徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

12月に入る前にインフルエンザの流行が始まりました。

2014年11月29日 08時17分49秒 | 小児科診療
 今シーズンは12月に入る前に流行が始まりました。7年振りだそうです。
 A香港型が中心で、これは子どもにインフルエンザ性脳症を起こしやすいタイプ。
 当地域でもチラホラ陽性者が出てきています。
 みなさん、予防接種は済んでますか(私は2回接種済みです)?

11都県で早くもインフルエンザの流行始まる 多くは「A香港型」
(2014/11/28 FNN)
 11の都県で、早くもインフルエンザの流行が始まった。患者の数は、この1週間で推定およそ4万人増えるなど、例年よりも速いペースで猛威が拡大している。
 東京都では、7年ぶりに、11月にインフルエンザが流行する事態となった。
 今シーズン、東京のインフルエンザの患者は、8割以上が14歳以下となっている。
 例年、12月から3月に流行するとされるインフルエンザだが、2014年は、早くも11の都県で流行。
 この早すぎるインフルエンザの流行で、ある懸念がある。
 感染拡大を食い止める、予防接種。
 子どもの予防接種に来た母親は「1回目で、ちょっとは免疫がついてくれているといいんですけど」と話した。
 インフルエンザの予防接種は、効果が表れるまでに、およそ2週間かかる。さらに、13歳未満の子どもの場合は、原則、およそ1カ月空けて、2回接種しなければならず、効果が出るまでには、そこから2週間ほどかかる。仮に、きょう1回目の予防接種を受けたとすると、ワクチンの効果が出るのは、およそ1カ月半も先となってしまう
 医師は、流行が早まったことで、予防接種が間に合わず、感染が拡大するおそれがあると指摘する。
みやのこどもクリニックの宮野孝一院長は「今回のことを考えると、10月に(予防接種を)1回受けているのが、理想だったと思う。かなり、もっと(感染者は)増えてくると思う」と話した。
 今シーズン、検出されたウイルスの多くは、「A香港型」。
 A香港型は、流行しやすいタイプで、高熱やのどの痛み、関節痛などの症状をもたらす。医師は、子どもたちだけでなく、高齢者の感染にも注意を促している。
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「首浮輪」つけ入浴と「ジェルボール」洗剤・・・子どもの事故に注意!

2014年11月24日 04時52分45秒 | 小児科診療
 最近小児科医の間で話題になっている、新たな子どもの事故2つ。
 便利なモノには、落とし穴がありますね。

■ 首浮輪つけ入浴中…溺れる恐れ 乳児から目離さないで
(2014年10月20日 読売新聞)



 乳児が入浴時に首に巻いて使う「首浮輪」を付け、溺れる事故が相次いでいることから、消費者庁と国民生活センターが注意を呼びかけている。
 2012年以降で計10人が溺れ、うち1人は重体だという。親は子どもから目を離さないことが重要だ。
 首浮輪はC字状で、開口部に乳児の首を入れ、上下2か所のベルトで固定し、あごをのせて使用する。外国製で年間10万個以上販売されている。親が洗髪をしたり、浴室を出てミルクの準備をしたりして目を離した隙に、子どもが溺れる事故が後を絶たない。
 同庁などが12年7月に調査したところ、4件の事故を確認した。商品テストの結果、あごが浮輪にのっていなかったり、空気の入れ方が不十分だったりした場合に、首浮輪が外れるなどして、乳児の口や鼻が水につかってしまう危険性が判明し、注意を呼びかけた。
 しかしそれ以降も、同様の事故を6件確認。13年8月には、生後2か月の男児が浴槽で溺れて重体となった。残り5件は4か月から8か月の乳児で、浴槽にうつぶせで浮いていたり、底に沈んでいたりしているところを親が発見。いずれも病院に搬送され、最長で1週間入院した。
 同庁は「子どもが楽しそうに見えても安心せず、目を離さないで手の届く範囲で正しく使用してほしい」と話している。


