ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

胃と大腸の内視鏡検査

2021年01月09日 | 医療全般

前回の胃と大腸の内視鏡検査から1年半経過し、再検査していただきました。今回も静脈麻酔下に胃と大腸の検査を同時に実施していただきました。前回検査では大腸にcarcinoma in adenoma(腺腫内癌)がみつかりましたが、今回はポリープを2個切除していただき、病理検査結果はhyperplastic polyp(過形成性ポリープ)だったと説明していただき、次回の検査は2~3年後でよいとのことでした。もしも検査を受けずに放置していた場合、おそらく数年以内に進行大腸癌の状態でみつかったと思われます。今後も定期的に胃と大腸の内視鏡検査を受けていきたいです。

参考:大腸内視鏡検査


今回の大腸内視鏡検査の画像


現代版養生訓 菅沼孝紀先生(菅沼病院院長)


大腸内視鏡検査

2020年08月18日 | 医療全般

近年、日本人の寿命も延びて人生百年時代などと言われているが、なかには若くして進行癌を発症して四十代や五十代で亡くなる人も少なくない。予防できない癌であれば発症したのは運命だと思ってあきらめるしかないが、なかには子宮頸がん(HPVワクチン、子宮頚部細胞診)胃がん(ピロリ菌除菌)などのようにかなり予防できるようになったものもある。大腸がんも定期的な大腸内視鏡検査を受けることによってかなり予防できるようになってきた癌である。しかし、この事実を知らずに予防対策を全くとらずに大腸がんで亡くなる人はいまだに非常に多いのが現実である。

定年退職直前の2019年3月末に勤務先の市立病院で久しぶりに人間ドックを受けたついでに、頭部MRI肺ヘリカルCTPET-CTなど、今まで自分自身には実施したことがなかったいろいろな検査を受けてみた。そしたら、検査の直後に「頭部MRIで脳腫瘍の疑いがあったので脳造影MRI検査を早急に受けて下さい」と連絡がありショックを受け、さらに極め付きは「PET-CTで大腸にFDG集積が複数認められて大腸がんも否定できないので大腸内視鏡検査を早急に受けて下さい」という連絡もあった。

私自身、これまで脳腫瘍や大腸がんで亡くなった方々を数多く見てきた。今まで何とか元気でやってこられたけど、自分にもついに観念すべき時がやってきたのかと覚悟をして、定年退職直後の4月に入ってから脳造影MRI大腸内視鏡検査胃内視鏡検査などの追加精密検査を立て続けに受けた。胃内視鏡検査は検査時の嘔気が強く具合が悪くなってしまうのでその恐怖からここ10年近く敬遠していたが、この際、大腸内視鏡検査と同時に胃内視鏡検査もやってもらった。信頼する消化器内科のS先生にお願いして、近所のその先生の病院で検査して頂いたが、麻酔をしっかりかけてもらえたので検査は全然苦しくなくて楽だった。

追加精密検査の結果は、脳腫瘍なし、胃の病変なしだったが、大腸には6個の大腸ポリープがありそのうちの一つが病理検査で上皮内癌と診断された。大腸内視鏡検査をして頂いたS先生より、「腺腫の中に腺癌の部分が一部認められましたが、癌と腺腫の部分は今回内視鏡的に完全に切除され追加治療はありません」と言われた。

病理診断
管状腺癌(高分化型)、Tis (上皮内癌)
Colon and rectum; polypectomy. EMR & biopsy ….
1)Carcinoma in adenoma, tub1. pTis(M) (⑦)
2) Low grade tubulovillous adenoma (①②) and low grade tubular adenoma (④⑤⑥⑧), Group 3
3) Hyperplastic polyp (③)

所見
大腸 polypectomy、EMR 及び生検: 8個
①②Ra、0.9×0.7×0.5 cm及び小片組織、low grade tubulovillous adenoma 、切除断端陰性
③T、0.7×0.5 × 0.4 cm、hyperplastic polyp
④T、low grade tubular adenoma
⑤⑥S、low grade tubular adenoma、切除断端陰性
⑦Ra、1.1×0.7×0.8 cm
carcinoma in adenoma
手術の種類: EMR
腫瘍の占居部位: Ra
肉眼型分類: 0-I sp型
腫瘍の大きさ: 1.1×0.7×0.8cm
組織型: tub1 in tubular adenoma
壁深達度: pTis(M)
リンパ管侵襲: Ly0
静脈侵襲: V0
簇出: BD1
切除断端: HM0、VM0
※Adenoma 成分も切除断端陰性
内視鏡治療後の癌遺残: ER0
⑧Rb、low grade tubular adenoma

