徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

BCGよ、お前もか。

2016年04月28日 08時42分07秒 | 小児科診療
 BCGの製造工程が、厚生労働省の定めたルールを守っていないことが判明しました。
 化血研に続く不祥事です。
 過去を振り返ると、MMRワクチン中止や、DPTワクチンによる京都・島根ジフテリア禍事件なども製造工程の遵守違反が原因とされています。
 改善されないこの病的体質の根っこはなんなのでしょう?

■ BCGワクチン 国の承認と異なる製法で業務改善命令
毎日新聞2016年4月26日
◇ 医薬品メーカー「日本ビーシージー製造」に厚労省
 厚生労働省は26日、結核予防のため接種する乾燥BCGワクチンを国の承認と異なる製法で造っていたとして、医薬品メーカー「日本ビーシージー製造」(東京都文京区)に医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく業務改善命令を出した。熊本市の化学及(および)血清療法研究所(化血研)の血液製剤の不正製造を受けた自主点検で発覚した。品質や供給に影響はないという。
 同社は国内唯一のBCGワクチンメーカー。厚労省によると、1950年ごろから製造していたが、80年代に菌の培養に使う水を水道水から高純度の水に変えた際、不足したミネラル類を追加したのに、必要な変更手続きを怠っていた。また、承認書では2回実施するとしていた無菌検査を1回に減らしていた。輸出用の製品も、届け出にある目視検査をしていなかった。
 同社は今年1月に厚労省に報告。厚労省は化血研には業務停止を命じたが、今回は立ち入り検査の結果、組織ぐるみの不正は確認されなかったことなどから、改善計画を1カ月以内に提出するよう求める業務改善命令にとどめた。同社は取材に「製造現場で届け出に対する認識が甘く、事務部門との連携も不十分だった」と話した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

予防接種ミニレクチャー「“積極的勧奨の差し控え”を考える」

2016年04月23日 06時40分42秒 | 小児科診療
 恒例となってしまった、地元医師会での予防接種ミニレクチャー。
 担当するのは今年で5年目になりました。

 今回のテーマは「“積極的勧奨の差し控え”を考える」としました。
 このわかりにくい指示は、予防接種行政の歴史を振り返ると「なるほど、そういうことか!」と頷けることに気づき、ちょっと調べてみました。
 スライドを書き起こしてHPにアップしましたので、興味のある方はどうぞ:

予防接種ミニレクチャー・アーカイブ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

出口の見えないHPVワクチン問題

2016年04月23日 06時19分05秒 | 小児科診療
 最近の動きです。
 ますます出口が見えなくなってきた感があります。
 “健康被害者”は訴訟に踏み切りました。

■ 【子宮頸がんワクチン】接種後に全身痛み…10代女性ら 国と製薬会社を提訴へ
2016.3.30:産経新聞
 接種後に全身の痛みなどの症状が報告されている子宮頸(けい)がん(HPV)ワクチンについて、副反応被害を訴える17~21歳の女性4人が30日、都内で会見し、国と製薬企業2社に損害賠償を求める訴訟を起こすことを明らかにした。HPVワクチンをめぐる訴訟は初めて。
 同日、結成された全国弁護団によると、原告に加わる意向を示しているのは30日時点で4人を含む計12人。原告を募り6月にも東京、大阪、名古屋、福岡各地裁に提訴する方針。
 国は平成25年6月から接種を積極的に勧めていないが、裁判の行方は積極勧奨を再開する判断にも影響を与える可能性がある。
 HPVワクチンは国の承認を受けた21年12月、国内での販売を開始。22年に国の補助事業が開始され、多くの自治体で無料接種が受けられるようになった。25年4月から定期接種としたが、6月に積極勧奨を中止している。26年11月までに約338万人が接種。厚生労働省はこのうち健康被害報告のあった2584人を追跡調査し、昨年2月時点で未回復の患者が186人いたとしている。
 弁護団の水口真寿美共同代表は会見で、副反応被害を「薬害」とし、「国がワクチンを承認した経緯や公費助成、定期接種、接種時の説明など、それぞれ問題があった」と指摘した。具体的な損害賠償請求額などは今後、精査する。


 一方、関連学会は声明を出しました。

■ 子宮頸がんワクチンを推奨 小児科学会など17団体が見解
2016.4.21:産経新聞
 全身の痛みやしびれなどの副作用が報告されている子宮頸がんワクチンについて、日本小児科学会など17団体は21日までに、ワクチン接種後の診療体制などが整備されたとして、積極的な接種を推奨するとの見解を発表した。
 見解では、子宮頸がんワクチンを導入したオーストラリアや米国など複数の国で、子宮頸がんの前段階の病変の発生が約半分に減っており、有効性は明らかと指摘。健康被害に遭った人への救済が開始されたことも推奨する理由として挙げた。


