ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産婦人科医不足で相次ぐ提言

2006年05月10日 | 地域周産期医療

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医療現場で働く者としては、これからの半年、1年をいかにして乗り切ってゆけるのか?が問題である。20~30年後という遠い未来に実現すべきビジョンを示されても、我々が今どう行動すべきか?には直接結びつかない。

医師集約化にしても、かけ声だけでは、実現の方向には向かわない。大学の医局などが医師集約化を推進しようとしても、地元自治体などの反発でなかなか実行に移せないままに事態がますます悪化してゆく可能性もある。期限を決めて、強制的に実施せざるを得ないような法的整備も必要と思われる。

****** Japan Medicine、2006年5月10日

産婦人科医不足で相次ぐ提言 日産婦が報告まとめる

 医師不足や地域的な偏在が全国的に深刻化する中で、産婦人科医による医療提供体制の検討が活発化している。日本産科婦人科学会が将来ビジョンの策定を進めるのと併せ、日産婦の中心メンバーを主任研究者とする厚生労働省の研究班もこのほど、「医療提供体制の緊急的確保に関する研究」をまとめた。

 日産婦は、医師不足などの問題が特に深刻な、周産期医療への対策を重点的に検討する産婦人科医療提供体制検討委員会(委員長=海野信也・北里大医学部教授)を設置。20~30年後に実現すべきビジョン策定を急いでいる。4月24日にはその中間報告が、横浜市で開かれた総会・学術講演会の会期中に報告された(4月26日付で既報)。

 特徴的なのは、医療計画上に人口30万~100万人程度の「産科診療圏」を設け、急変時でも30分以内に帝王切開ができる複数医療機関による「地域分娩施設群」を整備する必要を提言していることにある。将来ビジョンは今年度末をめどに策定するとともに、将来ビジョンの実現に向け、開業医が主体の日本産婦人科医会と共同歩調を取って、会員産婦人科医に対して地域単位での主体的な取り組みを促していく考えだ。

 一方、海野教授を主任研究者とする厚生労働科学研究班の報告(医療提供体制の緊急的確保に関する研究)も、このほどまとまった。産婦人科医療提供体制の将来ビジョンの部分は、日産婦の中間報告と同じ内容。ただ、「診療科間の偏在が発生しない制度的対策が必要」と強調するなど、問題解決に向けた道筋については日産婦の中間報告より踏み込んだ指摘をしている。

 具体的には、産婦人科には24時間分娩に対応できる体制が必要、過酷な勤務内容が報酬に十分反映されていない、医療過誤訴訟の発生率が高い―など、他の診療科との相違があるとして、他の診療科と同等の勤務条件と報酬を確保することが不可欠との考えを強調している。

 診療科間の公平性を確保するための方策としては、無理のない当直体制を組める産婦人科医の確保、労働関連法規に準じた勤務時間と勤務条件の保障、有床診療所での十分な報酬の確保―が必要との考えを示した。さらに、産婦人科の診療内容の特徴として、リスクが高い点を指摘し、「産科の医療事故は、他の医療事故と別の取り扱いが検討されるべき」とし、無過失賠償制度など、通常の訴訟手続きを取らない公的な賠償制度を導入する必要性を指摘した。

● 地域特性踏まえた検討も神奈川、北海道、長野を取り上げ

 一方、産婦人科の診療体制には地域特性があることから、厚労科学研究班は分担研究として神奈川、北海道、長野―の3道県を取り上げ、出産に対応する医療機関の実態把握を行い、産科の医療提供体制を検討する方向性を提示した。

 神奈川県は「産科医療提供体制と今後の展望」(主任研究者=海野教授)とし、出生数、単位面積当たりの出生数ともに全国3位で、「狭い地域で多数の出産がある」特徴を持つという理由で研究対象にした。地域出生数と施設出生数を把握しており、両者がほぼ一致して分娩に関する地域完結制が保持されている地域と、東京都などに隣接しており他の地域で分娩する率が高い地域が混在する点を、「都市の1つの特性を表している」とした。

