徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナ第9波?

2023年06月25日 13時37分45秒 | 小児科診療
2023/5/8の感染対策緩和(2類相当→5類相当)後、
いろいろな感染症が増加しています。
まるで出番を待っていたかのよう。

本家本元の新型コロナはどうでしょう?
検査も報告もしなくなったので、
以前のように把握できませんが、
沖縄では大変なことになっているらしいと耳に挟みました。

以下の記事を読むと、本当のようです。
流行しているのはオミクロン株ではなく、
オミクロン株から派生したXBB株とのこと。

コロナ感染、5類移行後3倍に…沖縄は第8波に迫る勢い
2023年6月24日:読売新聞)より抜粋;
新型コロナウイルスの感染がじわじわと拡大している。全国約5000の定点医療機関からの報告では、感染症法上の分類が5類に移行する直前の3倍まで増えた。特に沖縄県は1医療機関あたりの感染者が28・74人で、年始の第8波に迫る勢いだ。専門家は夏の感染拡大を懸念しており、家庭でも解熱剤や検査キットを準備するよう呼びかけている。
・・・
 厚生労働省が23日に発表した全国の定点医療機関からの報告では、18日までの1週間の感染者数は1医療機関あたり5・60人。5類に移行する直前の1週間(5月1~7日)の感染者数を定点1医療機関あたりに換算した参考値1・80人の3倍を超えた。
 都道府県別では沖縄県が28・74人で突出して多く、同県の第8波ピーク(参考値31・85人)に近づいている。沖縄県の21日時点の病床使用率は59%で、重点医療機関のうち7か所では救急外来を制限しているという。
・・・
 「沖縄では入院医療 逼迫ひっぱく という状況が聞こえてきている。以前も沖縄で流行が始まり、その後に全国に広がった。そのようなことにならなければ、と心配している」。日本病院会の相沢孝夫会長は、21日に開かれた記者会見で警戒感をあらわにした。厚労省の助言機関も今月中旬の会合で、「夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性がある」との見解を示した。
 新型コロナの影響による学年・学級閉鎖も増えている。文部科学省によると、1日時点で、公立学校などの学年・学級閉鎖は計105校に上る。今月に入り、福岡県や埼玉県では、学校閉鎖になった例もある。
・・・
 現在の流行の主流は、オミクロン株の「XBB」系統だ。国立感染症研究所の推計では、今月下旬には、「XBB・1・16」が49%、「XBB・1・5」が12%を占めるという。
 XBB系統は、ワクチンなどで得た免疫を回避する能力が高いとされる。
・・・
 5類移行後は、患者の全数報告はなくなり、感染者数や死者数の毎日の公表はなくなった。感染動向は、約5000の定点医療機関からの週1回の報告になり、全国の入院患者数や重症者数も週1回の発表となった。死者数は、例年の水準よりどれだけ多かったかを示す「超過死亡」が1か月後に公表されるため、時間差が生じる。
 感染拡大に迅速に対応するにはどうすればよいか――。国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「毎週の入院患者数や病床使用率など様々な指標を注視することが重要だ。感染拡大時は医療が逼迫する恐れもあるので、家庭でも検査キットや解熱剤を準備しておきたい」と指摘する。

現在当院では、新型コロナ検査を希望する方には、
あらかじめ自宅で抗原キットを使用するよう誘導しています。
しかし患者さん情報によると、薬局薬店では抗原キットを置いておらず、
手に入らない状況が出てきているようです。
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新型コロナ後遺症に起立性調節障害の要素あり

2023年06月20日 07時08分29秒 | 小児科診療
Long-COVID(コロナ後遺症)に対する有効な治療はあるのか?
医療分野では日夜この分析が進んでいます。
その可能性をほのめかす報告を扱った記事を紹介します;

