徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナによる小児の死亡例解析

2024年08月22日 06時10分08秒 | 新型コロナ
「新型コロナに罹っても子どもは軽く済む」
「だからワクチンは必要ない」
という声が多い一方で、
やはり重症化して死亡する例も報告されているのも事実です。

関連記事を紹介します。
死因の第一位は「急性脳症」、第2位は「急性心筋炎」とのこと。
イメージされる肺炎は第3位でした。
季節性インフルエンザと似ていますね。

<ポイント>
・日本では、2022年にオミクロン株が初めて検出された後、小児COVID-19患者数が急増した。
・発症または死亡日が2022年1月1日~9月30日である0~19歳におけるSARS-CoV-2感染後に発生した死亡症例を集計したところ、53例と判明した。
・小児死亡例のうちワクチン接種対象者の88%が未接種。2回のワクチン接種済みの3例(12歳以上)のCOVID-19発症日は、最後のワクチン接種日から3ヵ月以上経過していた。
・発症から死亡までの期間は77%が7日未満。
・内的死因患者46例のうち、1歳未満が7例、1~4歳が15例、5~11歳が18例、12~19歳が6例であった。19例に基礎疾患が認められた。
・中枢神経系異常(急性脳症など)が16例(35%)、心臓異常(急性心筋炎など)が9例(20%)、呼吸器異常(急性肺炎など)が4例(9%)。小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)は認められなかった。
・患者の46%は院外心停止で死亡。

■ 国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?
2024/08/16:ケアネット)より一部抜粋(下線は私が引きました);  
 2024年8月9日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者が多い傾向にある1)。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。・・・
 日本では、2022年にオミクロン株が初めて検出された後、小児COVID-19患者数が急増した。2021年12月までに0~19歳のSARS-CoV-2陽性患者数は24万例(0~9歳:8万4千例、10~19歳:15万6千例)だったが、2022年1~9月(オミクロン株流行期)には480万例(0~9歳:240万例、10~19歳:240万例)に増加し、死亡者数も増加した。
 本研究では、厚生労働省、地方自治体、保健所、HER-SYS、学会、メディアから小児・青年死亡症例の情報を収集した。症例は、発症または死亡日が2022年1月1日~9月30日である0~19歳におけるSARS-CoV-2感染後に発生した死亡症例と定義した。・・・
 主な結果は以下のとおり。
・COVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者62例が確認され、うち53例について詳細な調査を実施できた。46例(87%)は内的死因、7例(13%)は外的死因(新型コロナ感染後の溺水や窒息などの予期せぬ事故)であった。
内的死因患者46例のうち、1歳未満が7例、1~4歳が15例、5~11歳が18例、12~19歳が6例であった。19例に基礎疾患が認められた。
コロナワクチン接種対象者(5歳以上)は24例で、そのうち21例(88%)がワクチンを接種していなかった2回のワクチン接種済みの3例(12歳以上)のCOVID-19発症日は、最後のワクチン接種日から3ヵ月以上経過していた
・入院前は呼吸器症状よりも非呼吸器症状のほうが多く、疑われた死因は、多い順に、中枢神経系異常(急性脳症など)が16例(35%)、心臓異常(急性心筋炎など)が9例(20%)、呼吸器異常(急性肺炎など)が4例(9%)だった。小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)は認められなかった
・基礎疾患のない患者(27例)では、最も多く疑われた死因は中枢神経系異常(11例)、次いで心臓異常(5例)だった。呼吸器異常は認められなかった。
・入院前に救急外来で確認された死亡者数は19例、入院後の死亡者数は27例であった。患者の46%は院外心停止で死亡した。
・中枢神経系異常を認めた16例では、発症から心肺停止までの中央値は2日(IQR:1.0~12.0)、発症から死亡までの中央値は3.5日(2.0~14.5)だった。5~11歳が最も多く(9例/56%)、1歳未満はいなかった。急性脳症の12例のうち、出血性ショック脳症症候群(HSES)が疑われたのは5例、急性劇症脳浮腫を伴う脳症が1例、分類不能脳症が 6例であった。
・心臓異常を認めた9例では、発症から心肺停止までの中央値は4日(IQR:2.0~4.0)、発症から死亡までの中央値は4日(2.0~5.0)だった。 8例に臨床的急性心筋炎が検出された。
 本研究の結果、小児・青年のCOVID-19発症後の死因として、中枢神経系異常、次いで心臓異常が多かったことが示された。徴候・症状への対処に加えて、臨床医は基礎疾患にかかわらず、COVID-19発症から少なくとも最初の7日間は小児・青年患者を注意深く観察すべきだ、と著者らはまとめている。

<原著論文>
<参考文献・参考サイト>
1)内閣感染症危機管理統括庁:新型コロナウイルス感染症 感染動向などについて(2024年8月9日)

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