徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

IS

2015年06月28日 20時40分14秒 | 日記
 IS(Islamic state)が建国宣言をしてから、明日で1年になります。
 この機会に、録画しておいたIS関連の番組をまとめてみてみました。

■ 「“イスラム国”から若者を救え~デンマーク ある町の試み~(NHK-BS)
 デンマークのオーフスという町では、ISに参加した若者が帰ってきたとき、メンターによる対話を通じて社会復帰できるよう支援しています。「オーフス・モデル」と称され、世界から注目されているシステムです。
 オーフスは人口の10%が中東・アフリカからの移民でイスラム教徒。モスクもそれぞれの民族ごとに存在しますが、そのうちの一つのモスクに通うイスラム教徒からのみISに参加する若者が多く出ている・・・はじめは知らんぷりしていた責任者が、あるとき本性を現しました。
 「デンマークは同盟軍に参加してISを攻撃すべく兵士を派遣している。同じイスラム教徒として共感できない。ISが強くなり国家を建設することを期待している。」と。
 デンマーク人は危機感を覚える一方で、イスラム教に改宗してそのモスクに通うデンマーク人も出てきて、ちょっと話は複雑化しています。
 フランスではISに参加した人物が帰国すると簡単に刑務所に入れられるような法律があるそうです。でもデンマークは「それでは解決しない」とカウンセリングを行い、実績を上げつつあるようです。


■ 「“天国には行かせない”~ISと戦うクルド人女性部隊~」(NHK-BS)
 イスラエルのジャーナリストが取材したクルド人部隊。
 中でも「女性部隊」はISに恐れられているそうです。
 その理由を聞いて、唖然としてしまいました。

1.イスラム法では戦闘で死亡すると天国に行ける、そして褒美として処女を72人あてがわれる。
2.女性に殺されると天国に行けない、とうぜん処女72人もチャラ。

 というとんでもない思い込み。
 捕虜になったIS兵士は洗脳されて上記2点を信じ切っている様子でした。
 なので、彼らは女性兵士を見ると逃げるのです!
 そんなレベルだったのか・・・。

 捕虜になったIS兵士へのインタビューでは恐ろしい事実も明るみに出ました。
 数人の兵士は各々数十人を殺してきたとあっさり告白。
 銃殺したり、首を切ったり・・・首を切るときはイスラム法に則り牛刀をつかうとのこと、それも苦しんで死ぬように「切れの悪い牛刀」を使うと言いました。
 そして「人を殺すときは麻薬を使うことが多いんだ」という衝撃の事実。
 これらのことを悪びれずに淡々と話すIS兵士に背筋が寒くなりました。
 「麻薬を使って洗脳して死ぬために戦うことを是とする」システムなのですね。
 人質の交渉で話が通じない理由がわかったような気がしました。

 ISはイスラム教でもスンニ派の勢力です。
 イスラム教スンニ派以外の宗教は異教徒として、すべて「殺す」対象と考えています。
 スンニ派でもISを認めない団体は抹殺されます。

 クルド人女性部隊の言葉;
「私たちはIS兵士にとっての悪夢よ」
「IS兵士は全然怖くない。なぜなら、私たちは生き抜くために戦い、彼らは死ぬために戦うから」

 「国家を持たない最大の民族」であるクルド民族3000万人は、今の混乱期が独立国を持つチャンスと考えているようです。


■ 「鎌田實医師がみた“イスラム国”の脅威」(2015.4.2:日経プラス10)
 鎌田先生は10年前から中東で医療支援をしてきたそうです。彼の目から見たIS問題へのコメントには説得力がありました;

 「暴力で暴力を消すことはできないことは歴史が証明している。はじまりはソ連のアフガニスタン侵攻だった。このときにアフガニスタンにゲリラ部隊が生まれ、その後米国と敵対する勢力となりビンラディンやアルカイダを生み、紆余曲折を経て現在に至る。3つの戦争(アフガン戦争、イラク戦争、シリア内戦)がISを作ったのだ。