写真(大腸内視鏡検査)
右上: 過形成ポリープ
左上と左下: 腺腫
右下: 腺腫内腺癌

日本でも大腸がんで亡くなる人は非常に多く(年間5万人)、胃がんに次いで日本人男性の死因の第2位、女性では死因の第1位である。確かに私の親しかった知り合いの何人かは大腸がんで亡くなった。大腸がんの場合、癌化する前に大腸ポリープの腺腫の状態が何年かあって癌化する場合が多いので、定期的に大腸内視鏡検査を受けてポリープ切除していれば、大腸がんで死ぬ可能性をかなり減らせるらしい。つまり定期的に検査を受けることが癌の予防になる非常に珍しい癌ということらしい。私の場合は、もうすでに初期の癌になっていたわけだが、上皮内癌で大腸内視鏡検査の時に完全切除できたことが確認できれば追加治療の必要はないそうだ。大腸内視鏡検査はこの時生まれて初めて受けたんだけど、この検査を受けたことで寿命が延びたことは間違いなさそうで、今後はS先生にお願いして定期的に大腸内視鏡検査を受けたいと思っている。

人間ドックの追加精密検査の結果で自分の寿命がそんなに残ってない事が判明した場合には、残り少ない人生は中途半端に仕事をしないで、終活で有意義に過ごそうと考えていたが、結局、悪性と診断されたものの、間もなく死ぬ状態との診断には至らなかったので、定年退職後もあまり無理はしないで好きな仕事を続ける事にした。


JPTECプロバイダーコース (於:相澤病院)

2013年09月29日 | 医療全般

9月21日に松本市の相澤病院で開催されたJPTECプロバイダーコース(第73回信州外傷セミナー)を受講しました。

ロード&ゴー、ログロール、全脊柱固定、高エネルギー外傷など、一日中、普段全く聞き慣れない救急現場の業界用語が飛び交い、普段全くやり慣れてない手技の練習が続き、何から何まで初めてのことばかりで、還暦の身には大変な一日でしたが、救急救命士の方々がこんな大変な苦労をして病院まで患者さんを搬送して来てくださることがわかって、非常に有意義な一日でした。

JPTECガイドブック(プロバイダーマニュアル)

****** オープニング

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****** JPTEC協議会ホームページより

JPTECとはJapan Prehospital Trauma Evaluation and Careの略語です。平成15年6月に我が国における病院前の外傷観察・処置標準化プログラムの普及を目的としてJPTEC協議会が発足しました。

JPTECプロバイダーとは、JPTECの内容を理解し実践できる者をいいます。資格取得には、JPTECプロバイダーコースを受講し、プロバイダー認定基準(筆記試験で74%以上、実技試験で可以上)を満たした者がJPTECプロバイダーと認定されます。有効期限は3年間です。

JPTECプロバイダーコースの到達目標は、病院前救急医療の現場におけるロード&ゴーの概念を理解し、各段階において必要とされる観察・処置を見落としなく迅速に実施できるようになることです。コースでは、この到達目標を達成するために、講義、実技実習(スキルステーションおよびシナリオステーション)を行い、そのあとに知識と手技の理解度を筆記試験と実技試験で確認します。

JPTECプロバイダーコースを受講することにより、我が国における外傷死亡の実態や外傷診療システム、防ぎえた外傷死の概念、ロード&ゴーの概念を理解し、外傷現場において適切かつ迅速な観察、ロード&ゴー適応の判断、生命危機に関わる外傷の処置を正しく実施できるようになること、さらに傷病者の重症度と緊急度の違いを理解し、傷病者に応じた観察・処置と医療機関の選定、適切かつ迅速な搬送ができるようになることを目指します。

****** 用語解説

ロード&ゴー(Load and Go): 救急救助現場などで使われる言葉。高エネルギー外傷患者や、重症度が高く救命できる可能性のある外傷患者に対して、観察と救命・応急処置を施したのち、5分以内に救急車に収容、迅速に病院に搬送すること。 ロード&ゴーが宣言された傷病者に対しては、頭頚部~体幹の生命に危険のある損傷の処置を最優先し、予後にあまり影響を与えない損傷への処置は優先度を下げるかまたは省略される。救急救命の現場では正確・確実な観察と処置が求められるため、その観察方法や処置についてはJPTECで標準化されている。

ログロール(logroll): ログロールとは、傷病者の身体を1本の丸太(ログ)に見立て、脊柱軸にひねりや屈曲を加えずに回す(ロール)動作である。この方法を用いることにより、脊柱軸を保持しながら背面観察を行い、素早くバックボード上に傷病者を移動することが可能となる。

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全脊柱固定: ロード&ゴーの傷病者、脊椎・脊髄損傷の可能性のある傷病者等に対しては、頸椎を含む全脊柱固定が推奨される。頸椎カラー、頭部固定具、バックボード、固定ベルトを用いた固定法が推奨される。全脊柱固定の目的は脊柱をもっともストレスのない自然な位置に固定して搬送することである。

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高エネルギー外傷: 「高所からの転落」「ある程度のスピード以上での自動車事故」など、「目に見える徴候がなくても、受傷機転から考えて生命に危険のある損傷を負っている可能性が無視できない状態」を高エネルギー外傷という。高エネルギー外傷には明確な判断基準は無い。衝突した時の車のスピードや、転落した高さなどを救助段階で知ることは難しいからである。救助者によって高エネルギー外傷と判断された傷病者に対しては、全てロード&ゴーを適用しなくてはならない。