Long COVIDは5タイプに分類できる―国内患者のクラスター分析
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期を過ぎた後に何らかの症状が遷延する、いわゆる「long COVID」は、5タイプに分類可能であるとする論文が「Clinical and Experimental Medicine」に4月7日掲載された。聖マリアンナ医科大学総合診療内科の土田知也氏らによる研究によるもので、就労に影響が生じやすいタイプも特定された。
…まずlong COVIDをいくつかのタイプに分類して、それぞれのタイプを特徴付けるという試みが始まっており、海外発のそのような研究報告も存在する。ただし、QOL低下につながりやすい就労への影響という点を勘案した分類は、まだ提案されていない。
・・・
 2021年1月18日~2022年5月30日に同院のCOVID-19後外来を受診した患者のうち、PCR検査陽性の記録があり、感染後に症状が2カ月以上続いている15歳以上の患者497人(平均年齢41.6歳、男性43.1%)を解析対象とした。
・・・
 対象者には、23項目から成る自覚症状のアンケート(該当するものを○、強く該当するものを◎で回答する)と、慢性疲労症候群の評価に使われている9項目から成るパフォーマンスステータス(PS)質問票に答えてもらった。就労状況については、罹患前と同様に勤務継続、職務内容の変更、休職、退職という四つに分類した。
 結果について、まず自覚症状に着目すると、

<○または◎のいずれかが最も多かった症状>
 倦怠感(59.8%)
 不安(42.3%)
 嗅覚障害(41.9%)、
 抑うつ(40.2%)、
 頭痛(38.6%)
などだった。

<◎が最も多かった症状>
 倦怠感(40.2%)
 嗅覚障害(26.6%)
 味覚障害(18.1%)、
 脱毛(14.9%)、
 呼吸困難(13.7%)、
 頭痛(11.1%)
などだった。
 次に、特徴の似ているデータをグループ化するクラスター分析という手法により、long COVIDのタイプ分類を行った結果、以下の5タイプに分けられることが分かった。

(タイプ1)倦怠感が強いことが特徴で全体の21.8%が該当。
(タイプ2)倦怠感のほかにも呼吸困難、胸痛、動悸、物忘れを訴える群で14.9%が該当。
(タイプ3)倦怠感、物忘れ、頭痛、不安、抑うつ、不眠症、モチベーション低下を訴える群で20.8%が該当。
(タイプ4)倦怠感が少なく脱毛を主症状とする群で19.8%が該当。
(タイプ5)倦怠感が少なく味覚障害や嗅覚障害が主体の群で22.8%が該当。

 これらの群を比較すると、タイプ4は他群より高齢で、タイプ2や4は女性が多く、タイプ2はCOVID-19急性期に肺炎合併症を来していた割合が高いといった有意差が認められた。
 外来初診時のPSスコア(点数が高いほど生活の支障が強い)は、タイプ2が最も高く中央値4点(四分位範囲2~6)、続いてタイプ3が3点(同2~5)、タイプ1が2点(1~5)であり、タイプ4と5は0点(0~1)だった。症状発現から受診までの期間はタイプ5が最も長く、BMIについてはタイプによる有意差がなかった。
 就労状況に関しては、
発症以前と変更なしの割合がタイプ1から順番に50.0%、41.9%、43.7%、77.6%、84.1%、
職務内容の変更を要した割合は、24.1%、13.5%、9.7%、2.0%、7.1%、
休職中は20.4%、36.5%、39.8%、16.3%、7.1%、
退職に至った割合は5.6%、8.1%、6.8%、4.1%、1.8%であり、
タイプ2や3で休職中の割合が高く、タイプ4や5はその割合が低いという差が認められた。
 このほか、自律神経機能検査によって体位性起立性頻拍症候群POTS(立ち上がると脈拍が大きく変化する)〕と診断された割合が、自覚症状に倦怠感が含まれているタイプ1~3で高く、特にタイプ2では33.8%と3人に1人が該当することが分かった。
 以上を基に著者らは、「long COVIDはその臨床症状から5タイプに分類可能」と結論付け、また倦怠感を訴えるタイプにはPOTSが多く、POTSは治療により改善も認められるケースがあることから、「タイプ1~3に該当する患者では自律神経機能の評価が重要ではないか」と付け加えている。
・・・
<原著論文>
・Tsuchida T, et al. Clin Exp Med. 2023 Apr 7. [Epub ahead of print]

