の小児科医が、
新型コロナ禍のタイミングで幕を引いたのだと思われます。
高齢者はハイリスクですから自分が罹ると命に関わります。

小児科医になって30数年、いろんなことがありますな。
とそんなタイミングで、こんな残念なニュースが・・・

コロナ補助金申請書「数十件」が行方不明、郵送方式で混乱? 厚労省
 医療機関の新型コロナウイルス対策費を支援する補助金をめぐり、厚生労働省に届いたはずの申請書類の行方がわからなくなるケースが相次いでいることがわかった。同省はその数を「数十件程度」というが、さらに膨らむ可能性がある。10万件超の申請を郵送方式で処理しようとした限界があらわになった形だ。
 問題になっているのは2020年度の「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」で、3次補正予算の成立をうけて今年1月にできたもの。コロナ禍で一般患者が減り経営が苦しい医療機関を支援する意味もあった。
 医療機関の種類などによって補助額は異なるが、多くは25万円を上限に、20年12月15日から今年3月末までにかかった感染対策費、診療所の賃料などの幅広い経費にあてられる。支出の見込みも含めて2月末までに申請すれば補助金が先に振り込まれ、あとから実績を報告すればよいとする手続きが認められた。こうした柔軟な姿勢もあり、申請は10万件を超えた。
 厚労省は、2月に示した「Q&A」で「受け付けから振り込みまでは、申請書に不備がない場合、おおむね1カ月」と説明していた。このため、20年度内に支給されると期待した医療機関が多かったという。
 だが申請は郵送方式で、厚労省側の処理が滞った。医療団体関係者によると、年度末から半年近い9月になっても交付決定の通知が届かない医療機関が続出。コールセンターに問い合わせると、送った申請書の存在が確認できないケースが相次いでいるという。

実は小児科医の間でも、
「補助金もらった?うちはまだなんだけど・・・」
という会話があちこちで発生していました。

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「ワクチンを打ちたくない」を“行動経済学”的に分析すると・・・

2021年09月19日 10時08分05秒 | 小児科診療
今回も「ワクチンを打ちたくない」人々に関する内容です。
経営コンサルタントが行動経済学という視点から分析した記事を見つけました;

若者の「ワクチン接種」をさらに加速するためには何が必要? 
日沖健:日沖コンサルティング事務所代表

人間は「報酬」より「損失」を重視して物事を選択する傾向があり、これを「プロスペクト理論」と呼ぶそうです。プロスペクト理論は行動経済学の中核的な理論で、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱されました。  プロスペクト理論のエッセンスは、 「人間は不確実性の状況で損失回避的に行動する」 ということです。

記事の中で、著者は例題を挙げています。

(質問1)
A:何もしなくても100万円を受け取ることができる。 
B:コインを投げて表が出たら200万円を受け取るが、裏が出たら0円。  
(質問2)
A:何もしなくても100万円を支払わなければならない。 
B:コインを投げて表が出たら200万円払うが、裏が出たら1円も支払わなくてよい。

あなたはどちらを選びましたか?
私は1:A、2:Bを選びました。
これは、たくさんの人を対象に行った実験と同じ結果。

あらためて質問の文章を眺めると、1と2の違いは「損と得」の言葉を入れ替えただけです。
なぜ人はこのような選択をするのでしょう。
その理由は・・・

これは、人間には「何かを得る喜び」よりも「何かを失う悲しみ」の方が大きいという心理があるからです。  
利益を得る場面では「確実に利益を得たい(= もらえるはずの利得を失いたくない)」と考える一方、損失が出る場面では「リスクを取ってでも損失を回避したい(= 損失を何とか避けたい)」と考えます。損失回避という心理です。

この理論をワクチン接種に当てはめてみましょう。
接種対象は基本的に“健康”ですね。

ワクチンを接種しても、今より健康状態が改善するわけでありません。一方、副反応が起これば健康が損なわれます。短期的に見ると、損失のリスクがあるわけです。 
つまり、ワクチンを接種しても健康改善というメリットがなく、副反応というデメリットがあり、若者はデメリット(損失)を回避しようとワクチンを忌避するのです。