 当事者の若年女性たちは・・・

■ 子宮頸がんの検診は低迷 20~24歳では68%も未受診
2016.4.13:産経新聞
 ほとんどの女性が子宮頸(けい)がんという病気は知っていても、ウイルスが原因になると知っているのは33%、検診の受診率も依然低いとの実態が、婦人科系疾患の予防を啓発している一般社団法人、シンクパール(東京)の調査で分かった。
 対象は女性向け健康情報サイト「ルナルナ」を利用する12~52歳の8132人。20歳から2年に1度の受診が勧められる子宮頸がん検診だが、未受診が20~24歳では68%、25~29歳も36%だった。20~24歳の受診のきっかけは「自治体のお知らせや無料クーポン」が51%と最多。同法人は、働く女性が増えたのを受け、企業も健康診断の項目に取り入れるなどの対策が必要だとしている。


 というわけで、私にはこんな構図が見えてきます。
・日本では子宮頸がんについての教育・啓蒙がなされていない。ワクチンについても同様。
・すると、マスコミの扇動情報に振り回され、その危険性だけが入ってくる情報となりがち。
・学会が見解を出しても、厚生労働省が動かないので状況は変わらず。

 イギリスでは、実際に接種する当事者、つまり子どもたちに病気とワクチンの教育をしているそうです。ワクチンの危険性の前に、病気の怖さとワクチンの効果を正しく知っているので、マスコミ情報に流されにくく、接種率は80%以上を維持してます。

<参考>
■ 「HPVワクチンにみる日米欧のリスクコミュニケーションの比較検討」(くすりの適正使用協議会海外情報分科会)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊本地震~災害医療活動状況

2016年04月19日 07時04分37秒 | 小児科診療
 各団体による災害医療の活動状況を日経メディカルの記事から拡散します。
 今回の災害は「災害が続く中での避難生活」という特殊な状況であり、安全な場所への移動の必要性が報じられ、始まっています。

■ DMATは157隊、DPATは13隊が活動中 熊本地震、各地で災害医療活動が展開中
2016/4/18:日経メディカル
 4月14日から熊本県を中心に相次いでいる地震を受け、被災地では随所で災害医療活動が展開されている。災害時派遣医療チーム(DMAT)は、17日22時時点で157隊が活動中。さらに80隊が移動中で、294隊が待機中となっている。

◇ 現地で対応に当たるDMAT隊(提供:米盛病院ER)
 厚生労働省の報告によれば、4月17日21時時点で厚労省が直接確認した医療施設62施設中、建物損壊のリスクがある医療機関4カ所、ライフライン(電気、ガス、水道)の供給に問題がある医療機関19カ所、連絡が取れない医療機関4カ所、問題がない医療機関38カ所だった。ただし、熊本県内において、患者受け入れ困難に陥っていた基幹病院の診療機能も、DMATの支援などにより、徐々に改善傾向にあるという。

◇ 熊本県内において、患者受け入れ困難に陥っていた主な医療機関の状況
(出典:厚生労働省「平成28年熊本県熊本地方を震源とする地震に係る厚生労働省の対応について」)
■基幹病院の診療機能は、DMATの支援等により、徐々に改善傾向
(1)熊本赤十字病院(490床)
震災発生直後に停電により患者受け入れ不可となり、その後も患者の殺到により、患者の受け入れ不可状態が続いていたが、ドクヘリ搬送、近隣病院への患者分散等により、状況は改善。(4/17 1:00)
(2)済生会熊本病院(400床)
4/16未明以降、患者の過剰状態となっていたが、済生会グループからの医師派遣やドクヘリによる患者搬送により、状況は改善。(4/17 1:00)
■患者の大量搬送を要する医療機関における対応
(1)熊本市民病院(437床)
倒壊の危険から、入院患者の他院への搬送が必要となったため、県内外の病院等に、救急車、ヘリ等で323人全員の患者搬送を実施済み。(4/16 14:45)
(2)熊本セントラル病院(308床)
4/16 1:30頃スプリンクラーが作動し、建物7階(東館、西館)がほぼ水浸しの状態となり、入院患者約200人(車いす約170人、ストレッチャー約30人)の他院への搬送が必要となった。このため、自衛隊、消防の協力を得て、全ての患者について、16日中に県内外の他の医療機関に患者搬送を実施済み。(4/16 23:00)
(3)東熊本病院(52 床)
病院のライフラインが途絶したため、入院患者43人を全て転院済み。(4/16)
(4)西村病院(96 床)
病院損壊により、入院患者96人を系列施設に転院済み。(4/16 14:00)
(5)くまもと森都総合病院(199 床)
病院損壊により、2病棟のうち1病棟使用不可。入院患者64人が転院または退院済み。(4/16 19:00)
自力で動けない患者94人をDMATで搬送調整中。(4/17 10:30)
自力で動けない患者13人をDMATにより搬送。残りの患者は、近隣の医療機関への転院を調整中。(4/17 17:00)


 熊本県内には透析病院が94施設あり、患者数は6393人。被災直後は27施設で透析対応が不可となったが、17日21時時点では25施設となっている。透析不可患者数も、約2000人から約1800人となっている。透析不可施設の患者は、透析用の水の確保、熊本県内の他の医療機関での受け入れにより、ほぼ県内で対応できているという。状況の悪化に備えて、日本透析医会、熊本県及び近隣県(福岡県、佐賀県、長崎県)と連携し、県外の医療機関への移送も調整中。18日に、熊本市内の病院の患者 10人を福岡県の病院に移送する予定。大分県内で透析対応不可となった施設はない。