 「欧米が介入しても解決しない。周辺のイスラム教徒達は「ISはイスラム教ではない」という空気でまとまりつつあり、IS問題はイスラム社会に任せた方がよい。」


 鎌田先生は「イスラム国よ!」という本を書き、印税収入はすべて医療支援に回されるそうです。

 次は 二部構成で、約2時間の番組です。第二部の方が印象に残りました。

■ 「追跡 過激派組織ISの闇」(NHK-BS)
 場面はイギリス。社会に不満を持ち、居場所がない移民の子どもたちをISが言葉巧みに勧誘します;
 「民主主義も資本主義も共産主義も何も解決してくれない、イスラム教だけが救いになる」

 ISのリーダー、バグダディ登場の背景;
 田舎から出てきて大学でイスラム教を勉強する物静かな神学生であり、博士号も取得している。
 イラク戦争中の2004年と2006年に拘束され、キャンプ・ブッカに収容され、その際に過激派の思想に染まっていった。キャンプ内では過激派(のちにIS幹部となるアドナニ、ナイマ、ミシャダニなど)と旧フセイン政権の残党(アンバーリなど)の思惑が一体化し「米国とイラク政府を追い出してイスラム国家をつくる」考えが生まれた。
 バグダディはアメリカ撤退の際に「危険人物」としてイラク政府に引き継がれたが、なぜかイラク政府は釈放してしまった。これが大きな誤算であり失敗となった。
 アラブの春~シリア内戦に乗じてISは勢力を伸ばした。イラクのマリキ首相はシーア派であり、ISはスンニ派 vs シーア派という宗派対立を利用してさらに巨大化した。これはアルカイダのザルカウィの指南書にある手法を取り入れたモノであり、そこにはイスラム国家建設計画も記されていた。


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「90歳の現役助産師」が語る、生まれるということ

2015年06月28日 06時34分55秒 | 小児科診療
 うんうん頷きながら読んだ記事。やはり女性の先達から言っていただかないと説得力がありませんね。
 印象的なフレーズを抜粋します;

■ 「90歳の現役助産師」が語る、生まれるということ
2015年1月23日:日経ビジネス

 「微弱陣痛」という名前をお医者さんがつけているものがあるでしょう。私はね、あれは無いんやと思うんです。
 赤ちゃんは生まれるときに10センチちょっとの骨盤の隙間を通ろうとするわけですが、微弱陣痛というのは、赤ちゃんがそん時に「ちょっと通らんな」と思って、いったんゆっくり休んで、おでこの泉門をもっと重ねて、それで出ていくという、メッセージなんやと私は感じたんです。
 ですから、私んとこではそうなった時は妊婦さんに「ゆっくりして、あんたもしばらく寝なさい。そしたらそのうちに痛んできます」って言うんです。でもこれが病院やったら、微弱陣痛という名前が付いたらじきに先生方は促進剤をやるでしょう。
 でも私なんかはそうやって手を加えたお産というのは、赤ちゃんにしたら自分の本意ではないんと違うかと思うんです。赤ん坊がちょっとゆっくり休ませてというときに、陣痛が弱まってすぐに促進剤を打つんは、赤ん坊に対する反逆やと思うんです。

 自然出産は苦しい時もありますよ。それを最後までやり通す親が少のうなっている。今の痛みに対して、最後まで頑張れる親が少なくなった。でもそれは逆に、子供が生まれた喜びを減らすことになるんじゃないですか。
 「ああ、かわいい」と、本当に子供を愛おしく感じることが少なくなったんかなと思うんです。その気持ちが義務的になったと言ったらちょっと語弊があるかも分かりませんけど、人工的なものに人間がなじんできた。そんなふうな感じがしますね。

 今の若い人たちはものすごく、医療の目から見た妊娠、出産というのを考えてます。私らの頃に比べればみなさん学歴もあるから「こうすれば問題ないはず」って気持ちがあるんですよね。「病院に行ったら勝手に産ませてくれる。お医者さんが産ましてくれる」っていう気持ちもあるでしょう。すごく、物事が計画通りに進むという意識があるんやと思います。
 だからそこで何か予想外のことが起きたときに、ものすごく大げさに事を言い立てて、すぐに裁判に持っていく。「帝王切開するのが遅かったのと違うか」とかな。そしたら医者の方も、例えば手術してもあかんかも分からんような赤ちゃんも、少しでも心音の残っている間に切って出そうとする。
 お医者さんも2人、3人ぐらい裁判を持ったら、もう仕事をする意欲がなくなるんですって。それでもうお産はやめやと。お医者さんも追い詰められているんですよ。だから、なによりも「無事に産ませる」ことを考えるんです。でもそうすることで、両親も赤ちゃんも、何か大事なものを経験しないままに進んでいってるんと違いますか。

