一時、消毒用アルコールが医療機関でも手に入らず、困る時期がありました。
現在は「医療機関に優先的に流通させる」という政府の方針で、在庫情報がメールで届くようになりました。
が、「配布」ではなく「流通」なので、流通価格のまま紹介されます。
これが結構高いんです。
新型コロナ騒ぎ以前の数倍のこともあり、患者数・収入激減の小児科医院では、ちょっと手が出しにくい。
一方、市販されている手指消毒剤は余っている様子。
ホームセンターなどでは、在庫品が並び、客は見向きもしません。
それらの品を手に取って成分表示を見ると、
「アルコール配合」
とかしか書いてありません。
医療機関で使用する消毒用アルコールは一般に濃度80%以上です。
ウイルスを除去するには少なくともアルコール70%以上が必要とされています。
たぶん、「アルコール配合」はそれより低いのではっきりと表示できないのでしょう。
医療機関で用いる消毒薬は主に次の三つです;
・消毒用アルコール(濃度80%以上)
・クロルヘキシジングルコン酸塩液
・次亜塩素酸ナトリウム
しばらく前、医療機関で用いる「次亜塩素酸ナトリウム」と類似した名前である「次亜塩素水」ももてはやされましたが、その後の検証で「高濃度でなければ有効ではない」と判断されました。
それから、消毒剤の「空気噴霧」。
ドアや窓の開け閉めがある開放空間では、噴霧しても限りなく低濃度となってしまい、無効です。
実験室のような密閉・閉鎖空間ではある程度有効かもしれませんが、その場合はヒトが吸入しても安全かどうかの検証が必要になります。
ずいぶん前から、首からぶら下げる消毒薬が「空間除菌」というキャッチフレーズで販売されていますが、このブログでの再三取り上げた通り、効果と安全性が確認できず消費者庁から何度も指導を受けています。
なんだか、混乱しますよね。
それらをまとめる記事が目にとまりましたので紹介します;
■ 新型コロナ、代替消毒方法として有効な製品は?
※ 下線は私が引きました
・・・次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムと名称は似ているが、全くの別物。食品衛生法では、塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解することにより得られる水溶液で、10~80ppmの有効塩素濃度を持ち、食品添加物(殺菌料)に指定されている(図2左)。
実はこうした電解型の製法ではなく、次亜塩素酸ナトリウムを原料とし、酸を加えたりイオン交換などを行うことで酸性に調整した非電解型のものも、次亜塩素酸水として販売されている。これは、雑品であるため規制がなく、製法や原料、酸性度(pH)、有効塩素濃度などの表示がないものもあるのが実態だ。
NITE(製品評価技術基盤機構)は電解型、非電解型の次亜塩素酸水で有効性を検証し、一定の条件下では有効と判断した(図2右)。だが、使用に慎重な意見もある。物理化学が専門の京都女子大学名誉教授の小波秀雄氏は「次亜塩素酸水はその組成からpHや濃度が不安定で、実際の使用時に期待した効果が発揮されない場合がある。いつ製造されたのか分からない商品を使用し、消毒した気になれば本末転倒だ」と指摘する。
NITEも検証結果を踏まえ、次亜塩素酸水の使用方法、有効成分(有効塩素濃度)、pH、使用期限の表示があることを確認するよう求めている。
実はこうした電解型の製法ではなく、次亜塩素酸ナトリウムを原料とし、酸を加えたりイオン交換などを行うことで酸性に調整した非電解型のものも、次亜塩素酸水として販売されている。これは、雑品であるため規制がなく、製法や原料、酸性度(pH)、有効塩素濃度などの表示がないものもあるのが実態だ。
NITE(製品評価技術基盤機構)は電解型、非電解型の次亜塩素酸水で有効性を検証し、一定の条件下では有効と判断した(図2右)。だが、使用に慎重な意見もある。物理化学が専門の京都女子大学名誉教授の小波秀雄氏は「次亜塩素酸水はその組成からpHや濃度が不安定で、実際の使用時に期待した効果が発揮されない場合がある。いつ製造されたのか分からない商品を使用し、消毒した気になれば本末転倒だ」と指摘する。
NITEも検証結果を踏まえ、次亜塩素酸水の使用方法、有効成分(有効塩素濃度)、pH、使用期限の表示があることを確認するよう求めている。
空間噴霧にエビデンスなし
今回、NITEが有効性や安全性を示したのは、次亜塩素酸水を物品に使用した場合だ。しかし、インターネットで検索してみると、超音波加湿器などに入れて噴霧させ空間除菌をうたう商品が数多く存在している。さらにこうした加湿器を導入する保育施設や飲食店などが散見されている。
