徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

手足口病の流行が続いています。

2015年08月15日 07時48分28秒 | 小児科診療
 当院はお盆週間も診療をしており、本日が最終日。
 来院する患者さんでやはり目立つのが手足口病です。

 この夏に2回罹った子もいますね。
 これは、手足口病の原因になるウイルスが1種類ではないからです。複数のウイルスが似たような症状を発現し、症状だけでくくって診断していますのでこのような状況になります。

 だから、皮疹の出方・分布も微妙に異なります。
 口内炎がひどいと食事が取れずつらい思いをします。
 手の平/足の裏のみでなく、肘や膝に多く出るタイプ(コクサッキーA6)は、治癒後に爪が一過性に変形することがあります。
 エンテロウイルス71が流行すると脳炎の合併症が問題になるのですが、今シーズンはこの話題は出ませんね。

 手足口病は隔離義務はありません。
 大流行しているのになぜ?
 その理由は「感染力が数週間続くから」です。
 みんなお腹の中(消化管)で増殖して症状を出すウイルスであり、症状が消えた後も数週間お腹の中にいて便から排泄されます。
 つまり、ウンチの中に感染力のあるウイルスが居座るということ。
 ですので、厳密に「感染力が無くなったから登園/登校可能」という主旨の治癒証明書を義務づけると、3週間から1ヶ月間も集団生活ができないことになります。
 手足口病に罹ると1ヶ月間保育園へ行けない・・・これは現実的ではありませんね。
 これに手足口病の重症度を加味して、妥協しているのが現実なのです。
 ご理解いただけましたか?

■ 手足口病が猛威…患者数、過去最多に迫る
2015年8月12日 読売新聞
 乳幼児の手や足、口の中などに発疹ができる手足口病の患者数が、過去最多だった2011年7月中旬に迫る勢いで増えていることが11日、国立感染症研究所が発表した速報値でわかった。感染研は、流行が9月頃まで続く恐れもあるとみて警戒を呼びかけている。
 速報値によると、全国約3000か所の小児科から報告された患者数は、今年8月2日までの1週間で1か所あたり平均10・26人。過去最多だった11年7月11~17日の10・98人に次ぐ患者数に達した。
 都道府県別では、宮崎(19・61人)、新潟(19・59人)、宮城(18・73人)、山形(18・67人)の順に多い。全国平均を超えているのは、関東や北陸、東北にかけての各都県が中心だが、大阪(11・26人)も多めとなっている。
 原因となるウイルスには数種類の型があり、今年は重症化しにくい型が主流。ただ、7月以降に増えている型は、手足以外に発疹が広がることも多いという。
 感染研感染症疫学センターの藤本嗣人つぐと室長は「秋頃までは、流水とせっけんで小まめに手を洗い、おむつ交換時には便に触れないようにするなど、予防策を心がけてほしい」と話す。



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