体位性起立性頻拍症候群(POTS)は小児では起立性調節障害のひとつに分類されている病名です。
難治性の起立性調節障害の1/3には心身症傾向が存在することが指摘されており、専門家でも治療に難渋します。
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コロナ後遺症の新たな定義2023

2023年06月20日 06時48分30秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスに感染し、
急性期症状が治まった後も体調不良が続くことを、
「新型コロナ後遺症」とか「long-covid」、公的には「罹患後症状」
などと呼んできましたが、
その概念・定義は国により微妙に異なることが指摘されていました。
今回、日本ではそのあやふやな状況を打破すべく、
「定義」が提案されました。

コロナ後遺症の新たな定義
ケアネット:2023/06/01)より一部抜粋;
◆ 定義を明確にすべきという論調
日本ではCOVID-19後に持続的に起こる医学的な影響のことを「罹患後症状」と定めています。手引きでは「COVID-19罹患後に、感染性は消失したにもかかわらず、他に明らかな原因がなく、急性期から持続する症状や、あるいは経過の途中から新たに、または再び生じて持続する症状全般」と定義されています。
英語論文では、PASC(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection)、Long COVIDなどと呼ばれています。そもそもこの病態を明らかにするためには、コンセンサスある定義が必要なのですが、いまだにナラティブな位置付けになっています。信頼性の高いデータセットを用いてこれを提唱した報告がJAMAに掲載されました。
◆ 12症状をスコアリング
85施設において、SARS-CoV-2感染30日以内の2,248例、30日以降の6,398例、そして非感染の1,118例の合計9,764例が登録されました。年齢中央値は47歳(IQR 35~60歳)でした。頻度が2.5%以上だった37の症状について解析されました。
PASCスコアに寄与する症状を抽出し、LASSO回帰により1~8の範囲で重み付けを行い、対応スコアを有する12の症状を表のように定めました。脱毛は有意なスコア因子には含まれませんでした。


表. PASCスコア(参考資料2より引用)

感染から30日を超えた場合のPASCの割合は、オミクロン株流行期ではそれ以前よりも低いという結果でした(17%[95%信頼区間[CI]:15~18]vs.35%[95%CI:34~37])。また、オミクロン株によるPASCは、ワクチン接種を受けていない参加者よりもワクチン接種を完了した参加者のほうが低頻度でした(16% vs.22%)。
・・・

とにもかくにも、長引く体調不良に悩んで受診された患者さんが、
PASCの可能性が高いのかどうか、判断する材料が登場したわけです。

当院は小児科ながら「コロナ後遺症相談窓口」となっています。
なぜか当地域ではここ1件だけです。
つまり内科系医院は誰も手を挙げていません。
なぜかというと「診断しても治療法がない」からです。

新型コロナ禍では漢方医学が注目されています。
漢方医学は、患者さんが悩んでいる体調不良を、
「健康な状態からどんな要素がどれくらい偏っているか」
と複数の物差しで評価し、その歪みを漢方薬で健康な状態(中庸)に戻す医療です。

一方の西洋医学では「正体不明の感染症」に対して治療法はありません。
原因ウイルスがわかって初めて対策がとれるようになり、
そこにはどうしてもタイムラグが発生します。
さらに現時点ではPASCの病態解明が進んでおらず、
つまり西洋医学では手の出しようがないのです。

私は小児科医には珍しく漢方薬のメリットに気づいて使用してきたので、
患者さんの体調不良に沿った漢方治療を提案できます。

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新型コロナワクチンは2023年秋、XBB株対応ワクチンへ変更

2023年06月20日 06時25分58秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスは変異周期が速いことが特徴ですが、
2022年春に登場したオミクロン株が長らく流行の主役として君臨してきました。
しかし2023年に入り、XBB株がじわじわと増えてきて、
現在は流行の中心になってきています。

この流れに伴い、
「現行のオミクロン株ワクチンは有効なのか?」
という素朴な疑問が生まれ、
とうとうこの秋にXBB株対応ワクチンへ変更されることが発表されました。

