徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

東京大学アイソトープ総合センター長、児玉龍彦先生の衝撃発言

2011年07月29日 21時43分57秒 | 小児科診療
衆議院厚生労働委員会での東京大学先端科学技術研究センター教授・アイソトープ総合センター長の内科医、児玉龍彦先生の参考人としての発言を紹介します。
※ 上記YouTubeはなぜか削除されました。こちらのアドレスで閲覧可能です。
・・・都合の悪い情報は削除し情報規制する手法はどこかの国と同じ?


福島第一原発事故による放射能汚染の真実は、やはり愕然とするレベルだった・・・これから数十年間、放射能汚染が暗い影を落とす生活が続くのですね。

彼の勇気ある発言に、日本の政治家達はどう答えるのでしょうか?

それにしてもこの重要な発言に関して、マスコミが沈黙を守っているのはどういう事でしょう。
原発推進に都合の悪いことは報道しないのでしょうか。
この暗黙の報道規制をみるにつけ「中国は言論の自由がない」などと他国を批判する資格は日本にはないと思います。

<追記>
 8月1日の東京新聞のコラムで上記発言が取り上げられました;

 「七万人が自宅を離れてさまよっている時に国会はいったい何をやっているのですか」。火を吐くような気迫に衆院委員会室は静まり返った。先週、厚生労働委員会に参考人として呼ばれた東京大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授の発言だ▼教授の試算は衝撃的だった。福島第一原発の事故で漏出した放射性物質は広島原爆の約二十個分。一年後の残存量は原爆の場合、千分の一に減るが、原発から出た放射性物質は十分の一程度にしかならないという▼福島県南相馬市で自らが手掛けている除染活動を通じ、内部被ばくから子どもを守ろうとする責任感が伝わる発言だった。国会の怠慢を厳しく批判する先には、動きがあまりにも鈍い国への憤りがある▼細野豪志原発事故担当相は日本記者クラブでの記者会見で「除染作業こそ国家的プロジェクト。福島の皆さんに希望を持っていただける」と語っている。今後、除染作業が兆単位の公共事業になるのは間違いない▼児玉教授は、民間の技術を結集し直ちに国の責任で除染研究センターを設置するよう求めた。避難住民を無視した利権まみれの公共事業にしてはならない▼「人が生み出した物を人が除染できないわけがない。福島におけるセシウム除染は、次の世代への日本の科学者の責任である」。教授は医学雑誌にそう記した。学者の良心に希望を感じる。

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米国では水痘ワクチン定期接種化で合併症の死亡率著減

2011年07月28日 20時04分24秒 | 小児科診療
 日本では任意接種の水痘ワクチン。
 定期接種ではないので自治体からの通知はなく、ワクチンの存在すら知らない日本国民もいます。
 お母さん方の間では「ワクチンを打つより罹ってしまった方がよい」という風潮もなきにしもあらず。
 
 一方アメリカでは現在2回定期接種となっており、しっかり結果を出しています;

■ 米国,水痘ワクチン定期接種化で関連死をほぼ制圧
 米疾病対策センター(CDC)の研究グループは,水痘ワクチンの定期接種プログラム導入により,2002年以降の水痘関連死をほぼ制圧できたと報告した(Pediatrics 2011; 128: 214-220)。水痘は小児期の発症では死亡率や合併症の頻度はあまり高くない一方,乳児や成人では重症化しやすいといわれている。米国における水痘ワクチンの定期接種化は1995年から1回接種,2006年からは2回接種で実施されている。研究グループは,今後,重篤な水痘関連合併症の制圧も可能になるのではとの見通しを示している。


 「任意」=「自己判断で自由に」「必要性は低い」と受け止められがちですが、それは正しい理解ではありません。
 日本で「任意接種」として扱われている、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、インフルエンザ、HPV、ロタ、水痘、流行性耳下腺炎などのワクチンを、WHOは「先進国では皆定期接種に入れるべき」と位置づけています。

 「日本の常識、世界の非常識」・・・ここでも「ワクチン後進国ニッポン」を思い知らされます(涙)。
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子どもの放射線被ばくについて

2011年07月28日 07時22分36秒 | 小児科診療
 最近の報道によると、3月11日以降、放射能雲(プルーム)が何回か関東全域を覆った事実が判明しています。
 北関東の当地でも放射線被ばくに無関係な生活は送れない状況になってきました。