 もう一つは「ジェルボール」という洗剤。

■ ジェル状洗剤、乳児の誤飲相次ぐ ゼリーと勘違い?
朝日新聞:2014年7月26日



 洗濯用のパック型液体洗剤を子どもが誤って口に入れるなどの事故が今年4月の発売以降、相次いでいることがわかった。日本中毒情報センター(本部・茨城県つくば市)には3カ月間で24件の事故の情報が寄せられた。25日、東京都内で開かれた日本中毒学会で発表した。
 この洗剤は、生活用品大手「P&Gジャパン」(本社・神戸市)の「ジェルボール」という形状のもの。水に溶ける透明フィルムで洗濯1回分の液体洗剤を包んでいる。計量の手間が省け、液だれもなく使うことができる。1個の大きさは、縦約4センチ、横約3・5センチ、高さ約2センチ。一口大のゼリーのようなお菓子にも見える
 情報センターにはパック型液体洗剤の誤飲などの事故に関する情報が7月10日までに25件寄せられた。高齢者の誤飲1件以外は、0~6歳の子どもだった。子どもの事故24件のうち、19件が誤飲による嘔吐(おうと)やせきなどの症状が出た。11件は医療機関を受診したが、いずれも症状がないか軽症で入院の必要はなかったという。
 きょうだいで、上の子どもが洗剤を入れる箱のふたを開けて、そのままにしていたところに、赤ちゃんが口に入れてしまった例などがあった。また、子どもがパック型洗剤を握りつぶし、洗剤が目に入った例などもあった。これまでの液体や粉末の洗剤の事故は0~2歳の子どもが中心だが、パック型液体洗剤は3~5歳でも事故を起こすことが多かった。
 情報センターの波多野弥生さんは「洗剤は口に含むと違和感を感じるので大量に飲むことは少ないが、飲んだ量や飲んでからどのくらい時間がたっているかで対処法が違う。医療機関や情報センターに相談してほしい」と話す。情報センターは「中毒110番」(072・727・2499)で相談を24時間受け付けている。(福宮智代)
■消費者庁、発売前に対策求める
 P&Gジャパンによると、欧米では複数社が同種の商品を販売していて、英国ではシェアの2割を占めているという。海外では子どもの誤飲事故が多発し、同社も日本での販売前に認識していた。
 消費者庁も販売前から、同社に複数回、懸念を伝え対策を求めていた。これに対し同社は、容器に誤飲の注意書きを記し、容器のふたのツメを増やして海外の商品よりも子どもが開けにくくするなどした。P&Gの海外の商品は、一個の形状を大きくするなどの対策をとっているという。
 消費者庁消費者安全課は「発売から短期間に事故情報がある。今のところ重大事故はないが、P&Gの対策が十分か今後も注視していく」としている。


<追記>
 米国ではすでに死亡例が出ているようです。

洗剤分包「ポッド」で子どもが平均1日1人死亡、米国警告
~メーカーは包装を改善したが、「安全性に不安が残る」の指摘
(2014年11月17日)
 洗剤の1回分の分包が日本でも登場し人気になっている。最近では、間違って子どもが食べるという問題が報じられている。
 米国ではこのたび1日に平均1人の子どもが死んでいるとして警告が出てきた。
 全米児童病院の障害研究・政策センターの研究グループが、小児科分野の国際誌ペディアトリクス誌オンライン版で2014年11月10日に報告した。
児童がお菓子やジュースと間違える
 米国では2012年と2013年に6歳未満の幼児およそ1万7000人が洗剤の分包、「ポッド」と呼ばれる包みの中の化学物質を飲み込んだり、吸い込んだりして病状を訴えていたと分かった。この期間に合計800人弱の児童が入院、平均して1日1人が死亡していた。
 洗剤ポッドは2010年初め、米国の店頭に登場し始め、以来その使用量は成長の一途をたどってきた。液体や粉末を計量せずに小袋を洗濯機に投入するだけで洗濯できるので便利だが、リスクが伴うのが明確になったわけだ。
 日本でも問題になったように、洗剤ポッドは、小さくてカラフルで、幼い子供にはお菓子やジュースのように見える面がある。つかんで、やぶき、中身の化学物質を飲み込むまでに数秒とかからない。
 洗剤ポッドを飲み込んだ子どもの半数が嘔吐していたほか、せきや窒息、眼の痛みや刺激、眠気や倦怠(けんたい)感などが問題になった。
「依然として子どもが飲み込みやすい」
 米国では大手メーカーは2013年春に包装を変更して不透明な容器を導入し、容器に警告を表示した。しかし、研究グループは、「ジップで開閉する透明なパッケージや容易に開く容器を使っている製品が依然、多く販売されており、安全性に改善の余地がある」と問題視。子どもの飲み込みやすさは日本でも同じ問題。注意が必要になりそうだ。