 災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、熊本県庁内にDPAT調整本部を立ち上げた。4月17日時点で、13隊が活動中。さらに、1隊が移動中、全国で10隊が準備中。病院のライフラインの途絶などのため、精神科病院の益城病院(熊本県益城町)と希望ヶ丘病院(熊本県御船町)において転院などが必要となった入院患者の転院支援は、熊本県精神科病院協会と連携し17日12時時点で完了している。その他4病院(対象患者数は約430人)からの転院依頼を受け、患者搬送について調整中で、順次転院などを実施中。転院の支援と並行し、避難所などで被災者の心のケアに当たっていく予定としている(早期介入を目指す新体制のDPATが活動中)。

 医薬品・医療機器の安定供給などに係る被害については、17日の時点で「なし」と報告している。本震後、熊本県に医薬品製造所がある24社中、1社から「すべての製品の製造ができず、製造再開の目処は立っていないが、在庫は一定程度確保されており、安定供給に支障を来すものがないか早急に確認中」との報告があった。17日11時時点で、残り23社のうち、13社からは問題発生なしとの連絡があり、10社については確認中だという。

 厚労省は15日、関係団体に対し被災地における医療従事者確保についての派遣協力を依頼。16日には、日本医師会災害医療チーム(JMAT)が現地での医療支援活動を開始。17日12時時点で、14チームが活動中。同じく16日、全日本病院協会災害時医療支援活動班(AMAT)が現地での医療支援活動を開始。社会福祉法人恩賜財団済生会も17日12時時点で3チームが活動中、1チームが移動中。国立病院機構では、避難所において医療支援を行う医療班をのべ6チーム(計30人)を15日から被災地に派遣。17日夕方現在で、5チーム(計25人)が活動中。現地対策本部および後方支援拠点を設置した熊本医療センター、大牟田病院、大分医療センターで現地対策を開始した。17日朝からは、四国グループ3施設から水・食品などの物資搬送を開始したと報告している。また、徳洲会医療救援隊(TMAT)は、3カ所の活動拠点で診療を行っていると報告している。

 国境なき医師団からは、現地の医療ニーズを調査するチーム(医師3人、非医療スタッフ2人)が17日深夜に現地入り。18日から、必要に応じて対応を進めるべく、情報収集と各方面との調整を行う。

 日本集団災害医学会学生部会は、発災と同時に熊本県の医学生の安否を確認。各大学のDMATのサポートを開始し、EMIS入力の補助や情報収集を継続している。今後は被災地の学生をサポートする形でボランティア情報や物資援助などの情報発信を行っていき、各サークルなどでのボランティアを支援していく方針だという。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015-16シーズンのインフルエンザ脳症・続々報

2016年04月19日 06時51分55秒 | 小児科診療
 当地域では一部の園・学校を除き、インフルエンザ流行は終息しつつあります。
 今シーズンのインフルエンザ脳症のデータ更新です。
 昨シーズンの倍の200人が報告され、死亡数は12名(5.9%)と近年の平均値6.8%よりは低くなっています。

■ インフルエンザ脳症、患者が200人超、死亡は12人
2016/4/15:日経メディカル
 今シーズンのインフルエンザ脳症の患者が200人を超え、昨シーズンの101人から倍増した。国立感染症研究所が4月15日に公表した感染症週報(2016年第13週)によると、新たに11人の患者が報告され、今シーズン累計で202人となった。報告時の死亡例は3人増え、計12人となった。死亡報告の割合は5.9%で、2009/10から14/15シーズンの6.8%よりは低くなっている。
 感染症週報によると、4月3日までの1週間に報告のあった急性脳炎(5類全数報告)は11例で、うちインフルエンザ脳症は3例だった。4歳児の死亡例が1例あった。
 また、2016年第12週までに診断されたものの報告が遅れていた症例の中に、急性脳炎は15例あった。このうちインフルエンザ脳症は8例で、1歳児と40歳代の死亡例がそれぞれ1例ずつあった。
 結局、第13週に報告されたインフルエンザ脳症は11例で、死亡は3例(1歳児、4歳児、40歳代)だった。死亡例のうち、1歳児と40歳代はインフルエンザA型で、4歳児はB型だった。これまでの死亡12例のうちA型は8例、B型は4例で、B型の死亡例は10週以降に発生している。

◇ 死亡の割合は5.9%
 国立感染症研究所によると、新型インフルエンザ(A/H1N1pdm2009)が発生した2009/10シーズンに319例のインフルエンザ脳症が報告されている。以降は、80例、88例、64例、96例と推移し、昨シーズンは101例が報告されている(図1、IASR 2015;36:212-3.)。この間の死亡報告例は6.8%だった(表1)。
 感染研は報告書の中で、「インフルエンザ脳症は小児での報告例が多いが、20歳以上の成人例の報告も各シーズンで変動はあるものの、10~35%で認められることにも注意が必要」と指摘している。今シーズンも20歳未満が85%と多くなっている一方、20歳以上も15%近くに達している。