 努力の努は「女のマタの力」と書きますけど、子宮の力は国の礎ですよ。子供が生まれんかったら国は亡びるんですから、いわば最後の砦です。そういう女の股の力がね、全部なくならん間に何とかしてほしいなと思う気持ちがやっぱり私にはあるんです。

 近頃は男女平等、平等って言いますけど、女は昔っから特権階級ですよ。神様が子供を産むということを女の人に与えているわけじゃないですか。日本の昔の女性が賢かったのは、自分が上位であるけどそれを表向きは隠していたことです。旦那を立てる。でも実際は自分が上位。そういう家庭が、多くあったんですよ。
 でもそれがいつの間にか、仕事の面で「女性が抑圧されている」って世の中がなりました。それで安倍首相なんかもいろんな政策をやっとるんでしょうけど「女性が安心して働けるように」っていう感じのものが多い。でもそれは自己中心主義の気持ちを、助長させるような政策に思えるんです。
 男女雇用機会均等法ができて以降、家庭でも会社でも、女性と男性が同じような役割を果たすべきという考えが当たり前になりました。でも私はこれには断固反対です。男性と女性は本来、全く違うんです。同じようにしたら歪みが出てくるんは当たり前です。セックスレスの夫婦は最近ほんとに多くて、深刻な問題やなぁと思うんですが、男と女がおんなじようになってきたら、セックスせん人が増えるんは分かる気もします。

 「子供がいたら子供に邪魔されて、自分の人生が面白くない」という今の考え。これが一番の大きな問題なんですよ。
 最近は離婚も増えているといいますね。私はこれも、自己中心的な考えの結果やと思うんです。人のために我慢することができなくなっている。若い夫婦で親の干渉がないように、関係をほぼ切っているような人も多いですね。こういう人は学はあるのかもしれんけど、それは見せかけの賢さや。子供のために自分はどうしたらいいか、ってことを考えられないんや。
 結婚の適齢期はないけど、子供を産む適齢期は絶対あるんや。国の人口でいうたら、女性が25歳から35歳ぐらいまでに3人か4人産むのが望ましいわけでしょう。この期間に女性が他のことを気にせず、出産や育児に集中できる環境を作らなければいけません。


 米国では「同性婚を認めない州は違憲」という判断がなされました。人間が命を繋いでいく大原則からすると・・・。
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「偏差値65以上が9割、2015医学部入試」

2015年06月24日 07時40分37秒 | 小児科診療
 近年、医学部に入るのが以前に比べて難しくなっているそうです。
 日経メディカルに件名の記事を見つけました。
 記事の中で、河合塾教育情報部長の近藤 治氏は「医学部入試では、2010年を境に、急激に志願者が増加しました。リーマンショック後の景気悪化などを受け、受験生が就職に有利との判断から理系を目指す「理系シフト」が起こったことが背景にあります。医師の仕事はハードですが、国家資格を有する安定した職業ですし、ステータスも高く魅力的ということでしょう。」と分析しています。



 募集数と受験者数と競争倍率と偏差値の一覧表(↑に一部抜粋)を見ると、私の母校である弘前大学は、募集65、受験者数769、競争倍率11.7、偏差値67.5となっていました。
 私が受験したのは四半世紀以上前です。
 おぼろげな記憶ではありますが、合格ラインの偏差値は65程度だったと思います。競争倍率が10倍以上!?・・・昔は2~3倍だったような・・・なんで弘前大学だけこんなに人気があるんだろう。
 今の時代だったら、私は合格できなかったかもしれません(笑)。

