徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「首浮輪」つけ入浴と「ジェルボール」洗剤・・・子どもの事故に注意!

2014年11月24日 04時52分45秒 | 小児科診療
 最近小児科医の間で話題になっている、新たな子どもの事故2つ。
 便利なモノには、落とし穴がありますね。

■ 首浮輪つけ入浴中…溺れる恐れ 乳児から目離さないで
(2014年10月20日 読売新聞)



 乳児が入浴時に首に巻いて使う「首浮輪」を付け、溺れる事故が相次いでいることから、消費者庁と国民生活センターが注意を呼びかけている。
 2012年以降で計10人が溺れ、うち1人は重体だという。親は子どもから目を離さないことが重要だ。
 首浮輪はC字状で、開口部に乳児の首を入れ、上下2か所のベルトで固定し、あごをのせて使用する。外国製で年間10万個以上販売されている。親が洗髪をしたり、浴室を出てミルクの準備をしたりして目を離した隙に、子どもが溺れる事故が後を絶たない。
 同庁などが12年7月に調査したところ、4件の事故を確認した。商品テストの結果、あごが浮輪にのっていなかったり、空気の入れ方が不十分だったりした場合に、首浮輪が外れるなどして、乳児の口や鼻が水につかってしまう危険性が判明し、注意を呼びかけた。
 しかしそれ以降も、同様の事故を6件確認。13年8月には、生後2か月の男児が浴槽で溺れて重体となった。残り5件は4か月から8か月の乳児で、浴槽にうつぶせで浮いていたり、底に沈んでいたりしているところを親が発見。いずれも病院に搬送され、最長で1週間入院した。
 同庁は「子どもが楽しそうに見えても安心せず、目を離さないで手の届く範囲で正しく使用してほしい」と話している。


 もう一つは「ジェルボール」という洗剤。

■ ジェル状洗剤、乳児の誤飲相次ぐ ゼリーと勘違い?
朝日新聞:2014年7月26日



 洗濯用のパック型液体洗剤を子どもが誤って口に入れるなどの事故が今年4月の発売以降、相次いでいることがわかった。日本中毒情報センター(本部・茨城県つくば市)には3カ月間で24件の事故の情報が寄せられた。25日、東京都内で開かれた日本中毒学会で発表した。
 この洗剤は、生活用品大手「P&Gジャパン」(本社・神戸市)の「ジェルボール」という形状のもの。水に溶ける透明フィルムで洗濯1回分の液体洗剤を包んでいる。計量の手間が省け、液だれもなく使うことができる。1個の大きさは、縦約4センチ、横約3・5センチ、高さ約2センチ。一口大のゼリーのようなお菓子にも見える
 情報センターにはパック型液体洗剤の誤飲などの事故に関する情報が7月10日までに25件寄せられた。高齢者の誤飲1件以外は、0~6歳の子どもだった。子どもの事故24件のうち、19件が誤飲による嘔吐(おうと)やせきなどの症状が出た。11件は医療機関を受診したが、いずれも症状がないか軽症で入院の必要はなかったという。
 きょうだいで、上の子どもが洗剤を入れる箱のふたを開けて、そのままにしていたところに、赤ちゃんが口に入れてしまった例などがあった。また、子どもがパック型洗剤を握りつぶし、洗剤が目に入った例などもあった。これまでの液体や粉末の洗剤の事故は0~2歳の子どもが中心だが、パック型液体洗剤は3~5歳でも事故を起こすことが多かった。
 情報センターの波多野弥生さんは「洗剤は口に含むと違和感を感じるので大量に飲むことは少ないが、飲んだ量や飲んでからどのくらい時間がたっているかで対処法が違う。医療機関や情報センターに相談してほしい」と話す。情報センターは「中毒110番」(072・727・2499)で相談を24時間受け付けている。(福宮智代)
■消費者庁、発売前に対策求める
 P&Gジャパンによると、欧米では複数社が同種の商品を販売していて、英国ではシェアの2割を占めているという。海外では子どもの誤飲事故が多発し、同社も日本での販売前に認識していた。
 消費者庁も販売前から、同社に複数回、懸念を伝え対策を求めていた。これに対し同社は、容器に誤飲の注意書きを記し、容器のふたのツメを増やして海外の商品よりも子どもが開けにくくするなどした。P&Gの海外の商品は、一個の形状を大きくするなどの対策をとっているという。
 消費者庁消費者安全課は「発売から短期間に事故情報がある。今のところ重大事故はないが、P&Gの対策が十分か今後も注視していく」としている。


<追記>
 米国ではすでに死亡例が出ているようです。

洗剤分包「ポッド」で子どもが平均1日1人死亡、米国警告
~メーカーは包装を改善したが、「安全性に不安が残る」の指摘
(2014年11月17日)
 洗剤の1回分の分包が日本でも登場し人気になっている。最近では、間違って子どもが食べるという問題が報じられている。
 米国ではこのたび1日に平均1人の子どもが死んでいるとして警告が出てきた。
 全米児童病院の障害研究・政策センターの研究グループが、小児科分野の国際誌ペディアトリクス誌オンライン版で2014年11月10日に報告した。
児童がお菓子やジュースと間違える
 米国では2012年と2013年に6歳未満の幼児およそ1万7000人が洗剤の分包、「ポッド」と呼ばれる包みの中の化学物質を飲み込んだり、吸い込んだりして病状を訴えていたと分かった。この期間に合計800人弱の児童が入院、平均して1日1人が死亡していた。
 洗剤ポッドは2010年初め、米国の店頭に登場し始め、以来その使用量は成長の一途をたどってきた。液体や粉末を計量せずに小袋を洗濯機に投入するだけで洗濯できるので便利だが、リスクが伴うのが明確になったわけだ。
 日本でも問題になったように、洗剤ポッドは、小さくてカラフルで、幼い子供にはお菓子やジュースのように見える面がある。つかんで、やぶき、中身の化学物質を飲み込むまでに数秒とかからない。
 洗剤ポッドを飲み込んだ子どもの半数が嘔吐していたほか、せきや窒息、眼の痛みや刺激、眠気や倦怠(けんたい)感などが問題になった。
「依然として子どもが飲み込みやすい」
 米国では大手メーカーは2013年春に包装を変更して不透明な容器を導入し、容器に警告を表示した。しかし、研究グループは、「ジップで開閉する透明なパッケージや容易に開く容器を使っている製品が依然、多く販売されており、安全性に改善の余地がある」と問題視。子どもの飲み込みやすさは日本でも同じ問題。注意が必要になりそうだ。

<文献情報>
Valdez AL et al.Pediatric Exposure to Laundry Detergent Pods.Pediatrics. 2014 Nov 10. [Epub ahead of print]
Gary Smith et al.Study finds laundry detergent pods, serious poisoning risk for children. EurekAlert.10-Nov-2014.

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