なるほど。
ワクチンを打った効果は「何も起こらないこと」ですから、得をすることが実感しにくい。
ホントは新型コロナに自然感染するとつらい思いをして後遺症に悩まされ死の危険も経験するかもしれないのに・・・身近に罹患者がいなければ“対岸の火事”的にスルーしてしまうのが人間の性(さが)。

では、このことを理解した上での対策は?
著者は「ご褒美を用意する」という、ごくフツーの提案をしています;

ワクチン接種を法的に義務化するという方法があります。また、ワクチン接種者にインセンティブを与えるという方法もあります。アメリカではワクチン接種者に、お金、ビール、ドーナツ、果てはマリフアナまで配っているそうです。

それから、前項と同じく「ワクチン接種の損得、ワクチン非接種の損得を十分説明する」というオチでした。

もうひとつ考えられるのは、若者のリスク認識を変えることです。行動経済学では認識の枠組みを変えることをリフレーミング(reframing)と言います。 ・・・若者のリスク認識を変えるには、今後、正しい医療情報を提供する必要があると考えられます。

やはり結局は「正しい情報提供」にたどり着くようですね。
あとは、その提供方法のスキルだと思います。
伝わりやすい方法を模索して、最も効果的な手法を選択すべし。

スウェーデンのテグネル氏が行ったような、定例記者会見もいいかも。
ただ、尾身会長の“校長先生の講話”的な内容(気をつけましょう、ガマンしましょう、辛抱しましょう・・・)ではウンザリするだけですが。
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“ワクチンデマに流される人”は“ワクチンを打たない理由を探している人”

2021年09月18日 10時47分39秒 | 小児科診療
イギリスの第二次世界大戦時代のチャーチル首相は、
「民主主義は時間がかかるしお金もかかるし最低の政治システムだ」
と宣ったそうです。
「ただし、他の政治システムを除いてのことだが」
というウィットも忘れずに付け加えて。

現在の新型コロナワクチン接種事情を見ると、
先進国で接種率が頭打ちの理由として、
「自由」「基本的人権」
を挙げている人々が多いことに気づきます。

ワクチン反対デモ参加者の中には、
「ワクチンに反対なのではない」
「ワクチン接種義務化に反対なのだ」
と言い切る人もいて、
日本人の私には今ひとつピンときませんでした。

日本人の街頭インタビューで「ワクチンを打ちたくない」と答えている人に共通するのは、
・守るべき人がいない
・自分のことしか頭にない
傾向があると感じています。

お堅いことを云うと、教科書的にはワクチンの目的には4つのレベルが設定されています:
1.自分を守る
2.周囲を守る
3.社会を守る
4.病原体を根絶する

日本の「打ちたくない」人々は、1のステップ止まり。
自分にとっての損得のみが判断材料になりがちで、
2や3の発想がなさそうです。

しかしその「自分の中での損得」を掘り下げてみると・・・
そこに「不安」というモンスターが隠れていることが垣間見えてきます。

「嫌われる勇気」の著作で有名な岸見一郎氏が、医学系雑誌「日経メディカル」に書いた記事が目に留まりました。

「ワクチンを打ちたくない」人に何を伝えるか

その中で、ポイントと私が感じた点を列挙してみます。

・ワクチンデマに振り回される人は「ワクチンを打たなくてもよい理由」を探している人。

・「副反応が恐い」という気持ちを否定しては逆効果。それを受け止める必要がある。

・医療者はワクチンを打つメリット、打たないメリット、そしてワクチンを打つリスク、打たないリスクをすべて説明すべきである。

・その上で、医療者としての考えを提示する。

・「最終的に決めるのはあなた自身です」と選択権は本人に残す。

そうですよね・・・「言われたからやった」という意識があると、
副反応がつらいときに不満が爆発する傾向があります。

「副反応が恐いからワクチンを打ちたくない」という人は、「未知のものは怖い」という“不安”という名のモンスターに頭の中を占拠されている状態です。
そして、SNSで自分の考えに近い書き込みを探して「いいね」ボタンを押しまくります。
そういう書き込みは、たいてい科学的な根拠が乏しい、単なる思いつきなのですが・・・。
そのような考えにとらわれてしまうと、論理的な議論が成り立ちません。
科学的な根拠をたくさん提示しても、残念ながら効果は上がらないのです。

だからといって感情的になってはますます逆効果。
「副反応が恐い」人は「新型コロナも恐い」と思っているはずです。
やはり粛々と、

・ワクチンを打つメリット、打たないメリット、そしてワクチンを打つリスク、打たないリスクをすべて説明する。

・その上で、医療者としての考えを提示する。

を淡々と実行するしかないのかもしれません。

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園児・学童に配布された「抗原キット」は信用してよいのか?