 先日、小学生の患者さんから「私は将来お医者さんになりたいのです。どうしたらなれますか?」と聞かれました。
 この記事を読んだばかりだったので、「医者になるには車の運転と同じように免許証が必要で、それには大学で医学を勉強する必要があり、そこに入るには・・・」とヘンに理屈っぽく説明してしまいました。
 そばで聞いていたお母さんに「今は偏差値65以上らしいですよ」と言うと「あら、そんなもんですか・・・もっと高いと思ってました」と切り替えされてしまいました(苦笑)。

 ま、偏差値が高いからいい医者になるとは限らないし・・・と意味もなくヘソを曲げる(?)私でした。
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古くて新しい「アタマジラミ」問題

2015年06月23日 06時42分34秒 | 小児科診療
 アタマジラミは戦後混乱期の不衛生状態の遺物、というイメージがありますが、実は現在でも時々問題になる感染症です。

■ アタマジラミ、園児や児童に感染広がる
(読売新聞:2015年6月22日)
 保育園児や小学生の間で、頭に寄生するアタマジラミの感染が広がりつつある。繁殖力が強く、感染すると強いかゆみを生じる。シラミを知らない親が増え、発見と対処が遅れているのが感染拡大の一因とみられ、幼い子のいる家庭では注意したい。
 埼玉県内の保育園では5月下旬から今月にかけて、園児7人が感染。保育士が毎日、園児の頭をチェックし、アタマジラミの成虫や卵がないか、確認している。アタマジラミの寿命は約1か月で、100個前後の卵を産む。繁殖力が強く、駆除は一苦労だ。しかも清潔にしていても頭と頭が接触するだけで簡単に感染するため、園長(59)は「昼寝の布団の間隔を広げるなど感染拡大防止に必死です」と話す。
 東京都によると、都内の保健所に寄せられたアタマジラミに関する2014年度の相談件数は1602件で、12年度の815件から倍増。07年度の1935件から減少していたのが、再び増加に転じた格好だ。今年度も、東京都品川区の公立保育園15園で発生するなど、各地で発生の報告がある。シャンプータイプやパウダータイプの駆除薬が市販されており、「大日本除虫菊」(大阪市)と「アース製薬」(東京)では14年の出荷量が前年の約3割増加した。
 アタマジラミに詳しい、まるやま皮膚科クリニック(東京)の丸山隆児院長は「感染すると頭に虫がいて驚き懸命に駆除するが、生死にかかわる重篤な事態にならないので対策が中途半端になりがちだ。流行すると自治体などの注意喚起でいったんは終息するが、アタマジラミの知識がない若い親や先生が増えると、また流行する」と指摘する。
 また、国立感染症研究所(東京)の調査では、抵抗力を持ち駆除薬が効かないタイプのシラミが見つかっている。そのため同研究所の冨田隆史室長は、「アタマジラミを根絶するのは難しいだろう。予防や駆除の正しい知識を持って対処してほしい」と話す。
 東京都豊島区の池袋保健所では、保育園長に講習をするなど対策に力を入れる。家庭での対処法(図表参照)は、東京都が作成した冊子「アタマジラミ読本」や製薬会社のホームページなどが参考になる。


 なお、アタマジラミに感染している子どもは「登校(園)基準:適切な治療を行えば登校(園)やプールに制限はない」(「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会 2013 年 9 月改訂版)となっています。

<参考HP>
□ 「誰にも聞けないシラミの話」(KINCHO)
□ 「シラミの駆除」(アース製薬)
□ 「アタマジラミ読本」(東京都)
□ 「アタマジラミについて」(相模原市)
□ 「アタマジラミについて」(姫路市)
□ 「シラミ症」(国立感染症研究所)
□ 「アタマジラミ対応マニュアル」(池袋保健所)
□ 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会)
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ピーナッツ・アレルギー発症予防に関するコンセンサス・ステートメント

2015年06月22日 15時16分38秒 | 小児科診療
 「ピーナッツアレルギーの予防は“心配だから食べさせない”よりも“早期から積極的に食べさせる”方が効果的らしい」という画期的論文(LEAP Study)の発表を受けて、世界の著明な10学会が共同声明を発表しました。