 また、北海道については「北海道内産婦人科の拘束時間についての調査分析」(分担研究者=水上尚典・北海道大大学院教授)を実施。北海道は、面積が広い上、単位面積当たりの医師数が東京都の70分の1と全国最下位のため、報告書は、「アクセスを考慮すると、国の施策の方向である集約化が困難だという地域特性がある」と、課題に位置付けた。

 分担研究では、北海道大周産母子センターと、同大関連の公的病院などに勤務する約100人の産婦人科医を対象に時間外労働などの実態を調べた。北海道大病院勤務の12人については、1カ月間の夜間帯の合計の27%が当直やオンコールで緊張状態を強いられていたほか、休日の昼間についても総時間の39%が日直などで緊張状態にあったため、「拘束時間が極めて長い」と指摘した。
 
 同大関連30病院のうち8病院は常勤医が1人体制だったことにも言及。「重要な判断が恒常的に1医師に委ねられることを意味しており、医師の体調によって判断が左右される危険を内包している」と指摘した。さらに、常勤医1人体制で発生した医療事故については、「許容した社会全体に責任の存在すると考えるのが妥当」との考えも示している。

(Japan Medicine、2006年5月10日)


西日本新聞:地域が安心できる医療を 医師「偏在」

2006年05月10日 | 地域医療

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医師の総数が毎年4000人づつ増えていても、医師が足りなくて困っている部署では全く増えていない。例えば、産婦人科医の数はむしろ減っている。要するに、医師の充足している部署に医師がさらに集まり、医師の不足している部署からは医師がどんどん逃げ出していて、医師の充足しているところと不足しているところとの格差がますます広がっている状況にある。従って、医師不足の対策として、今後、医師の総数をいくら増やしていっても、それだけでは医師不足は解消されないだろう。

****** 西日本新聞、2006年5月9日
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/column/syasetu/20060509/20060509_001.shtml

地域が安心できる医療を 医師「偏在」

 地域医療が崩壊の危機を迎えていると言っても過言ではないだろう。地方では医師を確保できずに、閉鎖に追い込まれる病院も出ている。

 医師の数は毎年約4000人ずつ増えており、医師の絶対数が減っているわけではない。では、なぜ足りないのか。

 背景には、医師の偏在という根深い問題がある。偏在は、へき地の医師不足という地域間格差だけでない。産婦人科や小児科、麻酔科の医師不足といった診療科間格差も顕著になっている。

 医師の偏在を加速させた原因のひとつは、2004年度から始まった新臨床研修医制度にある。新人医師に2年間の実務研修を義務づけたこの制度は、研修医が研修先を自由に選べることから、都市部の研修指定病院に集中し、大学や地方の病院を避ける傾向が強まった。

 その結果、大学病院は医師不足となり、地方の病院に派遣中の医師を引き揚げざるを得なくなった。研修医を引き揚げられた病院では、残った勤務医たちの労働環境が悪化している。

 このため若手医師の間で、激務である勤務医を避け、開業志向が強まるという悪循環をたどっている。

 このまま医師の偏在を放置すると医療の地域格差が一層拡大しかねない。地域医療の中核を担う自治体病院でも、小児科や産婦人科などの専門医が不足し、休診せざるを得ない事態を招いている。

 なにより必要なのは、住民が安心して暮らせる地域医療体制だ。

 医師の偏在をなくすのは行政の責務でもある。とくに離島やへき地の医療確保は喫緊の課題である。

 とりわけ出産は帝王切開や急な出血など緊急事態に陥ることも少なくない。地域に専門医が不在では、大事になりかねない。専門の医療機関に恵まれない地域に、安心できる医療をどう確保するか。深刻な問題である。

 医師を確保するには通り一遍の行政上の対策だけでは限界がある。医師の個人的な使命感に頼っていても改善しない。

 産婦人科医や小児科医は激務のうえに、高額な医療訴訟を起こされる恐れがあることなどから年々志望者が減少している。人手不足が医療ミスにつながるとの指摘もある。勤務医の労働環境を抜本的に見直すことも必要だろう。