 しかし、情報や数字が乱れ飛んで何を信じていいのかわからない・・・日本小児科学会が責任を持って提示している資料をご紹介します;

□ 日本学術会議事務局:「放射線防護の対策を正しく理解するために

□ 厚生労働省:「母乳中放射性物質濃度等に関する調査」についてのQ&A

□ 日本小児科学会:「放射線被ばくによる小児の健康への影響について

□ 文部科学省:「放射能を正しく理解するために

 被爆放射線量と発がんの関係が取りざたされていますが、話題になっている発がん率上昇はタバコや飲酒による数字とそう変わらないんですね。
 以下のデータはMMJ6月号から抜粋しました;

<放射線と生活習慣の発がんの相対リスク比較>
相対リスク(倍)・・・ 被爆放射線量・生活習慣

1.8  ・・・ 1000-2000mSvの被爆
1.6  ・・・ 喫煙者
1.6  ・・・ 飲酒(毎日3合以上)
1.4  ・・・ 500-1000mSvの被爆
1.4  ・・・ 飲酒(毎日2合以上)
1.29  ・・・ やせ(BMI19未満)
1.22  ・・・ 肥満(BMI30以上)
1.19  ・・・ 200-500mSvの被爆
1.19  ・・・ 運動不足
1.15  ・・・ 高塩分食品
1.08  ・・・ 100-200mSvの被爆
1.06  ・・・ 野菜不足
1.03  ・・・ 受動喫煙(非喫煙女性)
検出不能・・・ 100mSv未満
(国立がん研究センターのHPより)

※ 上記被爆のデータは原爆(広島・長崎)での被爆者を対象にした放射線影響研究所の追跡調査に基づいています。

 ・・・ということは、被爆が心配だと訴える人は、当然タバコ・酒を飲まないことが前提になりそうです。タバコを吸うお父さんは家族に100mSvの被爆と同じレベルの発がんリスクを与えていることになるのですから、大問題です。

※ 100mSv未満の低線量被爆の影響について
 科学的な調査結果は出ていません。専門家の間でも「一定の値を超えなければ健康影響はない(閾値がある)」という意見と、「低線量でも直線的に健康影響が増す」という意見があります。国立がん研究センターの津金昌一郎さんは「100mSvよりも低い線量で直線的に影響があったと仮定しても大きくはない(20mSvでは1.01倍と推計されている)が、成長期にある子どもは放射線による発がんの感受性が高いことが知られているので、より注意が必要です」と指摘しています。

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ロタウイルスワクチン・続報

2011年07月27日 06時26分12秒 | 小児科診療
 先日記載したロタウイルスワクチンの続報です。

■ 初のロタワクチン登場へ、乳幼児の重症胃腸炎予防(2011.7.26:共同通信)
  ~同時接種うまく活用を~

 乳幼児の激しい嘔吐や下痢の原因として最も頻度が高い「ロタウイルス胃腸炎」。重症化すると極度の脱水症状や脳炎などを起こし、命にかかわることもある。その予防を目的とするワクチンが7月、厚生労働省から国内初の承認を受けた。年内に発売され、任意での接種が始まる見通しだ。
 一方、このワクチンを接種する生後6カ月までの時期は、ほかのワクチンも重なって接種スケジュールは過密状態。専門家は「複数のワクチンを組み合わせる同時接種をうまく活用することが大切だ」と指摘する。
 ▽強い感染力
 「世界中のほぼすべての子どもが5歳までにロタウイルスに感染する。乳幼児の入院を必要とする下痢の30~50%はロタウイルスが原因」と、川村尚久・大阪労災病院 小児科部長は解説する。
 「抗ウイルス薬などの有効な薬剤はない。水分やナトリウムなどの電解質を補給する対症療法が中心。それだけにワクチンによる予防が重要になる」と川村さんは話す。
 ▽重症92%予防
 現在、世界で使われているワクチンは2種類あり、いずれも経口生ワクチン。世界保健機関(WHO)が乳児への定期接種化を推奨し、多くの国で導入されている。
 今回、日本で承認されたのはグラクソ・スミスクライン の「ロタリックス」。既に120カ国以上で使用実績がある。
 ロタウイルスには数百種類の型があるが、全世界のロタウイルス胃腸炎の90%以上は特定の5種類の型によって引き起こされている。ロタリックスは、全体の65%を占める「G1P[8]」という型から製造。液状のワクチン1・5ミリリットルを、4週間以上の間隔を置いて2回飲ませる。
 獲得した免疫で類似の病原体にも防御反応を示す「交差免疫」により、G1以外のタイプにも予防効果が期待できるという。国内の臨床試験(治験)では、重症のロタウイルス胃腸炎を92%防ぐ効果が認められた。
 ▽不安払拭を
 ワクチンにはそれぞれ適切な接種時期や接種回数がある。ロタリックスの場合、生後6週以降に初回の接種を行い、生後6カ月(24週)までに2回目の投与を終えなければならない
 しかし、この期間は3種混合やBCG、インフルエンザ菌b型(ヒブ)、小児用肺炎球菌などのワクチンの接種時期でもある。川村さんは「同時接種をしなければ、スケジュールに組み込むことは難しい」と指摘する。
 最近、同時接種に"逆風"が吹いた。ヒブや小児用肺炎球菌を含む複数のワクチンを同時接種した乳幼児の死亡が相次ぎ、両ワクチンの接種が一時見合わされたのだ。厚労省の検討会が「死亡と接種に明確な因果関係はない。安全上問題ない」と判断し接種が再開されたが、一度生じた不安の払拭は容易ではない。
 薗部友良・日赤医療センター小児科顧問は「同時接種は安全だ。医学的には何種類までという制限もない。子どもたちを守るために活用してほしい」と呼び掛けている。(赤坂達也)