■ 「ピーナッツアレルギー発症予防に関するコンセンサスステートメント

 これを受けた記事(2015.6.12:MTPro

 10学会は,既存のガイドラインやLEAP試験に基づき,暫定的な手引きとして、
①RCTのレベル1の科学的エビデンスとしてピーナツアレルギーが多い国では乳児期の早期(4~11カ月)にピーナツを含む食品の摂取開始を推奨すべき
②乳児期早期のアレルギー疾患例では専門医などの診断を受けることで,ピーナツの早期導入の考慮につながる検査や負荷試験などの提案が実行できる可能性,
このほか、
③として,LEAPのプロトコル遵守率は92%と非常に高かった一方,同プロトコルに替わる方法や途中で中止した場合の潜在的な危険性などは不明―との項目を示している。
 なお同学会は,注釈として「日本で離乳早期にピーナツを積極的に摂取すべきかどうかはこれからの研究課題」「LEAP試験では既にピーナツアレルギーを発症した乳児は対象から除外されており,既に同アレルギーを発症している乳児期以降の児のピーナツ摂取は極めて危険な行為であることは言うまでもない」との項目を示している。


 食物アレルギーへの対応が「症状が出なくなるまで除去」から「食べさせて治す」方向へ180°変換しつつある近年、「食べさせて予防する」ところまで考え方が進んできました。
 しかし、“患者”さんは、当然症状が出るというリスクを伴うので安易に行ってはいけません。
 しばらく混乱が続きそうです。
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中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)の関連ニュース

2015年06月19日 17時02分42秒 | 小児科診療
 情報が溢れているので整理してみました;

■ ニュースレベル
□ 「韓国MERS死者24人、感染者宿泊で済州島のホテル営業中止」(2015.6.19:読売新聞)
 韓国保健福祉省は19日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスによる死者が1人増え、24人になったと発表した。感染者は1人増え、計166人。感染者のうち完治したとして新たに6人が退院し、退院者は計30人になった。
□ 「韓国で感染拡大中 「MERS」ってどんな病気なの?」(Yahoo ニュース)
□ 「MERS拡大させた、韓国特有の3つの慣習」(2015.6.19:読売新聞)
 WHOが指摘した感染拡大要因;
〈1〉家族や見舞客が患者に付き添う習慣
〈2〉混み合った救急病棟
〈3〉複数の病院で治療を受ける「ドクターショッピング」

■ 病気についての解説
・「中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A」(厚生労働省)
・「中東呼吸器症候群(MERS)」(国立感染症研究所)

■ 最新情報
・「中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)に関するIHR緊急委員会第9回会議でのWHOの声明」(WHO)
・「海外安全ホームページ」(外務省)
韓国保健福祉部ホームページ(英語)
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日本のHPVワクチン停止状態は世界の非常識?

