徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

ブログ閉鎖のお知らせ

2018年02月23日 07時42分35秒 | 小児科診療
 自分自身への備忘録として始めたブログですが、「ネット上の記事を引用して感想を記す」というスタイルは著作権法違反になるとのご指摘を受けました。
 引用元を明記すればよいのでは(宣伝にもなるし)との考えは、私の勝手な思い込みだったようです。

 2018年3月に閉鎖する予定です。
 ご愛読ありがとうございました。
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子どもがインフル感染 仕事どうしたら…

2018年02月13日 06時40分12秒 | 小児科診療
 インフルエンザ流行は社会にダメージを与えます。
 それに対応する素地は、まだまだ未整備です。

※ 下線は私が引きました。

■ 子どもがインフル感染 仕事どうしたら…
2018年02月12日:朝日新聞
 インフルエンザが大流行しています。子どもがかかると1週間近く学校や保育園を休ませなければなりません。この間、仕事と看病をどうやりくりするか。働く親たちにとって切実な問題です。

◇ シッター断られ「綱渡り」
 「熱が38度あって、保健室で休んでいます。なるべく早く迎えに来てください」
 昨年10月、東京都の歯科医の女性(44)は勤務先で、長男(8)が通う小学校から電話を受けた。仕事を切り上げ、近くの診療所に連れて行くと、インフルエンザB型の陽性反応が出た。
 会社員の夫(40)と保育園に通う長女(1)との4人暮らし。なじみのベビーシッターに連絡したが、「他のお子さんにうつしてしまったら困る」と断られた。病児保育施設は、最も近いところでも電車で5駅離れている。発熱した子を連れて行くには遠い。
 半日休を取り、午前と午後で夫と交代で看病をしていると、夫が風邪で発熱して仕事を休んだ。何とか4日間を乗り切った女性は「仕事も休めず、病気の子を一人で留守番させるわけにもいかないし、毎日が綱渡りでした」と振り返る。
 東京都内に住む会社員女性(39)の夫(39)は1月、インフルエンザB型にかかった。家族にうつさないようにと、夫は自宅マンションの一室に閉じこもった。女性は予防接種を受けていたが、数日後にうつった。女性が治ったころ、今度は保育園に通う長男(4)が発熱し、A型の陽性反応が出た。
 病児保育のシッターに頼もうとしたが、料金が高く、長男の人見知りが激しいこともあって断念。感染を恐れて嫌がる母に来てもらい、夫と3人で月曜から金曜までをやりくりした。「5日間は長く、調整だけでぐったり」

◇ 病児保育 需要増に追いつけず
 学校保健安全法の施行規則では、インフルエンザの発症後5日、かつ解熱後2日(幼児は3日)経過するまでは出席停止と定められている。この期間をどう乗り切るか、頭を悩ませる親は少なくない。
 ただ、病気の子どもに対応できるシッターや施設は限られる。
 病児保育に対応するNPO「フローレンス」には、1月20日ごろから利用希望者が急増している。シッターが十分に派遣できなくなり、利用時間に制限を設けるなど対策を講じる旨をホームページ上に掲載した。
 同じく病児保育に対応する「ル・アンジェ」も、今年に入って利用希望者が急増。例年、この時期はシッターを増員しているが、足りないときは専門の研修を受けた社員が駆けつける。今季はすでに複数回派遣されており、「昨年よりもかなり頻度が多い」(広報担当者)と言う。
 東京都大田区の病児保育施設「OCFC病児保育室うさぎのママ」は2月に入り、14人の利用枠が連日満員。キャンセル待ちをしても入れなかった人は、9日までに40人を超えた。運営する「大川こども&内科クリニック」の大川洋二院長によると、利用者の約7割がインフルエンザの患者だという。
 厚生労働省によると、病気の子を預かる病児保育と、回復期の子を預かる病後児保育施設は全国に計約1400施設ある。ただ、全国病児保育協議会の16年度の調査では施設の約7割が赤字経営。月ごとの稼働率にばらつきがあるため、運営が安定しないことが背景にある。
 協議会は、潜在的な希望者も含めれば現在の倍の受け皿が必要と推計している。
 協議会の会長も務める大川院長は「受け皿が需要に追いついていない。子どもが病気のとき、安心して預けられるシステムは必要。病児保育は少子化対策の切り札でもある」と訴えている。