 接種時期が「生後6ヶ月までに2回」と大急ぎ。
 3種混合(DPT)、ヒブ、肺炎球菌・・・そしてロタ。単独接種にこだわれば、毎週のように医院に通わなければならなくなります。近い将来にB型肝炎ワクチンも追加されると思われます。
 アメリカの標準接種スケジュールでは、生後2・4・6ヶ月にロタウイルスワクチンを含めた5種類のワクチンを同時接種していますね。
 ロタウイルスワクチンにはもう一つ「ロタテック」(MSD社)もあり、こちらも世界中で使用されています。いずれこちらも日本で認可される予定です。ロタリックスと接種時期が微妙に異なり、回数も違います;



 ・・・併売されたら混乱しそうですね。

★ ロタウイルスとワクチンについてはこちらもご参照ください:
・(当院HP)「病気のお話」→「感染症」→「風邪」の中の「感染性胃腸炎
・(know*VPD!のHP)「ロタウイルスワクチン
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沖縄で子どもの日本脳炎患者発生

2011年07月19日 04時36分08秒 | 小児科診療
 以下のニュースが飛び込んできました;

■ 沖縄県内で13年ぶり日本脳炎発症確認(2011年7月16日:沖縄タイムス)
 県健康増進課は15日、那覇市在住の1歳男児が日本脳炎に感染、発症したと発表した。男児は現在、同市内の病院のICUで治療中だが、病状は安定しているという。県内で日本脳炎の患者が出たのは1998年以来13年ぶり。全国的に見ると、1月に東京都で78歳の患者が出ており、ことしに入って2例目となる。
 同課によると、男児は4日から鼻水の症状があり、7日午前3時ごろ、39度台の発熱のため救急外来を受診。かぜの症状に似た上気道炎と診断され、いったん帰宅した。しかし、けいれんが続いたため同日午後9時、救急搬送で外来を再び受診、入院した。
 髄液検査を実施し、県衛生環境研究所で遺伝子検査をした結果、15日に日本脳炎ウイルスと確認された。
 男児に渡航歴はなく、本島中南部以外での行動はないという。男児は予防接種を受けていなかった
 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスで起こる感染症。ウイルスを持つ蚊(主にコガタアカイエカ)に刺されることで感染する。ウイルスは主に豚の体内で増加し、人への感染は豚の血液を吸血した蚊に刺されて感染する。人から人への感染はない。
 感染後の発症は100~1千人に1人程度で、大多数が無症状。1~2週間の潜伏期間を経て、高熱や頭痛、おうとの症状が出る。意識障害やけいれんなど脳炎症状を発症すると死亡率は20~40%に及び、生存者の45~70%にまひや精神障がいといった後遺症になるという。県内では1980年に1人、98年に1人の患者が確認されている。
 県は「感染しても多数が発症しないが、感染が確認されたことで、さらなる感染の恐れがないとはいえない」として、ワクチン接種などの予防を呼び掛けている。また、県衛生環境研究所は、蚊の採取調査を実施し、動向を把握する予定。
 主な予防策として、予防接種、蚊に刺されないように、虫よけスプレーの使用や蚊が屋内に入らないように網戸を使用するといった工夫を促している。