小波氏は「そもそも消毒に使用する成分は吸い込んで身体に入ることは想定されていない。安易に化学物質の噴霧を行うと、吸い込んで粘膜などを痛める恐れがあり、かえって有害となる可能性がある」と話す。次亜塩素酸水に限らず、世界保健機関(WHO)は、「COVID-19について、噴霧や燻蒸による環境表面への消毒薬の日常的な使用は推奨されない」「消毒薬を人体に対して空間噴霧することはいかなる状況でも推奨されない」としている。
小波氏は、「次亜塩素酸水について、確かに蛋白質や有機物を分解するためウイルスに対して有効性が示されたものもある。ただ有効であることと安全であることは別であり、正しい使い方をしなければならない」と強調する。
小波氏は「そもそも消毒に使用する成分は吸い込んで身体に入ることは想定されていない。安易に化学物質の噴霧を行うと、吸い込んで粘膜などを痛める恐れがあり、かえって有害となる可能性がある」と話す。次亜塩素酸水に限らず、世界保健機関(WHO)は、「COVID-19について、噴霧や燻蒸による環境表面への消毒薬の日常的な使用は推奨されない」「消毒薬を人体に対して空間噴霧することはいかなる状況でも推奨されない」としている。
小波氏は、「次亜塩素酸水について、確かに蛋白質や有機物を分解するためウイルスに対して有効性が示されたものもある。ただ有効であることと安全であることは別であり、正しい使い方をしなければならない」と強調する。
「どの製品が良いのか」と聞かれたら?
・・・NITEは、SARS-CoV-2に有効と判断した界面活性剤(表1)を含む洗剤のリストをウェブサイトで随時公開している(新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が含まれている製品リスト)。例えば、住宅家具用洗剤のかんたんマイペットやスクラビングバブル、台所用合成洗剤のチャーミーマイルドなど具体的な商品名が挙げられており、役に立つ。
こちらの記事には「アルコール消毒」の濃度について明記されていますね。
「エタノール70〜95%で有効であることが知られているが、60%台でも一定の有効性があると考えられるとの報告もあり、70〜95%のエタノールが入手困難な場合には使用して差し支えない」
濃度非表示の製品は、公表するとまずいので、おそらく60%未満なのでしょう。
ちなみに、飲料用のアルコールはエタノールですが、実験用のアルコールはメタノールであり、消毒には転用できません(危険です)のでご注意ください。
予防効果の表示には要注意
消毒関連の製品に関して消費者が持つ疑問で多いのは、「除菌」や「抗菌」「消毒」などの表示についてだ。
消毒は、菌やウイルスを無毒化することを示すが、他の用語の定義(表2)や違いも説明できるようにしておきたい。
消毒は、菌やウイルスを無毒化することを示すが、他の用語の定義(表2)や違いも説明できるようにしておきたい。
消毒、殺菌、滅菌は医薬品や医薬部外品でないと表示できない。医薬部外品は医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく厚生労働省または都道府県知事の承認が必要で、規格および試験方法は厚生労働省令により定められる。安全性の審査は必須ではない。
一方、除菌、抗菌は医薬品や医薬部外品でなくとも表示できるため、雑品の表示で使用されることが多い。雑品は薬機法による承認はなく、規格と試験方法はメーカーの独自基準により、安全性の審査は必要ない。
雑品の中には、「新型コロナウイルスや菌を徹底除菌」「新型コロナウイルスにも効果」などSARS-CoV-2に対する予防効果を標榜するような商品もあり、問題となっている(図3)。消費者庁は景品表示法および健康増進法の規定に違反する恐れが高いとし、当該表示を行っている事業者などに対し、20年3月から改善要請等を行っている。
一方、除菌、抗菌は医薬品や医薬部外品でなくとも表示できるため、雑品の表示で使用されることが多い。雑品は薬機法による承認はなく、規格と試験方法はメーカーの独自基準により、安全性の審査は必要ない。
雑品の中には、「新型コロナウイルスや菌を徹底除菌」「新型コロナウイルスにも効果」などSARS-CoV-2に対する予防効果を標榜するような商品もあり、問題となっている(図3)。消費者庁は景品表示法および健康増進法の規定に違反する恐れが高いとし、当該表示を行っている事業者などに対し、20年3月から改善要請等を行っている。