◇ テレワークや在宅勤務で対応
 子どもが病気になっても業務に支障がないように柔軟な働き方を認める企業もある。
 味の素は昨年4月から、ITを使って職場以外で仕事をするテレワークや在宅勤務の回数制限を月4回から週4回に拡大。業務時間を固定する「コアタイム」もない。
 同社人財開発グループの五十嵐千絵さん(37)は1月下旬、保育園に通う次女(2)がインフルエンザに。2日後に担当していた社内のセミナーを控えていたため、同僚の夫と交代で制度を使い、休まず乗り切ることができたという。
 「以前は子どもが体調を崩すと休まなければいけないことも多かったが、今回は娘が昼寝をしている時間や夜寝た後の時間を業務にあてられた」
 同社グローバル人事部の担当者は「柔軟な働き方によって業務ができるなら、会社にとってもメリット。インフルエンザの対応に限らず、多様な働き方をサポートすることで社員の働きがいの向上にもつながる」と話す。
 東京海上日動火災保険は昨年10月から、一部で導入していたテレワークの対象を全社員に拡大。通常は事前申請が必要だが、家族の病気など緊急の場合は当日の申請でも利用できるようにした。
 働き方改革に詳しい東レ経営研究所のダイバーシティ・ワークライフバランス推進部の宮原淳二部長は「今後も共働き世帯は増えていく。テレワークを柔軟に運用したり、一つの仕事を複数の人で担当したりするなど、誰かが休んでも仕事が滞らないようなマネジメントを進めることが一層求められる」と指摘する。

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A型インフルの「万能ワクチン」開発中(アメリカ)

2018年02月11日 08時23分29秒 | 小児科診療
 今のところ、負けっ放しの「人類 vs. インフルエンザ・ウイルス」。
 アメリカで開発中の新ワクチンは、切り札になるのでしょうか?

※ 下線は私が引きました。

■ A型インフルの「万能ワクチン」開発で前進
HealthDayNews:2018年2月10日:medy
 インフルエンザシーズンの真っ只中にある米国では、予測とは異なる型のインフルエンザウイルスが流行したためにワクチンの感染防御効果が限定的であることが指摘されている。
しかし、毎年の流行予測に基づき製造されたワクチンを接種する代わりに、幅広い型のインフルエンザに対する 「万能(universal)ワクチン」を使用できる日は近いかもしれない―。
 米ジョージア州立大学生物医科学研究所准教授のBao-Zhong Wang氏らは「Nature Communications」1月24日号に掲載された論文で、同氏らが作製したワクチンにさまざまなタイプのA型インフルエンザウイルス株に対する防御効果が認められたとするマウスの実験結果を報告した。
 ワクチンの接種はインフルエンザによる死亡を防ぐ最も有効な方法だが、ウイルスは絶えず変化するため、流行が予測されるウイルス株に合わせて製造されたワクチンを毎年接種する必要がある。
 こうした中、Wang氏らが開発を試みているのは、あらゆるA型インフルエンザウイルスに対する感染防御効果があり、毎年新たに製造し、接種する必要がない万能ワクチンだという。
 従来の季節性インフルエンザワクチンは、ウイルス表面にあるタンパク質(ヘマグルチニン;HA)の「頭」の部分に結合するように作製される。しかし、頭の部分は絶えず変化するため、毎年ワクチンの製造で「動く標的」となっている。
 これに対し、Wang氏らのワクチンはHAのより深い領域にあり、変化しにくい「茎」の部分を標的として作製されたという。
 「茎の部分はあらゆるインフルエンザウイルスに共通するため、さまざまなウイルス株に対して感染防御効果が得られる」と同氏は説明している。
 Wang氏らは今回、HAの茎の部分を標的とした「ナノ粒子」と呼ばれる極めて微小な蛋白質を用いたワクチンを作製し、マウスに接種した。
 その結果、H1N1型やH3N2型、H5N1型、H7N9型といった幅広いA型インフルエンザウイルス株に対する防御効果が認められたという。ただし、動物の実験で成功したものがヒトでも成功するとは限らないため、さらに研究を重ねる必要がある。
 同氏らは次の研究段階として、よりヒトに近い呼吸器系を持つフェレットを用いた実験を予定しているという。
米サウスサイド病院のSunil Sood氏は「万能ワクチンにつながるあらゆる技術が待ち望まれている」と話し、「例年、主に流行するのはA型インフルエンザであるため、最終的にヒトを対象とした試験が成功すればインフルエンザの大部分を予防できるようになるのではないか」と期待を寄せている。
HealthDay News 2018年1月24日) Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
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A香港型が増加し、インフルエンザ流行は“三つ巴”状態

2018年02月10日 17時08分29秒 | 小児科診療
 A型(H1pdm09)とB型の混合流行で規模が大きくなった今年のインフルエンザ流行。
 B型はインフルエンザのイメージである「突然の高熱」というパターンではなく、風邪症状から始まり微熱がダラダラすることも多い印象があります。
 それが流行拡大に一役買っている可能性を指摘した記事を紹介します;