2015年06月19日 07時42分02秒 | 小児科診療
 世界的ワクチン学の大御所から教育的指導がありました。

■ Plotkin氏「ワクチン使われなければ,日本の男女に何千例ものがんが発生」
 ~HPVワクチンの勧奨中止に関し小社に書簡

2015.6.18:MTPro
 日本で厚生労働省が2013年6月から続くヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨を中止してから,今月で2年を迎えた。米・University of Pennsylvania名誉教授のStanley Plotkin氏は,6月17日,小社報道部宛ての書簡で「HPVワクチンが使われなければ,日本の女性と男性に何千例ものがんが発生するでしょう」と勧奨中止への懸念を示した。同氏は現在,世界で使用されている風疹ワクチンやロタウイルスワクチンなど,多くの感染症予防ワクチンの開発に関わり,ワクチン学のバイブルと称される『VACCINES』の著者としても著名な医師・研究者。同じ内容の書簡は,塩崎恭久厚生労働相や他のメディアにも送られているとのことだ。
◇Offit氏,庵原氏,今野氏らも署名
 書簡にはPlotkin氏の他,『VACCINES』の共同著者で同大学小児科教授のPaul Offit氏,国立病院機構三重病院名誉院長の庵原俊昭氏,自治医科大学さいたま医療センター産婦人科教授の今野良氏の4人が署名を連ねている。
 Plotkin氏らは書簡の冒頭で「日本で女性や男性のHPV関連がんを予防するワクチンが使用されていない不適切な状況がある」と説明。日本では「推定上の副反応(supposed reactions)」のために,HPVワクチンの積極的勧奨が中止されていると述べる一方,数百万の接種回数を含む海外の多くの臨床試験でワクチンの安全性は確立しているなどと指摘した。
◇「勧奨の中止を続けないでください」
 一方,勧奨の中止は日本国民のHPVワクチンに対する関心の低下をもたらすとPlotkin氏。「過去には麻疹ワクチンの自閉症,B型肝炎ワクチンの多発性硬化症,百日咳ワクチンの脳炎などワクチンの安全性に対する“言いがかり(accusations)”があったが,それらはすべて誤りであることが示されたことを忘れないでほしい」と時に強い言葉を交え,呼びかけている。
 書簡は「日本でのHPVワクチンの勧奨を中止し続けないでください。もしワクチンが使われなければ,日本の女性と男性に何千件ものがんが発生することになります」と結ばれている。
 Plotkin氏の呼びかけで署名に加わった今野氏は,「日本の非科学的な対応は国内だけでなく,他の国にも影響を及ぼし始めていることを懸念して今回の書簡を出すに至ったのだろう」と背景を分析。予防接種制度が確立している先進国は別として,実際に複数の国で同ワクチンの接種率が低下したり,接種プログラムの導入に懸念の声が挙がったりするなどの情報が寄せられていると話している。
◇過去には定期接種へのムンプスワクチン未導入に批判の論評も
 これまでにも,Plotkin氏は日本で流行性耳下腺炎(ムンプス)のワクチンが定期接種化されていないために,ムンプス難聴の発症率が高いとの報告(Pediatr Infect Dis J 2009; 28: 173-175)に対し,“Is Japan deaf to mumps vaccination?”(Pediatr Infect Dis J 2009; 28: 176)と痛烈なタイトルの付随論評を発表したこともある。


 Plotkin氏の著書「VACCINES」はワクチン学の golden standard とされています。
 Amazonでは3万円もするのにベストセラー!
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日焼けと日焼け止め

2015年06月19日 07時20分45秒 | 小児科診療
 まだ梅雨の真っ最中ですが、紫外線が気になる季節になりました。
 日焼け関連で目に留まった記事をいくつか紹介します(主に抜粋);

■ “日焼け止め剤”の表示をきちんと理解している消費者はどのくらい?
2015.6.18:MTPro
 米食品医薬品局(FDA)は,“日焼け止め剤”(sunscreen)の正しい使用を促進するため,2011年に2種類の容器表示を使い分けることを義務付けた。しかし,最近の調査によると,消費者の理解はそれほど進んでいないようだ。米・Northwestern University Feinberg School of MedicineのRoopal V. Kundu氏らが,JAMA Dermatol(2015年6月17日オンライン版)のresearch letterで報告した。
◇FDAの思惑をよそに,今も製品選択の決め手はSPF値がトップ
 紫外線のうち日焼けと関連しているのは主に紫外線B(UV-B:波長280~315nm)。UV-B曝露による日焼け(発赤・炎症)発現を何倍遅延できるかを示したのが,日本でも名称だけは定着した感のあるSPF(sun protection factor)である。一方,光老化と関連しているのは,主に紫外線A(UV-A:波長315~400nm)で,FDAでは2011年に,紫外線AとBの両方の防御成分を含む場合に「broad spectrum」と表示することを義務付けた。いずれの紫外線も皮膚がんの危険因子であり,SPF値15以上でbroad spectrumと表示された製品を用い,他の紫外線よけ対策も適切に行わなければ,日焼けと光老化,皮膚がんの全てに対する予防効果はない。
 わが国(日本)では既に多くの製品で,UV-A防御の程度(PA)が4段階の+の数で表示されている。一方で“日焼け止め剤”という名称についても,そろそろ変更が必要ではないだろうか。ただし,サンスクリーン剤などというカタカナ語を増やすのは,やめていただきたい。


 UV-Bは日焼け、UV-Aは光老化に関連、
 SPFはUV-Bによる日焼けを何倍遅くできるか、
 PAはUV-Aによる光老化の防御能、
 ということですね。
 日本の製品で両方を備えた「broad spectrum」と表記されている製品はあるのでしょうか?