****** 修了証

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信州食育発信「3つの星レストラン」

2013年09月07日 | 医療全般

病院内のレストラン(クロスカフェ飯田店)で、信州食育発信「3つの星レストラン」登録メニューをいただきました。塩分控えめ、651カロリーのヘルシーメニューでおいしかったです。一応まだ糖質制限ダイエットが進行中なので、御飯は小盛りにしてもらいました。

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アルプスサーモン、豚しゃぶ、生野菜サラダ、ひじきの煮物、きんぴらごぼう、ポテトサラダ、季節のフルーツ、御飯、味噌汁、漬物。

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9月からの新メニューで、気に入ったので昼食は毎日これにしてます。今後いろいろなバリエーションを作ってほしいと思います。

信州食育発信 3つの星レストラン(長野県魅力発信ブログ)

健康料理県のお墨付き 飯田市立病院の飲食店 「三つの星レストラン」に(中日新聞)


ACLSプロバイダーコース(飯田市立病院)

2013年08月12日 | 医療全般

ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support) プロバイダーコースは、AHA(アメリカ心臓協会)が開発した二次救命処置を医療従事者に教育する方法です。ACLSプロバイダーコースでは、蘇生人形、不整脈シミュレーターを用いて心肺蘇生の臨床現場を再現し、AHAが推奨する国際標準の方法で訓練を受け、心肺蘇生法を身をもって学習します。ACLSプロバイダーコースは、最近では、心停止時のみならず、重症不整脈、急性冠症候群、急性虚血性脳卒中の初期治療までを網羅した2日間のコースへと進歩してきています。

飯田市立病院でもACLSプロバイダーコースは定期的に開催されてます。今回、8月10~11日に院内の会場で開催されたACLSプロバイダーコースに初参加しました。今回、コースに参加した第一の動機は、ALSOプロバイダーコースで「妊婦の心肺蘇生」に関する1時間程度の実習があり、その指導をしなければならない立場になったので、一般成人に対する心肺蘇生の基本的な知識や技能を身につけておく必要があり、一度ACLSの勉強を基本からしっかりしてみたいと思ったことです。実際問題、もしも分娩室内で妊婦さんが突然の心停止などで意識を失って倒れた場合は、まず現場にいる産婦人科医や助産師がその初期対応をしなければならないので、産婦人科医や助産師もNCPR(新生児蘇生法)だけでなく、BLSやACLSに関する最低限の勉強をしておく必要はあると思います。

今回、ACLSプロバイダーコースを一緒に受講したのは、医師国家試験に合格したばかりで、元気いっぱいの若い1年目の研修医達で、彼らとは年齢差がだいたい35歳くらいあり、相当な体力の差、知識量の差を実感しました。AF、af、VF、VT、PEA、Asystole、PSVT、PCI、Mobitz II block、Wenckebach block、Torsade de Pointes、ACS、STEMI、NSTEMI、ROSC、5H5Tなど、普段の産婦人科診療では全く耳にしない医学用語、略語、薬剤名が1日中ポンポン飛び交う世界でした。ここのところ、BLS、ACLS、ICLS、NCPR、ALSOなどに繰り返し参加するようになったので、これらの教育コースの独特の雰囲気にはだんだん慣れてきました。

周産期領域でも、NCPRだけでなく、最新の我が国の産科ガイドラインを定着させるような教育トレーニングシステムが構築されたら、若い医師達だけでなく、若い医師を臨床現場で直接指導する立場にあるベテラン医師達の再教育の場にもなって非常にいいことだと思います。

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Acls2

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Acls3

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日本救急医学会認定ICLSコース

2013年06月16日 | 医療全般

昨日は、職場を会場にして日本救急医学会認定ICLSコース(第15回飯田ICLSコース)が開催され、私も半年ぶりに参加させてもらいました。ICLSはBLSとALSのエッセンスを1日でコンパクトに実習でき、参加しやすくていいと思いますが、早朝の7:45に会場に集合して、ほとんど休憩なく夕方の18:00頃まで1日中体と口を動かしっぱなしで、さすがにだいぶ疲れました。院内で心肺停止事例はしばしば発生します。その緊急時たまたま現場に居合わせたスタッフで即製チームを結成してきちんと蘇生の初期対応ができるように、多くのスタッフがICLSに定期的に参加して、基本技能を習得・維持しておく必要があると思いました。

****** BLS実習

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****** ALS実習

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****** ICLSコーススタッフ参加実績証

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平成22年度 研修医マッチングの結果

2010年10月29日 | 医療全般

医師臨床研修マッチング協議会は、10月28日、2010年度研修医マッチング結果を発表しました。研修医マッチングとは、国家試験に合格し医師免許を取った研修医が最初の2年間の臨床研修を受ける病院を決めるため、研修希望者と病院の双方が希望を出し、コンピューターで組み合わせる方式です。厚生労働省が2004年度から臨床研修を義務化した時に導入され、毎年10月に翌春の国家試験受験予定者を対象に実施されます。学生らは研修を受けたい病院を第1希望から順位を付けて登録し、病院側も面接などをもとに受け入れたい学生を選んで登録して、コンピューターで研修希望者と病院の組み合わせを決定します。