図1 インフルエンザ脳症の報告数



表1 インフルエンザ脳症の年齢階層ごとの報告数と死亡割合


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊本地震~災害時のアレルギー対策

2016年04月18日 07時33分20秒 | 小児科診療
 まずは小児アレルギー学会作成のパンフレットを紹介します;
□ 「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット

 次は、小児科医のMLからの情報提供です。

 被災地の食物アレルギーの子どもたちへ。
 食材が、熊本市中央区にある「国立病院機構熊本医療センター」で4月17日から無料配布されているそうです。食物アレルギーの子どもが食べられるよう日本小児アレルギー学会が提供した小麦や卵を使わないクッキーやミルクそれにベビーフードなど、段ボール25箱分の食品が配布されます。

■ 食物アレルギーの子ども支援 食品を無料配付
2016年4月17日:NHK
地震で大きな被害を受けた熊本市で食物アレルギーの子どもたちを支援しようと小麦や卵を使わない食品の無料配布が始まりました。
無料の配布が行われているのは熊本市中央区にある「国立病院機構熊本医療センター」です。
食物アレルギーの子どもが食べられるよう日本小児アレルギー学会が提供した小麦や卵を使わないクッキーやミルクそれにベビーフードなど、段ボール25箱分の食品が配布されます。病院の総合案内のカウンターで、子ども1人につき5つまで無料で受け取ることができるということです。
5年前の東日本大震災ではアレルギーの子どもが避難所で食べたものでショック症状を起こしたケースも報告されています。
日本小児アレルギー学会の藤澤隆夫理事長は「避難所ではアレルギーに対応した食品が手に入らない場合があるので用意した食品で少しでも安心してもらいたい」と話しています。食品の数には限りがあるため、なくなり次第、配布は終了するということです。

◇ 食物アレルギーの相談窓口を設置
食物アレルギーがある子どもが避難所などの食事で誤って原因物質が含まれる食べ物を食べてしまう事故を防ごうと、小児科の医師などでつくる学会が災害時の対応をまとめたパンフレットをホームページで公開するとともに、相談窓口を開設しました。
相談窓口を開設したのは、小児科の医師などで作る「日本小児アレルギー学会」です。
相次ぐ地震を受けて、食物アレルギーがある子どもが避難所などの食事で誤って原因物質が含まれる食べ物を食べてしまう事故を防ごうと、ホームページに、メールで相談を受け付ける窓口を開設しました。
この学会は、東日本大震災のあと、食物アレルギーなど、子どものアレルギーへの災害時の対応についてまとめたパンフレットを公開しています。
この中では、避難所などの炊きだしに使われる食材にアレルギーの原因物質が含まれているかどうか分からないことがあるため、周囲の人が食物アレルギーがある人がいないか声をかけ、食べられない食材の聞き取りをしたり、アレルギーがある人の分の食材を分けて、家族が調理したりできるよう、配慮を求めています。窓口では、子どものぜん息やアトピー性皮膚炎についての相談も受け付けています。

★ 相談窓口のメールアドレス: sup_jasp@jspaci.jp
★ 日本小児アレルギー学会ホームページ: http://www.jspaci.jp/


 朝日新聞の記事より;

■ ぜんそく・アレルギーの子ども、避難生活での注意点は
2016年4月17日:朝日新聞


 東日本大震災の際、食物アレルギー対策に奔走・活躍した「ヘルシーハット」代表の三田さんの講演会記録です(会場は熊本市);

■ 避難所でアレルギーどうする? 選べぬ配給の食べ物、ダニやほこり問題に
熊本日日新聞:2011年11月19日
 災害が発生し、普段通りの食生活ができなくなった時に、食物アレルギーがある人はどう対応するか。宮城県仙台市でアレルギー対応食品の専門店を経営し、東日本大震災の被災者を支援している三田久美さん(56)が熊本市で講演。支援を受けるための連絡先の確保や備蓄の重要性を訴えた。
 専門店「ヘルシーハット」を経営する三田さんは、アレルギーの子を持つ親らの会「あっぷるんるんくらぶ」(仙台市)の代表も務める。
 三田さんは12日、熊本市男女共同参画センターはあもにいで講演し、「アレルギーで牛乳と卵、小麦粉が食べられないと、避難所で食べられる物はかなり限られる」と強調。
 震災直後に避難所で配られた食料は、菓子パンやスナック菓子が中心。炊き出しのみそ汁には魚介類や肉類が入っており、アレルギーがある人には食べられなかった。せっかく届いた缶詰に原材料表示がないものもあったという。「しばらく白ご飯しか食べられなかったという被災者がいた」と三田さん。
 三田さんの店舗も被害を受けたが、震災翌日に再開し、被災者の生活を支えた。道路状況が改善した震災1週間後からは、三田さんらスタッフが避難所を回り、アレルギーの人が食べられる自社製造のおかずやおやつのほか、せっけんなどのスキンケア用品、ダニ防止のシーツなどを届けて喜ばれたという。
 日ごろから、どう備えるか-。三田さんは「アレルギーがある人は、緊急時の炊き出しを食べられない前提で準備しておく必要がある」と言う。レトルトのおかゆやご飯が便利で、自分で調理するためのカセットコンロや鍋も必要だ。
 避難所の毛布がほこりっぽく、せきやくしゃみがひどくなる人もいた。「シーツやカバー、スキンケア用品などは必需品。最低1週間分は備蓄しておきたい」と三田さん。
 アレルギーがあることを普段から周囲に話しておくことも大事という。「我慢を強いられる避難所で、アレルギーを申し出るのは難しい。以前から周囲に話していた人は、食べられる物を優先的に回してもらっていたようだ」
 「あっぷるんるんくらぶ」など約40団体でつくる「アレルギーの会全国連絡会」は、震災当日から支援に動いたという。三田さんは「緊急時に支援を受けるためにも、親の会などを存続させ、連絡先を確保してほしい」と呼び掛ける。
 問い合わせは、講演会を企画した池田照子さんTEL090(3736)7195=午後7時以降。



