徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

外国人診療のための言語サポートについて

2019年04月28日 15時32分56秒 | 小児科診療
 北関東の田舎町にある当医院にもグローバル化の波が押し寄せ、外国の方の受診が増えてきました。
 しかし私は日本語以外、話せません。
 英語は受験英語でストップしたまま、あえて言えば津軽弁が少しわかるくらい。

 ただ、英語が話せても、英語が通じない文化圏の人たちもたくさん来るので、対策を立てねばなりません。
 役に立ちそうなサイトが無いかどうか、探してみました。
 
 予防接種関係は以前から予診表などが用意されていることを知っていましたが、調べてみると、翻訳アプリにとどまらず、精度を上げた通訳アプリが存在することを知りました。
 通訳アプリはBSでよく宣伝している「ポケトーク」という製品がありますが、Google翻訳エンジンレベルで医療関連では力不足のようですね。

<予防接種関連>

予防接種と子どもの健康(予防接種リサーチセンター作成のパンフレット)
(対応言語)英語・韓国語・中国語・タガログ語・ポルトガル語

予防接種予診表(予防接種リサーチセンター作成)
 日本語が併記されていないので、ちょっと使いにくいです。
(対応言語)英語・韓国語・中国語・タガログ語・ポルトガル語・アラビア語・イタリア語・インドネシア語・スペイン語・タイ語・ドイツ語・フランス語・モンゴル語・ロシア語

<医療一般関連>

外国人のための医療情報(茨城県国際交流協会)
 各言語の医学用語を日本語と対比させて記載してあります。
(対応言語)英語・中国語・ポルトガル語・タイ語・タガログ語・スペイン語・韓国語・インドネシア語・ベトナム語・アラビア語・ウクライナ語・ウルドゥ語・シンハラ語・スロベニア語・セルビア語・タジキ語・ハンガリー語・バングラ語・ペルシャ語・マレー語・ルーマニア語・ロシア語

多言語版医療窓口対応シート(新潟県国際交流協会)
 患者さんと一緒にシートを見ながら指さしで会話を進めていく形式です。
(対応言語) 英語・中国語・韓国語・ロシア語・ポルトガル語・タガログ語・インドネシア語・ やさしいにほんご

薬局での外国人対応マニュアル(大阪府)
 薬関係に特化したものです。
(対応言語)英語・中国語(繫体字/簡体字)・韓国語

<翻訳・通訳アプリ>

Google翻訳アプリ
 利用したことがある方はおわかりでしょうが、単語はまあいいのですが、文章はちょっと怪しくなります。
(対応言語)104カ国語!?

□ 医療通訳アプリ「SHIJIDAS」(無料)
 スマホで使うアプリです。某医学系雑誌で医療現場専門の多言語アプリ「MEDICTION」を知りました。これはその進化版のようです。まだ使ったことはありませんが、試してみたいです。
(対応言語)英語・中国語・韓国語?

□ AI自動翻訳アプリ「T-400」(有料)
 謳い文句は「医薬・金融・化学・機械・IT・法務などの専門分野を、最大精度95%=プロ翻訳者に匹敵する正確さ、で翻訳します」。たまに使うには、有料だとハードルが高いですね(いくらなんだろう?)。
(対応言語)世界90言語以上

<一般生活関連>
多言語生活情報(地域国際化協会連絡協議会)
 以下の各項目について、各言語で説明されています。

 A 外国人住民基本台帳制度(新しい在留管理制度)
 B 在留資格
 C 結婚・離婚
 D その他の届け出
 E 労働と研修
 F 医療
 G 年金
 H 出産・育児
 I その他の福祉
 J 教育
 K 日本語教育
 L 税金
 M 住まい・引越し
 N 交通
 O その他の日常生活
 P 緊急・災害時
 Q 相談

(対応言語)英語・ドイツ語・中国語・韓国語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・タガログ語・ベトナム語・インドネシア語・タイ語・ロシア語・ミャンマー語・日本語&やさしいにほんご

 とここまで調べてきて、なんとすべてをまとめたサイトにたどり着きました。
 極めつけですね。
 うわっ、母子手帳まである!

医療関係の多言語資料サイト(ひろしま国際センター)
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“自然感染”という名のワクチンを選択しますか?

2019年04月17日 07時05分27秒 | 小児科診療
 ワクチンを評価する際、自然感染と比較して有利なことが基本です。
 従来は天秤にかけて比べるイメージで説明されてきました。

 

 しかし、現在の日本では、情報が偏ってバランスが崩れているように感じます。
 自然に感染する場合の重症度が軽視され、副反応ばかりが注目される傾向があるのです。

 

 私は少し視点を変えて捉えることを提案します。
 ワクチンを自然感染の延長と考えてみてはいかがでしょうか。

 自然感染は、人により重症から典型例、軽症までバリエーションがあります。
 軽症よりさらに軽いタイプに「不顕性感染」という病態もあります。
 これは、罹っても症状が出ない、しかし免疫は作られるというもの。
 いいですねえ。
 ただし、周りの人に移す感染力があるので感染対策上はやっかいな存在です。

 

 元々、生ワクチンはこの「不顕性感染」を目標に開発されてきました。
 弱毒化したウイルスを接種することにより症状が出ない程度に感染させ、免疫を作る手法です。
 そして自然感染の重症度にはめ込むと、不顕性感染よりさらに軽症に位置します。

 

 つまり、ワクチンは不顕性感染より軽い感染を引き起こす薬なのです。
 さて、「不顕性感染」とワクチンの違いを具体的に考えてみましょう。

・不顕性感染は終生免疫を獲得できるけど、ワクチンはそこまで免疫システムにインパクトを与えられないので複数回の接種が必要になる。
・不顕性感染は周囲に広げる感染力を有するが、ワクチンにはない。

 以上、ワクチンを自然感染の中で捉えると、不顕性感染より軽い病態ということになります。
 当然、合併症(副反応)も自然感染の重症型より少ないことが予想されます。
 実際に、自然感染の重症度・合併症頻度を上回るようなワクチンは認可されません。

 では逆に、自然感染をワクチンの視点で捉えるとどうなるでしょう。
 時に重篤化して命に関わる合併症があり、周囲に広げる感染力もある危険なワクチン、という評価になります。
 メリットは終生免疫ができる(1回で済む)ことのみ。
 このワクチンは認可されませんね。

 いかがでしょうか。
「ワクチンを接種しないという選択」=「自然感染という最も危険なワクチンを選択」
 ということをご理解いただけたでしょうか。
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