 自治体レベルでは、医師不足地域での勤務を志す医大生への奨学金制度や、出産のために離職した女性医師の復職を支援するなどの試みが始まっている。

 もはや1病院、1自治体で解決できる問題ではない。行政と医療機関、医師会などが協力し、医師不足が偏在する構造的な問題点を洗い出し、総合的な是正策を打ち出すときだ。

 多くの人々は住み慣れた地域で医療を受けられる体制を求めている。そのためにも、専門医だけでなく家庭医といった総合臨床医の養成も欠かせない。

=2006/05/09付 西日本新聞朝刊=


報道記事:地方公聴会(衆院厚生労働委員会)

2006年05月10日 | 報道記事

****** 朝日新聞、2006年5月9日

産科医の実態次々と

 過酷な労働条件に高い訴訟のリスク。なり手が減り、さらに状況が悪化している――。8日に福島市で開かれた衆院厚生労働委員会の地方公聴会で、地方の産婦人科医や小児科医の深刻な実態が、次々に披露された。県立大野病院の産婦人科医が逮捕・起訴された事件をきっかけに、背景にある問題にスポットが当たり始めている。

 地方公聴会は、医療制度改革関連法案の審議のために、過疎地や医療現場の声を直接聴くために開かれた。産婦人科医が逮捕された事件が全国的に波紋を広げていることなどから、福島が会場の一つに選ばれたという。

 意見陳述で、東北大学の岡村州博教授(周産期医学)は、産婦人科医の減少が現場に及ぼす悪循環について「医療水準が低下し、(訴訟などの)紛争が増える。その結果、現場はますます過重労働になり、嫌気がさして病院を辞める」と指摘した。「日本の周産期医療は世界でトップクラスだが、今、病院で頑張っている医師を正当に評価する仕組みを作らないと、医療システムそのものが崩壊する」などと訴えた。

 岡村教授によると、産婦人科医を「やりがいがある」とした医学生が男子で2割、女子で5割いるという。

 だが、研修などで現場を見たのちに、実際に産婦人科を選択する医学生は年々減少している。学部を出てから15年目以下の若手の間では「当直や不規則な診療など労働条件が過酷」「医療訴訟が多い」などとして、「お産を手がけたくない」と答えた産婦人科医が全体の4分の1にのぼるという。

 また、岡村教授は、東北地方の基幹病院の約2割は、産婦人科医が1人しかいないという現状を説明。勤務医は夜間や休日のお産や緊急手術にも対応し、実労時間は平均で週58時間、当直は月平均7.4日を数えるというデータも挙げた。

 県産婦人科医会の幡研一会長は、45都道府県で分娩(ぶんべん)をやめたのは04年、60病院・97診療所にのぼったが、新たに始めたのは6病院・29診療所にとどまったとの数字を示した。

 幡会長は、訴訟などのリスクが産婦人科医不足に拍車をかけると指摘して、「医療事故を専門に裁く、第三者審査機関の創設などを検討してほしい」と訴えた。

 仙台市立病院救命救急センターの村田祐二・副センター長は小児科医の立場から、「32時間やそれ以上の連続勤務が続いている現状は、人の命を預かる立場としては異常。地方で小児科医は激減しており、子育て支援の観点から、国の公的支援が急務」などと訴えた。

 県立大野病院の産婦人科医逮捕 04年12月に帝王切開手術を受けた女性(当時29)が約4時間半後に手術室で死亡。05年3月に公表された事故調査報告書をきっかけにして、06年2月、執刀した産婦人科医が業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の疑いで逮捕され、3月に起訴された。逮捕された医師は、同病院でただ一人の産婦人科医で、逮捕後に同病院の「産婦人科」は休診となった。

(朝日新聞、2006年5月9日)