<参考>
□ いのちを守る「アレルギー対応食品」の備蓄が進んでいます(宮城16/04/07)
□ ハートネットTV 「誰もが助かるために 避難所生活を支える」(NHK)
□ チョイス病気になったとき「子どもの食物アレルギー」(NHK)

■ 「災害時における食物アレルギーをもつ児童支援とその社会的ネットワークに関する実証研究」(松本祥子:東北福祉大学)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊本地震~避難生活での健康管理

2016年04月17日 06時49分57秒 | 小児科診療
 震災でケガを免れても、その後の避難生活での健康管理も大切です。
 しかし、現時点では強い余震のため屋内非難も危ないという特殊な状況です。

 紹介する記事の中で、ワクチンで予防可能な感染症がいくつもあります。
 このようなリスクも考慮した、ふだんからの予防接種計画が望まれます。

■ 熊本地震 避難生活での健康被害を防ぐ知恵
2016年4月15日;毎日新聞
 14日夜、熊本県内を中心に起きた熊本地震では、多くの人が避難を余儀なくされている。被害状況、さらには今後の余震の規模や発生頻度によっては、避難生活は予想外の長期に及ぶ可能性がある。東日本大震災、阪神大震災、2015年の関東・東北豪雨などでの教訓から、避難中の2次的健康被害を防ぐ方法をまとめた。

◇ エコノミークラス症候群に注意
 飛行機のエコノミークラスの座席のような狭い場所に、長時間同じ姿勢で座っていると起きることから名付けられたエコノミークラス症候群。医学的には「静脈血栓塞栓(そくせん)症」といい、避難生活で注意すべき疾患の代表格だ。長時間体を動かさずじっとしていることで、足の深部にある静脈の血流が悪くなり、血のかたまり(深部静脈血栓)が生じる。それが血流に乗って肺に運ばれ、肺の血管を塞ぐことで起きる。厚生労働省によると、初期症状は太ももから下の脚が赤くなる、むくむ、痛むなどで、この時点で急いで医療機関を受診しなければならない。進行すると胸の痛み、呼吸困難、失神などが生じ、死に至ることがある。かかりやすいのは高齢者のほか▽下肢静脈瘤(りゅう)▽がん▽骨折などのけが▽糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病--に現在罹患(りかん)している人、過去にエコノミークラス症候群や脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞などを患ったことのある人、妊娠中や出産直後の女性、経口避妊薬(ピル)を使っている人などだ。
 特に自動車の中など窮屈な場所で手足を縮めて寝泊まりをすると発症しやすい。また、新潟大学などの調査では、新潟県中越沖地震(07年)で避難所生活を送っていた被災者にも症状が確認されており、避難所でも車中泊と同様に注意が必要だ。
 厚労省が勧める予防法は、長時間同じ姿勢を取らない▽1時間に1度はかかとの上下運動(20~30回)をする、歩く(3~5分)などの足の運動をする▽血液が濃縮されないよう定期的に水分補給する▽時々深呼吸する--などがある。運動方法は「1時間に1度程度『貧乏揺すり』をする」と思えば分かりやすい。やむを得ず車中泊をする場合は、できるだけゆったりとした服装にし、足を物に乗せて高く上げた状態で寝るのが効果的だ。

◇ 避難所でリスクが急増する感染症
 鬼怒川の決壊など大きな被害が生じた15年9月の関東・東北豪雨の際、国立感染症研究所は以下に示す6種類の「注意すべき感染症」を示した。災害の種類を問わず、多くの人が共同生活をする避難所では衛生状態が悪化しやすく、たびたび感染症の流行が起きている。東日本大震災では避難生活で体力が低下する震災1週間後から感染症が増えてきた、との指摘もあり、中長期的に十分な注意が必要だ。

