BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC・WBO世界バンタム級タイトルマッチ

2010-08-23 23:01:25 | Boxing
王者 フェルナンド・モンティエル VS 挑戦者 ラファエル・コンセプション

モンティエル 3ラウンドKO勝利

考察 ~モンティエル~

フェイントからのKOパンチはもともと持ち味だったが、
こうまで面白いように決まるのは長谷川戦勝利の精神的余韻もさることながら
拳に明確な意思が込められているため。
はじめの一歩で猫田と鴨川会長が回想し、鷹村と千堂が実演して見せたアレだ。
カスティーリョ戦、長谷川戦以上のフェイントとパンチのキレは
次戦の相手を大幅に絞り込む。

長谷川とのリマッチなれば、日本であれば5000万円を要するものと予想される。
今の日テレにはそこまでの資本をつぎ込む余裕はなさそうだ。
スポンサーの後押しとなればどうしてもメキシコ開催は免れず、
長谷川の勝ち目はますます薄くなる。

噂されるドネア戦はまさに興味津津。
フェイントとカウンター、当て勘の全てにおいてハイレベルな攻防が期待される。
相手が強ければ強いほど本領を発揮する傾向にあるモンティエルも、
時に気が抜ける瞬間を作り、転がされてきた。
ドネアはドネアでディフェンシブな相手には攻めあぐねるところも見せるが、
打ってくる相手とはバチバチに噛み合うことは証明済み。
両者の激突は「左を制する者は世界を征す」の格言の究極の証明になりそうだ。


考察 ~コンセプション~

なんでコイツがまた世界戦に出てくるの?
ドネア戦ではバンタムリミットも超過していたはず。
承認団体の腐敗っぷりには今さら言葉はないが、
やるならせめてSバンタムでやってくれ。
とは言うものの笑ってしまうぐらいにパンチを浴び、
コロコロと転がり、減点も喫し、最後は失神した。
溜飲が下がった向きは全世界でも多いと思われる。

Sライト級10回戦

2010-08-23 22:16:39 | Boxing
ロバート・ゲレロ VS ホエル・カサマヨル

ゲレロ 判定勝ち

考察 ~ゲレロ~

ワン・ツーだけでボクシングができるのかと思うが、
ハイレベルであればそれだけでボクシングができるのだ。
ゲレロにはショートの右フックと左アッパーもあり、
呼び込んでのカウンターも撃てる選手だが、
フェイントとカウンターの巧みさは素直に相手に譲り、
「突き放す」と「突き刺す」の中間を目指したボクシングで
主導権支配に見事に成功したと言える。
Sライトもウェート的には馴染むとは思うが、
やはり順番通りライト級に殴りこんでほしい。
ディアス、ソト、マルケスと名のある相手はいっぱいいるよ。
リナレスとの激闘が期待されながらなかなか実現しないが、
来年こそは実現を願いたい。

考察 ~カサマヨル~

あまりにも渋く老獪すぎる試合運びを見せるが、
序盤に強かったこの選手がその序盤にあっさり捕まったということは
老眼による動体視力の衰えが出てきたのかな。
この選手は全てのパンチをショートストレートで打つ。
フックでもジャブでもストレートの軌道。
相手と自分が相対したときに自身のパンチが常に鋭角になるように
位置と角度を微調整し続けている。
最終ラウンドにダウンを奪ったジャブが良い例で、
ヘッドスリップとピボットを組み合わせた見事なmaneuverだった。
一瞬の輝きだけでボクシングが構築できるのもベテランの妙味。
パーリング、ストッピング、小さなバックステップはすべてこの文脈に沿ったもので、
相手のストレートは再三もらったが、左右フックは一発も喰わなかった。
得意の(観客・視聴者には)見えないフェイントも機能したが、
打ちたい時に打てないようになったということは精神面が成熟しすぎたか。
古豪というポジションは数年前から揺るぎないが、
こうやって段々と若手のstepping stoneになっていくのかな。

IBF世界S・ミドル級挑戦者決定戦

2010-08-23 22:16:01 | Boxing
サキオ・ビカ VS ジャン・ポール・メンディ

ビカ 反則負け

考察 ~ビカ~

カメルーンといえばサッカー代表を思い出す。
気分屋な性分はボクサーでも変わらず、
反則打を繰り出した後のあのシレっとした表情は
全く反省していないことをうかがわせる。
ワイルドに戦っていいのはストリートまでだが、
かのカルザゲを一瞬追い詰めた力は買い。
なんだかんだで来年はビュテと対戦できるんではないの?
スーパー6で暇してそうだしね。