 現在の標準接種スケジュールは3歳からとなっていますので、この患者さんの発症は残念ながら防ぐことはできません。予防接種法では「生後6ヶ月から可能」と記載してあるのに、なぜ自治体(市町村)は3歳からにしているのか、以前から疑問に思っていました。今回接種開始時期を再検討する機会にすべきだと考えます。

 日本脳炎という病気については、当院HP「ワクチンで予防できる感染症」の「日本脳炎」の項目もご参照ください。
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変われない日本

2011年07月16日 06時42分07秒 | 日記
 好きではありませんが、ちょっと政治の話を。

 現在「菅降ろし」で盛り上がっている日本の政局。
 東日本大震災で迅速な対応が必要なときに足の引っ張り合いに終始する政治家達に日本全国民はウンザリしています。

 原発推進政策は長期政権を担当した自民党の責任の方が大きいはず。
 それを野党づらして「災害への対応が遅い」などと批判しているだけなら、政治家の資格はないと思います。本来は、自民党の政治家が被災地に出向いて被災者一人一人に謝罪して回るべきです。

 菅首相はその昔、薬害エイズに立ち向かった人です。
 官僚機構にケンカを売ることのできる数少ない政治家です。つまり、しがらみが少ないので思い切ったことが云えるのです。
 「首相の席にしがみついているだけ」と批判している人たちをよく観察してみてください。みんな原発維持&推進派ですねえ。
 菅首相は「脱原発政策」に立ちはだかる大きな権力の前に孤軍奮闘している様にも見えます。
 彼の政治手腕について評価するほどの見識を持ち合わせていませんが、ちょっと都合が悪くなると逃げ出すように辞めていった二世議員の首相達(阿部、福田、鳩山・・・)よりマシだと思うのですがいかがでしょう。

 今回「菅降ろし」の嵐が吹き始めたタイミングは「浜岡原発を止める」と宣言した後であることを私は見逃しませんでした。
 原発が止まると困る人たち、原発利権で潤ってきた黒幕が水面下で活動して菅首相を辞めさせようと躍起になっているのです。
 東京電力を初めとする巨大化した電力会社も一度解体して溜まった膿を出す必要がありそうです。
 東電の株主総会ではカネの力で反対意見をねじ伏せ、九州電力ではやらせメール問題が発覚し・・・先日見たTVでは、首都圏海岸部の施設内の液状化現象が大火災のリスクを孕んでいるにもかかわらず、法律で義務がないからという理由で隠している事実を報道していました。
 政権が変わっても電力会社の利権体質・隠蔽体質を検証しなければ日本は変われません。

 現在の日本を、外国から見ると「???」
 原爆に反対してきた唯一の被爆国日本が、原発事故に遭遇して一つの県がつぶれてもなおかつ原発を使い続けるのはクレイジーとしか映らないことでしょう。

 イタリアは国民投票で「脱原発」を決め(記事1)、ドイツも「脱原発」の方針に舵を切りました(記事2)。
 かつ、欧米は日本の原発事故の後に「ストレステスト」などの安全対策を既に済ませています。

 安全性の検証をうやむやにして原発再稼働をしようとしているのは日本だけ。
 電力不足という目の前の不便さになりふり構わない恥ずかしい国家、日本。

(記事1)イタリア国民投票:脱原発を継続 再開反対9割超(毎日新聞 2011年6月13日)

 イタリアで2日間にわたり行われた原子力発電再開の是非などを問う国民投票は13日午後3時(日本時間同日午後10時)に締め切られ、成立条件の過半数を上回る約56.99%の投票率に達し成立した。国内投票分100%の開票で原発反対票が94.53%となり、同国の原発建設は将来的にも不可能になった。福島第1原発事故後、国民投票で反原発の立場を鮮明にしたのは世界初。原発を推進してきたベルルスコーニ首相は投票締め切り前、「原発にさよならと言わねばならない」と語り、敗北を認めた。

 イタリアには現在、原発はない。ベルルスコーニ首相は原発推進を模索してきたが、福島第1原発の事故を受け、突如再開凍結を発表するなど国民投票の成立を阻もうとしてきた。国民投票で再開が拒否された場合、将来的にも建設ができなくなるためだ。