2021年09月16日 09時23分22秒 | 小児科診療
しばらく前から新型コロナウイルスの「抗原検査キット」が市販されています。
周囲でPCR陽性者が出たものの濃厚接触者にならず、しかし心配なときなどに利用されているようです。
それから家族でカゼ症状の人がいるときに、抗原検査陰性を条件に出社を許可する会社もあるとか・・・。

当初、検査の感度は、
・PCR検査:70%
・抗原検査:50%
とされ、抗原検査で陰性でも半分は見逃してしまうので意味がない、と医療機関では敬遠されていました。

しかし2021年9月に入り、自治体が抗原検査キットを子どものいる家庭に配布するという施策が実行されました。

陰性なら日常生活続行、
陽性なら医療機関を受診しPCR検査につなげる・・・
という設定らしいのですが、果たしてこれでいいのでしょうか。

とくに「抗原検査キット」の質と感度が私は気になります。
とそんなタイミングで以下の記事が目に留まりました;

新型コロナの抗原検査キットが正式に市販へ 現在市販されている検査キットは未承認
倉原優呼吸器内科医(2021/9/14

“2021年9月10日の規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループ第1回会議(非公開開催)において、今後、新型コロナの抗原検査キットを薬局などで購入できるようにすることで意見が一致しました。”

今後は市販されるそうです、ってもう市販されているじゃないですか。
どういうこと?

それはこういうこと。
現在市販されている抗原キットは、政府が公式に「家庭用検査キット」として認めたものではなく、「研究用」のものを流用しているらしい。
記事の中でも、

“実は現在、国内でもドラッグストアやインターネットで新型コロナの抗原検査や抗体検査が市販されています。しかし、パッケージを見てもらえれば分かるように「研究用」と書かれています。新型コロナの「診断用」ではない上、未承認の製品であることに注意が必要です。”

“厚労省からの通達では「承認を受けたものではなく性能等が確認されたものではないこと、また、新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べるために必要な検査の種類や検査結果の取扱いは各検査の特性・性能等に基づき医学的に判断する必要があることから、消費者の自己判断により、新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べる目的で使用すべきでないこと」と明記されています(図1)”



“現在、薬事承認を受けている新型コロナ抗原検査キットのうち、医療機器を要さない抗原検査法(簡易キット)は14社16製品あります。その他、検査結果の判読に医療機器が必要となったり、目視判定をおこなったりする抗原検査法(定性)もいくつかあります。これらは、現時点でいずれもドラッグストアやインターネットなどでは市販されていません。ただ、自治体などから配られるものは概ね承認済のもののはずです。”

ちなみに、小学生の子どもがいるスタッフに配布された抗原検査キットを持ってきて見せてもらいました。
ネットで検索するとこちらの品と同じもののようです。
箱の表に「研究用」とあります。
あれ? 配布されたものだけど「研究用」って?
そして注意書きに以下の記載がありました;

※ 当製品は体外診断用医薬品ではありません。
※ 当製品の使用は研究のための利用に限り、診断確定に使用するものではありません。

なんだが逃げ腰のコメントですね。
「トラブっても責任は取れませんから自己責任で」
と云っているような気がします。

というわけで、配布された抗原検査キットでも「研究用」レベルで、必ずしも「診断用」ではないことがわかりました。
感度50%ですから、陰性でも否定できません。
陽性なら可能性大ですが、RSウイルス罹患者では弱陽性に出やすく(つまり“疑陽性”)判定が難しいという声も小児科医から聞こえてきます。

抗原検査キットに振り回されないよう、ルール作りが必要と感じました。
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「読んではいけない反ワクチン本」by 忽那Dr.