■ インフル患者、再び最多更新 B型で高熱出ない恐れも
2018年02月09日:朝日新聞デジタル



 厚生労働省は9日、最新1週間(1月29日~2月4日)に全国約5千カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が、1カ所あたり54・33人(前週52・35人)に上り、3週連続で最多を更新したと発表した。高熱が出ないこともあるB型の患者が最も多く、気づかないうちに職場や学校などで感染を広げている恐れがあるという。
 都道府県別では、大分77・09人、福岡69・96人、埼玉68・29人、神奈川66・31人、高知66・19人の順で多い。東京は53・23人、愛知は62・52人、大阪は45・02人だった。全都道府県で警報レベルの30人を超えた。
 全国の推計患者数は約282万人(前週約274万人)。年齢別では5~9歳が約62万人と最も多かった。この1週間で休校や学年・学級閉鎖をした保育所や幼稚園、小中高校は1万752施設(前週1万139施設)に上った。
 直近5週間のウイルスの割合は例年2~3月に感染者が増えてくるB型が全体の51・8%を占め、週を追うごとに増えている。A香港型が26・2%、2009年に新型として流行したA型のH1N1が22・0%と続く。複数のタイプが同時に流行しており、何度も感染する可能性がある
 和田小児科医院(東京都足立区)の和田紀之院長によると、B型は高熱が出なかったり、下痢など消化器症状が多かったりすることがあるという。インフルエンザと思わずに学校や職場に行き、感染を広げてしまう恐れがある。
 和田さんは「家族にインフルエンザの感染者がいて自身も体調が悪くなった時は無理をせずに自宅で休み、熱が続くようなら医療機関で検査を受けてほしい」と話す。



 先日、A型に2回罹った(!?)患者さんがいました。
 そのタイミングで、H3N2(A香港型)が増加傾向という情報が入りました。
 つまり、今シーズンは運が悪ければ3回罹る可能性があります。


■ インフル3週連続最多 大流行衰えず A香港型が拡大
共同通信社:2018年2月9日
 厚生労働省は9日、全国の定点医療機関から4日までの1週間に報告されたインフルエンザ患者数は、1医療機関当たり54・33人で、過去最多だった前週の52・35人を上回ったと発表した。3週連続で最多を更新した。この数字を基に推計した全国の患者数は約282万人で、前週より8万人増え、大流行が続いている。
 直近5週間で検出されたウイルスは、例年2月ごろから増え始めるB型が半数を占め最も多い。A型は、これまでの主流で2009年に新型として流行したH1N1型をA香港型が追い抜いた。計3種類が流行する異例の事態となっている
 厚労省は「これ以上感染拡大させないためにも、せきエチケットを徹底し、体調が悪ければ無理せずにしっかり休んでほしい」と呼び掛けている。
 都道府県別で報告数が最も多いのは大分県の77・09人で、福岡県(69・96人)、埼玉県(68・29人)、神奈川県(66・31人)、高知県(66・19人)と続いた。
全都道府県で30人を超える警報レベル。
 年齢別の推計患者数は、5~9歳が約62万人と最多、10~14歳が約43万人、0~4歳と40代がそれぞれ約29万人と続き、若い世代が多かった。
入院患者数は前週より減っている。
 小中学校を中心に休校や学級閉鎖は増えており、1週間で休校は143、学級閉鎖は8240に上った。
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インフルエンザは「マスクをしても予防できない」って本当?

2018年02月10日 07時07分05秒 | 小児科診療
 引き続き、感染予防の記事を紹介します。
 日米英のガイドライン類を比較し、マスクの有用性を検討した内容です。
 やはり、基本的にはマスクの効用を認めておらず、しかし否定してもいない、というスタンスですね;

■ 大流行のインフルエンザ「マスクをしても予防できない」って本当?
 〜市川衛 | 医療の「翻訳家」
2018/2/6:yahooニュース
 インフルエンザの流行が続いています。
 2月2日の発表(※1)によれば、全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1機関あたり52.35人と、1999年以降で過去最多になりました。
 感染の広がりを、食い止めることはできないのでしょうか?
 予防の手立てとして、すぐに思い浮かぶのがマスクの着用。ところが最近、「インフルエンザ予防にマスクは推奨されない」とする記事が話題になりました。

★ インフル予防にマスクは「推奨していない」厚生労働省(産経ニュース 2018.1.26
マスクをすることは「感染拡大を防ぐのに有効だが、自分を守る手段としては推奨していない」(同省担当者)という。


 「インフルエンザにかかった人がマスクをすると、家族や周囲の人に感染を広げない効果はある。しかし健康な人がマスクをつけたからと言って、感染は防げない」とも読み取れる内容ですが、実際のところはどうなのでしょうか?

◇ 各国比較 推奨されるインフルエンザ対策とは?
 まず、国内・海外で推奨されている対策に「マスクの着用」があるかどうかを見てみます。
 厚生労働省は「インフルエンザQ&A」のなかで、流行時の対策として以下を推奨しています。

□ 咳(せき)エチケットの励行
□ 外出後の手洗い等
□ 適度な湿度の保持
□ 十分な休養とバランスのとれた栄養
□ 人混みや繁華街への外出を控える

(※2より)

 確かに「マスク」という単語は出てきません。ただこの中で「咳(せき)エチケット」とされているのは、インフルエンザに感染した時に、周りの人にウイルスを広げないように心がけること。この咳エチケットの手段としては、マスクの着用は推奨されています。
 続いて、アメリカの疾病管理センター(CDC)が推奨する「日々の予防活動」です。

□ 感染した人に近づかない
□ 感染したら、他人にできるだけ接触しない
□ 高熱を発したあと、少なくとも24時間以内は、不要な外出を避ける
□ せきやくしゃみをするときは、鼻と口をティッシュで覆い、使用後は捨てる
□ せっけんと水で手を洗う ない場合はアルコール消毒する
□ 手で自分の目や鼻や口に触れない
□ ウイルスで汚染されていそうなものの表面を消毒する