全国のマッチング参加者が8331人、参加病院が1029、総定員計10692人に対するマッチ者は7998人で、順位希望登録者に対するマッチ率は96.0%でした。

長野県内のマッチング参加病院は25病院、総定員計157人に対し、マッチ者は112人となり、充足率は71.3%でした。

信州大学医学部附属病院は4プログラム合計の総定員56人に対してマッチ者は40人で、充足率は71.4%でした。産婦人科研修プログラム(定員2人)、小児科研修プログラム(定員2人)は定員を満たしました。診療科自由選択研修プログラム(定員14人)のマッチ者は8人、信大と県内関連病院の統一研修(定員38人)のマッチ者は28人でした。信州大学医学部附属病院のマッチ者に対する自学出身者の割合は72.5%でした。

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飯田市立病院は今回、定員6人に対しマッチ者数は4人でした。今年は残念ながらフルマッチは達成できませんでしたが、今回の当院のマッチ者の中に産婦人科志望者が含まれていたのでひとまず安心しました。他に、信州大学とのたすき掛けで当院で研修する研修医も1年目と2年目それぞれ数名づついると思います。当院の初期研修プログラムの場合、1年目で産婦人科研修が1か月間全員必修になっていて、2年目の研修はほとんど全期間が自由選択となっています。現在、初期研修医は計15人在籍し、常時、1~2人の初期研修医が産婦人科研修をしてます。また、産婦人科・後期研修医も2人在籍してます。最近は若いスタッフや研修医が増えて、職場の雰囲気に活気が出てきました。スタッフの数が増えたので、ほぼ毎日のようにカンファランスを実施するようになりました。抄読会も定期的に実施するようになりました。若い研修医達と共に、日々楽しく学んでいきたいと思います。

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長野県内のマッチ者数(計112人)の内訳
定員充足率71.3%(112/157)

信州大学医学部附属病院 40人(定員56人)
 信大と県内関連病院の統一研修 38人(定員28人)
 信大診療科自由選択研修 8人(定員14人)
 信大産婦人科研修 2人(定員2人)
 信大小児科研修 2人(定員2人)
県厚生連佐久総合病院 15人(定員15人)
長野赤十字病院 8人(定員9人)
相澤病院 6人(定員12人)
県厚生連長野松代総合病院 6人(定員6人)
諏訪赤十字病院 6人(定員6人)
諏訪中央病院 5人(定員5人)
飯田市立病院 4人(定員6人)
長野中央病院 4人(定員4人)
長野市民病院 3人(定員4人)
安曇野赤十字病院 2人(定員2人)
県厚生連安曇総合病院 2人(定員2人)
県厚生連小諸厚生総合病院 2人(定員4人)
県厚生連篠ノ井総合病院 2人(定員4人)
波田総合病院 2人(定員2人)
伊那中央病院 1人(定員2人)
県立須坂病院 1人(定員2人)
国立病院機構長野病院 1人(定員2人)
佐久市立国保浅間総合病院 1人(定員2人)
松本協立病院 1人(定員2人)
県厚生連北信総合病院 0人(定員2人)
県厚生連富士見高原病院 0人(定員2人)
県立木曽病院 0人(定員2人)
昭和伊南総合病院 0人(定員2人)
市立大町総合病院 0人(定員2人)


産婦人科専門医認定審査の申請資格、卒後研修指導施設指定基準の一部改訂について

2010年06月15日 | 医療全般

今回、産婦人科専門医認定審査の申請資格および卒後研修指導施設の新規ならびに更新指定基準がかなり厳しくなりました。

これからは、2年間の初期臨床研修を修了して産婦人科専門研修を希望する者は、3年間の専門研修期間のうち6ヵ月以上を、大学病院(もしくは産婦人科専門医が4名以上在籍し多くの論文を発表している一般病院)で研修することが義務付けられるようになりました。

産科DICなどのハイリスク分娩や婦人科悪性腫瘍などは、症例が集中する一部の研修施設でしか十分に経験できないので、卒後研修指導施設指定基準を厳しくするのは非常にいいことだと思います。

今回の改定によって大学病院で研修する者を増やそうという狙いもあると思います。多くの若い医師が大学病院で産婦人科研修を開始してくれたら、いずれ地域の病院に配属されて大活躍してくれるはずなので地域医療にとっても非常に望ましいことだと思います。

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日産婦誌62巻5号999頁、2010年5月

会員へのお知らせ

学会会員各位

専門医認定審査の申請資格、卒後研修指導施設指定基準の一部改訂について

専門医認定審査の申請資格および卒後研修指導施設の新規ならびに更新指定基準に下記の条件を加えることといたしました。

1. 専門医認定審査の申請資格について
3年以上(初期研修も含めて5年以上)の産婦人科専攻医研修期間内に以下の要件を満たすこと:
1) 6ヵ月以上の期間、大学病院もしくは産婦人科専攻医が4名以上いる施設で研修すること。その期間は、周産期、婦人科腫瘍、生殖内分泌、女性ヘルスケアの4つの領域のうち、少なくとも周産期医療を含む2つ以上の領域を研修していること。
2) 日本産科婦人科学会(日産婦)総会・学術講演会に1回以上出席していること(30点シール1枚以上)。
3) 日産婦の10点以上のシールが発行されている学会・研究会で筆頭者として1回以上発表していること。
4) 筆頭著者として論文1編以上発表していること。(注1)

