入力電圧に対応してパルス幅(デューティ比)が変化するPWMコントローラは、タイマICのNE555などで簡単に作れますが、スイッチング電源の制御などを目的としたPWM専用ICがあります。最近ではMOS-FETの駆動が簡単なM62213P(ルネサス)などがよく使われるようですが、ここに紹介しているTL494はPWMコントローラの定番といわれ、現在でもよく使われています。しかも、プラスチックディップタイプで\150くらいと安価です。
さて、このTL494はどのように動作するのでしょう。いくら便利で安価なものでも使い方がわからなければ仕方がないですね。そこでTL494の動作を確認し理解することを目的として、昇圧型DC/DCコンバータ(ステップアップチョッパとかステップアップコンバータなどと呼ばれます)を作ってみました。その辺に転がっているあり合わせの材料で作ったので最適設計になっているかどうかは怪しいですが、とりあえず目的の動作をすることは確認しています。設計仕様としては、元電源として9V(006P型)の乾電池を使い、それを15Vに昇圧します。電流容量は最大0.5Aとし、これを越えれば電流制限をかけます。TL494は「フの字特性」の電流制限機能を簡単に構成できることも大きな魅力です。
では回路動作の概要を説明します。ステップアップチョッパの基本は、乾電池につながるコイル(100μH)、トランジスタ(2SC5000)、ダイオード(1DL42A)、コンデンサ(470μF)で構成されます。トランジスタのベースに適当な矩形波を入力しトランジスタをON-OFFするとどうなるでしょう。ON時にはコイル電流がゼロから1次関数的に増加しながら流れ、OFFすればその時点のコイル電流がダイオードの方に向きを変えて流れ続けコンデンサにチャージされます。これによってコンデンサに端子電圧が現れ、トランジスタがON-OFFを繰り返せばコンデンサの端子電圧はどんどん上昇し、乾電池の9Vを遙かに超える大きさになります。これがステップアップチョッパの基本原理ですが、作りたいのは15Vの安定化電源ですから、このままでは使い物になりません。そこで登場してくるのがPWMコントローラTL494です。
出力の負荷にかかわらずコンデンサの端子電圧を一定に保つためには、端子電圧が目的の電圧を超えればトランジスタのON時間を短くし、逆に目的の電圧を下回ればON時間を長くすればよいですね。実際には周波数は一定に保ちON-OFF時間の比(デューティ比)を変化させます。つまりPWN制御をすることになりますね。
さて、次にTL494の中身を見てみましょう。PWMの基本周波数はOSCが発生し、周波数の値はCtとRtで決まります。この場合は約22kHzになっています。2つのオペアンプの出力がダイオードORされている3番pin(フィードバック端子)がこのIC理解の肝です。3番pinの電圧は2つのオペアンプの出力電圧(プラス側)の加算値になりますね。PWM出力は、3番pinが0Vの時に最大デューティである49%、3番pinが3Vの時にデューティ比は0%になります。つまり、このDC/DCコンバータの出力電流の変動(負荷の変動)に対応して、出力電圧が一定値を保つように3番pinの電圧は0~3Vの間を変化しているわけです。
この回路では、出力電圧の安定化のために上のオペアンプを、過電流制限のために下のオペアンプを使っています。また、どのような形式の安定化電源であれ必ず基準電圧源を持っています。それがTL494では14番pinであり5Vの定電圧を出力しています。上のオペアンプがこの基準電圧(5V)に基づいて動作するように構成されていることが図から読み取れますね。よって、上のオペアンプの(+)入力端は常に5Vに保たれます(5Vに保つようにPWMに反映されます)。22kΩと11kΩとの分圧点が5Vということは、このDC/DCコンバータの出力は15Vになりますね。
さて、9Vの乾電池よりもずっと出力インピーダンスの小さい、つまりレギュレーションの良い15Vの電源。これは1つ作っておくとなかなか便利かも知れませんね。
(注)ダイオード(1DL42A)を別のものに置き換える場合、逆回復時間(tnrr)の小さなファストリカバリダイオードを使用してください。
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ステップダウンチョッパ 2010-04-05
555を使ったPWMコントローラ 2010-02-19
定電圧電源を作ろう③制御 2009-12-21