****** 読売新聞、2006年5月9日

産科・小児科不足訴え衆院公聴会 県内首長から不安の声

 地方の医療現場の声を聴く衆議院厚生労働委員会の地方公聴会が8日、福島市内で開かれた。席上、意見陳述に立った県内の首長や医療関係者らは、特に産婦人科医と小児科医の不足から、病院が診療中止に追い込まれたり、激務による退職でさらに医師不足に拍車がかかる実情を訴えた。

 国会に提案されている、高齢者医療費の窓口負担引き上げなどを盛り込んだ医療制度改革関連法案の審議の参考にしようと開催された。地方の医師不足が指摘される中、産婦人科医不足が背景にあるとされた県立大野病院の医師逮捕事件が起こった福島県が、公聴会の開催地に選ばれた。

 意見を述べたのは、首長のほか、県医師会や県産婦人科医会幹部、東北大教授ら6人。このうち、公立病院を抱える国見町の佐藤力町長は、町内に診療所が2施設しかないため、勤務医が激務に追われ、病院を離れ開業するケースが増加している現状を挙げ、「地域住民に大きな不安と動揺が広がっている」と述べた。

 また、医師不足から拠点施設への医師の集約化が検討されている問題について、幡研一・県産婦人科医会会長は「過疎地では公的支援がないと経営は困難で、現時点では都会では出来ても地方では難しいのではないか」と訴えた。このほか、女性医師の待遇改善や、単に財政問題だけでなく少子化対策の視点を取り入れた医療制度改革の必要性を訴える意見も出された。

 公聴会後、団長を務める鴨下一郎衆議院議員(自民)は「地方都市で特に産科、小児科の医師不足が浮き彫りになったと思う。財源、人員の問題もあるが、なんとか前に進む審議をしたい」と語った。

(2006年5月9日  読売新聞)

****** 毎日新聞、2006年5月9日

大野病院医療ミス:産婦人科医の集約問題 幡・県会長、公的予算補助求める /福島

 ◇「住民が点在、難しい」--医療制度巡る地方公聴会
 医療制度改革関連法案をめぐる衆院厚生労働委員会の地方公聴会が8日、福島市で開かれた。県立大野病院の産婦人科医が逮捕、起訴された事件に関連し、検討されている産婦人科医の集約化に対し、幡研一・県産婦人科医会長は「(住民が点在する)田舎では難しい」として地域的特性を踏まえた上で、予算面など公的補助が必要と指摘した。このほか医療面での地方切り捨てにならないよう求める意見も出された。【坂本昌信】
 公聴会では、幡会長のほか▽飯館村長の菅野典雄・県町村会長▽高谷雄三・県医師会副会長▽佐藤力・国見町長ら6人が10分ずつ意見陳述した。
 幡会長は産婦人科医の集約化問題に加え、逮捕容疑に医師法21条の届け出義務違反があったことから「(異状死に対する)統一した見解を早く出してほしい。最善を尽くしても結果次第で即逮捕では、現場に混乱と恐怖を与え、萎縮(いしゅく)診療を招く」と訴えた。
 高谷副会長は「弱者切り捨てにならないようにして。美辞麗句では済まされない」と述べ、菅野会長は「市町村合併などあらゆる面で年々地方いじめの方向に日本が向かっている。(医療においては)そのようなことがないようにしてほしい」と訴えた。
 また、議員団から医学生の産婦人科離れへの対策を問われ「医師が望む研究活動の充実化を図る」「医療紛争のリスクを減らす制度を構築する」――などの提言が出された。
 公聴会終了後、出席委員の団長である鴨下一郎氏(自民)が、県立大野病院の事故が起きていることから「極めて象徴的な地域」と県内で開催した理由を明らかにした。さらに、鴨下氏は「産婦人科と小児科は医師集約化が重要」と指摘した。
 これに対し、仙谷由人氏(民主)は「医師の集約化が叫ばれてだいぶたつが、いまだに予算がつかない。本腰を入れてやらないと、お題目だけで終わる」と政府を批判した。また、高橋千鶴子氏(共産)は「県立大野病院で起きた事件は、いつどこで起きてもおかしくないことが分かった。お金があればすべて解決可能とはいかないが、医師の数を増やすことが重要」と指摘した。