2021年09月15日 07時29分10秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスのパンデミックで、
ワクチンの重要性が再評価されています。
一方で、反ワクチン運動も活気を見せています。

奇しくも、ワクチン賛否の問題点があぶりだされた現在。

医療者としての私の立場は、
・ワクチンは医薬品である。
・効果があれば副作用(副反応)もある。
・効果>副反応の有用性が証明されたワクチンのみ認可される。
です。

日本人は「ゼロリスク」を求めがちです。
ワクチンを打つと熱が出る、だるくなる、
だったらワクチン打つのはやめよっ~と。

しかし医学的な立場からすると、
副反応ゼロのワクチンはたぶん効果も期待できません。
ヒトの免疫系に作用して抗体を作らせるわけですから、
体に何も起こらないワクチンは効かないワクチンです。

そういう意味では、
・自然感染はウイルスの完全体が体に侵入して増殖し、ダメージを与える。
・ワクチンは弱毒化したウイルス、あるいはウイルスの一部を体に入れ、免疫系を活性化させる。
とも言えます。

新型コロナワクチンはウイルスの一部の遺伝子情報(mRNA)を体に入れて、
それがヒトの細胞を借りて免疫に関係するスパイク蛋白を作り、
そのスパイク蛋白を認識して抗体を作ることにより効果が発揮される、
というメカニズムです。

ちょっと複雑ですね。

患者さんから新型コロナワクチンについて相談されると、
ウイルス全部が体に入るのと、ウイルスの一部が体に入るのと、
どっちが嫌?
とわかりやすく答えています。

ただ、ヒトはご褒美がないと行動を起こさないという基本原則があります。
子育ての極意として「ほめましょう」とよく言われますが、
ほめることは無料のご褒美”として推奨されているのです。

さて、ワクチンを接種した場合のご褒美は・・・何も起こらないこと(感染しないこと)。
つまり、ワクチンのご褒美は実感できないのです。

そして、起こることと言えば発熱や倦怠感などの副反応。
こちらは否が応でも実感します。

さらに不安に付け込んだデマや誤情報も拡散します。
今や“反ワクチン運動”億円規模の一大産業に成長しています。
こうしてワクチン接種のモチベーションが削られ、
集団免疫を獲得できるまで接種率が上がらない、自粛生活が終わらない、経済活動が再開できない・・・
という悪循環から抜け出せずにいます。

メディアによく顔を出す忽那先生が、件名の記事を書かれているのが目に留まりました(出版もされています)ので、一部抜粋させていただきます:

■ 「読んではいけない反ワクチン本」 遺伝子改変、不妊、何年か後に副作用…偽情報を徹底検証

科学的に正しくない記述(1)「ワクチンが遺伝子的変化を引き起こす」
 〈遺伝子組み換えRNA/DNA技術は、人の身体に永続的な未知の遺伝子的変化を引き起こすだろう。あなたを「遺伝子組み換え生物」に変える設計がされている〉(高橋徳・中村篤史・船瀬俊介『コロナワクチンの恐ろしさ』成甲書房、p.51)
  mRNAワクチンは遺伝子を用いた技術のため、多くの書籍でこのような記述が見受けられます。 
 かつて「遺伝子組み換え食品」の安全性について議論が巻き起こったこともあり、「遺伝子」という言葉に敏感に反応される方も多いのでしょう。ワクチンを打てば自分の遺伝子も組み替えられ、改変されてしまうのではないか、と。
  誤解を解くため、まずは細胞の仕組みを確認しましょう。遺伝情報を持つDNAは、細胞内の「核」と呼ばれる部分に存在し、しっかりとした構造の中で守られています。外部から簡単に書き換えられないように作られているのです。 
 また、人間の細胞の中にはもともと多数のmRNAが存在しており、タンパク質を生成するために使用する情報を運んでいます。それらは普段、「核」の内部には入ってこられない仕組みになっている。よって、ワクチンを使ってmRNAを体内に注入しても、遺伝子がある細胞の核内に入り込むことは不可能です。遺伝子の改変はあり得ません。