適用開始時期
1) は平成23年4月からの産婦人科専攻医研修開始者に適用
2)~4) は平成22年4月からの産婦人科専攻医研修開始者に適用

2. 卒後研修指導施設指定基準について
1) 過去5年間にその研修施設勤務者が筆頭筆者である論文を3編以上発表していること。(注1、注2)

注1:産婦人科関連の内容の論文で、原著・総説・症例報告のいずれでもよいが、査読制を敷いている雑誌であること。査読制が敷かれていれば商業誌も可。

注2:移行措置として研修指定病院認定申請時あるいは更新時までの5年以内の論文が、平成23年申請・更新の場合:1編以上、平成24年申請・更新:2編以上、平成25年以降の申請・更新:3編以上とする。

平成22年5月

社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 吉村泰典

中央専門医制度委員会
委員長 櫻木範明


1052機関中 市立堺病院2度目全国一、医師臨床研修先の第1希望率

2009年11月17日 | 医療全般

今年度、医師臨床研修先の第1希望率で全国第1位だったのは、大阪の市立堺病院だそうです。読売新聞の記事を読むと、この病院では、魅力的な研修システム作りのために、病院の総力を挙げて相当な努力を積み重ねていることがよくわかります。

一般の市中病院での研修では、大学での研修と比べると、研修医1人当たりの取り扱う患者数が圧倒的に多く、軽症のよくある疾患の頻度が高いという特徴があると思います。一般のよくある疾患に対する初期対応、初歩的な手技などは多く経験できます。

それに対して、大学病院は3次医療を担っているので、地域の2次病院ではとても手に負えないような重症の患者さん達が県内各地からどんどん紹介されて来ます。また、大学の医学部では基礎的な医学の研究が行われています。ですから、一般の2次病院では扱うことのできない高度で最先端の医療を学ぶためには、大学病院での研修が不可欠ですし、基礎的な医学研究に従事するためには大学に在籍する必要があります。しかし、一般のよくある疾患は、大学病院での診療の対象とはならないことが多いので、大学病院における研修ではあまり多く経験できないかもしれません。

初期臨床研修では、プライマリー・ケアの修得のために経験できる症例数が十分にあり、指導体制の整った病院に、研修医が自然に多く集まると思います。研修病院としては、研修医のさまざまなニーズに応えられるような魅力的な研修システム作りを真剣に考えて、創意工夫を重ねて年々バージョンアップしていく必要があります。研修医集めは毎年毎年が新たな勝負で、研修医からみて魅力的な研修病院として認識されなくなれば、研修医が集まらなくなってしまうのは当然だと思います。

平成21年度 研修医マッチングの結果

臨床研修の都道府県別来年度定員

****** 読売新聞、大阪、2009年11月14日

1052機関中 市立堺病院2度目全国一

医師臨床研修先の第1希望率

 大学卒業後の新人医師の臨床研修を受け入れる全国1052医療機関で、市立堺病院(堺市堺区)の定員に対する「第1希望者」の割合が、医師臨床研修マッチング協議会(事務局・東京)の今年度の中間集計でトップとなった。トップは2年ぶりで、昨年も3位と高水準を維持。組織的できめ細かな指導が評価に結びついているといい、同病院は「医師育成のモデルをつくりたい」としている。

(中略)

 市立堺病院では、幅広い臓器を診療する総合内科の体制や、感染症に関する教育などが充実している。研修医を受け入れる専門科の指導医らは、毎月会議を実施。情報交換や連携を進め、研修医にも年に数回アンケートを行い、プログラムの改善などに取り組んできた。

 このほか、院外から年に数回、研修・指導のノウハウを持っている外国人医師らを講師に招請。指導医だけでなく、〈先輩〉の後期研修医らも指導役になる体制を整え、昼食時の症例検討会などを頻繁に開催。自由に意見交換できるムードもつくってきたという。

 金万和志副院長は「より良い研修を目指すことで医師が指導力を付け、組織内の連携も進むなど、病院側の刺激や活性化につながっている」と話している。

(読売新聞、大阪、2009年11月14日)


平成21年度 研修医マッチングの結果

2009年10月30日 | 医療全般

本年度の研修医マッチングの結果が10月29日に発表されました。

研修医マッチングとは、国家試験に合格し医師免許を取った研修医が最初の2年間の臨床研修を受ける病院を決めるため、研修希望者と病院の双方が希望を出し、コンピューターで組み合わせる方式です。厚生労働省が2004年度から臨床研修を義務化した時に導入され、毎年10月に翌春の国家試験受験予定者を対象に実施されます。学生らは研修を受けたい病院を第1希望から順位を付けて登録し、病院側も面接などをもとに受け入れたい学生を選んで登録して、コンピューターで研修希望者と病院の組み合わせを決定します。