もちろん、従来のワクチンが無効ということではないのですが…
ちなみに、7月に予定している私の5回目のワクチン接種はオミクロン株対応ワクチンです。

以上のことを扱った記事を紹介します;

XBB.1対応コロナワクチン、2023年秋接種から導入へ/厚労省
ケアネット:2023/06/20)より抜粋;
 厚生労働省は6月16日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催し、2023年度秋冬の接種に使用する新型コロナワクチンについて、XBB.1系統を含有する1価ワクチンを用いることが妥当であるという方針を示した。現在の主流であるオミクロン株XBB.1系統に対して、現行のBA.4/5対応2価ワクチンでは中和抗体価の上昇が低く、移行しつつある主流流行株に対してより高い中和抗体価を誘導するためには、最も抗原性が一致したワクチンを選択することが適切であるという。
 6月16日に国立感染症研究所が公表した、民間検査機関の検体に基づくゲノムサーベイランスによる系統別検出状況によると、
 XBB.1.16(25.13%)
 XBB.1.9.1(7.04%)
 FL.4(XBB.1.9.1の下位系統、5.53%)
といった、いずれもXBB.1系統が上位3位を占めている。今秋以降もXBB系統の流行が続くことが想定され、XBB.1系統内におけるさまざまな変異体の抗原性の差は小さいことがこれまでの調査で確認されていることから、本会議ではXBB.1系統を含むワクチンを用いることが妥当とされた。
 また、従来株成分の必要性については、免疫刷り込み現象を理由として従来株成分を排除すべき状況ではないものの、現時点では、今後にわたり、従来株を含める必要性はないため、新たなワクチンはXBB.1系統に対する1価でよいという見解が示されている。なお、今年度春開始の重症化リスクが高い者に対する接種では、重症化予防の観点から現在入手可能な既存の2価ワクチンを用いて引き続き実施される。
 XBB.1系統を含むワクチンに関する知見は限られているが、製薬企業から提出されたマウスを用いた非臨床試験によると、XBB.1.5の成分を含む1価ワクチンは、追加接種として、既存の2価ワクチンと比較して、XBB.1.5に対する中和抗体価が約4倍高かったという。
 今後のコロナワクチン接種についてXBB系統の使用を推奨する動きは、世界保健機関(WHO)や、欧州医薬品庁(EMA)/欧州疾病予防管理センター(ECDC)米国食品医薬品局(FDA)が、5月から6月にかけて相次いで出した声明にも同様にみられる。

まあ、その時に供給されるワクチンを粛々と接種し続けることが、自分と家族を守る最短距離であることに変わりはありません。

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新型コロナが5類感染症になった今、ワクチンはどうする?

2023年06月19日 06時38分18秒 | 新型コロナ
まだワクチンを打つ必要があるの?
という素朴な疑問が生まれている昨今。

答えは「各個人のリスクを考えて接種を考慮すべし」というところでしょうか。
当初95%だった発症阻止率は、徐々に低下してきました。
現在のオミクロン株対応ワクチンを繰り返し接種しても70%止まりで、かつ数か月で50%未満に下がってしまいます。
しかし重症化阻止率は約半年間は80%程度保たれています
…これが現在のワクチンの効果です。

私は今年還暦で、かつ心臓に基礎疾患があるため、ハイリスク者です。
なので自分のためにも、家族のためにも半年ごとの接種を続けるつもりです。

リスクのない人はどうでしょう、
重症化しにくい子どもは個人的には接種しなくてもよいかもしれません。
しかし、子どもが感染すると家族に広がりますので、その影響をどう評価すべきか、まで考える必要があります。

参考になる記事を紹介します。
子どもに関しても「感染するデメリットよりワクチン接種のメリットが上回るので推奨される」という論調ですね。
第5類に格下げされて「インフルエンザ並みの感染症」とイメージされるようになりましたが、ワクチン接種に励んでようやくこの状況を作れたことを忘れてはなりません。
ワクチン未接種者ではいまだに初期のCTで肺が真っ白になる肺炎が発生しているのですから。