科学的に正しくない記述(2)「新型コロナウイルスワクチンは動物実験さえやっていない」
〈従来のワクチン開発ですら、5~10年間という歳月をかけて、培養した細胞や動物を使った実験、実際に人間に投与する臨床試験などのプロセスを経てつくられています。一方で、新型コロナウイルスワクチンの開発期間は、各社とも約1年足らずです。しかも動物実験さえもやっていませんから、世界中で「人体実験だ」と反発が起こるのも無理はありません〉(内海聡『医師が教える新型コロナワクチンの正体』ユサブル、p.130) 
 確かにmRNAワクチンの開発から承認までは、従来のワクチンと比べて非常に速いものでした。 
 これほど短期間でワクチンの開発が進んだ理由は複数あります。例えば、いくつかの動物実験や臨床試験を同時並行でおこなう工夫をして、効率よく研究が進められたこと。mRNAワクチンは従来のワクチンと違ってウイルスそのものを必要としないので、ウイルスを培養する時間が省けたことなどです。
 だからと言って、「動物実験さえやっていない」というのは明らかに誤りですし、臨床試験でも必要なプロセスを省略しているわけではありません。ファイザー社もモデルナ社もプロセスをきちんと踏んでいる。臨床試験(第三相)で実施する大規模治験は数万人を対象としており、従来のワクチンの臨床試験と比べても大がかりなものでした。有効性と安全性が厳格に確認された上で承認が出ているのです。臨床試験に参加した人々については、より長期に有効性や安全性が認められるかどうかについて、引き続き追跡調査がおこなわれています。 

科学的に正しくない記述(3)「長期的には後遺症のリスクがある」
〈数カ月、数年後の身体の異変はまったく研究されていない〉(『コロナワクチンの恐ろしさ』p.77)
 〈副作用や後遺症や遺伝子の変化は、遺伝子が組み込まれていく関係でタイムラグが生じる恐れが高いのです。つまり、すぐには症状として表れないということです〉(『医師が教える新型コロナワクチンの正体』p.152)
 mRNAワクチンの技術は新型コロナワクチンで初めて実用化されました。また、人間への接種開始からまだ1年も経っていないため、「接種から何年か後に重大な副作用が生じるのではないか」と、長期的な安全性を懸念する声もよく聞きます。 
 結論から言うと、mRNAワクチンの成分が長期的に体内に残ることはありません。mRNAは、細胞内でタンパク質を合成するリボソームで数日以内に使用され、その後すぐに分解されるからです。mRNAによって産生されるスパイクタンパクも、接種後2週間で体内から消失すると言われています。 
 こうした機序(薬が効果を発揮する仕組み)から見ても、接種後1年以上が経過してからの副反応は、極めて考えにくいのです。実際、これまでのワクチン接種では、重篤な副反応は投与後の数週間以内でしか確認されていません。  また、mRNAワクチンは確かに新しいプラットフォームのワクチンではありますが、全く新しい技術というわけではありません。 
 実はmRNAワクチンの技術は何十年も前から、多くの科学者によって研究されてきました。インフルエンザウイルス、ジカウイルスなど、まだ実用化にいたっていないものの、多くの分野でワクチンに応用すべく研究されています。何十年にもわたるmRNAワクチンの研究では臨床研究も実施されましたが、長期的な副反応は認められていません。

科学的に正しくない記述(5)「卵巣にmRNAが蓄積する」
〈筋注したmRNAワクチンが体内のどこに運ばれ、どのように代謝されるのか。(中略)接種部位、脾臓、肝臓に多いことは想定内。体内に入り込んだ脂質ナノ粒子を白血球が貪食し、それが脾臓や肝臓にたまって、高濃度に蓄積したものと考えられる。しかし意外なのは、卵巣である。卵巣に高濃度のmRNAが見られた。(中略)卵巣を構成する細胞のDNAに取り込まれ、次世代に悪影響を与えるのではないか。つまり、不妊になる可能性が懸念される〉(『コロナワクチンの恐ろしさ』p.117~118)
 そもそも、mRNAが卵巣に蓄積することを示すデータは一つも存在しません。例えば、日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)が、ワクチン投与後に成分がどれだけ卵巣に蓄積するのかを調査したデータがあります。調査によると、投与から2日後、卵巣での成分濃度は約0・095%でした。この数値では「蓄積している」とは言えず、卵巣に影響を及ぼすレベルではありません。
 また男性不妊にも触れておくと、これまでの調査でワクチン接種による男性不妊の報告はありません。逆に海外では、新型コロナから回復した男性の精子が減少しているという報告が複数出てきています。
 子育て世代の方にも、ワクチン接種が推奨されるべきでしょう。