<文献情報>
Valdez AL et al.Pediatric Exposure to Laundry Detergent Pods.Pediatrics. 2014 Nov 10. [Epub ahead of print]
Gary Smith et al.Study finds laundry detergent pods, serious poisoning risk for children. EurekAlert.10-Nov-2014.

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HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)副反応対応医療機関公表~34都道府県51医療機関

2014年11月24日 04時44分14秒 | 小児科診療
 HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)副反応対応医療機関が公表されました。

■ 子宮頸がんワクチンで痛み、治療医療機関を選定 厚労省
(朝日新聞 2014年11月22日)
 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的な痛みなどを訴える事例が相次いでいる問題で、厚生労働省は21日、治療にあたる協力医療機関に決まった34都道県の51医療機関を公表した。
 協力医療機関は、研修を受けた医師が、地域の患者のかかりつけ医らから紹介を受けて治療にあたり、必要に応じてより高度な専門医療機関に橋渡しする。各都道府県に少なくとも一つ整備する方針。残る13府県でも調整している。
 副作用は原則すべて追跡調査の対象とし、来年2月末までに厚労省への報告を求める。これまでは長期的な痛みや運動障害だけを調査対象にする方針だったが、情報収集を強化する。副作用報告は今年3月末時点で計2475例に上った。
<協力医療機関の一覧>(11月20日現在)
 札幌医大病院、北海道大病院、八戸市立市民病院、弘前大病院、岩手医大病院、東北大病院、秋田大病院、山形済生病院、福島県立医大病院、筑波大病院、水戸赤十字病院、群馬大病院、自治医大さいたま医療センター、埼玉医大病院、千葉大病院、東京大病院、東京慈恵会医大病院、順天堂大順天堂医院、日本大板橋病院、聖マリアンナ医大病院、昭和大横浜市北部病院、昭和大藤が丘病院、横浜市立大病院、北里大病院、北里大東病院、東海大病院、新潟大病院、富山大病院、福井大病院、山梨大病院、信州大病院、岐阜大病院、名古屋大病院、愛知医大病院、三重大病院、島根大病院、岡山大病院、川崎医大病院、山口大病院、香川県立中央病院、高松赤十字病院、香川大病院、愛媛大病院、高知大病院、佐賀大病院、長崎大病院、熊本大病院、大分大病院、宮崎大病院、鹿児島大病院、琉球大病院


 当地は群馬県なので、群馬大病院へ相談することになりますね。
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スギ花粉を食べる「シドウィア菌」

2014年11月13日 06時07分15秒 | 小児科診療
 スギ花粉対策として「無花粉スギ」の研究は有名ですが、順次植え替えてもいつになったら効果が出るかわかりません。
 ここで、少し変わった視点の研究を目にしました。

花粉症対策の救世主となるか 驚きの新研究とは(2014年11月12日 チューリップテレビ)

 富山県森林研究所の「シドウィア菌散布」という方法。
 シドウィア菌はスギ花粉を食べる微生物で、自然界にも存在しているらしい。
 この菌をスギに散布して感染させると、よく春は花粉を飛ばさなくなるそうです。
 その効果は半永久的で、スギ自身を枯らせるわけではなく、ヒトにも害は及ばないと説明されていました。