(※3より)

 ここにも、マスクという単語は出てきません。
 さらに、イギリス国民保健サービス(NHS)が推奨している内容も見てみます。

□ 温い水とせっけんでこまめに手を洗う
□ せきやくしゃみをするときはティッシュを使う
□ 使用後のティッシュは早く捨てる

(※4より・注)

 ここにも、マスクという単語は出てきませんでした。
 少なくとも日米英において、健康な人がインフルエンザにかからないための対策としてマスクは推奨されていないようです。

◇ マスクは予防に効果がないの?
 それでは、マスクは健康な人がつけても意味がないということなのでしょうか?
 その点について、米ミシガン大学が2010年に行った研究があります(※5)。
 インフルエンザの流行シーズン中(1月~3月)、大学の寮に住む健康な学生1297人を「何もしない」「マスクをする」「マスクをして手洗いも心がける」という3つのグループに分け、インフルエンザのような症状を起こす人がどのくらい出るか調べました。
 その結果が、次のグラフです。縦軸がインフルエンザのような症状を起こさなかった人の割合、横軸は経過した時間(週)を示します。


インフルエンザのような症状を起こした人の割合(※5より引用))

 3本のグラフのうち、黒い線で示された「何もしなかった」人たちのグラフが、時間とともに下がっていく(発症した人が多くなる)ことがわかります。
 それと比較すると、マスクをした人(灰色の線で示されたグラフ)は、発症が少ないことがわかります。「マスク&手洗い」は、さらに減っています。
 この結果からは、まだ国として推奨する段階にないとしても、学校や職場のような「多くの人が長い時間一緒にいる環境」において、予防のためにマスクを使うことには意義がありそうだと感じられます。
 「ワクチンの接種」や「手洗い」など、インフルエンザへの対策としてすでに推奨されている対策を心がけることを前提として、マスクの着用を選択肢として考えても良いかもしれません。

 注)この研究を含む、過去の世界中の研究をまとめた論文(※6)でも、インフルエンザなどのウイルス感染症に対して、マスクの着用は感染の拡大を防ぐ効果が期待できると結論されています。

◇ マスク着用のポイントは
 なお上記でご紹介した研究では、対象者に「マスクは1日1枚で使い捨てる」「食事などで外す場合は袋に入れる」などの注意点を守るよう指導していました。
 長時間にわたって使い続けると、マスク自体がウイルスに汚染される危険が高まります。着用する場合は、こまめに換えるよう心がけたほうが良さそうです。
 また、ウイルスの侵入を防いだり、咳エチケットを徹底するためには、マスクをきちんとした方法で装着することも大切です。具体的なポイントは、厚生労働省のリーフレットに画像付きで記載されていますので、良かったら見てみてください。


※7より引用
(リーフレットは次のリンクからダウンロードできます)
インフルエンザ一問一答 みんなで知って、みんなで注意!


****************

【参考文献】
1)国立感染症研究所「都道府県別報告数・定点当たり報告数 第4週(2/2更新)」
2)厚生労働省 インフルエンザQ&A 2018年2月5日閲覧
3)CDC Prevent Seasonal Flu 2018年2月5日閲覧
4)NHS Choices Flu 2018年2月5日閲覧
※注・NHSのHPで、予防対策として推奨されているのは「ワクチンの接種」だけです。ここでは「他の人に感染を広げないために」として推奨されている内容を挙げました。
5)Mask use, hand hygiene, and seasonal influenza-like illness among young adults: a randomized intervention trial.
Aiello AE et al. J Infect Dis. 2010 Feb 15;201(4):491-8
6)Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses
Jefferson T et al. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jul 6;(7)
7)厚生労働省リーフレット「インフルエンザ一問一答 みんなで知って、みんなで注意!
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インフルエンザの最大予防法は「顔を触らない」こと。

2018年02月09日 08時28分56秒 | 小児科診療
 そうです。そうなんです!
 昔はインフルエンザ予防には「うがい」「マスク」「手洗い」とされていました。
 しかし科学的検証により「うがい」は思ったほど効果がないと判明しました。ウイルスがのどについて繁殖を始めるためにかかる時間は約30分、1日3回程度のうがいでは感染を予防できないのです。
 また、ウイルスを含んだ飛沫はとても小さいため、マスクの隙間を通り抜けてしまうので、これも感染を予防できない。
 一方、ウイルスの付着した自分の手で自分の鼻や口を触ることも、接触感染の大きな要因です。
 私は以前から「マスクの効用」は飛沫を避けることだけではなく、「自分の鼻と口を触れないこと」だと感じてきました。
 それがようやく記事になる時代になりました;