科学的に正しくない記述(6)「ワクチンを打つと逆に重症化する」
〈変異しやすいRNAウイルスの場合は抗体ができることにより細胞内でウイルスが爆発的に増加する抗体依存性感染増強(ADE)という現象が起こり、逆に重症化する可能性があります。(中略)SARSの際にも、今回のようにワクチンが注目されましたが、ADEの可能性があることがわかり開発が中断されました〉(井上正康・坂の上零『コロナワクチン幻想を切る』ヒカルランド、p.86~87)
 ワクチンを打つことで重症化するという主張も散見されます。
 一度ウイルスに感染した人や、ワクチンを打った人は、該当するウイルスに対する抗体が体内で作られます。この抗体が中途半端な形で出来てしまった場合、逆にウイルスがヒトの細胞に入り込むのを助けてしまい、症状が悪化することがあるのです。これをADEと呼びます。
 ADEは確かに、mRNAワクチンの懸念材料ではありましたが、現時点ではワクチン接種によるADEの報告は上がってきていません。これだけ世界中で接種が進んでいながら一例も報告がないということは、新型コロナワクチンでのADEは起こらない、または、起こるとしても極めて稀なことだろうと言えます。

科学的に正しくない記述(7)「ワクチンを打つと猛毒スパイクが体内で増殖する」
〈ワクチン注射を打つとまず、猛毒“スパイク”が体内で増殖します。わかりやすく言えば、コロナの猛毒“トゲ”が大量にできて、血流に乗り全身をめぐる。そのとき、“トゲ”が血管の内皮細胞に刺さる。そこが炎症を起こす。すると腫れて血栓となる。この血流不全は万病を引き起こします〉(『コロナワクチンの恐ろしさ』p.31)
 冒頭でご説明したように、スパイクタンパクとは、新型コロナウイルスの表面に見られるトゲトゲとした突起状の部分です。それを実際のトゲのようなものだと説明していますが、誤りです。スパイクタンパクが血管につきささって血栓症を引き起こすなんてことはあり得ません。
 なお、血栓症については、英アストラゼネカ社製のベクターワクチンで、接種後ごく稀に(約25万回接種に1回)特殊な血栓症が起こることが報告されています。このことから、日本ではアストラゼネカ社製のワクチンは、血栓症が比較的起こりにくい40歳以上の方に限定した使用となっています。現在、日本で広く接種が進められているファイザー社・モデルナ社製のmRNAワクチンについては、血栓症との関連は認められていません。

科学的に正しくない記述(8)「ワクチンは体内の電磁場を乱す」
〈体内に貯留したハイドロジェル(引用者注・ワクチンを安定させるための添加物)は、バイオセンサーとして利用できる。つまり、これらを通じて体内のデータを集めることもできるし、Wi-Fiや5Gを通じて起動し、エネルギーやパルス波を発散することもできる〉
〈コロナワクチン接種者が、接種部位に磁石をあてる。すると、磁石が接種部位にくっつく。接種してない反対の腕に磁石をあてても、当然くっつかない。体内の電磁場を乱す何らかの物質が入っていることは間違いないだろう〉(中村篤史『コロナワクチン、被害症例集』ヒカルランド、p.112~113)
 一時期はネット上でも騒がれた5Gや磁石についての主張は、医学的にも、科学的にも、まったく誤っているので、そもそも議論のしようがありません(笑)。このような超常現象は起こらない、としか言いようがないですね。


忽那先生、忙しいはずなのにこれらの本を読まれたのですね・・・ご苦労様です。
忽那先生が取り上げた本の著者は、ほかにもたくさん「現代医療に反対」の著書がある方が多いです。「〇〇に対する反対意見」というより、「現在の医療は何でも反対!」することにより、人々の不安をあおることで注目を集め、収入を得ている人たちです。
人の弱みに付け込んでお金儲け・・・悪質ですねえ。
反社会勢力と共通した性質を持っています。

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