【関東・東北豪雨の際に挙げられた「注意すべき感染症」】
・急性呼吸器感染症(さまざまなウイルスで呼吸器に疾患)
・急性胃腸炎・急性下痢(腹痛や嘔吐<おうと>、発熱、下痢など)
・レジオネラ症(肺炎や発熱など)
・レプトスピラ症(発熱、悪寒、頭痛など)
・破傷風(全身がけいれんし呼吸困難に)
・麻疹(はしか、高熱や発疹など)

 レジオネラ症は泥に含まれるレジオネラ菌を粉じんと一緒に吸い込むなどして起きる。破傷風はけがの傷口から破傷風菌が体内に入って感染する。ネズミなど動物の尿に含まれた細菌が、水や土を通じてヒトに感染するレプトスピラ症は、頭痛や発熱が起き死に至ることもある危険な感染症だが、初期症状は風邪に似ているため気づくのが遅れることがある。不潔な水や土に触れない、マスクを着用し、手洗いを励行する、けがを防ぐため靴や手袋を着用する、などが対策となる。
 風邪、肺炎、インフルエンザなどの急性呼吸器感染症は、過密状態の避難所では大流行を起こしやすい。流水での手洗いが重要だが、ため水しかない場合でも一度おけなどに水をくんで、流しながら手を洗うことで効果を高めることができる。マスクの着用も大切だ。
 急性胃腸炎や急性下痢など「食中毒」の予防には、手洗い励行▽生食は避ける▽食べ物を常温で長く保存しない▽食べ残しは保存せずに捨てる--を徹底する。食事や調理の前には、せっけんと流水で手を洗うか、ウエットティッシュや手指用のアルコール消毒剤を使う。おにぎりはラップで包んで作ることも、簡単だが効果の高い予防法だ。

◇ 脱水症 トイレの我慢は厳禁
 断水が続くとトイレの衛生状態が悪化することが多い。慣れない環境への抵抗感もあり、トイレに立つことを我慢するために水分を控えて脱水を起こす人が、阪神大震災、東日本大震災の被災地でもたびたび見られた。普段よりこまめな水分補給を意識し、トイレに行くことも我慢しないのが大切だ。
 脱水は必ずしも「のどの渇き」という自覚症状では表れない。気をつけるのは排尿の回数で、明らかに普段よりトイレに行く回数が少ない場合は要注意だ。飲むのは水でもいいが、手に入れば経口補水液(飲む点滴)や、水でスポーツドリンクを薄めたものを飲むとよりいいだろう。少量を口に含み、口の中をしめらせておけば乾燥予防にもなる。

◇ 透析が必要な人は一時的な避難の検討も
 定期的な通院が必要な人工透析患者は避難生活が大きなリスクになりやすい。避難所生活が長引くと、栄養バランスが崩れたりストレスがたまったりして、症状が悪化する人が多く、阪神大震災の際も被災から2カ月間で、約50人の透析患者が直接の地震被害とは別の理由で亡くなっている。

 東日本大震災の際は、全国の自治体や医療機関が被災地の透析患者を受け入れる支援を行った。慣れた医療機関以外で透析を受けることに抵抗もあるだろうが、他地域に親類が暮らすなど動きやすい人は、しばらく離れた土地に避難して、安心して治療を受けるという選択肢を検討するのもいいだろう。


 2011年の東日本大震災の時の記事も紹介します;

■ 東日本大震災の想像を絶する避難所生活、劣悪な環境で感染症蔓延も
2011年4月6日:東洋経済オンライン
◇ 東日本大震災の想像を絶する避難所生活、劣悪な環境で感染症蔓延も
 石巻市内の死者は2283人、行方不明者は2643人。避難所で暮らす人は2万2745人に達している(3月29日時点)。人口約16万人のうち、実に15%近くが、今も避難所での生活を強いられている。
 石巻市内では、旧北上川の河口近くに立地していた石巻市立病院が、津波をかぶって診療不能に。市内に75あった診療所のうち、28カ所が津波で流された。
 そうした中で、市郊外の高台にあったため、被害の少なかったのが石巻赤十字病院だった。全国各地から訪れた医療スタッフがそこを拠点に診療に従事。市内各地の避難所にも出向き、診療に当たっている。
 が、震災発生からすでに3週間近く経過しているにもかかわらず、被災者の生活環境や衛生状態は一向に改善していない。
 石巻赤十字病院の石井正・第一外科部長(宮城県災害対策コーディネーター、右写真)は、「このまま劣悪な衛生状態が続いた場合、感染症などで多くの被災者が命を落とすおそれがある」と警告する。石井部長によれば、「当院では、救急外来の患者数が地震から時間が経過したにもかかわらず、一向に減らない。本来の高次救急やがん患者への医療提供もままならずに、野戦病院化したままになっている」という。