長野県の今年度の状況を見てみますと、全体のマッチ者数は125人で、昨年の111人よりも14人増えました。定員を満たしたフルマッチの病院も昨年の6病院から12病院に倍増しました。

当院も、今年は定員6人でマッチ者数6人と、何とか定員を満たすことができました。当院のマッチ者の中には、産婦人科志望の者も含まれてました。来年度から研修プログラムは大幅に変更されますが、当院のプログラムの場合は1年目で産婦人科研修が1か月間必修になっていて、2年目の研修はほとんど全期間が自由選択となっています。信州大学とのたすき掛けで当院で研修する研修医も1年目と2年目それぞれ数名づついる筈で、その中にも産婦人科志望の者が含まれている可能性がありますので、来年度からは1年目研修医と2年目研修医が、ほぼ常時、産婦人科研修をしていることになる筈です。また、来年度から当院での産婦人科後期研修を開始する予定の者もいます。若いスタッフが増えて、大勢の研修医たちと日々頑張っていける環境になれば、職場の雰囲気にも活気が出てきます。当院での臨床研修を選択してくれた若い医師たちががっかりしないように、研修医の指導には全力投球していきたいと考えています。

当院での2年間の初期研修を修了した研修医たちのその後の進路を見てみますと、人それぞれですが、やはり大学病院に移って後期研修を開始する者が最も多いです。当院に残って後期研修を開始する者も毎年何人かづついます。また、当院を巣立ってから何年かしてそれぞれの分野で立派に成長し、大学の医局人事で赴任して来て、現在は当院のスタッフとして活躍している者も多いです。研修医たちを単なる労働力として見るのではなく、長い目で彼らの成長を見守っていく必要があります。医師としての長いキャリアを積む最初の2年間を過ごす研修病院は、研修医自身が学びたいものを自由に思いきり学べるような研修環境であるべきだと思います。

長野県内のマッチ者数(計125人)の内訳
定員充足率83.3%(125/150)

信州大学医学部附属病院 49人(定員58人)
 信大と県内関連病院の統一研修 35人(定員40人)
 信大診療科自由選択研修 11人(定員14人)
 信大産婦人科研修 1人(定員2人)
 信大小児科研修 2人(定員2人)
県厚生連佐久総合病院 15人(定員15人)
長野赤十字病院 9人(定員9人)
相澤病院 8人(定員12人)
飯田市立病院 6人(定員6人)
諏訪赤十字病院 6人(定員6人)
県厚生連長野松代総合病院 6人(定員6人)
諏訪中央病院 4人(定員4人)
長野市民病院 4人(定員4人)
県厚生連小諸厚生総合病院 3人(定員3人)
県厚生連篠ノ井総合病院 3人(定員3人)
長野中央病院 3人(定員4人)
安曇野赤十字病院 2人(定員2人)
伊那中央病院 2人(定員2人)
県厚生連北信総合病院 2人(定員2人)
県厚生連安曇総合病院 1人(定員2人)
県立須坂病院 1人(定員2人)
波田総合病院 1人(定員2人)
県厚生連富士見高原病院 0人(定員2人)
国立病院機構長野病院 0人(定員2人)
佐久市立国保浅間総合病院 0人(定員2人)
市立岡谷病院 0人(定員2人)

****** 参考記事:

臨床研修の都道府県別来年度定員

10年度臨床研修の募集定員  地方大学病院の割合が初めて増加 マッチングで研修医の動き注視

****** 医療タイムス、長野、2009年10月30日

県内マッチ者は125人 マッチング、04年以降で過去最多

 医師臨床研修マッチング協議会は10月29日、研修医のマッチング結果を発表した。2004年度の臨床研修制度から5年が経過したことから、今回は都市部での医師偏在といった課題を解消する狙いで、都道府県ごとの募集定員を設定するなど制度を見直した。県内でも実態に即した形でマッチング参加病院が6減の22、総定員数が54減の150となったが、マッチ者は125人となり、制度開始以降で最多だった04年度の118人を上回った。充足率は83.3%で、前年度より28.9ポイント上昇した。

 定員を満たしたのは、県厚生連佐久総合病院(定員15人)、諏訪赤十字病院(同6人)、飯田市立病院(同6人)、長野赤十字病院(同9人)、県厚生連北信総合病院(同2人)、県厚生連小諸厚生総合病院(同3人)、県厚生連篠ノ井総合病院(同3人)、諏訪中央病院(同4人)、県厚生連長野松代総合病院(同6人)、長野市民病院(同4人)、安曇野赤十字病院(同2人)、伊那中央病院(同2人)の12病院。定員を満たした病院は、前年度の6病院から倍増した。

(中略)

 信大病院は、総定員58人に対してマッチ者は49人(前年度比5人増)、充足率は84.5%。プログラム別では、「信大と県内関連病院の統一研修プログラム」(同40人)のマッチ者が35人、「信大診療科自由選択研修プログラム」(同14人)のマッチ者が11人、「信大産婦人科研修プログラム」(同2人)のマッチ者が1人、「信大小児科研修プログラム」(同2人)のマッチ者が2人だった。