5月9日朝刊

(毎日新聞) - 5月9日13時1分更新

大野病院医療ミス:「判断基準つくるべきだ」--県医師会など、異状死で声明 /福島

 県立大野病院の産婦人科医が逮捕、起訴された事件に関連し、県医師会、県歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会は8日、異状死を24時間以内に所轄警察署へ届け出るよう義務付けた医師法21条の改正や指針の整備を厚生労働省などに求める内容を柱とした声明を発表した。会見した県医師会の小山菊雄会長は、「異状死の判断基準があいまい。ガイドラインをつくるべきだ」と訴えた。
 小山会長は「24時間以内の届け出というが、判断するまで院内では時間が足りない。所定時間内に届け出ができないこともある」と述べ、「法改正は難しいだろうが、ガイドラインをつくるべきだ」と早急な整備を求めた。
 また、今回の産婦人科医逮捕で「医師が医療行為に対して萎縮(いしゅく)する例が出てきている」と今回の事件の医療現場の反応についても言及。第三者機関を設けて事故原因を検証する体制を整えるよう要請した。
 県医師会によると、ガイドライン制定や第三者機関設置については、日本医師会を通して4月から厚労省に要望を始めている。【町田徳丈】

5月9日朝刊

(毎日新聞) - 5月9日13時2分更新

****** 福島民報、2006年5月9日

医師不足実情訴え/医療、行政関係者が陳述/福島で衆院厚生労働委地方公聴会

 医療制度改革関連法案の審議で、衆院厚生労働委員会は8日、福島市のウェディングエルティで地方公聴会を開いた。県内の医療、行政関係者らが意見陳述を行い、医師の人員不足や過重労働、集約化の課題など地域の実情を訴えるとともに国などの支援を求めた。
 委員10人が出席した。本県から県町村会長の菅野典雄飯舘村長、高谷雄三県医師会副会長、幡研一県産婦人科医会長、佐藤力国見町長の4人、他県から医師ら2人が臨んだ。
 高谷副会長は「医師は健康を犠牲にして職務を果たしており、医療費抑制だけでは医療は廃れる」と主張。十分な医師確保に向け、医療費の応分の配備を求めたほか、厚生労働省が制度改革の根拠とする将来の医療費などの推計値に疑問を呈した。
 幡会長は産婦人科医の減少や高齢化、分娩(ぶんべん)をやめる医師の増加など現状を報告。当直や不規則な勤務が多い過酷な労働環境や医療訴訟の増加、スタッフ不足などが背景にあるとして「周産期医療提供体制の崩壊の危機が迫っている」と述べた。
 菅野会長は地方で医師が医療を経験する制度を提案したほか、福島医大の定員増や、新制度で市町村が広域連合をつくる際に国・県が果たす役割の明確化を求めた。公立藤田総合病院の管理者を務める佐藤町長は「新制度で高齢者負担が増えれば病院に行けず重病になって医療費が多額になり、支払えない人も増えるのでは」と指摘した。

****** 福島民友、2006年5月9日

過重労働の改善訴え

 衆院厚生労働委員会は8日、75歳以上の後期高齢者の医療保険制度創設を含む健康保険法改正案や、小児科や産婦人科の医師不足を背景に良質な医療提供体制の確立を目指す法律案など委員会審議中の4法案に地方意見を反映させる公聴会を福島市で開催。本県や宮城県の医療関係者は、小児科医や産婦人科医が置かれた過重労働の実態を報告し、国が改善策として進める医師集約化に対して、交通や気象状況など地方の実情を考慮した医師配置の必要性を訴えた。また県立大野病院の産婦人科医逮捕・起訴を受け、無過失責任補償制度と医療事故を審査する第三者機関の設立を国が早期に進めるよう求めた。