 イタリアの「緑の党」創始者の一人で、87年と今回の国民投票の提唱者、パウロ・チェント元下院議員(50)は毎日新聞の取材に「欧州一の原発国、フランスの政府は推進に躍起だが、国民レベルでは反発も大きい。原発の是非は政府ではなく国民自身が決めるべきだというイタリアの考えが、今後、世界に広がることを願っている」と話した。


(記事2)<ドイツ>脱原発法が成立 国内17基、順次停止へ(毎日新聞 7月8日)

 ドイツ連邦参議院(上院)は8日、2022年までに国内17基の原発を停止する改正原子力法案に同意した。既に連邦議会(下院)が先月30日に可決しており、これで正式に「脱原発」が法的に成立した。福島第1原発の事故後、運転を停止している旧式の8基はこのまま閉鎖する。残る9基については、15、17、19年に各1基、21、22年に各3基を順次停止していく。


 最後に本日の読売新聞の社説の見出しを;

■ 首相の「脱原発」 総合的なエネルギー政策を示せ(7月16日付・読売社説)
 ◆「個人の考え」では混乱が広がる◆
 ◆電力の危機を直視せよ◆
 ◆安全性の向上にも責任◆


・・・菅首相以外は民主党の政治家もいつの間にか原発維持派に成り変わっているようですね。電力不足で一時的に国の経済が滞ることを嫌っていて経済界も県知事達も原発のリスクより経済活動を優先させるという考えです。
 福島の現状を見てどうしてこのような発言になるのか感覚を疑います。核のゴミの処理方法さえ解決していないのですよ。
 再生可能エネルギーを中心とした10~30年後の未来を見据えた政策を日本の政治家は考えられないのでしょうか。

 メディアの報道も「原発はもうこりごり」から、いつの間にか「原発を止めるのはよくない」という風潮に変わってきていませんか?

 子ども達の未来のために我々大人が残すべき日本とは、原発~放射能汚染のリスクだらけの日本列島なのでしょうか?
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ワクチンを巡る最近の動向

2011年07月10日 07時47分04秒 | 小児科診療
 最近、ワクチン関係のニュースがいくつか目にとまりましたので、まとめて提示します。日本のワクチン行政も小児科医と子どもを持つ親からつつかれて活性化したきた印象がありますね。

■ おたふくなど7ワクチンの接種推奨 厚労省部会が合意(2011/7/8、日本経済新聞)

 厚生労働省の予防接種部会は8日、おたふくかぜや水ぼうそう(水痘)など7疾患を予防するワクチンについて「接種を促進していくことが望ましい」とする意見で合意した。いずれも法的な位置づけのない任意接種のため、厚労省は予防接種法に基づく接種に加えることを検討する。公費負担とするかなどは今後も議論を続ける。

 接種を推奨するのは、おたふくかぜ、水痘、B型肝炎、成人と小児それぞれの肺炎球菌、子どもの細菌性髄膜炎の主な原因菌であるヒブ、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防する計7つのワクチン

 同部会は国内外の論文などから「医学的・科学的な観点のみからみると、7疾患のワクチンは接種をしていくことが望ましい」と判断した。一方で「制度を継続的に実施するために必要な費用をどのように国民全体で支えるか」という費用負担のあり方などは引き続き検討する。


 ・・・これらの7つのワクチンが定期接種(公費負担)になると、小児科医の仕事が激変します。小児医療は予防医療が中心になり、子ども達の健康が守られることでしょう。そうなってはじめて世界標準に近づくことになるのですが・・・早く実現して欲しいものです。


■ 厚労省、ロタウイルスワクチンを初承認=英グラクソ(2011年7月2日、ロイター)
 英医薬品大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は1日、乳幼児のロタウイルス胃腸炎を予防するワクチン「ロタリックス」について、厚生労働省の承認を得たことを明らかにした。
 ロタウイルスワクチンとしては、日本国内で初の承認とみられている。
 ロタウイルス胃腸炎は、感染性胃腸炎のひとつで、乳幼児の重症胃腸炎のうち最も頻度の高い胃腸炎とされる。国内では年間約79万人が受診し、その約10%が入院しているという。