(以下略)

(医療タイムス、長野、2009年10月30日)


臨床研修の都道府県別来年度定員

2009年09月27日 | 医療全般

来年度の臨床研修の都道府県別募集定員が厚労省より発表されました。全体の募集定員は前年より749人少ない10699人でした。都道府県別の募集定員の上限設定により、募集定員ベースでは研修医の大都市集中がやや緩和されました。

ただし、激変緩和措置などにより、来年度分の募集定員は医学部卒業生の数(約8600人)より約2000人多いため、大都市集中の傾向は従来と比べてあまり変わらない可能性もあります。10月29日に発表される10年度マッチング結果の動向を見て、11年度以降の激変緩和措置の取り扱いが決められるそうです。今後、医学部卒業者数が年々増えていく過程で、全体の募集定員とマッチング参加者数がほぼ一致するようになり、制度見直しの効果が徐々にあらわれると思われます。

10年度臨床研修の募集定員  地方大学病院の割合が初めて増加 マッチングで研修医の動き注視

****** 読売新聞、2009年9月25日

研修医、6都府県合計4割切る 2010年度定員発表、大都市への集中緩和

 厚生労働省は24日、2010年度の新卒医師の臨床研修制度について、都道府県別の募集定員を発表した。

 全国の定員総数は09年度より749人(約6・5%)少ない1万699人。04年度の同制度開始以降で初めて、東京や大阪など大都市を抱える6都府県の割合が全体の4割を下回った。同制度により、都市部の一般病院に研修医が集中し、地方の大学病院などで医師不足を招いたとの批判を受け、厚労省が偏在解消のため今回の募集から都道府県別の定員上限を設けており、その影響も出たとみられる。

 これまで研修医が集中していた東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の都市部6都府県の合計は全体の約39・7%で、09年度より1・6ポイント減少した。

 都道府県別で、募集定員の減少数が最も多かったのは、大阪の130人減(定員682人)、次いで愛知の116人減(同583人)、神奈川の81人減(同671人)。東京は33人減(同1511人)だった。増加数が多かったのは、埼玉の79人増(同421人)、石川の35人増(同168人)、鹿児島の30人増(同165人)など。埼玉はこれまで人口が多い割に研修医が少なく、今回は大幅に増員された。

(以下略)

(読売新聞、2009年9月25日)


10年度臨床研修の募集定員  地方大学病院の割合が初めて増加 マッチングで研修医の動き注視

2009年09月10日 | 医療全般

これまでは研修医の病院別募集定員枠を比較的自由に設定できたため、総募集定員数が実際の研修医数をはるかに上回っていました。地方では定員割れとなる病院が多く、研修医が都市部の有力病院での研修を選ぶ傾向が強くなり、大学の医師派遣機能が低下し、地方の医師不足を招いたとも言われてきました。

そこで制度を改めて、都道府県別、病院別の定員枠を厳密に設定し、研修医の地域偏在を解消しようとしています。病院別定員枠は、直近3年間におけるマッチング数など過去の実績を基準に算出し、実態に即した定員設定となります。大学病院の定員枠を優遇して、大学病院の医師派遣機能回復を目指す狙いもあります。

しかし、10年度の募集定員数には前年度のマッチング数確保などの激変緩和措置分が入っているため、都市部の研修医数は従来と比べてそれほど大きな変わりがないかもしれません。実際問題として、10年度の研修医募集定員1万683人に対して、マッチングに参加する医大生は約8千人程度で、いまだに募集定員の方がマッチング参加者数より約2千人程度上回っていて、売り手市場の状況は従来と比べてそれほど大きく変わらないと思われます。10月末に発表される10年度マッチング結果の動向を見て、11年度以降の激変緩和措置の取り扱いが決められるそうです。

今後長い目で見れば、医学部卒業者数が年々増えていく過程で、研修医募集定員数とマッチング参加者数がほぼ一致するようになり、制度見直しの効果が徐々にあらわれると思われます。

****** CBニュース、2009年9月7日

来年度の研修医募集定員、地方が初の6割台

 厚生労働省は9月4日、来年度の臨床研修の実施体制の概要を明らかにした。募集定員は前年度比765人減の1万683人(新規指定分を除く)で、新医師臨床研修制度が始まった2004年度以降、大都市部の6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除いた地方の定員の割合が初めて6割を超えた。地方の募集定員に占める大学病院と臨床研修病院の比率は、臨床研修病院が56.0%(前年度比0.9ポイント減)、大学病院44.0%(同0.9ポイント増)で、大学病院が初めてプラスに転じた。大都市部と地方の研修医数の格差を是正するため、来年度から新たな臨床研修制度が導入されることから、同省では「ほぼ想定通りの数字」としている。ただ、募集枠通りに研修医が選択するかどうかは不透明で、10月29日に発表されるマッチング結果が注目される。最終的な実施体制は、医道審議会の医師分科会医師臨床研修部会での審議を経て、9月下旬に決定する見通しだ。