■ 48時間生存!インフルエンザ最大予防法は「顔を触らない」
2018年02月07日:琉球新報
 秋口から流行が始まり、ワクチン不足のニュースがちまたを駆けめぐるほど、強烈な流行を見せている今シーズンのインフルエンザ。
 全国5,000カ所に設置された定点医療機関の報告によると、患者数は'18年1月15〜21日で1機関あたり51.93人となり、前の週の26.44人よりも大幅に増加。この数字から推計すると、全国の罹患者数が1週間で約112万人も増加し、過去最多の283万人に!
 「インフルエンザのピークは、例年1月下旬から2月ごろで、これからが本番です。でも、残念ながら正しい予防法を知っている人は少ないんです。マスクやうがいは予防にはなりませんインフルエンザのいちばんの予防法は、顔をさわらないことなんです」
 そう嘆息するのは、腸内環境・免疫力アップのスペシャリストである内科医の大竹真一郎先生。
 「インフルエンザウイルスが体内に侵入してから細胞に感染するまで、何分かかると思いますか? 約30分です。つまり、口から入ったウイルスを防ぐには30分に1回はうがいをしなければ意味がない。これは現実的ではありませんよね」(大竹先生・以下同)
 この事実が浸透し、約6年前には厚生労働省の「インフルエンザ対策」の項目からもうがいが外されている(ただし、風邪予防効果はある)。
 インフルエンザウイルスの感染経路は2つ。くしゃみやせきなどの飛沫が直接体内に入る「飛沫感染」、もう1つはウイルスのついたものに手を触れ、それを体内に入れてしまう「接触感染」だ。
 飛沫感染は、ウイルスを持った人に近づかなければ防げる。気をつけたいのは接触感染のほうだ。
 「ウイルスの保有者の手には、くしゃみやせきで飛んだウイルスたっぷりの飛沫がついています。その手でドアノブや手すりなどをさわると、それがあちこちに付着してしまう。湿度や温度にもよりますが、ウイルスは衣服についたものだと2〜8時間、ガラスや金属面などでは24〜48時間ほども生存します。その間に自分の手にウイルスをもらい、その手で顔をさわることで、顔の粘膜から体内に侵入させてしまうのです」
 保育園や小学校で、一気に爆発感染する理由の一端もここにある。
 「子どもは鼻をほじったり、指をなめたり、目をこすったりと、しょっちゅう顔をさわりますよね。ウイルスは粘膜から侵入するので、鼻、口、目から体内に入ってしまう。手にウイルスをつけないのは難しいですが、それが体内に侵入するのは防げます。顔をさわらなければいいんです」
 そうはいっても、無意識にさわってしまうのが自分の顔というものだ。まずは「さわっちゃダメ!」と強く意識しよう。クセになっている人は、自分の手からの感染を防ぐためにマスクやメガネを装着するのも有効だ。
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病院・高齢者施設職員のインフルエンザワクチン接種

2018年02月08日 08時23分56秒 | 小児科診療
 近隣の病院での出来事がニュースになり驚いています。

■ 19人がインフルエンザ院内感染
2018年02月06日:NHK
 群馬県館林市の病院で、入院患者と職員あわせて19人がインフルエンザに感染していることがわかり、地元の保健福祉事務所が感染の拡大を防ぐための指導を行っています。
 インフルエンザの集団感染が発生しているのは館林市にある「館林厚生病院」です。
病院によりますと、今月2日に入院患者がはじめてインフルエンザと診断され、これまでに60代から90代の入院患者11人と、20代から50代の職員8人のあわせて19人が感染し、検査の結果、いずれもB型の陽性反応があったということです。
 感染した入院患者のうち、90歳の男性と79歳の女性のあわせて2人が死亡したということですが、病院はもともとの病気が原因だったとしています。
病院は地元の保健福祉事務所に届け出て、感染の拡大を防ぐための指導を受け、感染者を隔離するなどの対策をとっています。
 「館林厚生病院」の新井昌史院長は「院内で集団感染が発生したことは残念です。B型は高熱などの症状が出にくいという特性があり、発見するのが遅くなりました。今後は、このような特性を理解した上で検査の範囲を広げたい」と話しています。



 2017年12月では前橋でも発生。
 これらのニュースを報道する際に、「病院の感染対策はどうだったか?」の検証も情報提供して欲しいと常々感じています。
 とくに「インフルエンザワクチンを職員に接種しているかどうか」が大きな問題です。
 しかし、そこまで突っ込んだ報道は希と言わざるを得ません。


■ インフルエンザ集団感染 80代女性死亡 前橋の病院
[2017/12/29:上毛新聞]
 前橋市内の病院で入院患者26人と職員4人の計30人がインフルエンザに集団感染し、80代の女性患者が死亡したと、市保健所が28日発表した。病院への立ち入り調査を同日実施し、院内の消毒の徹底と患者への面会を制限するように指導したという。感染経路は特定されていない。
 亡くなったのは数カ月間入院していた女性患者で、24日に体温が38度まで上がり、インフルエンザB型と診断された。服薬した後に熱が下がり回復傾向がみられたが、肺炎を併発して容体が急変し、27日に死亡した。感染した入院患者は40代以上の男女で、12~25日に相次いで発症した。全員がB型だった。



 あれ、こちらのニュースでは病院名が伏せてありますね。
 病院名が非公表だった理由の釈明;