 ・・・小児科医が扱う乳幼児の病気で、特効薬がなくて困る感染症が二つあります。一つはRSV細気管支炎、もう一つはこの「ロタウイルス性胃腸炎」です。
 今から10年以上前に開発された第1世代のロタウイルスワクチンは腸重積という合併症・副作用のため販売中止となった経緯がありますが、今回の第2世代は大丈夫そうです。待ち遠しいワクチンですね。

■ 子宮がんの新ワクチン「ガーダシル」、厚労省が承認へ(2011年6月3日、エキサイトニュース)

 厚生労働省の医薬品第二部会は5月30日、子宮頸がんや性行為感染症の一種である尖圭コンジローマのワクチンとなるMSD社の「ガーダシル」の製造販売を許可するという意見をまとめた。「ガーダシル」は現在123カ国で承認されている。
 厚生労働省は1ヵ月後にも正式に販売を承認する見通しで、承認されれば国内の子宮頸がん予防ワクチンとしてはグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」に続いて2種類目となる。政府は2011年11月より、中学・高校の女子に対し、子宮頸がんワクチンの接種費用を助成しているが、接種希望者が予想を大きく上回りワクチンが不足する事態となった。ガーダシルの接種が今後助成対象となるかはまだ未定だ。


 ・・・現行のサーバリックスは子宮頚癌を予防するワクチン、今回承認されたガーダシルは子宮頚癌+尖圭コンジローマを予防するワクチンと、全く同じタイプではありません。HPVワクチンに関しては、宣伝が先行して国民の理解がついて行ってないような気がしますが、皆さんいかがでしょうか。

★ 当院HP:「HPV(子宮頚癌)ワクチン」の項もご参照ください。

 最後に小児科医達の活動を;

VPDを知って、子どもを守ろう:シンボルマークを発表 「ワクチン手帳」も配布(2011.7.10:毎日新聞)

 ワクチンで防げる病気「VPD」やワクチンの大切さについて啓発活動を行う「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会は「ワクチンの日」の6日、ワクチンの普及のためのシンボルマークを発表し、ワクチン接種履歴を管理できる「ワクチン手帳」の配布を始めた。

 日本では、欧米に比べてワクチン接種の普及が進んでいないこともあり、多くの子どもがVBDに感染し、命を落としたり、後遺症に悩まされているという。そこで、同会では、VBDの重要性やワクチンの大切さについて啓発活動を行っている。

「ワクチン手帳」は、医療機器メーカーの日本ベクトン・ディッキンソンの協力を得て開発したもので、ワクチン接種の有無と時期のチェックできる。手帳のワクチン名は、和英表記になっており、国内外を問わず利用できる。表紙には、デザイナーの高橋正実さんが手がけたシンボルマークが描かれている。同会は、このマークをワクチン接種啓発の象徴として企業や団体に利用を呼びかけいく。

 ワクチン手帳は、同会会員の全国の医療機関で配布。6日には、赤坂サカス(東京都港区)で、手帳を配布するキャンペーンも実施された。


 ・・・私も会員の一人です。ここのHPを読むと、ワクチンに関する知りたいことがすべてわかりますので、お父さん・お母さんにお勧めです。
 当院にも上記「ワクチン手帳」が100部配布されましたので、ご希望の方は窓口に声をかけてください。
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手足口病が西日本で流行

2011年07月08日 06時18分35秒 | 小児科診療
 夏風邪の一つ、手足口病が流行りつつあるというニュースが流れました。
 東日本にある当院にも手足口病を疑わせる患者さんがちらほら来院されています。夏風邪が流行ってくると「今年もこれから暑くなるんだなあ」と季節を感じる私です。

 ポイントは・・・

症状は病名の場所に皮疹が出現しますが、口内炎の程度でつらさが決まります。高熱が出ることはまれです。

複数のウイルスが原因となります。
① コクサッキーウイルスA16
② エンテロウイルス71

など。つまり一生に一回では終わりません。
 ②が原因の場合はまれに重症化して脳炎(※)を起こしますが、今年はこの2つ以外の「コクサッキーA6」というタイプが中心らしい。そのためか、皮疹が目立つとか高熱が出やすいとかの非典型例も一部の小児科医の間で話題になりつつあります。

※ 脳炎はなぜかアジアで高頻度。1990年代に東アジアで、2008年に中国で死亡例が多発し社会問題となりました。

症状が消えてからも感染力が残るのでやっかいです。保育園など集団生活の場で流行を止めるのは難しい理由の一つとなります。便の中に数週間ウイルスが排泄され、排泄物の処理とその後の手洗いが重要です。
 もし「感染力がなくなるまで登園禁止」という規則を作ると1ヶ月休む必要があり、園から子どもがいなくなりそう。