■ 日焼け止めの日常使用で皮膚の老化24%抑制,任意使用と比べ
~豪・2×2ファクトリアルRCT,βカロテン摂取では効果なし

2013.6.6:MTPro
 クリーム状や乳液状などさまざまな種類がある日焼け防止薬(日焼け止め)。紫外線から皮膚を守ることで,乾燥肌やシミ・シワを防ぐだけではなく,皮膚がんのリスクを減らすことにもつながるとされる。オーストラリア・王立ブリスベン病院のMaria Celia B. Hughes氏らは,日常的な日焼け止め使用が皮膚の老化を防止できるかを検証するため,日焼け止めの日常使用または任意使用,および酸化防止効果で知られるβカロテン摂取の有無による2×2ファクトリアルデザインでのランダム化比較試験(RCT)を行った。その結果,日焼け止めの任意使用に比べ日常使用では皮膚の老化が24%抑制されていたことが分かった(Ann Intern Med 2013; 158: 781-790)。また,βカロテンの摂取では,皮膚の老化防止に効果が示されなかったという。

 βカロテンを過剰に摂取すると皮膚が黄色くなります。
 診察でときどき見かけます。
 聞いてみると「みかん、カボチャ、海苔」などが好きな子どもが多いですね。
 最近は「野菜嫌いなので代わりに野菜ジュースを毎日飲んでいる」というお子さんが目立ちます。


■ 日焼けマシンの使用でメラノーマ発症リスクが上昇
2012.12.6:MTPro
〔ロンドン〕国際予防研究所(仏リヨン)と欧州腫瘍学研究所(伊ミラノ)が行ったメタアナリシス(主任研究者:Mathieu Boniol博士)の結果,サンベッド(日焼けマシン)の使用とメラノーマ発症との間に関連が認められることが示され,詳細がBMJ(2012; 345: e4757)に発表された。
◇35歳未満の使用開始でリスク倍増
 日焼けは皮膚がん発症の最も大きな環境因子である。皮膚がんの発症は紫外線曝露と関連するが,日焼けマシンは紫外線曝露の主な人工的な因子となっている。
 2005年に行われた研究では,青年期または成人期早期に日焼けマシンの使用を開始することで,メラノーマリスクが75%上昇することが示されているが,西欧における日焼けマシン使用のメラノーマへの影響については,その後,検討されていなかった。
 そこでBoniol博士らは,1981年から2012年の間に英国,フランス,ドイツなどの西欧諸国と米国などで行われた皮膚がんと日焼けマシンの使用に関する27件の研究結果を検討した。対象としたメラノーマ発症例は計1万1,428件であった。
 その結果,日焼けマシン使用による皮膚がん発症の相対リスク統合値は1.20であった。35歳未満から日焼けマシンを使用している人では,リスクが87%に上昇した。また,日焼けマシンの使用が1年に1回増えるごとにリスクは1.8%上昇した。
 同博士らは,西欧の18カ国で毎年新たに診断される6万3,942例のメラノーマ患者のうち3,438例と,メラノーマによる死亡794例(女性498例,男性296例)が日焼けマシンの使用と関連しているものと推算している。
 日焼けマシンの使用が増加したのは比較的最近であるため,以前の研究では屋内での日焼けリスクが過小評価されていたと考えられる。2005~11年に,ほとんどの皮膚がんのリスクは上昇した。今後の研究では,さらなるリスクの上昇が示される可能性がある。
◇厳しい規制を呼びかけ
 日焼けマシンによる曝露は,日光曝露の多い集団の単なるマーカーである可能性もあるが,晴天の日が少ないアイスランドでは,1990年以降に急増した若年女性の皮膚がん罹患率が,政府による日焼けマシンの導入規制が強化された2000年から減少している。
 Boniol博士らは「日焼けマシンと関連するメラノーマなどの皮膚がんは,屋内での日焼けマシンの使用を避けることで予防できると考えられる。日焼けマシン関連業界は有効な自己規制を行わず,消費者の誤解を招くような情報を流している。皮膚がんの予防には厳しい措置を取るべきである。18歳未満の日焼けは禁止する,全ての日焼けサロンを当局の監視下に置くといった法律が必要である。このような規制は,オーストラリア,欧州の数カ国,米国のカリフォルニア州で既に施行されている」と述べている。