 研修医を募集する「基幹型臨床研修病院」は、前年度比63病院減の1051病院(新規指定分を除く)で、04年度以降初のマイナスとなった。また、募集定員全体に占める大学病院と臨床研修病院の比率は、臨床研修病院53.5%(前年度比0.1ポイント増)、大学病院46.5%(同0.1ポイント減)とほぼ横ばいで、制度導入時から減少傾向にあった大学病院は下げ止まった形だ。

(以下略)

(CBニュース、2009年9月7日)


民主党マニフェスト: 医師不足には医学部定員5割増し

2009年07月28日 | 医療全般

今後、医師養成数が5割増しになるとすれば、研修医の数も5割増しとなり、大学病院や都会の有名病院だけでは研修医の受け皿が全然足りなくなる筈です。

地方の弱小病院であっても、充実した臨床研修ができる病院であれば、初期研修医や後期研修医が自然に多く集まって来るようになると思われます。

従って、これからは従来にも増して、病院の研修機能を高めることが重要となっていくと考えられます。

現状では、当直の翌日も終日働く36時間連続勤務が普通ですが、今後は医師の交代勤務制を含めた労働基準法の遵守が常識となっていくと思われます。また、女性医師が産休や育休を取得しても、周囲の医師が全く困らないような「女性医師の働きやすい勤務環境」を実現する必要があります。

****** 読売新聞、2009年7月27日

民主公約…医師不足には医学部定員5割増し

 医師不足対策では、医師の絶対数を増やすため、医学部定員を現状の1・5倍にすることを明示した。

 当面の対策としては、医師や看護師ら医療従事者を増やす努力をしている医療機関に対し、診療報酬を手厚くする。

(以下略)

(読売新聞、2009年7月27日)


民主公約 「医学部定員5割増」明記へ

2009年07月25日 | 医療全般

現在、医学部定員約7600名の時代に入学した医師が毎年、新人医師となって初期研修を開始してます。また初期研修や後期研修を終了した医師たちが、大学に戻ったり、市中病院に就職したりしてます。この新人医師数(毎年約7600名)は、リタイヤする医師や一時休業する医師の数(年間約4000名)をはるかに上回っているので、実働の医師数は毎年確実に増えてます。医師数増加のスピードは今後さらに加速されます。

今は医療崩壊が進行して、産科や救急などの医療現場に必要な医師を確保するのにみんな四苦八苦してますが、医療現場の常勤医ポストの数だって無限ではないので、いつかはすべての常勤医ポストが埋まって、飽和状態に達する日も必ずやって来ます。何年先かはわかりませんが...

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****** 朝日新聞、2009年7月22日

民主公約 「医学部定員5割増」明記へ 時期や道筋は未定

 民主党は医師不足解消策の一環として、衆院選マニフェスト(政権公約)に、大学医学部の定員を5割増やす目標を明記する方針を決めた。医師不足が特に深刻な救急や産科、小児科、外科の充実に向け、地域の医療機関の連携強化や、国公立病院の医師定数増員も明記する。

 政府は80年代後半から定員削減策をとってきたが、医師不足の拡大を受けて08年に方針転換した。しかし、民主党の鳩山代表はまだ不十分だとして、6月の党首討論で「政府・与党との政策の違いの一つが医療問題」と医学部定員5割増を明言。公約にも明記することになった。

 公約では、従来政府がとってきた年間2200億円の社会保障費抑制方針は採らず、医療再建のため十分な予算を確保するとしている。当面の目標として医師数を人口1千人あたり現行の2.1人から、主に先進国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の平均である3.1人まで増やす方針を掲げる。

(以下略)

(朝日新聞、2009年7月22日)


文部科学省: 医学部入学定員増を発表

2009年07月19日 | 医療全般

コメント(私見):

来年度の医学部入学定員が最大369人増員されて、増員後の総定員は全国の国公私立79大学医学部で最大計8855人と過去最多となることが、文部科学省より発表されました。

また、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)では、医学部入学定員を1.5倍に増員するとしてます。従って、民主党が政権を担当することになった場合、医学部の入学定員が今後さらに大幅増員(4000人程度?)されることになります。

今は医療現場に必要な医師数を確保するのにみんな非常に苦労してます。しかし、将来的には医師の需給バランスが激変し、今の人気診療科は医師過剰で新規参入が困難となり、今さんざん人集めに苦労している不人気診療科(外科、産婦人科など)に多くの若手医師が争って新規参入して来るかもしれません。

****** 共同通信、2009年7月17日

医学部定員369人増へ 「地域枠」県外大学もOK

 深刻な医師不足を解消するため、文部科学省は17日、本年度に過去最多となった大学医学部の総入学定員枠を来年度も369人増やし、国公私立79校で総定員8855人にすることを決めた。文科省は今後10年間、この総定員規模を臨時措置として続ける方針。

 都道府県が地元勤務を義務付ける代わりに奨学金を出す「地域枠」は、近隣の都道府県の大学にも設定できるように変更したのが特徴。都道府県ごとに7人まで認める。文科省は「医師不足解消のため県境をこえて積極的に連携してほしい」としている。

(以下略)

(共同通信、2009年7月17日)