■ インフル死亡で前橋保健所長 病院非公表の理由「悪質性低いため」
[2018/01/12:上毛新聞]
 前橋市内の病院で昨年12月、入院患者や職員がインフルエンザに集団感染し、80代の女性患者が死亡した問題で、同市の渡辺直行保健所長は11日、病院名を公表しなかった理由について「病院側の悪質性が低かったため」と、市の定例記者会見で説明した。これに対し、複数の報道機関から「悪質性の有無にかかわらず、死者が出ている以上公表すべきだった」などと指摘があった。
 渡辺所長は医療機関でインフルエンザの死者や大規模集団感染があった場合、機関名を公表するかは保健所が個別に判断していると説明。「今回のケースは病院が適切な医療を提供し、予防策を講じている最中だった。悪質性はかなり低いと判断した」と述べた。今後、どのようなケースで公表するかについて「市民の意見を広く聴き、検討したい」とした。


 こちらのニュースでは「職員全員がワクチン接種していた」と報道されています。

■ インフルエンザ集団感染で2人死亡 高齢男女、秋田の病院
2018.1.15:産経新聞
 秋田県由利本荘市のJA秋田厚生連由利組合総合病院は15日、入院患者11人と職員6人の計17人がインフルエンザに集団感染し、うち80代男性と70代女性の患者2人が死亡したと発表した。病院側は「直接の死因は元々の病気による全身の衰弱と考えているが、死期を早めた可能性は否定できない」としている。
 病院によると、他に入院患者1人が重症で治療を受けている。集団感染があったのは消化器系の患者らが入院する病棟で、4日から15日にかけて感染が次々と判明したため、病棟を閉鎖した。
 死亡した2人は昨年12月から入院中で、80代の男性は今月8日に発熱があり、誤嚥による呼吸不全のため13日に死亡。70代女性は終末期医療の患者で、10日に発熱して14日に亡くなった。
 同病院は病床数606。職員約800人は全員が予防接種を受けていたという。



 日本感染症学会の提言では「我が国では、ほとんどの病院で職員のインフルエンザワクチン接種が毎年秋に実施され、接種率は90%以上と報告されています。しかし、多くの高齢者施設の職員のワクチン接種率は低く、病院職員と同じレベルまで高める必要があるため、特に、ボランティアを含む介護職員のインフルエンザワクチン接種をもっと勧めましょう。」とあります。
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ワクチン接種選択の自由をめぐる攻防(アメリカ)

2018年02月07日 08時21分45秒 | 小児科診療
 ワクチンを巡る賛否両論はアメリカでも喧々ガクガク状態のようです。
 私はワクチンに対する評価は絶対的ではなく、その社会、その時代で異なる相対的なものと感じています。
 この記事から、あなたは何を読み取りますか?

※ 下線は私が引きました。

■ ワクチン接種選択の自由めぐる攻防 集団免疫失われる危険も 米
2018年2月6日:AFP
 カイロプラクターのジョー・アカーソ(Joe Accurso)さん(47)は、娘にポリオ、麻疹(はしか)、百日ぜきの予防接種を受けさせないことにした。病気になっても危険ではなく、娘にとってはむしろ良いことかもしれないと考えたからだという。
 アカーソさんはAFPに語った。「娘が水痘(水ぼうそう)になる機会がなくて実際、がっかりしています。病気になれば、この先、体が丈夫になりますから。これが大きな理由です」
 アカーソさんと理学療法士の妻キャシー(Cathy)さんは単なる「ワクチン反対派」ではない。自らを「ワクチンの選択の自由」を信じる積極的少数派と見なしている。
 こうした親の多くは白人、上流中産階級の高学歴者で、かつて世界中で年間何百万人もの子どもの命を奪っていた病気の予防接種を自分の子どもに受けさせない選択をしている。
 こうした親たちは、これらの病気はワクチンよりはましだと主張し、ワクチンの危険性が製薬産業の営利の名の下で世間に公表されていないと信じている。こうした信念は、今や先進国で多数の人々の間に広がっている。
 親たちが振り回されているものには、医療関係の内部告発者を名乗る人々の情報もある。こうした人々が唱えているのは、ワクチンの効力を示すデータは歪曲されており、ワクチンによる健康被害は増加している、ワクチンには怪しげな成分が密かに含まれている、という説だ。
 米疾病対策センター(CDC)によると、米国では特定の地域で集団発生する麻疹は2000年に根絶し、全国的にみると、近年、予防接種を受けていない幼稚園児は約2%のみとなっている。
 だが危険なのは、大人数の集団が予防接種を受けず、その地域の「集団免疫」が失われる場合だ。
 例えばミネソタ州のソマリア系米国人のコミュニティーでは、麻疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹の新3種混合(MMR)ワクチンの予防接種を受けた子どもの割合が、2004年の92%から2014年には42%へと急減した。

◇ 根絶したはずの麻疹再び…危険は赤ちゃんと高齢者へ
 その結果、CDCによると、2017年には予防接種を受けていないソマリア系の子どもたちを中心に65例の麻疹症例が確認され、全米での年間120例のうち、最大で単一の集団発生となった。
 1998年、反ワクチン運動の活動家、英国人のアンドルー・ウェークフィールド(Andrew Wakefield)氏がMMRワクチンが自閉症を引き起こすとする論文を発表したことで不安が広がった。のちにこの論文はねつ造だったことが判明したが、ウェークフィールド氏は2010年と2011年に地元のソマリア人コミュニティーと会合を持っている。
 麻疹は難聴、失明、脳浮腫、肺炎を起こし得る。CDCによると、麻疹にかかった子ども1000人のうち1~2人が死亡する。
 米国における最近の麻疹の流行は2014年、米オハイオ州のキリスト教の一派アーミッシュ(Amish)のコミュニティーで発生したもので、383例が確認された。また2015年には、カリフォルニア州のディズニーランド(Disneyland)の来場者から感染が広がったと思われる流行が発生し、全米で188例が報告された。
 アリゾナ州の小児科医ティム・ジャックス(Tim Jacks)氏は、「私たちはカプセルのようなものの中で暮らしているわけではありません。店に食料を買いに行ったり、教会や公園に行ったりして人とやりとりすれば、自分を人にさらすことになる」と語る。「そうすると、誰が最も危険にさらされるか。それは(ウイルスから)身を守れない新生児たちがいる家族。そして、その子のおばあちゃんたちです」
 テキサス子ども病院ワクチン開発センター(Texas Children's Hospital Center for Vaccine Development)代表のピーター・ホッテズ(Peter Hotez)氏はAFPに、問題を解決するには、現在18州でワクチン接種に関して個人による選択制が認められているが、その制度をなくすための法整備と、科学者らによる取り組みが必要だと語る。
 カリフォルニアのディズニーランドでの麻疹の流行後、同州では法律を改正し、就学児に対して医学的原因による免除以外が認められなくなり、その結果、予防接種件数は上昇した。
「(ワクチン接種を拒むのは)もはや小さなカルト集団の話ではなく、よく組織された運動」だとホッテズ氏は指摘する。「そうした運動に直接、働き掛ける必要があるのです」



 「集団免疫」が損なわれると、犠牲になるのは免疫弱者(病気を抱える人、乳幼児、高齢者)です。
 そこまで考えが及ぶかどうかは、その人の資質・人格に関わること。
 「自分の子どもは健康だから自然に罹って強い免疫をつけた方がよい」という考え方は、自然淘汰〜弱き者を排除する思想に近いのではないでしょうか。
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いやいや「ワクチンは子どものインフルエンザ関連死を減らします」

2018年02月06日 08時18分46秒 | 小児科診療
 「ワクチンが効果が低いため大流行」という記事の次は「ワクチンは子どものインフルエンザ死亡を減さす効果がある」という報告です。

※ 下線は私が引きました。

■ 子どものインフルエンザ関連死、ワクチンが減らす
2018年02月05日:朝日新聞
 米国でもインフルエンザが猛威を振るっています。今シーズンでは、インフルエンザに関連した子どもの死亡がすでに37人に達したと報道されています。インフルエンザ関連死は、インフルエンザによるウイルス性肺炎、脳炎、心筋炎による死亡のほか、インフルエンザ感染後に起こった細菌性肺炎などや、もともと持っていた基礎疾患の悪化による死亡も含みます。
 「子どもが何十人も死ぬなんて、今年のインフルエンザは恐ろしい」とお考えの読者もいるでしょう。確かに今年は例年と比較してハイペースではありますが、米国では、今年だけではなく毎シーズン、インフルエンザに関連して100人前後の子どもが亡くなっているのです。
 米疾病管理予防センター(CDC)のサイトに、ここ4シーズンの小児(18歳未満)死亡のグラフがありました。

<週あたりのインフルエンザ関連小児死亡者数>


 2014~2015年のシーズンは148人でした。以降、92人、110人ときて、現時点(2018年1月31日)での今シーズンの死亡は37人です。もともと健康な人がインフルエンザにかかって亡くなることはまれなのですが、なにぶんインフルエンザにかかる人の数が多いため、死亡に至るケースもこれだけの数になるのです。
 CDCはインフルエンザワクチンを接種するよう呼びかけています。ワクチンは小児インフルエンザ関連死を予防するのでしょうか。また、予防するとしてその効果はどれぐらいでしょうか。2017年に、米国における小児の死亡に対するワクチンの有効性の研究が発表されています(※1)。
 インフルエンザによる死亡はめったに起こらないので、ワクチンによる死亡の抑制効果をランダム化比較試験で評価しようとすると何十万人もの対象が必要になり実現は困難です。また、これまでの研究でワクチンに一定の効果は認められていますので、ワクチンを打たない対照群を設定することは倫理的にできません。よって、この研究は対象をワクチン群と対照群に研究者が振り分けるのではなく、「観察研究」といって起きた現象を観察して解析する方法で行われました。
 インフルエンザが直接の死因なのか、それとも別の病気が直接の死因となのか、区別はしばしば難しいです。たとえば、肺炎球菌による細菌性肺炎を合併して亡くなった場合、直接の死因がインフルエンザウイルスなのか肺炎球菌なのか、区別は困難です。ただ、インフルエンザの疫学的な影響を評価するときには無理に区別はしません。直接の死因だろうとなかろうと、インフルエンザウイルスに感染しなかったら死亡しなかったであろうとは言えますので、インフルエンザ関連死として数えます。
 2010年7月から2014年6月の間に報告されたワクチン接種状況がわかる小児(生後6カ月から17歳まで)のインフルエンザ関連死は291人でした。うち75人(26%)がワクチンを接種していました。一方、同時期の同様の年齢の子どものワクチン接種割合は48%でした。
 この時点でわかるのは、ワクチンを接種してもインフルエンザで亡くなることもあることと、しかしワクチンを接種していればその確率を減らすことができそうだということです。
 数学的な手法でワクチンの有効率を計算すると65%でした。小児に対してワクチンを接種すると、しない場合に比べて、インフルエンザ関連死を65%減らすことができるという意味です。
 比較試験と比べると、観察研究はバイアス(偏り)が多くなり、エビデンスレベルとしては低くなります。しかしながら、インフルエンザワクチンに関するそのほかの知見(インフルエンザの感染や発症を減らす、など)を合わせると、ワクチンがインフルエンザ関連死を減らすのはほぼ確かと言えます。

※1. Flannery B et al., Influenza Vaccine Effectiveness Against Pediatric Deaths: 2010-2014., Pediatrics. 2017 May;139(5).
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米国でのインフルA型(H3N2)大流行、ワクチン効果の低さが一因か

2018年02月06日 08時13分32秒 | 小児科診療
 アメリカではA型インフルエンザのH3N2タイプが猛威を振るっています。
 ちなみに、現在の日本で流行しているのはA型(H1N1pdm09)とB型で、アメリカとは異なります。
 カナダからの報告では、大流行の原因はワクチンの効果が低いから・・・HAワクチン(コンポーネントワクチン)の限界が見え隠れします。

※ 下線は私が引きました。

■ 米国インフル大流行、ワクチン効果の低さが一因か
HealthDay News:2018/02/06:ケアネット
 H3N2型インフルエンザウイルスに対する今シーズンのワクチンの効果は20%に満たないとするカナダの調査結果が2月1日に明らかになった。米国は今シーズン、H3N2型を主としたインフルエンザウイルスの感染拡大によって大きな打撃を受けており、米疾病対策センター(CDC)によると、インフルエンザによる入院の発生率は過去最悪レベルを記録した。CDC長官代理のAnne Schuchat氏は2月2日の記者会見で「米国でのワクチンの効果については分析を進めているところだが、わが国でも同様に効果の低さが示される可能性が高い」との見方を示した。
 CDCによると、1月27日の時点でインフルエンザ患者が報告されているのは48州(前週は49州)。人口10万人当たりのインフルエンザによる入院患者数は、1月14~20日の10万人当たり41.9人から1月21~27日には同51.4人に増加した。また、1月21~27日の週に新たに16人の小児患者の死亡例が報告され、インフルエンザによる小児の死亡例は今シーズンだけで53人となった。
 Schuchat氏は記者会見で「1月21~27日の(インフルエンザによる)入院の発生率はCDCが調査を開始して以来、最も高い。また、インフルエンザ患者の増加によって各地の病院が混雑し、抗ウイルス薬や迅速診断キットが不足している施設もあるとの報告を受けている」と説明。その上で「残念ながら、米国のほぼ全土でインフルエンザの流行は続いており、患者数は増加傾向にある」と話した。
 インフルエンザを予防する最善の手段はワクチン接種だが、今シーズンのワクチンは実際に流行しているインフルエンザウイルスの型に対して効果が不十分である可能性が指摘されていた。会見の前日にはカナダのグループがH3N2型に対するワクチンの効果は推定で17%にとどまるとする分析結果を「Eurosurveillance」2月1日号の論文で発表した。
 H3N2型は今シーズンに米国で最も多く検出されている型だが、同グループが分析したのはカナダのデータであるため、この数値が米国にも当てはまるわけではない。米国でのワクチンの効果については現在、分析が進められており、今後発表される予定だ。ただ、Schuchat氏はカナダの報告を受け「H3N2型に対して有効なワクチンの製造は難しいため、驚きはない」とコメント。「オーストラリアでも先ごろのインフルエンザ流行の終息時にワクチンの効果が低かったことが明らかになったが、米国でも同様にH3N2型に対するワクチンの効果の低さが示されることになるだろう。ただ、最終的な数値はまだ分からない」と話した。
 ただし、CDCは今シーズンのワクチンの効果が例年と比べて低くても、ワクチンを接種しておくことは重要だと強調している。接種による予防効果だけでなく、感染した場合も軽症で済む可能性が高まるというのが理由だ。CDCインフルエンザ部門のDaniel Jernigan 氏は、特に小児ではワクチン接種による重症化の予防が望ましいことを指摘。「今シーズンにインフルエンザが原因で死亡した小児のうち、ワクチンを接種していた小児はわずか20%だった。また、死亡した小児の約半数はインフルエンザを発症する前は健康だった」と説明した。
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