 日焼けサロンに通っている方は、お金を払って皮膚がんのリスクを増やしているという矛盾に気づいているのでしょうか。
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小児ワクチンの全国助成情報

2015年06月13日 07時52分42秒 | 小児科診療
 予防接種は公費負担の定期接種と自己負担の任意接種に分けられます。
 しかし、必ずしも定期接種が大切で任意接種は大切ではないということではありません。
 小児科医は以前から「B型肝炎」や「おたふくかぜ」のワクチンは子どもの健康にとって重要であり、公費負担にすることにより接種率を上げるよう訴えてきましたが、社会全体の認識が追いつかず達成できていません。
 
 そんな中、全国の自治体の中には、任意接種でも重要であるという見識をもって助成金を出している地域が存在します(拍手!)。
 その情報が一元化されたサイトが公開されましたので、紹介します:

■ 「小児ワクチンの全国助成情報」(KNOW*VPD)

 当地群馬県では以下のような状況になっています;


 あなたの住む市町村はどうなっているのか、確認してみてください。
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ポスト・エボラ・シンドローム

2015年06月09日 15時12分14秒 | 小児科診療
 世間は韓国のMERSの話題で持ちきりですが・・・
 流行が終息しつつあるアフリカのエボラ出血熱の記事で、気になる言葉を見つけました。
 エボラ出血熱から生還しても、後遺障害に悩まされる人がいるという内容です。

■ ポスト・エボラ・シンドローム
2015.5.15:NHK
 エボラ出血熱から回復した人の多くが視力の低下や、全身の痛み、けん怠感など原因不明の症状を訴えているのです。エボラウイルスが血液の中からもなくなったはずなのに、生存者たちを苦しめる“謎の症状”。専門家は、これを「ポスト・エボラ・シンドローム」と呼んでいます。
 40代のリベリア人の男性が取材に応じてくれました。男性はエボラウイルスに感染し、生き残ることができたものの、今、「ポスト・エボラ・シンドローム」とみられるさまざまな症状に苦しめられているのです。「左目が見えなくなった。右目もだんだん暗くなってきている。将来、目が完全に見えなくなるのではないかと不安だ。膝も足首も全身経験がないくらいの痛みが続き、眠れない」。
◇各国の専門家も調査に乗り出す
 WHOのリベリア事務所の代表を務めるガサシラ氏はポストエボラシンドロームの原因を解明するため、調査を進めていく考えを示しました。「生存者の中には、視覚の異常を訴える人もいれば聴覚に異常がある人もいます。体全体の疲労感、痛みを訴える人もいます。中には完全に視力を失ってしまう人もいます。今回の状況を克明な記録に残し、原因を解明しなければなりません」。
◇「心の復興」に向けて
 ポスト・エボラ・シンドロームをはじめ、エボラ出血熱を巡っては分からないことが多く、それがまた住民の不安を募らせ、患者や家族に対する差別や偏見を助長しています。


 感染から回復しても、精液中に3ヶ月はウイルスがいるとしてWHOはコンドームの使用を推奨していましたが、回復後半年経ってから感染したという報告も話題になりました;

■ エボラから回復半年でもSEXした女性に感染
2015年5月3日:日刊スポーツ
西アフリカのリベリアで、エボラ出血熱から回復して半年ほどたった男性との性交渉で女性が感染した例が起きたと米疾病対策センター(CDC)が1日、発表した。これまで世界保健機関(WHO)とCDCは、回復後3カ月は性交渉を控えるか避妊具を使うよう勧告しているが、さらに長期間、感染に対する注意が必要だと指摘している。
 3月にリベリアの首都モンロビアの44歳女性がエボラ熱を発症した。渡航歴やほかの発症者との接触はなかったが、昨年9月に発症して10月に回復した男性と発症1週間前に性交渉したことが分かった。男性の精液を調べると微量のウイルスが検出され、遺伝子の特徴も女性のウイルスと一致した。これまでに発症3カ月後に精液からウイルスが検出された例はあったが、CDCは残留期間がもっと長い可能性があるとみている。


 まだ、わからないことが多いウイルスです。
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