 ウン、期待できそうな手法ですね。
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アメリカとスペインのエボラ出血熱、その後

2014年11月12日 07時26分13秒 | 小児科診療
 10月はアメリカとスペインでエボラ出血熱の二次感染者(アフリカから帰国した発症者の医療担当者が発症)が話題になりました。
 その後メディアの報道は減りましたが、現時点でどうなっているのでしょう?
 医師向けの「KANSEN JOURNAL」にわかりやすい記事が掲載されていたので、一部抜粋します;

エボラウイルス感染症の現状と対策(奈良県立医科大学感染症センター:笠原 敬)
 KANSEN Journal No.52(2014.11.8)
 アメリカ、スペインでは国内での2次感染例などに関して10月上旬から中旬にかけて報道が相次いだがその後の状況はどうなっているのだろうか。
アメリカ
 アメリカで治療されたエボラウイルス感染症患者は2014年11月5日現在で9名である。特にリベリアで感染し10月8日に死亡した患者とそのケアにあたった2名の看護師の2次感染は非常に大きなニュースになった。テレビニュースでは路上の患者の吐物を無防備な姿で放水して洗浄する清掃員の姿が映され、さらなる2次感染、3次感染は必発とも思われるような報道がなされたのは記憶に新しい。本件については177名の接触者が21日間の健康監視下に置かれていたが、11月7日には全員が発症することなく健康監視期間が終了した。
 また10月23日にはギニアでエボラ患者の治療にあたった医師がニューヨークのベルビュー病院でエボラウイルス感染症と診断された。発症前に地下鉄に乗っていた、ボーリングに行ったなどとの過剰ともいえる患者の行動に関する報道がなされ、現在も接触者の健康監視が継続中であるが、11月8日時点で2次感染は報告されていない。またこの医師は一時重篤な状態にあることが報告されたが、エボラウイルス病に感染して治癒したアメリカ人患者からの輸血などの治療を受け、現在は軽い運動をしたり趣味のバンジョーを演奏するなど改善傾向にあるという。
スペイン
 スペインでは西アフリカで感染した神父2人がマドリードで治療を受けたが死亡し、この看護に関わった女性の2次感染が10月6日に報告された。一部ニュースではこの女性の搬送に関与した者が3次感染したのではないかなどのニュースが流れた。実際には3次感染は起こっておらず、それどころかこの女性は11月5日に軽快退院し、さらに83名の接触者においてもすでに21日間の健康監視期間が終了している。
 11月8日時点での状況としては、アメリカで診断されたエボラウイルス感染症患者の最終発生日は10月23日、スペインでは10月6日である。


 というわけで、両国における感染拡大は止まっているようですね。
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今シーズンはインフルエンザ流行の立ち上がりが早い?

2014年11月11日 07時09分14秒 | 小児科診療
 インフルエンザが気になる季節になりました。
 が、当院ではまだ陽性者ゼロです。
 当地域では、数週間前に成人で陽性者が出たとの情報がありましたが、その後広がった様子はありません。
 全国的には流行が始まりつつあるようです。

■ インフルエンザ流行速報~今シーズンは流行の立ち上がりが早いのか
(2014/11/11 日経メディカル)
 2014/15シーズンは、インフルエンザ流行の立ち上がりが早いのかもしれない。各都道府県がまとめているインフルエンザ定点当たり報告数の推移を見ると、11月2日までの1週間(第44週)に全国の定点医療施設を受診した患者は定点当たり0.16人だった。直近の5シーズンでは、2010/11シーズンの0.2人に次いで多くなっている。
 第44週に最も報告数が多かったのは、長崎県で0.99人と流行の目安となる「1人」に迫っていた。新潟県(0.67人)、沖縄県(0.57人)、大分県(0.41人)と続いている。


