BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

3団体統一世界Sフライ級タイトルマッチ(WBA・WBC・IBF)

2008-11-25 01:15:12 | Boxing
クリスチャン・ミハレスVSビック・ダルチニャン

ダルチニャン 9ラウンドTKO勝利

誕生日が同じということもあり、管理人はミハレスを応援していたが、
こんなふうにボロ負けするとは思っていなかった。
初回に喫したアッパーからのノックダウンのダメージを回復させることができず、
フットワークもボディワークも活かすことはできなかった。
「あんな振り回すだけのパンチなんか喰らうはずがない」という
意識がどこかにあったのかもしれない。
ナバーロ戦では手数は出せたが、相手のパンチも結構もらった。
ムニョス戦では決定的なパンチはもらわなかったが、持ち味の手数が出せなかった。
サウスポーのハードパンチャーに敗れるという伏線はあったわけだ。
川嶋との暫定王座決定戦のイメージから、十分に挽回可能だと思ったが、
ダルチニャンの攻撃力がそれを許さなかったか。
減量に苦労しているという話は聞かないが、あまりにもコンスタントに試合を
こなしてきたため、resilienceが損なわれていた可能性もある。
いずれにせよ、しばらく休養すべきだろう。
2年間でWBC王座を8度防衛し、川嶋の連破、アルセ、ナバーロ、ムニョスも撃破、
4団体統一の機運を高めたのは間違いなくこのミハレスであり、
今回の敗戦もその評価を大幅に下げるものではないはずだ。

ドネア戦以降はじめてまともに見たのが前回のキリロフ戦だったが、
階級アップが成功したというよりは、スタイルががっちり噛み合ったという印象を持った。
ミハレスのように相手の打ち終わりに的確に打ち返してくる相手には分が悪すぎると感じていたが、
実際はその逆で、避けられようが、ブロックされようが、そんなことは意に介さず、
ガンガン打ち続けることでリズムが生まれ、展開を支配することに成功した。
テレビの映像と音声だけでもミハレスの腕痛や頭痛が分かるようなパンチだった。
ディフェンス面を見ると、無造作に伸ばした(ように見せている)右が機能していた。
基本的にミハレスは(浜さんが以前に評していたような)カウンターパンチャーではないので、
コンビネーションを封じてしまえばいい。
初回にダメージを与えたことで左のパワーと変則軌道がそのままフェイントとして作用し、
相手の右リードを封じることにつながり、突き出した右が相手の警戒とレンジを生じさせた。
それにより自身の踏み込みとパンチングパワーが存分に生かされる形になった。
ダルチニャンが打ってきたら下がる、打ち込んできたら迎え撃つ、
というプランを完全に実行できるのはドネアぐらいしかいないのか。

おそらくダルチニャンが4団体統一路線を継承するのだろう、そうでないと嘘だ。
同国人ミハレスが敗れたことにより、モンティエルが統一戦を受ける機運は熟したと言えよう。
ドネアにリベンジしたいって?
ベルト3本と株を奪われて、新たな比墨戦争の勃発に貢献するだけだと思うが・・・

WBA暫定世界S・フライ級タイトルマッチ ホルヘ・アルセVSイシドロ・ガルシア

2008-11-25 00:48:09 | Boxing
アルセ 4ラウンドTKO勝利

トラビエソ健在と言えるような内容ではなかったと思う。
前回の試合は観ていないので何とも言えないが、前々回のデビッド戦よりは良かった。
が、それは多分に対戦相手の力量の違いによる。
もちろん、デビッド>ガルシアという意味だ。
左を強く振るい、アッパーをボディにめり込ませる様は軽量級でも屈指の迫力で、
相変わらずエキサイティングな打ち合いを提供してくれる。
しかし、この日のフィニッシュは相手が効いた素振りを見せてくれたからであり、
自分に自身があるのなら、初回の打ち合いに応じていたと思われる。
ミハレス戦の前後でかなり印象が変わってしまったが、
あれ以来、打たれることにナーバスになっているのではないか。
WBAの意味不明な王座乱立路線のおかげでトップに踏みとどまっているが、
そろそろ上がってくるドネアや、ムニョス、モンティエル、あるいはダルチニャン、
この辺の連中には勝てそうにないと思う。

は?イスラエル・バスケスとやりたい?
半殺しにされるだけだって。
上の階級でやりたいなら長谷川のアメリカ進出の踏み台になってくれ。

NABO北米S・ミドル級王座決定戦 アンドレ・ディレルVSビクトル・オガノフ

2008-11-25 00:33:30 | Boxing
ディレル 6ラウンドTKO勝利

ディレルよりもダーレルじゃないの?という疑問はさておき、
左右のどちらのスタンスからでもしなりの効いたジャブが放て、
フットスピードも申し分のない選手だ。
自分の距離とタイミングになればいくらでも連打できるが、
かぶられたわけでもないのに膝をついたり、ローブローをアピールするなど、
メンタル面の弱さというか未熟さも目に付いた。
フットワークとハンドスピード、そしてリーチの差であらゆるレンジを支配したが、
まだ本当の意味では試されていないという印象。
相手に背中を向けるのはスピード差から来る余裕の成せる業か、
それとも相手を舐めていたからか。
相手を呑んでかかるのは結構だが、見下して戦うのは失礼千万。
今後も目にする機会はありそうだが、そのあたりを見極めたい。

destroyerという異名にふさわしい戦いはできなかったが、
その戦い方の片鱗は見て取れた。
親父と一緒に観ていたのだが、父曰く「まるではじめの一歩やな。」
自分が受けたfirst impressionもまさにそうで、
このオガノフ、相手の懐に入らなければ何もできない選手だ。
デンプシーロールを身につける前の一歩を実写化したらこんな選手になるのだろう。
オーストラリアでジェフ・フェネックに師事しているそうだが、
それよりむしろアルメニアンボクサーの特徴を強く感じさせる。
アブラハムの攻防分離、ダルチニャンの変則強打、そしてオガノフの頑固一徹、
という、とにかく自分のボクシングを信じて突き進むのみ。
少々パンチをもらおうが、どこまでもしつこく獲物に喰らいつき、相手が根負けするまで打つ、
というスタイルであることは十分に理解できた(実践できなかったが)。
敗色は確かに濃厚だったが、あのタイミングでストップされるのなら、
幕ノ内一歩のキャリアは今頃、勝ち星と黒星が並んでいるだろう。