さて、このTL494はどのように動作するのでしょう。いくら便利で安価なものでも使い方がわからなければ仕方がないですね。そこでTL494の動作を確認し理解することを目的として、昇圧型DC/DCコンバータ(ステップアップチョッパとかステップアップコンバータなどと呼ばれます)を作ってみました。その辺に転がっているあり合わせの材料で作ったので最適設計になっているかどうかは怪しいですが、とりあえず目的の動作をすることは確認しています。設計仕様としては、元電源として9V(006P型)の乾電池を使い、それを15Vに昇圧します。電流容量は最大0.5Aとし、これを越えれば電流制限をかけます。TL494は「フの字特性」の電流制限機能を簡単に構成できることも大きな魅力です。
では回路動作の概要を説明します。ステップアップチョッパの基本は、乾電池につながるコイル(100μH)、トランジスタ(2SC5000)、ダイオード(1DL42A)、コンデンサ(470μF)で構成されます。トランジスタのベースに適当な矩形波を入力しトランジスタをON-OFFするとどうなるでしょう。ON時にはコイル電流がゼロから1次関数的に増加しながら流れ、OFFすればその時点のコイル電流がダイオードの方に向きを変えて流れ続けコンデンサにチャージされます。これによってコンデンサに端子電圧が現れ、トランジスタがON-OFFを繰り返せばコンデンサの端子電圧はどんどん上昇し、乾電池の9Vを遙かに超える大きさになります。これがステップアップチョッパの基本原理ですが、作りたいのは15Vの安定化電源ですから、このままでは使い物になりません。そこで登場してくるのがPWMコントローラTL494です。
出力の負荷にかかわらずコンデンサの端子電圧を一定に保つためには、端子電圧が目的の電圧を超えればトランジスタのON時間を短くし、逆に目的の電圧を下回ればON時間を長くすればよいですね。実際には周波数は一定に保ちON-OFF時間の比(デューティ比)を変化させます。つまりPWN制御をすることになりますね。
さて、次にTL494の中身を見てみましょう。PWMの基本周波数はOSCが発生し、周波数の値はCtとRtで決まります。この場合は約22kHzになっています。2つのオペアンプの出力がダイオードORされている3番pin(フィードバック端子)がこのIC理解の肝です。3番pinの電圧は2つのオペアンプの出力電圧(プラス側)の加算値になりますね。PWM出力は、3番pinが0Vの時に最大デューティである49%、3番pinが3Vの時にデューティ比は0%になります。つまり、このDC/DCコンバータの出力電流の変動(負荷の変動)に対応して、出力電圧が一定値を保つように3番pinの電圧は0~3Vの間を変化しているわけです。
この回路では、出力電圧の安定化のために上のオペアンプを、過電流制限のために下のオペアンプを使っています。また、どのような形式の安定化電源であれ必ず基準電圧源を持っています。それがTL494では14番pinであり5Vの定電圧を出力しています。上のオペアンプがこの基準電圧(5V)に基づいて動作するように構成されていることが図から読み取れますね。よって、上のオペアンプの(+)入力端は常に5Vに保たれます(5Vに保つようにPWMに反映されます)。22kΩと11kΩとの分圧点が5Vということは、このDC/DCコンバータの出力は15Vになりますね。
さて、9Vの乾電池よりもずっと出力インピーダンスの小さい、つまりレギュレーションの良い15Vの電源。これは1つ作っておくとなかなか便利かも知れませんね。
(注)ダイオード(1DL42A)を別のものに置き換える場合、逆回復時間(tnrr)の小さなファストリカバリダイオードを使用してください。
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「フの字特性過電流保護回路」の原理・解釈をお願いしたく存じます。
非常に解り易く汎用PWMコントローラを説明されているので有意義に勉強させて頂いておりますが、2Ωの電圧差(500mAで1V)を利用している様に見えますが事の真意をお教え頂ければ恐悦にございます。
少し弄って12V4A(48W相当)まで引き上げても良いものか?実験してみたく思っています。なにとぞよろしくお願いします。
P.S.
古い記事にコメント失礼しました。
女子力(前記事)に少し感銘しました。
花嫁修業は死語なれど今も現役だったりするのですけどね。
パーツ屋さんまでバイクで10分とは、秋葉原の近くにお住まいでしょうか?たぶん日本橋(大阪)の方ではないですよね。というのも2SC5000は今は日本橋では手に入らないのです。私も最近、若松通商の通販でこのトランジスタを買いました。
さて「フの字特性」の電流制限回路の説明ですね。
(^^;
不確かなことはお話しできませんので、少し記憶をたどってみますね。ちょっとだけ待ってくださいね。
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