 といったところでしょうか。
 当院HPの「夏風邪」欄もご参照ください。


【手足口病】流行の兆し‐西日本を中心に広がり(2011.7.7薬事日報より抜粋)

 手足口病が、過去10年間で最も流行の兆しを見せている。流行は西日本地域が中心。夏場に流行のピークを迎えることから、国立感染症研究所は「感染症週報」で注意喚起している。
 手足口病は、コクサッキーウイルスA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)が主な病原ウイルスで、CA6やCA9、CA10などでも発症する。口腔粘膜や手、足などに現れる水疱性の発疹を主症状とし、乳幼児を中心に主に夏季に流行する。

 病原ウイルスの検討では、通常はCA16とEV71が中心だが、6月24日時点では、総検出報告数が82検体と少ないものの、患者から検出されたウイルスの半数近くをCA6が占めていた。
 感染症週報では、「これまでのところ、手足口病の流行は西日本に偏っているが、流行地域では急激な増加を示している。臨床現場からは、今年の手足口病は従来の典型例と比べて、発疹が大きく、四肢末端に限局せずに、広範囲に認められる症例が目立つとの情報も寄せられている。手足口病の患者報告数は、今後夏季の流行のピークに向かって、さらに大きく増加していく可能性が高く、その流行の拡大には注意深い観察が必要」としている。
 感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染で、保育園や幼稚園などの乳幼児施設での感染予防は、手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本。主要症状が回復した後も、比較的長期間にわたって、子どもの便などからウイルスが排泄されることがあるが、その対応としては、「基本的には軽症疾患であることを踏まえ、回復した児に対して長期間の欠席を求めることは、現実的ではない」としている。
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ジョコビッチ、ウィンブルドン初制覇!

2011年07月05日 06時39分01秒 | テニス
 セルビアのノバク・ジョコビッチ(24歳)が20011年にウィンブルドンを初制覇しました。
 近年実力を認められつつもフェデラー、ナダルに続く「第三の男」に甘んじてきた男が、ようやく檜舞台に上がったのです。
 優勝カップを手にするジョコビッチはとてもうれしそうでした。

 実は彼、アレルギーの病気を持っていたことに最近気づいたそうです。
 ニュース記事では「パスタなどの小麦食品を食べた後に運動すると呼吸困難を起こす」とありましたので、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」というタイプだと思われます。
 これは不思議な病気で、小麦を食べただけでは無症状、運動しただけでは無症状、でも小麦摂取+運動が重なると全身じんま疹とか呼吸困難などアレルギー症状を起こす病態です。
 小学生以上で、給食の後の体育の時間にじんま疹が出たり咳き込んで苦しくなる子どもはこの病気が隠れていることがあります。

 そういえば、2010年にフレンチオープンで錦織圭選手と対戦した際、後半苦しそうな呼吸が気になったことがありました。
 運動前に小麦を食べないようにしてから、体調がよくなり、競った試合でも勝てるようになったそうです。

 日本選手では女子の活躍が光りました。
 まずは伊達公子さん。40歳過ぎて、かつ15年振りのウィンブルドン勝利を若手からもぎ取りました。2回戦のヴィーナス・ウィリアムス戦も大健闘し、センターコートの観客席はいつの間にか満員、最後はスタンディングオベーション。もう、脱帽するしかありません。
 それから初出場の土井美咲さんがなんと3回戦進出!ブンブン振り回す強力なフォアハンドが魅力です。
 男子では錦織君、添田君とも初戦突破ならず残念な結果に終わりました。
 錦織君は優勝経験のあるヒューイット、添田君はフェデラーを下したツォンガとの対戦なので、ちょっと運もなかったかな。

 そして私が注目するフェデラー。
 フレンチオープンでは近年最高のプレーを披露してジョコビッチに勝利しましたが、この大会では調子は悪くはないものの、やや精彩を欠いて準々決勝でツォンガに敗北を喫しました。再起を期待したいです。

 観客席も有名人で賑わいました。
 1980年前後に5連覇を達成したボルグ、女子で6回優勝のナブラチロワ。
 ゴルフのジャック・ニコラウスとグレッグ・ノーマン。
 極めつけはウィリアム王子夫妻で、マレーの試合は盛り上がりました。
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