 現時点では、西日本に多いようですね。
 検出されている型は、AH3(A香港型)が多いようです。

■ AH3型が44件と最多、B型とAH1pdm09型は昨シーズン同時期に比べ大幅減
 タミフル・ラピアクタ耐性H1N1pdm09ウイルスは検出されず
(2014/11/7 日経メディカル)
 国立感染症研究所のインフルエンザウイルス分離・検出速報によると、11月7日現在、AH3型の検出件数が44件と最多であり、一方、B型とAH1pdm09型はそれぞれ4件と昨シーズンに比べ大幅に減少していることが分かった。
 週別型別インフルエンザウイルス分離・検出報告数の推移をみると、36週から43週までに検出されたウイルスは、AH3型(A香港型)が44件、AH1pdm09型とB型がそれぞれ4件だった。B型はすべて山形系統だった。
 昨シーズンの同時期は、AH3型は40件、B型が24件、AH1型が14件だった。今シーズンは、AH3型が同程度であるものの、B型、AH1型はともに減少している。
 なお、昨シーズンに札幌を中心に確認されたH1N1pdm09のタミフル耐性ウイルスについては、抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランス(10月22日現在)によると、今のところ検出されていない。
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米CDC「子宮頸がんで死ぬべきではない」

2014年11月10日 06時14分30秒 | 小児科診療
 日本では学会レベルでも推進派と反対派がディスカッション中で、方向性が見えてこない混乱状態です。
 アメリカの状況を報告した記事を紹介します。
 読んでみますと、アメリカの受診率の低さを指摘する内容ですが、それでも日本のデータより全然高い(!)ことに驚かされます。
 そのため、子宮頸がん罹患率/死亡率は現時点でも差があります。
【米国】2007~11年の子宮頸がん罹患率は10万人当たり7.8人,同期間の死亡率は10万人当たり2.3人。
【日本】2010年の同罹患率(推計)は10万人当たり16.335人,2013年の同死亡率は4.117人。

■ 米CDC「子宮頸がんで死ぬべきではない」、検診率のさらなる向上を呼びかけ(2014.11.7:MTPro)
 米疾病対策センター(CDC)は11月5日の死亡疾病週報(MMWR)で,全米女性の子宮頸がん罹患率,死亡率,検診受診率に関する最新データを公表。それによると,2012年の時点で検診の対象年齢(21~65歳)に該当する女性のうち,過去5年に子宮頸がん検診を受けなかった割合が11.4%に上っていた。
 報告者のVicki B. Benard氏らは「子宮頸がん検診は最も効果的ながん予防策の1つだが,依然として子宮頸がんが進行した状態で見つかったり,同がんで死亡したりする女性がいる。いかなる女性も子宮頸がんで死亡すべきではない」と受検率のさらなる向上を呼びかけた。
□ 10人に1人が過去5年以内に子宮頸がん検診受けず
 今回の報告によると,2012年の時点で過去5年以内に子宮頸がん検診を受けなかった女性は,全米女性人口に当てはめると820万人と推計された。健康保険未加入(23.1%),定期検診のかかりつけ施設がない人(25.5%)では過去5年以内の未受検率がより高かった。
□ 2020年には93%の受検率目指す
 米国では女性の子宮頸がん受検率を2010年の83%から2020年には93%に引き上げる目標を設定。現在,医療保険制度改革や低所得者向けのプログラム提供などにより,今後,財政的な支障による未受検の問題は解消に向かうのではないかとの見方を示している。
 今回の報告と同時に発行されたVitalSignsで,CDCは「子宮頸がんの93%は検診とヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種で防げる」と呼びかけ,子宮頸がん新規患者の50%は過去に一度も検診を受けていない,あるいは過去5年間に検診を受けていなかった人だと指摘した上で,子宮頸がんによる死亡を減らすには受検率のさらなる向上が必要と強調している。
□ 日本の「受検率」は24.5%,罹患率は10万人対16人
 経済協力開発機構(OECD)によると,日本の子宮頸がん検診受検率は24.5%,加盟30カ国の中で最も低い。また,国立がん研究センターがん対策情報センターによると,子宮頸がん罹患率・死亡率ともに減少していない。