新型コロナワクチン接種は今後どうすればよいか? 子どもへのワクチンは?
倉原優 呼吸器内科医
2023/6/17:yahooニュース)より一部抜粋;
・・・
足元でじわじわと感染者数は増えていますが、以前のように重症者が急増していないため、全国的にはまだ医療逼迫にまで至っていません。
これは、ウイルスが変異し続けていることに加えて、すでに感染した人やワクチン接種が行きわたった人が増えて、国全体で免疫が底上げされているからだと考えられます。
従来株と比較すると、現在の変異ウイルスは以前ほど感染予防効果が期待できませんが、集団としては十分に機能する有効性はあり、また重症化予防効果は半年~1年程度は期待できるとされています。
しかし、半年~1年以上前に接種をやめてしまった人は、感染あるいは重症化しやすい状態になっていく懸念があります。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、最終接種から1年以上が経過した場合、追加で接種することを推奨しています。
・・・
現在、無料で接種可能な新型コロナワクチンは以下の通りです。
① 令和5年春開始接種(オミクロン株対応2価ワクチン)
② 未接種者の初回接種(従来型ワクチン)
③ 乳幼児(生後6か月~4歳)初回接種(従来型ワクチン)
④ 小児(5~11歳)初回接種(従来型ワクチン)
⑤ 小児(5~11歳)追加接種(小児用オミクロン株対応2価ワクチン)

5月8日から「令和5年春開始接種」がすすめられています。流行初期の従来株と直近流行していたオミクロン株のBA.1やBA.5に対応した2価ワクチンを接種しています。

この春接種の対象となっている人は、
「1、2回目接種済の65歳以上の高齢者」
「1、2回目接種済の基礎疾患を有する12歳~64歳」
「1、2回目接種済の医療従事者・高齢者施設等従事者」
です。
あまり知られていませんが、現在、健康な12~64歳は接種対象外です。

・・・
令和5年9月1日から「令和5年秋開始接種」が始まります。このとき、現在接種対象外である基礎疾患を有さない12歳~64歳も接種対象になる予定です。
昨日厚労省の専門家分科会で導入が決定されたのが、オミクロン株派生型「XBB」に対応したワクチンです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)でも、従来株の成分は不要と判断し、XBB対応1価ワクチンへの転換を推奨しています。

◆ 子どものワクチンは?
現在、子どもの新型コロナワクチン接種率は約2割と低い状況です。正確な感染率は不明ですが、成人の自然感染率は32.1%とされていることから、多くの子どもがまだ新型コロナに罹患していないと推察されます。
実際、学校でクラスターが発生しているという報道も、最近によく耳にします。
日本小児科学会は、「生後6か月~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種(初回シリーズおよび適切な時期の追加接種)を推奨する」と、追加の提言を今月ホームページ上で提言しています。
・・・
子どもが感染しても多くが軽症で終わるのは事実ですが、未接種で感染する場合の重症化リスクと後遺症リスクのほうが、接種の副反応よりもメリットが大きいというのが、公的機関の見解です(図2)。


子どもの新型コロナワクチン接種における副反応は、含まれているメッセンジャーRNAの量が少なく、成人よりも頻度が低く程度が軽いことが分かっています。
しかしこれらについて、政府・学会と国民の対話がうまく進んでいない印象を持っています。SNSなどでも、「子どもはそもそも重症化しない」「ワクチンの副反応が大きい」という見解の親は少なくないと感じています。

◆ まとめ
すでに接種をやめてしまった人は、今後ワクチンの恩恵が減衰していく可能性があるので注意してください。
インフルエンザワクチンと同じように、今後は高齢者や基礎疾患がある人、妊婦、子どもへの接種が優先的にすすめられていくでしょう。
基礎疾患のない12~64歳も9月1日からの「令和5年秋開始接種」でXBB対応ワクチンが接種可能です。
コロナ禍前、少なくともインフルエンザワクチンを接種していたような人は、インフルエンザより手ごわい感染症を前にしていることから、引き続き接種を検討してください。