◇ 着のみ着のまま避難 途方に暮れる外国人も
 週刊東洋経済では3月26~27日の2日間にかけて、石巻赤十字病院や齋藤病院など石巻市内の医療機関、また避難所を訪れ、石巻市医師会長などの医療関係者や被災者から、医療や生活上の問題点について取材。そこで見聞きした事実は想像を絶するものだった。
 被災者の中には、着のみ着のままで逃げたために、保険証や預金通帳、不動産の権利証などを失った人も少なくない。そうした人の多くは、自家用車も津波で流されたゆえ移動手段もなく、避難所でじっとしているしかないというありさまだ。
 市内の高台にある、石巻中学校の体育館や教室に設けられた避難所(前ページ上写真)では、28日時点でも約600人が日々の生活を送っている。しかし、震災後に一度も風呂に入ることもできず、土足で体育館に出入りする不衛生な環境が続いてきた(3月末には土足禁止)。避難所では風邪が流行しており、せきの音が体育館内のあちこちで響いていた。
 きちんと医療を受けていない人もいた。糖尿病を患う67歳の男性は、震災前はインスリン注射を打っていた。ところが震災後、それが不可能になった。避難所での食事は「おにぎりやパンばかりで野菜はほとんど取れない」(男性)。胃かいようを患う63歳の男性は、長期にわたって服薬ができなくなったことでかいようが悪化。最近になって、巡回する医師から薬の処方を受けることができるようになったばかりだという。
 「やることがないので避難所で一日中ポカンとしている」と、この男性は語る。前出の67歳男性によれば、「避難所の同じ班の女性の多くはうつ状態になってしまっている」という。避難所には家族と離れ離れになった、フィリピン人女性の被災者が途方に暮れていた。
 なぜ、石巻市では、かくも悲惨な状態が続いているのか。原因には、都市基盤がことごとく破壊されたことに加えて、外部からの支援が不十分なことがある。
 震災による被害で市役所の機能がマヒ。152に上る避難所への支援も行き届かない。炊き出し用にボランティアの準備した食材が、市の職員の手違いでほかの避難所に運ばれる、という混乱も起きていた。
 石巻市では、市街地の大半が津波の被害を受けてがれきの山になっている地域や、水が引かずに泥だらけの地域が少なくない(下写真)。また、下水処理場やゴミ焼却施設も津波で壊滅的な被害を被った。

◇ 残った病院に患者殺到 “通院難民”まで発生
 市では家庭ゴミの収集を再開したものの、焼却できず、最終処分までの仮置きをしている状態。津波の被害を受けた家財道具などの災害ゴミも膨大な量に上っており、指定収集日に集めることが困難になっている。こうした悲惨な実態について、政府は十分に把握しておらず、「自治体任せ」というほかない。
 被災者の惨状は、石巻市に限らない。被災地では電気に続き、水道の復旧が少しずつ進む。それでも被災者の生活は依然として困難を極める。避難所から自宅に戻る人も増えているが、多くの人は、津波で床上浸水した家屋の2階で電気も水道もない生活を強いられているのが実態だ。
 また、電車やバスなどの公共交通機関が依然としてマヒしているために、掛かりつけの病院に通えない人も続出。そうした“通院難民”が急に訪れたことでパンクする診療所もある。松島海岸診療所(松島町)では、普段の土曜なら患者数が30人程度にとどまるのに、震災後は倍以上に急増。「津波被害で検査機器が使用不能になっている中、限られた診療を続けている」(同診療所を運営する松島医療生活協同組合の青井克夫・専務理事)。
 多くの病院や診療所が津波被害で機能を停止・縮小する一方、残された基幹病院には救急患者が殺到。地震の被害が少なかった坂総合病院(塩釜市)では、震災10日目までに救急車が平時の3倍以上も押し寄せた。その後3月22日時点で、来院患者数や救急搬入患者数はピークアウトしたとはいえ、依然として高水準だ。「震災当日から昼夜問わずフル活動していた職員は、24時間のトリアージ(重症度区分に基づく診療)を維持するのが限界に来ていた」(佐々木隆徳・坂総合病院救急科医師)。
 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)に加盟する同病院には、全国の加盟医療機関から多数の支援スタッフが支援に訪れていたこともあり、3月23日には有事のトリアージ体制を終了させ、通常診療の再開を実現。支援スタッフの力を借りて、多賀城市や塩釜市内の避難所などへの巡回診療を続けている。しかし今も、救急車が平時の2倍以上来ており、厳しい状況に変わりない。

◇ 不衛生な避難所生活 すでに風邪が蔓延中
 坂総合病院が2次救急医療機関としてカバーする多賀城市も、津波で甚大な被害を受けた。市面積の約2割が冠水、3分の1近い世帯が被災した。坂総合病院への応援で、同市内の避難所で診療に従事した山田智・立川相互病院副院長は、劣悪な衛生状態に驚きを隠さなかった。「被災者は体育館とトイレを土足で往復し、換気も満足に行われていない」(山田副院長)。
 山田副院長らのチームは、市内の多賀城小学校の避難所を訪れ診療を実施。3月23~27日の4日間での受診者は延べ78人に上った。この間の同小学校での避難者は200人前後であることから、かなり多くの患者がいたことが読み取れる。診断名では、「上気道炎」が39人に達しており、避難所での風邪の蔓延が裏付けられた。各地の避難所では「インフルエンザ」や「ノロウイルス」の感染が拡大する兆候も見えていた。
 坂総合病院の今田隆一院長によれば、「病床がふさがりかけており、高血圧や糖尿病など、慢性疾患の持病を悪化させている患者さんも目立つ」という(右写真)。「震災後の生活環境悪化にぎりぎりまで我慢し、必要な薬も飲んでいない高齢者も珍しくない」(今田院長)。
 1995年1月の阪神・淡路大震災では、震災から生き延びた高齢者などがその後病気をこじらせ死に至る事例が続発した。今回の東日本大震災は被災地域が広範囲に及び、さらに過酷な状況にある。政府は被災地の実情を把握したうえで早急に手だてを講じるべきではないか。