 現在の日本はHPVワクチンの安全性の議論に終始していますが、「女性を子宮頸がんから守るために何が必要か?」という視点からの議論が足りないのではないでしょうか。

日本だけが“子宮頸がん大国”の懸念(2014.11.6:MTPro)
 わが国では昨年(2013年)4月からヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期接種が開始されたが,ワクチン接種を受けた女児の体調不良が報告されるようになり,厚生労働省は同年6月14日に積極的勧奨の一時中止を決定した。自治医科大学さいたま医療センター産婦人科教授の今野良氏は,日本では積極的勧奨中止が継続中のHPVワクチン接種が海外では積極的に勧奨されていることを報告し,「このままでは日本だけが子宮頸がん患者が多い国になる可能性がある」と第73回日本癌学会学術総会(9月25~27日,会長=がん研究会がん研究所所長・野田哲生氏)で警鐘を鳴らした。
□ 海外では安全性声明を発表し,積極的接種を推進
 現在,日本では両親と本人が希望すればHPVワクチン接種を受けることはできるが,地方自治体は勧めてはいけないという難しい状況にあり,その結果,任意接種で70%だった接種率は8%まで落ち込んだ。しかし,日本とは逆に,世界保健機関(WHO),国際産科婦人科連合(FIGO),米疾病対策センター(CDC),世界医師会(WMA)などは,HPVワクチンの接種を強く推奨している。
 WHOは日本が積極的接種の中止を決定した前日(6月13日)に,英国医薬品局(MHRA)は半年前(2012年12月)に「安全性声明」を出している。今野氏は「その背景には日本の疫学,サーベイランスシステムが(機能してい)ない事実がある」と説明。「WHOは安全性を確認しており,日本で発生した複合性局所疼痛症候群(CRPS)やその他の痛みに関しても,明確な因果関係はないとし,『エビデンスがないなら,日本は調査をすべきで,ワクチンの供給は続けるべきである』との明確なメッセージを発した」と述べた。
□ オーストラリアでは初期子宮頸がん減少効果も
 さらにWHOは今年の3月に,日本がまだ結論を出せないでいることに対し,「世界では引き続き積極的な接種を勧めている」と強調し,「アルミニウムを含むアジュバントはワクチンの被害をもたらすものではない」と明言している。米国ではHPVワクチン接種は強い勧奨となっており,ワクチン接種による副反応の補償プログラムが明確に打ち出されている。また,MHRAは2012年に引き続き,昨年9月には「慢性疲労症候群に関してHPVワクチン接種と関連はない」と発表した。日本でも,7月4日の厚労省副反応検討部会で,ワクチンと痛みに関しての因果関係がないこと,機能性身体症状であるとの結論にほぼ達しているが,厚労省の接種勧告の再開には至っていない。
 今野氏は「このように,世界では日本とは反対にHPVワクチンの接種が積極的に推進されている。ワクチン接種完了者では,非接種者と比べて子宮頸がんの初期および高度前がん病変〔子宮頸部上皮内腫瘍(CNI)分類3および上皮内腺がん(AIS)〕が47.5%減少したとするオーストラリアの研究が発表されており(BMC Med 2013; 11: 227),同国では昨年2月から男女にHPVワクチンを勧奨している。このままでは10~20年後に日本だけが子宮頸がん患者が多い国という残念な結果になる」と懸念を示した。

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2015年のスギ・ヒノキ花粉は大量飛散?