私はすでに「2023年春の接種」を予約しました。
今後も推奨されるワクチンと時期に従い、自分と家族を守るために接種を続ける予定です。

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口コミに答えて(2023.6.14)

2023年06月12日 19時35分12秒 | 小児科診療
当院は小児科開業医です。
先日、某サイトに以下の口コミがありましたので紹介します;

「こどもの直腸脱でかかりました。 内科系疾患ではないため門前払いもあり得ると考え、症状を診ていただけるかの確認の電話を事前にしました。 受付の方から看護師に代わり、「診れると思いますよ〜」とのことだったので来院しました。(思います?大丈夫か?と思いつつ) 予約システムがあるので待ち時間は少なかったです。長所はそこだけですね。 診察では、紹介状を出すと言われました。そして最後に質問をすると「分かりませんね。そういう質問されたことないので」とぶっきらぼうな返しでした。絶句で、一言も返せず診察室を出ました。一応漢方が処方されました。診察内容から不安が残ったので薬局で聞くと、元気の出る薬だそうですw 最後にただ1人女性の方だけが親身になって診察室での件を謝罪してくださり、少し安心できました。他の方は受付含め特に愛想があるわけでもなく、もう行かないと思います。 そして口コミを全て読みましたが、私は元々愛想がなくうんたらかんたらと返信されていますが、こんなところで反論してるんだったら笑顔の練習1つでもしたらどうでしょう?1人でやってるんなら勝手に愛想悪くしてれば良いですが、ご自身の元で働いてくださってる従業員の生活もかかってるんですから。 今回の件を受けてもう行かないと思う私のような人間もいれば、口コミを見て行かないと決める方もいるでしょう。事前の電話確認も信じないほうがいいと思います。」

ひとことで言えば「クレーム」ですね(^^;)。
返信を書いたのですが、どうも消されてしまうシステムがあるらしく残らないので、
こちらのサイトに書き写すことにしました。

まずは不快な思いをさせてしまい、申し訳なく思っています。
季節外れの風邪の流行で診療枠の2倍の患者さんを受け入れたため、
すでに1時間以上お待ちの方もいて、
説明は必要最低限にせざるを得ず、
言葉が足りなかったと反省しています。

さて、小児科開業医は、病気の種類にかかわらず、
子どもの健康に関する相談事に幅広く対応しています。
なので原則、当院では明らかな外科疾患でなければ相談事をすべて受け入れています。
実際に診療し当院で解決することがほとんどですが、
自分の専門外で診療経験のない病気であれば信頼できる専門家へつないでおり、
それが当院の役割の一つと思っております。

口コミを書いた方にも、問い合わせの電話の際に、
「診療して当院で解決できない場合は、
 専門施設へ紹介することがあります」
と説明があったはずですが、
不安から耳に入らなかったのでしょう、
「よかった、ここで解決できる」
と思い込んだ様子、これはよくあることです。

そして今回、診療の結果、
内科的には解決できず専門医につなげる必要があると判断し、
私は近隣の総合病院へ紹介状を書きました。

相談された病気は、おそらく他院を受診しても、
「うちでは診ることができません」
「他へ行ってください」
という類いのものです。

私は「他に行ってください」とは言わず、
「ここに行けば解決できます」という道案内をし、
責任を全うしたと考えています。

いくつか質問を受けましたが、
この病気の診療経験がない小児科医の私には答える知識がなく、
「わかりません」
「紹介先の専門医に聞いてください」
とコメントするしかありません。

それにお怒りのようですが、
わからないことをわかったようにごまかして説明することは、
私のポリシーに反すること。
熟知している病気については、
しつこいほど説明をすることたびたびありますが。

当院を受診され、専門医につながったことは、
お子さんにとってよかった。
紹介先で診療を受けて解決し、
ご家族に笑顔が戻ることを祈っております。

処方した漢方薬は「元気の出るくすり」として有名ですが、
肛門脱に有効な、数少ない漢方薬のひとつです。
薬局の薬剤師さんはそこまで知らなかったと思われます。
「肛門脱」「漢方」で検索していただければおわかりいただけると思います。


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