考察 ~メンディ~

フランスの中重量級の星というが、
軽量級のアスロウム以外とんと仏ボクシングにはご無沙汰ですなあ。
あ、ミハレスに瞬殺されたのもいたか。

フェザー級12回戦

2010-08-23 15:10:53 | Boxing
イスラエル・バスケス VS ラファエル・マルケス

マルケス 3ラウンドTKO勝利

考察 ~マルケス~

初回から打ち合いに応じる構えを見せたのも
自身と相手の前戦の内容を踏まえていたからに違いなく、
当然のように蓄積されたダメージは自身の方がはるかに軽かった。
とはいうものの、以前の戦力で変わらず残っているのはパンチ力のみで、
こちらのキャリアも風前のともしび一歩手前だろう。

右肩を残すようなストレートは半身のスタンスと合わせて
ディフェンス意識の表れに他ならず、
2ラウンドからは連打の嵐を吹かせたが
初回のリアクションを忘れてはならない。
先にぐらついたのはマルケスだった。
次戦はダルチニャンとやりたいだと?
Toshiaki Nishiokaというハポネスには興味がないのか・・・


考察 ~バスケス~

左フックの軌道にかすかな希望を抱かせたが、それも束の間。
闘志に肉体が追い付かず、脚も格段に衰えた。
顔面は部位によって皮膚の厚さが大きく異なるが、
わけても目の上、眉毛、額のあたりは頭蓋骨が迫っており切れやすい。
なかでもまぶたのvulnerabilityは他の追随を許さない。
そこをカットしやすいのは激闘型の宿命と言えば言えるが、
バスケスのそれはもはやプロのリングで戦うことを許可できるレベルにはない。
あの嫌倒れに見えるダウンも意識が無意識にねじ伏せられてしまったもののように映った。

網膜剥離は治したとはいえ、眼自体のトラブルは残っているのでは?
中心静脈あたりが塞栓を起こしやすくなっていて
視力自体もじわじわと低下しているとしか考えられない。
まぶたのカットのしやすさよりも遥かに深刻な問題で
マネージャーが引退を決断したのも当然だ。

PS.
レノンJrがレフェリー紹介で
「ラウール・カイーズ・スィ…ジュニア~!」
と咄嗟に言い直したのが印象的だった。

IBF世界バンタム級タイトルマッチ

2010-08-23 15:10:20 | Boxing
王者 ヨニー・ペレス VS 挑戦者 アブネル・マレス

ペレス マジョリティドローで防衛

考察 ~ペレス~

強く大きく振ってくる相手に対して、
対策通りでもあるし、いつもどおりでもある鋭角なパンチ。
外からのパンチには内から撃ち抜くのは、
アップライトかつリーチに長けた選手の基礎とはいえ、
それだけでボクシングをするにはもうひとつの武器が必要。
それは圧倒的なスピード、もしくは距離感。
徳山はそのいずれもを持っていたが、
そんな選手は世界的にも稀有だろう。
この王者は黒人選手にしてメンタルが強く、
迎え撃つ気質がこの結果を招いたものと思う。
もしもゴングから弱気にアウトボクシングでポイント荒稼ぎで
もっとあっさり勝利したものとも思える。
アグベコ戦と同じボクシングをしたはずなのに
まったく異なる選手に見えてしまうのがボクシングの面白いところ。

考察 ~マレス~

序盤の立ち上がりは素晴らしく、出入りに強打と軽打を交え、
特にいきなりタイミングの合った大振り気味の左右のカウンターは
自身のリズム構築に大いに貢献した。
しかし、その分スタミナの配分に少々誤算アリ。
足を使うのは悪いことではなく、戦術の一環として採用するのならば
展開を支配するのに役立つ。
ただし、そのこと自体が自分のリズムを崩すこともあり得る。
足を使いながらパンチを打つのは容易なことではなく、
実際にこの選手もさほど上手くはなかった。
足を踏みしめての連打は対照的に肩から肘の連動が効いていて、
やや軽めの自身のパンチの威力を軌道でカバーしている。
しかし、このファイトスタイルは確かに長谷川のような
カウンターパンチャーにはかなり分が悪そうだ。
GBPのホープは割とひ弱そうな印象が付きまとうが、
この若者はどうしてなかなかスピリットを感じさせてくれる。