<参考になるHP>
□ 「避難所における感染対策マニュアル」(東北大学)
□ 「東日本大震災感染症ホットライン」(東北大学)
□ 「大規模災害において想定される保健医療福祉の課題 ―感染症の観点から―押谷仁,神垣太郎」(保健医療科学 2013 Vol.62 No.4 p.364-373)
□ 「災害時感染症対策のしくみを考える」(市民フォーラム)
□ 「東日本大震災における避難所での感染制御の現状と課題」(INFECTION CONTROL)
□ 「大規模⾃自然災害下の避難所における感染対策について」(日本環境感染学会)
□ 「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」(厚生労働省)
□ 「東日本大震災」(国立感染症研究所)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子どもの声が聞こえなくなる日

2016年04月13日 06時43分14秒 | 小児科診療
 街の中に子どもの居場所がなくなってきています。
 子どもの声は雑音なのでしょうか。
 未来へ向けて、何か解決法はないのでしょうか。

 住人のインタビューで
「閑静な環境を求めてこの住宅を購入したのに、あんな施設ができるのは腹立たしい」
 というコメントが悲しく聞こえました。

 閑静で老人だけの住宅街・・・数十年後には誰もいなくなって消えていく街(日本?)。

■ 「子供うるさい」開園断念…全国から意見殺到
(毎日新聞2016年4月12日)
 千葉県市川市で4月に開園予定だった私立保育園が「子どもの声でうるさくなる」などと近隣住民から反対されて建設を断念したことが波紋を広げている。12日、抗議の声を中心に全国からメールや電話が約50件寄せられ、市は急きょ記者会見して経緯を説明した。一方、予定地周辺の住民からは「市や事業者は建設ありきだった。もっと意見を聞いて決めるべきだった」と批判の声が上がっている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015/16シーズンの「インフルエンザ脳症」の続々報

2016年04月01日 06時28分37秒 | 小児科診療
 当地でのインフルエンザ流行は、春休みと共に終息しました。
 さて、インフルエンザ脳症の続報です。
 A型のみでなく、B型からの発症が報告されました。
 ワクチン接種率低下が原因ではないか、と考察されています。

■ インフルエンザ脳症で新たに3人死亡、患者は176人に
日経メディカル:2016/3/29



 依然として、インフルエンザ脳症の発生が続いている。国立感染症研究所が3月28日発表した感染症週報(2016年第10週)によると、新たに15例が報告され、今シーズン累計で176例となった。死亡も3人増え、計7人となった。
 感染症週報によると、3月13日までの1週間に報告のあった急性脳炎(5類全数報告)は12例で、うちインフルエンザ脳症は7例だった。10歳代の死亡例が1例あった。
 また、2016年第9週までに診断されたものの報告が遅れていた症例の中に、急性脳炎は13例あった。このうちインフルエンザ脳症は8例で、50歳代の死亡例が2例あった。
 結局、第10週に報告されたインフルエンザ脳症は15例で、死亡は3例だった(図1)。死亡例のうち、10歳代はインフルエンザB型で、50歳代の2例はA型とB型だった。これまで報告のあった死亡4例は全てA型だったが、ここにきてB型の死亡例も出始めている
 重症化の1つの指標となるインフルエンザ脳症が例年になく多くなっている点については、インフルエンザワクチンの接種率が下がったことが原因ではとの見方も出ている。インフルエンザ脳症の多発とワクチン接種率の関連性については今後、詳細は検証が必要となる。



 インフルエンザ患者さんの治癒確認のときに、

・今シーズンはワクチンを接種したかしなかったか。
・接種しなかった人には来シーズンは接種するかどうか。


 を聞いています。
 統計は取っていませんが、罹った人は接種していない人が多く、来シーズンも「・・・」という方が多い。その理由として、

・今シーズンのインフルエンザは熱の勢いがあまりなく「高熱でグッタリ」状態までいかずに治った例が多い。
・通院している方の中には子どもが3人以上の家族も多く、その場合の経済的負担が大きい。


 などが考えられます。
 軽症で済むならふつうの風邪程度と捉えるという考え方もありますが、上記報告のようなインフルエンザ脳症の多さを考慮すると、本気でインフルエンザ対策を考えるなら、政府はワクチン代の高騰に対策を考える必要がありそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする