徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「返品詐欺」というのがあるのですね。

2017年12月24日 10時21分40秒 | 日記
 さもありなん、と思いました。
 人間って、追い詰められると悪いことをするのですねえ。
 でも、返品を予想したデータから価格設定しているという裏技にも驚きました。

■ テレビ通販は「世界最大のレンタルショップ」、着用後に返品する「ワードロービング」に打つ手なく
2017/12/24 弁護士ドットコム
 通販や一般の店舗などを含む小売業界で、返品の制度を悪用する客が存在するという。実際にテレビ通販の業界内で「困った客がいる」という声が上がっている。商品を買って実際に使用した後に返品。最初から買う気はなく、商品をレンタル代わりに使用していると思われる人々が存在するという。米国では「ワードロービング」と呼ばれ、「返品詐欺」の一種とされている。日本でも同種の行為が行われているものの排除は簡単ではない。特にテレビ通販会社では、積極的に排除に動こうとしない事情もある。その結果、倫理観に欠けると思われる人の「やり得」状態が続く。テレビ通販関係者に話を聞いた。(ジャーナリスト・松田隆)

●「1度使って返品」の繰り返し
テレビ通販は、販売する主体の違いで3つの形態がある。

1)通販専門放送局
2)テレビ局通販
3)テレショッパー

 1)は「ショップチャンネル」と「QVC」で通販番組の放送局、2)は主にキー局の関連会社が行う(日本テレビは事業局)。3)はテレビ局から放送枠を買って通販番組を放送するもので「ジャパネットたかた」などが該当する。
 メーカーが商品をつくり、問屋を介して通販会社に納品(販売委託)するのが基本構造。長年、問屋としてテレビ通販に携わり、自身もネット通販会社の取締役のA氏は説明する。
 「卒業式や入学式のシーズンになると商品の注文を入れ、返品の期限になる前に決まって返品するという方が一定数いらっしゃいます。それもほぼ毎年です。多いのは真珠のネックレスとか、ブラックフォーマルのドレス。おそらく年の近い兄弟姉妹がいて、毎年のように必要になるのではないかと話しています」。
 問題は一度使われた商品は、新品として再度、販売することが難しい点にある。ネックレスは傷がなければ新たに包装するなどして再販が可能だが、それでも経費はかかる。ドレスは通常の試着程度なら問題ないが、香水の匂いがついたり、型が崩れたりした場合は再度売るのは難しい。
 メーカーとして通販会社に商品を提供していたB氏は「ドレスより売るのが難しいのは靴です。一度履くと底が減りますから、返品されたら捨てるしかありません。」と言う。返品は基本的にメーカーに戻すが、一度履いた靴などは通販会社が破損品として買い取るという。つまり通販会社の損失である。
 買う気もないのに注文し、使って返品し損害を与える行為は米国では「ワードロービング(wardrobing)」と呼ばれ、返品詐欺(return fraud)の一種に分類される。wardrobeは洋服箪笥のことだから「タンス代わりにすること」程度の意味だろう。
 全米小売業連盟(NRF)のHP上のレポートに以下のような記述がある。「(返品)詐欺被害はほとんどすべての小売業者が経験し、盗品に関する商品の詐欺は95%が経験している。・・ワードロービング、つまり典型例としてパーティー用のドレス、スーパーボウルを見るための大画面テレビを購入し使用後に返品するといった手法であるが、それは62%が経験済み」(Return fraud cost 9.1 billion in 2013=J.Craig Shearman)。返品詐欺は全米で年間91億ドル(約1兆192億円)の損失を小売業者に与えるとしている。

●通販ならではの事情
 このような行為は日本では犯罪になるだろうか。該当するとしたら詐欺罪(刑法246条1項)であろう。もっとも「可能性がある」ということで、実際に検挙され有罪となるかは別の話である。
 こうした問題が発生するのは、テレビ通販ならではの事情も関係している。

(1)返品制度
(2)返品を前提とした販売戦略
(3)調査に時間と費用
(4)ワードロービングをする人は少数

(1)本来テレビ通販はクーリングオフの対象外。しかし、例えばQVCは商品到着後30日以内に返送すれば良く、ほとんどの会社が返品を認めている。仮に返品を認めなければ「売れないでしょう。返品できないと、消費者は買わないと思います」(B氏)。百貨店では試着できるが、テレビ通販ではできない。返品を認めないことは、洋服なら「試着せずに買ってください」と同義。そう考えるとテレビ通販が返品を認めるのは販売方法の性質上、やむを得ない。
(2)B氏は「ファッションであればオンエア後、売れた分の30%ぐらいが当日キャンセルされます。残り70%が実際に発送され、後日、その30%が戻ってきます。つまり実際に売れるのは最初に売れた数のおよそ半分。そのため半分しか売れなくても利益を出せるように、原価率20%程度の価格設定がされます」と事情を明かす。
 つまり、最初から低くない返品率を計算に入れた販売戦略を立てており、ワードロービングが紛れ込んでくる可能性は排除できない前提に立つ。
(3)仮に排除しようと考えると追跡調査等で多額の費用が発生し、かつ、できることは該当者からの注文を受けないという程度。それなら、わざわざ調査することはないと考えるのが通常の思考法である。
(4)A氏、B氏ともワードロービングと思われる人は全体の1%を切り「コンマ、数%でしょう」と言う。少数のため大勢に影響はないと考えられている。
 こうした事情から、一部の人の倫理観に欠ける行動が野放しになっている。B氏は「仲間内で冗談めかして『テレビ通販は世界最大のレンタルショップ』と言ってます」と苦笑する。
 一方、A氏は腹立たしげな様子でこう語った。「アメリカでは多いとは聞きますが、日本にも出てきたということでしょう。そういう人はお客様の範疇に入りません。お金を払ってくれた人、結果、気に入らなくて返したという方までがお客様。最初からレンタル代わりにする人はお客様ではありません」。
 個々の消費者の倫理観に期待するしかない現実に、問題の根の深さが感じられる。

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インフルエンザ脳症が6例発生、5例は10歳以下

2017年12月24日 06時13分02秒 | 小児科診療
 今年流行のタイプはAH1pdm09が主流ですが、地域によりAH3亜型(=香港型)が主流のところもあり、一定していないようです。
 インフルエンザ性脳症の情報が入ってきました。6零報告され、死亡例はゼロだそうです。
 国立感染症研究所の情報はタイムラグがあります。
 全国小児科医の有志による以下の報告は、ほぼリアルタイムです;

MLインフルエンザ流行前線情報DB





 すでに幼稚園・小中学校は冬休みに入りましたので、流行拡大はいったん止まり、年明けに本格的な流行という例年通りのパターンになりそうですね。

■ インフルエンザ脳症が6例発生、5例は10歳以下
2017/12/19:日経メディカル
 インフルエンザの流行が拡大している。12月10日までの1週間(第49週)に全国の定点医療機関を受診した患者数は2万人を超え、定点当たり4.06人と前週の2.58人から増加した。国立感染症研究所によると、推計患者数は約20万人で、うち9歳以下が40%、10歳代が20%と低年齢層を中心に感染が広がっている。重症例も目立ってきており、インフルエンザ脳症は48週までに6例が報告され、うち5例は10歳以下だった。
 流行地域も拡大し、全域で流行の目安である定点1人を超えた自治体は45都道府県となった。長崎県は定点報告が10.51人と注意報レベルとされる10人を超え、今季初めての注意報を発表した。沖縄県(7.07人)、大分県(6.84人)、愛媛県(6.46人)、宮崎県(5.90人)、福岡県(5.79人)などと続いている。
 感染研によると、推定患者数は約20万人で、9歳以下が40%と最多だった。10歳代が20%、30歳代と40歳代が10%で続いている。20歳代、50歳代、60歳代、70歳以上はそれぞれ5%だった(図1)。


図1 年齢層別に見たインフルエンザ推定患者数(国立感染症研究所の感染症発生動向調査を基に作成)

インフルエンザ脳症の報告も
 感染研がまとめている感染症発生動向調査を基に、全数把握疾患である急性脳炎のデータをピックアップし、インフルエンザが原因の症例を集計した結果、第48週までの累計で、インフルエンザ脳症例は6例となった。第44週(10月30日~11月5日)以降、5週連続で報告されている。報告時死亡例は、出ていない。
 年齢別では、1歳が2例、6歳が1例、10歳代が2例と1歳以下が多く、50歳代も1例報告されている。ウイルスのタイプは全てA型だった。


図2 インフルエンザ脳症の報告数の推移(国立感染症研究所の感染症発生動向調査を基に作成)

 なお、インフルエンザの流行ウイルスは、感染研のインフルエンザウイルス分離・検出速報によると、直近の5週間(45~49週)でAH1pdm09が164件で最多だった。B型が54件、AH3亜型は31件だった。AH1pdm09が66%を占めており、流行の主流となっている。ただし、地域によってはAH3亜型が主流のところも散見されており、注意が必要だ。
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都民の2人に1人が花粉症

2017年12月21日 07時55分49秒 | 小児科診療
 何となく予想はしていましたが、とうとうこういう時代が来ましたか・・・。

■ 都民の2人に1人が花粉症…10年前は28%
2017年12月20日:読売新聞
 東京都民のおよそ2人に1人が花粉症と推定されることが、都の実態調査でわかった。
 10年前の「3・5人に1人」から大幅に増えたという。
 都は昨年11~12月、あきる野市、調布市、大田区を対象にアンケートを配布。回答があった2116人のうち410人に血液検査や問診などを受けてもらったところ、日常生活に支障がない軽症も含み、48・8%がスギ花粉に対して抗体があり、症状も出ていることがわかった。
 これまで都が同じ地域で実施した調査では、1996年度が19・4%、2006年度が28・2%だった。
 410人を年齢別に分析したところ、0~14歳の40・3%、15~29歳の61・6%、30~44歳の57%に花粉症の症状が出ていた。都では、アレルギー疾患への対策などをさらに進めるとしている。


 昔、アレルギー関連学会で「花粉症の発症者は最大国民の何%まで増えるのだろう?」という議論があり、「遺伝指摘には8割まで増えても不思議ではない」と聞いたことがありましたが、着実に近づいているようです。
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インフルエンザ2017、今年はH1とH3の混合流行か

2017年12月18日 06時26分27秒 | 小児科診療
 インフルエンザ流行、北関東の当地では数週間前に始まったのですが、現在小康状態です。
 全国的には急増している様子;

■ インフル感染、急増2万人超…今年は混合流行か
2017年12月16日:読売新聞
 流行期に入ったインフルエンザの感染者が急増している。
 厚生労働省によると、12月10日までの1週間に、全国約5000の医療機関から報告があった患者数は2万127人で、前週より約7300人増えた。外出が増える年末年始を前に、専門家らが注意を呼びかけている。
 この1週間で報告された患者数は1医療機関あたり4・06人だった。現在検出されているウイルスは、2009年に新型として流行した型が最多。世界的にA香港型がはやっており、国内は混合で流行する可能性がある。同様の傾向だった15~16年シーズンは流行のピークが比較的早かった。
 国立感染症研究所感染症疫学センターの砂川富正・第二室長によると、09年に流行した型は、子どもが肺炎を起こすケースが報告されており、ぜんそくなどの持病がある子は、さらに注意が必要という。「子どもや高齢者など重症化しやすい人はワクチンを接種し、手洗いやマスクの着用をしっかり行って予防してほしい」と話す。


 一方、アメリカの情報では・・・

■ この冬インフルの死者は記録的高水準か 米疾病対策センター上方修正
2017年12月14日:Newsweek
 医学雑誌ランセットに掲載された米疾病対策センター(CDC)のリポートによると、季節性インフルエンザの世界での死者数は流行するウイルスの型によって幅はあるものの、年間29万1000─64万6000人という。
 CDCのこれまでの試算は25万─50万人だった。
 CDCは上方修正の理由を明らかにしなかったが、今回の調査は世界の保険当局と共同で行われ、以前に比べてより広範囲で多様な国々のサンプルに基づいていると説明した。
 インフルエンザによる死亡率が最も高いのは最貧困地域と高齢者。75歳以上の高齢者とサハラ以南の住民の間で、インフルエンザに関連した呼吸器疾患で死亡する確率が最も高くなっている。
 米国立アレルギー・感染症研究所によると、今年の南半球の冬にはオーストラリアでインフルエンザ感染による入院と死亡者の数が記録的高水準となった。ワクチンの効果が10%にとどまったという。
 このことから米当局は、今年同じワクチンを使う北半球の冬のインフルエンザシーズンは特に厳しくなると予想している。
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千葉市の小学校でノロウイルス集団感染

2017年12月10日 09時11分00秒 | 小児科診療
 当院外来でも嘔吐を訴えて受診するお子さんが増えてきました。

■ 千葉市の小学校でノロウイルス集団感染
2017年12月08日:朝日新聞デジタル
 千葉市は7日、中央区の市立小学校でノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生があったと発表した。児童31人、教諭1人が発症したが重症者はおらず、全員快方に向かっているという。
 市健康企画課によると、11月29日に児童15人が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴えたと市保健所に連絡があった。発症は7日までに32人に増え、便検査で3人からノロウイルスが検出されたため、市保健所はノロウイルスによる集団感染と断定した。発症した児童が校舎内で吐いて他の児童の手に触れる、ウイルスを含むほこりが舞い上がって鼻や口に入る、といった状況で感染が広がったとみられる。
 市は「感染の範囲は校内にとどまる」として、学校名を公表していない。
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2018年春のスギ・ヒノキ・シラカバ花粉飛散予想

2017年12月06日 06時12分29秒 | 小児科診療
 例年、インフルエンザが流行する時期になると、翌春の花粉症の飛散予想が発表されます。
 来シーズンのスギ・ヒノキ花粉はどうでしょうか。
 各地域別に細かい飛散予想が出るのですね。
 東北地方ではヒノキ花粉がほとんど飛ばないことを初めて知りました(^^;)。
 北海道ではスギもヒノキも飛ばず、シラカバ花粉のみ。

・2018年シーズンのスギ・ヒノキ花粉の飛散開始時期も、全国的に平年並となる予想
・2017年シーズンの飛散パターンが “ダラダラ継続型”だったのに対し、2018年シーズンは短期集中の“メリハリ型”となる
・スギ花粉の飛散ピークは、九州や四国、関東など早い所で2月下旬
・2018年のスギ・ヒノキ花粉シーズンの花粉飛散量は、全国で平年の65%となる見込みで、東日本を中心に平年の50%未満となる所が多くなりそう。記録的な日照不足となった関東は、東京都で平年の50%、茨城県では平年の28%となる予想。

■ 西・東日本の花粉飛散開始は2月上旬、ピークは3月上旬を予想
ウェザーニューズ:2017.12.5
 2018年シーズンの第2回スギ・ヒノキ(北海道はシラカバ)の花粉飛散傾向を発表しました。西・東日本の花粉飛散開始は2月上旬、ピークは3月上旬の予想です。
花粉の飛散開始は九州南部や関東の早い所で2月初め

 花粉の飛散開始時期に影響する2017年12月〜2018年2月の気温は平年並となる所が多くなる予想です。このため、休眠打破が適度に起こり、2018年シーズンのスギ・ヒノキ花粉の飛散開始時期も、全国的に平年並となる予想です。
飛散パターンは“メリハリ型”に
 暖冬だった2017年シーズンの飛散パターンが “ダラダラ継続型”だったのに対し、2018年シーズンは短期集中の“メリハリ型”となる見通しです。
西・東日本の飛散ピークは3月上旬
 スギ花粉の飛散ピークは、九州や四国、関東など早い所で2月下旬、西・東日本の広範囲で3月上旬、東北では3月中旬〜下旬の予想です。
 3月が終わりに近づくとスギ花粉のピークは越える見込みです。
予想飛散量は全国的に少なめ、平年の65%予想で関東は最大70%減も

 2018年のスギ・ヒノキ花粉シーズンの花粉飛散量は、全国で平年の65%となる見込みで、東日本を中心に平年の50%未満となる所が多くなりそうです。特に、記録的な日照不足となった関東は、東京都で平年の50%、茨城県では平年の28%となる予想です。
 花粉症にお悩みの方は花粉シーズンを迎える前に、対策をしっかりと行ってください。

西日本
□ 近畿:スギ花粉の飛散ピークは2月下旬~3月上旬


□ 山陰:スギ花粉の飛散ピークは3月上旬


□ 山陽:スギ花粉の飛散ピークは2月下旬~3月上旬


□ 四国:スギ花粉の飛散ピークは2月下旬


□ 九州北部:スギ花粉の飛散ピークは2月下旬


□ 九州南部:スギ花粉の飛散ピークは2月下旬


東日本
□ 関東:スギ花粉の飛散ピークは2月下旬


□ 北陸・甲信北部:スギ花粉の飛散ピークは3月上旬


□ 東海・甲信南部:スギ花粉の飛散ピークは3月上旬


北日本
□ 北海道(※シラカバ花粉):飛散ピークは5月中旬


□ 東北北部:飛散ピークは3月中旬〜下旬


□ 東北南部:飛散ピークは3月上旬〜中旬
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子どもの夏風邪、冬も流行

2017年12月05日 08時31分48秒 | 小児科診療
 当地でもインフルエンザの流行が始まりました。
 が、一部ではプール熱、手足口病も消えていません。
 今年は夏からRSウイルス(本来は冬の風邪)も流行したし、季節感(?)が薄れてきました。

■ 子どもの夏風邪、冬も流行 手足口病最多、プール熱も 病原性高く要注意
共同通信社:2017年12月4日
 子どもに多い夏風邪、手足口病の流行が今も続き、1週間当たりの患者数が、この時期としては過去10年で最多となっていることが4日、国立感染症研究所の調べで分かった。脳炎などを起こす病原性が高いウイルスが広がっており、専門家は警戒を呼びかけている。同じく夏風邪として知られる咽頭結膜熱(プール熱)も最多で注意が必要だ。
 手足口病は口や手足の発疹が主な症状で、熱が出ることもある。ほとんどは後遺症もなく治るが、まれに髄膜炎や急性脳炎を起こすことがある。
 現在流行しているのは夏に主流だったのとは異なるエンテロウイルスA71型と呼ばれるウイルス。
このウイルスは中枢神経系での合併症を起こすことが他のウイルスより多く、過去の流行時には死者もでている。
 全国の小児科定点医療機関からの報告によると、今年の第46週(11月13~19日)の1医療機関当たりの患者数は1・28人で、これまで最高だった2011年の同時期0・99人を上回った。
都道府県別では佐賀(5・14人)が多く、他は青森(2・52人)や宮城(2・37人)、福井(2・18人)が目立った。エンテロウイルスA71型は山形や愛媛、東京、大阪で多く検出された。
 発熱が2日以上続く、ぐったりするなどの症状があった場合は注意が必要。
感染研の藤本嗣人(ふじもと・つぐと)室長は「保育園など子どもの多いところは特に警戒が必要。
ノロウイルスと同様に、トイレ後の手洗いなどの予防策を徹底してほしい」としている。
 プール熱も最高だった13年に比べて約1・6倍の1医療機関当たり0・67人の患者が報告されている。
都道府県別では、北海道(2・98人)、宮崎(2・31人)、富山(2・00人)が多かった。
最近は冬に流行することが多く、年末にかけてさらに増えるとみられる。


子どもの夏風邪
 子どもが夏によくかかる病気として、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)がよく知られている。いずれもウイルスが原因で、手足口病とヘルパンギーナは「エンテロウイルス」、プール熱は「アデノウイルス」が原因とされる。
 せきやくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染や、接触感染が主な感染経路。特別な治療法はなく、予防には手洗いが重要。
 プール熱はプールでうつる例があることからこの名前がついたが、最近は冬場にも流行のピークがあり、注意が必要だ。

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世界に広がる日本生まれの母子手帳(BOSHI-TECHO)

2017年12月04日 08時50分01秒 | 小児科診療
 「母子手帳」は日本特有の文化で、諸外国では存在しないそうです。
 その日本生まれの母子手帳は世界に広がりつつあり、今回ロシアで翻訳したものがそのまま使われるようになるという記事を紹介します。
 表紙にはアルファベットで「BOSHI-TECHO」と記されているそうです。

■ 母子手帳 ロシアで赤ちゃんの健康守る 日本版を「輸入」
毎日新聞2017年11月28日
 日本の「母子健康手帳」がロシア語に翻訳され、来年から政府系団体の主導でロシア国内に配布されることになった。日本生まれの母子手帳は世界30カ国以上に広がっているが、それぞれ国情に合わせて独自の編集がされており、海外の国が日本版を中身ごと「輸入」するのは初めて。表紙にはアルファベットで「BOSHI-TECHO」とも記され、関係者は「母子手帳が国際語になってくれるといい」と期待する。
「BOSHI-TECHO」海を越え
 翻訳されるのは、一般社団法人「親子健康手帳普及協会」(東京都港区)が2016年に作った「20年をつづる母子健康手帳」。自治体からもらえる母子手帳は通常6歳までしか記入できないが、成人までの病歴記入欄や、児童虐待の防止や発達障害に関する説明なども付き、人気を呼んでいる。
 協会理事で管理栄養士の白崎ユミさん(55)は、母子保健に長年携わるロシア人医師のラリーサ・スクラトフスカヤさん(75)と30年来の親交があった。今年5月、スクラトフスカヤさんは英語に翻訳された手帳を初めて手にし「素晴らしい」と絶賛。仲間とロシア語訳を始めた。同時に国立産科・婦人科・周産期医学医療研究センター長のゲナルディ・スヒーフさん(70)に普及を働き掛け、10月に関係者間で共同著作権の契約が結ばれた。
 冊子は冒頭で、母子手帳が日本で半世紀以上前に誕生したことを紹介。妊娠時の注意や便の色による健康状態の見分け方など母子の健康に関する項目のほか、飲酒、喫煙、危険な性行為など思春期に直面する課題についても解説している。
 協会によると、ロシアに母子手帳に相当するものはなく、子どもの予防接種も生後約1年までの簡単な記録しか残さないのが一般的という。スクラトフスカヤさんらは「妊娠の瞬間から母親の健康、20歳までの子どもの健康に関する全ての情報が含まれており、親や家族の関心を引きつける重要な本だ。母子手帳が日露間の文化対話促進に役立つと信じている」と評価する。
 12月上旬にデータをロシア側に送り、製本でき次第、都市部から順次配布される予定。協会顧問の神馬(じんば)征峰・東京大教授(国際保健学)は「母子手帳は将来の健康リスクを減らす『社会ワクチン』として役立つ可能性がある。配るだけでなく、使い方のトレーニングがあると、より効果的ではないか」と話している。【谷本仁美】


母子健康手帳
 妊娠期から乳幼児期までの母子の健康記録をまとめた冊子。母子保健法により市町村にすべての妊婦への交付が義務付けられている。手帳の前半部分は全国共通で、後半部の健康や育児に関する情報は独自の編集が認められている。海外での母子手帳普及には国際協力機構(JICA)が中心となって取り組んできたが、民間では親子健康手帳普及協会がアジアやアフリカの大使夫人を招いて勉強会を開くなどしている。
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水痘ワクチン定期接種化後、水痘患者が激減しました。

2017年12月03日 08時06分07秒 | 小児科診療
 小児科医にとって当たり前のことですが、大切なこと。
 ワクチンに反対する人々(医師を含めて)は水痘ワクチンについてどんな意見を持っているのでしょうか?
 マスコミ・メディアの皆さん、ワクチンの悪口ばかり載せないで、感染症の恐ろしさやワクチンが有効であるという基本情報も提供し、読者が冷静な目で判断できるよう、お願い致します。

■ 水ぼうそう患者が激減 無料の予防ワクチン効果か
2017年12月01日:朝日新聞社



 水痘(水ぼうそう)の患者が大きく減ってきている。国立感染症研究所の調査によると、2016年の患者数は5年前の3分の1以下に減少し、特に1~4歳の子どもの患者が減った。14年10月から定期接種になって原則無料で受けられるようになった予防ワクチンの効果とみられる。
 感染研によると、11年の全国約3千の小児科にかかった水痘患者数は23万8645人だった。ワクチンが定期接種となった後の15年は7万7614人、16年には6万5353人に減少した。17年も前年同時期を下回っている。
 11年に患者全体の7割を占めていた1~4歳の幼児が、16年には4割まで減っていた。感染研感染症疫学センター第三室の多屋馨子室長は「ワクチンの定期接種化の効果が大きい」と指摘する。
 ワクチンは1回打つと重症化を、2回打つと発症を防げるとされる。定期接種の対象は1~2歳。6カ月以上の間隔を空けて2回打つことになっている。感染研の16年度の調査では、2歳児のワクチン接種率(接種1回、回数不明を含む)は87・4%だった。
 水痘は水痘帯状疱疹(ほうしん)ウイルスに感染して発症する。感染力が強く空気感染し、全身に発疹ができる。肺炎や脳炎などを起こすことがある。大人になって感染すると重症化しやすく死亡することもある。
 多屋室長は「2歳までにしっかり2回接種してほしい。3歳以上でも接種を受けていない人やかかったことのない人は、費用はかかるが接種を検討してほしい」と話す。

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2017年、インフルエンザの流行が始まりました。

2017年12月02日 07時48分09秒 | 小児科診療
 北関東の当地でも、先週から近隣の保育園・小学校で集団発生が始まりました。
 もう12月ですから、例年通りと言えば例年通り、少し早いでしょうか。

 迅速検査をすると、ほとんどA型。
 熱性けいれんを起こした乳幼児も何人か来院しました。

■ インフルエンザ、流行シーズン入り…例年よりやや早く
(2017年12月1日:読売新聞)
 厚生労働省は1日、インフルエンザが流行シーズン入りしたと発表した。
 11月20~26日の1週間に全国約5000か所の医療機関から報告された患者数が、1医療機関あたり平均1・47人となり、流行入りの目安となる1人を上回った。流行入りの時期は例年よりやや早い。厚労省によると、全都道府県で報告数が前週よりも増加した。都道府県別で多いのは、沖縄(4・88人)、長崎(4・47人)、愛媛(3・39人)の順。
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