2014年11月10日 06時03分31秒 | 小児科診療
 来たる2015年シーズンのスギ花粉飛散に関する情報です。
 一言で云うと「平年並みではないか」という内容でした(あくまでも南関東の足柄山の状況ですが)。

2015年のスギ・ヒノキ花粉は大量飛散? スギ雄花芽の着生状況を実地調査2014.11.7:MTPro

 スギ・ヒノキ花粉の飛散は,前年夏の気温や日射量に比例する。関東などでは今年も猛暑を記録したが,来年は大量飛散年となるのだろうか。気象条件以外で有力な飛散予測の根拠として前年秋~冬におけるスギやヒノキの雄花芽着生状況が挙げられることから2014年11月5日,東邦大学理学部訪問教授の佐橋紀男氏が実施した足柄峠(神奈川県南足柄市と静岡県駿東郡小山町の県境,南関東の飛散シーズンに影響を及ぼす花粉発生源の1つとされる)における雄花芽調査に同行。南関東では,来年2015年の飛散は多いのかどうかを占った。

□ 例年並みかやや少ないとの予想
 足柄峠における雄花芽調査では,佐橋氏は山頂,中腹,麓それぞれの観測ポイントに設定したスギ・ヒノキの定点林(定点木群)から,スギやヒノキそれぞれ40本を抽出して着生状況(花芽が着生した枝の本数,枝ごとの花芽数,花芽の発育状況など)を観測。豊作から順にA~Dの4段階でランク付けした。
<山頂エリア(海抜600~700m付近)>
・スギは40本中着花量がやや少ないCランクが23本と大半を占め,着花量が非常に多いAランクとやや多いBランクは10本に満たなく,着生状況は低調であった。
・ヒノキに関してもAランクはなしで,CランクとDランク(着生がほぼ見られない)が大半であった。
<中腹エリア(海抜400~600m付近)>
・スギ雄花芽の着生状況はB~Cランクが31本(Bランク14本,Cランク17本),Aランクは4本であった。
<麓エリアで>
・南西に面した陽だまりのエリア(海抜100m付近)においては,Aランク11本,Bランク14本,Cランク10本と2013年の調査結果(Aランク7本,Bランク18本,Cランク13本)に比べてAランクの本数が多く,大量飛散もうかがわれたが,花芽は全体的に小粒,鈴なり状の着生状況は見られなかった。なお,ヒノキに関しては数本でAランクの着生状況が観測された。

 同氏は「南関東の当地における観測結果からの見込みだが,2015年は一大飛散とまではいかないであろう。例年(過去10年平均)並みかやや少ない可能性が考えられる。ただし,過去10年平均で飛散が多いと考えられる3,000~4,000個/cm2を超える地域では,飛散予測に注意してシーズンを乗り切ってほしい」と強調している。



 この記事は動画付きなのですが、はてこの老紳士、以前にも見たことがあるような・・・と思ったら、昨年も同様の記事に登場されていました。

■ 南関東の花粉飛散は意外に多い? 足柄峠のスギ・ヒノキ雄花芽調査から2013.12.27:MTPro
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エボラ出血熱が他人事ではなくなってきた。

2014年11月03日 10時09分13秒 | 小児科診療
 2014年10月下旬に厚生労働省からエボラ出血熱に関する通達が医師会を通じて届きました。
 具体的な内容(青字);

■ 医療機関における基本的な対応
1.発熱症状を呈する患者には必ず渡航歴を確認する。
2.受診者について、発熱症状に加えて、ギニア、リベリア又はシエラレオネの過去1ヶ月以内の滞在歴が確認できた場合は、エボラ出血熱の疑似症患者として直ちに最寄りの保健所長経由で都道府県知事へ届け出を行う。
3.ギニア、リベリアまたはシエラレオネの過去1ヶ月以内の滞在歴を有し、かつ、発熱症状を呈する患者から電話の問い合わせがあった場合は、当該エボラ出血熱が疑われる患者に対し、最寄りの保健所へ連絡するよう、要請する。

■ 保健所の連絡先(群馬県)
 館林保健所 374-0066 館林市大街道1-2-25 TEL:0276-72-3230 FAX:0276-72-4628

■ 参考リンク
「エボラ出血熱について」(厚生労働省)


<追加情報>
受け入れ病院(2014.7.1現在)
 エボラ出血熱は一類感染症であるため、特定感染症指定医療機関及び第一種感染症指定医療機関でのみ受け入れ可能となっている。

■ 参考HP;
エボラ出血熱とは(国立感染症研究所)
Ebola virus disease(WHO)
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