徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

タバコによるPM2.5汚染

2013年03月07日 06時29分01秒 | 小児科診療
 まず、このニュース動画をご覧ください;

■ 「気になるPM2.5・・・喫煙スペースの汚染は北京以上?」(産業医科大学の大和浩教授のお話)
※ その後動画が削除されましたので、大和教授のコメントだけ抜粋します;
「例えば、タバコを吸われている喫茶店は、700マイクログラム・パー・立方メートルぐらいあります。北京の一番ひどい日と同じぐらい高いです。だから、私は、怖がる所が違うんじゃないかと思います。屋外の『70』を怖がるんだったらば、タバコを吸っている喫茶店の『700』の方を怖がってほしいと思います」


 驚きました。
 PM2.5は身近なタバコからも排出され、居酒屋や喫茶店喫煙スペースのPM2.5汚染度は北京並みとのこと。
 ハァ~(ため息)、喫煙者は自らPM2.5汚染をつくって吸い込んできたのですねえ。
 喫煙室で自分の体を痛めつけるのは自己責任ですが、親が吸うタバコのせいで受動喫煙する子どもたちは被害者と云うことができます。

 中国からの越境汚染を非難する前に、禁煙対策が先でしょう。

 タバコとPM2.5の緊密な関係は、禁煙指導に携わってきた医師達には以前から常識で、今回の騒ぎは「何を今更騒いでいるんだ」という感覚らしい。興味のある方は、以下の資料をご覧ください(非常に長文です);

■ 受動喫煙ファクトシート 2「敷地内完全禁煙が必要な理由
 NPO 法人 日本禁煙学会(理事長 作田学)
■ 【PM2.5問題に関する日本禁煙学会の見解と提言
 ~日本では国内の受動喫煙が最大のPM2.5問題です
 ~禁煙でない日本の飲食店内は1月13日の北京の大気と同じPM2.5レベルです


 実際に、北京では子どもの喘息罹患が増えてきたとのニュースも;

ぜんそくの子供増加傾向=北京の発病率3%超-中国(時事通信:2013/03/05)
 【北京時事】5日付の中国紙・新京報は、中国でぜんそくを患う子供が増えており、北京での発病率は3~5%に達すると報じた。首都小児科研究所付属児童病院ぜんそくセンターの医師の話として伝えた。大気汚染のほか、化学物質の増加、生活環境の急変などが原因という。

 PM2.5は呼吸器疾患のみならず、循環器疾患のリスクも増やし、死亡率を上昇させます;

■ PM2.5と循環器疾患の”危険な関係”(日経メディカルメール 2013.3.1)
 中国からの越境汚染が懸念されている、粒径2.5μm以下の微小粒子状物質「PM2.5」。先ごろ、環境省の専門家の検討会が「大気中のPM2.5濃度が国の環境基準値の2倍に当たる70μg/m3を超えた場合は、外出や部屋の換気を控えることが望ましい」とする指針を示し、国民の関心は高まるばかりです。
 PM2.5による健康被害の可能性として、現時点では、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺癌などの呼吸器疾患の発症・増悪との関連が主に取り上げられています。一方、米国では以前から、PM2.5などの粒子状物質が、呼吸器疾患だけで
なく心血管疾患も引き起こす可能性が指摘されており、PM2.5の年平均濃度が10μg/m3上昇するごとに、地域住民の心肺疾患による死亡率が6%増えたという報告もあります。米国心臓協会(AHA)も、2004年に声明を発表し、粒子状物質が
心血管疾患の罹患率や死亡率の上昇に関連すると警告しています。

 自分の体をむしばみ、周囲の家族の健康も損なうタバコ・・・これで日本の禁煙も進むことを期待したいところです。
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